小町ポイント クリスマスキャンペーン   作:さすらいガードマン

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 ポワポワポワンと、どう考えても非現実的な効果音を立ててピンクの煙が広がり俺の視界を埋め尽くす。自分の指先も見えないほどの濃い煙だが、不思議と息苦しさは感じない。

 立ち尽くすこと数秒。ゆっくりと霧が晴れていくと、そこには……

 

 可愛らしい、丈の短いワンピースのサンタ服を着た鶴見留美がちょこんと座っていた。

 

 さらに霧が晴れていくと、そこは、淡いパステルピンクとオフホワイトを基調とした、いかにも「女の子の部屋」という感じの小さな部屋。

 おそらく留美の自室なのだろう。清潔で、あまり無駄なものが置かれていないところに留美の性格が感じられる。

 

 小さい出窓になっている窓際に置かれた、やはり明るいピンク色のベッドの端に、留美は浅く腰を掛けていた。ぴったりと揃えた脚。サンタ服のスカートとソックスの間からそこだけ覗いている膝小僧が実に可愛らしい。やっぱり小学生は最高だぜ!

 

「あ、八幡」

 

 俺に気付いた留美は、少し、ほんの少しだけ嬉しそうな顔を見せた。こいつも表情が分かり辛いやつだが、何度も話しているうちに結構細かい表情が読み取れる様になってくる。その辺、どこか雪ノ下とも通じるものを感じるが……。

 

「ねえ、八幡ってば」

 

 夢にしてはあまりにリアルな感覚に、俺が何も言えずにいると、留美がしびれを切らしたようにもう一度声をかけてきた。

 

「おう。いや、スマン。 ……いったい何がどうなってるんだか……?」

 

「どうって……」

 

 そこで留美は何故か急に真っ赤になってうつむく。

 

「その……、は、八幡、は、私のここ恋人、なんでしょう?」

 

「え」

 

 いや、駄目でしょう、不味いでしょう、アカンやつでしょう。

 

「……違う、の?」

 

 小首をかしげてそんな悲しそうな顔をされたら、とても違うとは言えない。と言うか、未だになにがどうなっているのかわからん。そんな事を考えていると、

 

「あのね、八幡。小町さん、じゃなかった、コマチエルさんが、『この世界には、『じポほう』は無いから安心だよ』ってお兄ちゃんに言っといてって」

 

 なん……だと……。思わず留美の、スカートからチラチラと覗く細い素足とか見ちゃったじゃん。コマチのやつ、なんつう事言いやがる。

 確かに留美は背も高めで大人びているし、「可愛い」より、「綺麗」という言葉のほうが似合うような美少女で……。

 ぶっちゃけ、外見的な好みだけで言えば、少し幼いとは思うものの余裕で「有り」だ。いや、でもなぁ……。

 

「ね、八幡、それで、『じポほう』って何?」

 

「『自走式ポータブル砲台』の事だ。この世界には戦争もテロも無いってことだ。確かに安心だ。素晴らしいな」

 

「ふうん……、戦争が無いのは、いいことだね」

 

その通り。世界平和が一番だ。納得してもらえて何より。

 

「そんなとこに立ってないで、ここ、座ったら?」

 

 そう言って留美は左手でぽんぽんとベッドを叩き、自分の隣に座るように言う。

 こ、これはさそってるんですかね? しかし、うっかりその気になって勘違いだったら即タイーホの危険な状況。ここは我慢だ。「八幡の幡は我慢の慢」 ……字が違いますね。てことは我慢しなくてもいいんですかね?

 

 俺は一旦安全策を取り、留美と人間二人分位の間を開け、ピンクのベッドに恐る恐る腰を下ろした。

 

「むぅ…… もっとこっちに座ればいいのに……」

 

 留美は、俺がわざわざ間を開けて座ったことがご不満のようだ。少し逡巡したあと、すっと立ち上がって俺の真正面にまわる。しばし顔を赤くして俯いていたが、ちら、と上目使いに俺を見ると、

 

「あの…、恋人って、きす、とか、するんだよ、ね……」

 

 何かを吹っ切るようにそう言って、彼女は俺の両膝をまたぐように、膝立ちでベッドの上に乗ってきた。ベッドが軋み、留美がバランスを崩す。

 

「あっ……」

 

 反射的に両手を伸ばし、俺は留美の右肩と左腰を支えた。留美はそのままぺたんと俺の膝の上に座ってしまう……。

 

 ……結果、ベッドの上で、俺の太腿の上に留美が跨り、俺がそれを両腕でゆるく抱いている、という形になってしまった。

 

 サンタ服のスカート部分がふわりと広がり、俺の太腿には、薄いズボンの布越しに、留美の内ももとお尻の素肌の感覚がじんわりと伝わってくる。

 ヤバイ近い柔らかい近いいい匂い近い近い柔らかい。……小学生でも、しっかりとオンナノコなんだって事を、強烈に意識させられる。

 

「あぅ、あの、ご、ごめんなさい……」

 

 留美もいっぱいいっぱいなようで、さっきからただでさえ真っ赤な顔をより一層赤くして、俺の上から飛び退()……かない。

 

 そのまま潤んだ目で俺を見上げると、可愛らしい唇をほんの少しだけすぼめるようにして、そっと目を閉じた。

 その躰は小刻みに震え、俺の両腕と太腿に彼女の緊張を伝えてくる。

 

「留美……」

 

「おねがい、八幡。 ……こ、このまま、きす、して欲しい」

 

 もし断ったら、そのまま泣き出してしまいそうな切ない声でそんな事を言う……。

 

 俺は、右腕で留美の背中を優しく抱いて、そっと触れるようなキスをする。

 留美は一瞬、ぎゅっと躰を強張らせた後、すぐに力を抜いた。数秒、唇を触れ合わせるだけのキス。ゆっくりと顔を上げると、留美はぽてんと俺の右肩のあたりにもたれかかった。

 

「……八幡……すごいドキドキしてる」

 

「おう」

 

 留美の髪をそっと撫でながら、それだけ応える。

 

「私も、ドキドキしてる、よ」

 

「ああ、そうだな」

 

 お互い、触れ合っているだけで全身に相手の鼓動が伝わってくる。僅か数秒、唇が触れ合っただけで、目の前の少女への愛しさが膨れ上がってくる。抱きしめたくなる衝動を押さえきれない……。

 

 先に動いたのは留美の方だった。

 

「八幡……、大好き……」

 

 そう言って彼女は俺の首に腕を回し、抱きつくようにしてキスをしてきた。唇を唇で挟むよな、甘噛みのような、じゃれるようなキス。俺もそれに応え、留美の背中を強く抱きしめる……。

 

 

 

 

 

 

 ……やってしまった……。

 

 いや、誤解しないように。「キス」の話ですよ? しかし、いくら大人っぽいとは言え、小学六年生と本気のキスとか……。このままでは、「ロリ谷くん」が公式名称になりかねない。

 だが、俺が尊敬する阿良々木師匠は、小学五年生とか、8歳くらいに見える金髪の幼女とかと堂々とキスしておられた。……いや、待て。彼女たちは実年齢が確か二十一歳とか六百歳とかだったような……。つまりは合法ロリってやつか。

 

 ならば、小町ポイントを使って、留美の年齢設定を上げてしまえば問題ない!

 よし。俺はカードデュエルアニメの主人公のように、五指を開いた右手を右前方45度に突き出して叫ぶ。

 

「コマチエル! ポイントを使って留美の実年齢を二十一歳に。ただし外見年齢はそのままに(重要)」

 

 

 

ポワンポワン。虹色の光が留美を包む。やがて、光が収束し、

 

 ルミルミ(21)が現れた。……しまった。(21)って、やっぱりロリじゃん……。

 

 

 

タイーホされないよう、元に戻る

 

ロリじゃあしょうがない。大人しく眠ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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