小町ポイント クリスマスキャンペーン 作:さすらいガードマン
この小説はリンク機能の使用を前提に書いた、くじ引きで分岐するお話です。一話目は普通にお読み頂き、以降はリンクをクリックして続きを読んで下さい。
「次の話」「前の話」等を使うと、話の順番がおかしくなったりします。
リンクは基本二つで、「まだまだ」的なものを選べば選択肢に戻り、「もう寝る」的なものを選べば共通のエピローグへと進みます。
なお、話によって八幡の性格が違っていたり、クオリティーや長さが極端に違っていたりするのは、筆者のえこひいき等による仕様です。
八幡以外のキャラの性格も色々とおかしいですが、そこは笑ってお許し下さい。
お話を「吉」と思うか、「凶」と考えるかは、アナタ次第です。
では、どうぞ。
真っ暗で何も見えない……。
俺はなんでこんな所に居るんだ? たしか、クリスマスイベントは無事に終了。その後二校合同の打ち上げがあって、うちに帰ったのは十時過ぎ。疲れと安心感から、割りと早めに床についたはずだが……。
突然、カッ、カッ、カッ…… と音を立ててスポットライトが次々と点灯し、辺りは眩しいばかりの光に包まれる。そして、
「日頃から小町ポイントをご愛顧頂いてるみなさん! 年に一度のビッグチャンス! くじを引いて、ごーかしょーひんをゲット~!!」
「……何やってんの、小町ちゃん……?」
目の前のステージのような場所で、天使の格好をした小町がマイクを構えて気勢を上げていた。
天使と言っても、いつもの中学校の制服の背中に天使の羽根をくっつけ、頭に天使の輪っかをのっけただけだが……あれ、この輪っか宙に浮いてる! すげえ。これがジャパン・クウォリティーかっ! たかがコスプレ用品にこれほどの技術をつぎ込むとはっ!
フッ、だが、甘いな。小町はコスプレなんかしなくたって元々天使だ。なんだったら俺の目に映る小町には、常に天使の羽根が生えているまである(妄想)
明るさに目が慣れてくると、ここは、教室2つ分ほどの広さのイベントスペースのような部屋で、何故かどこにも出入り口がない。五十センチほど周りより高くなった正面のステージに天使(小町)が一人。客席に当たる部分には椅子も無くがらんとしており、「みなさん」とか言ってた割には、俺一人がぽつねんと突っ立っている。
ステージ奥の壁には、「ご愛顧感謝! 小町ポイント、クリスマスキャンペーン」の文字が貼り付けられている。天井の方からは、カラフルな紐が、何本も何本もぶら下がっており、それぞれの先端に番号札のようなものがくくりつけられている。
「なぁ小町、これってなに?」
俺が当然の疑問を口にすると、
「私は、小町じゃなくて、ポイントの天使、コマチエルだよっ」
そう言って小町、じゃなかった、コマチエルはニッコリと笑った。
謎は全て解けた! つまりこれは夢ですね、うん間違いない。しかし……我ながらなんつーアホな夢を見てるんだか……。そんな俺に構わず、ポイントの天使コマチエル……長いな、コマチは言う。
「ここは、夢と現実の間にある世界……。さあ、累積で八万ポイント獲得を達成したお兄ちゃんには、スペシャルボーナスチャンス!! 今宵、この世界で恋人との夢の一夜をプレゼント!! どんどんパフパフ~」
「いや、恋人との、つっても恋人とか居ないし。それに今、お兄ちゃんって言ったよな。やっぱりおまえ、小町だろ……」
「ああもぅ、めんどくさいなぁ、ごみいちゃんのくせに……」
「おい……」
「と・に・か・く」
彼女は、反論は許さん、とばかりに続ける。
「ちゃんと恋人も付いてくるから大丈夫。 ……ただし、好みの相手が当たるとは限らないから、『いい恋人が当たりますように』って、しっかりお願いしてから引くんだよ?」
コマチはそう言って小首をかしげ、右の目の所で横向きにVサイン。トドメにバチコーンとウインクを決める。
くっ、あざと可愛い。だいたい「いい恋人が当たる」って何だよ……。だが可愛いは正義。俺は言われるままにステージに上り、ズラッと並んだ色とりどりの紐の前に立った。
「さあ、今年最後の運試し! れっつ、ちゃれんじ~」
コマチが煽り、どこからともなくドラムロールが響き渡る。
さて、目の前には番号札の付いた 17本の紐が並んでいる。俺は……