小町ポイント クリスマスキャンペーン   作:さすらいガードマン

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 ポワポワポワンと、どう考えても非現実的な効果音を立ててピンクの煙が広がり俺の視界を埋め尽くす。自分の指先も見えないほどの濃い煙だが、不思議と息苦しさは感じない。

 立ち尽くすこと数秒。ゆっくりと霧が晴れていくと、そこには……

 

 

 そこには、本物の天使様が降臨なされていた。「天使トツカエル」のあまりの神々しさに俺がひれ伏していると、

 

「あ、八幡!」

 

と、天使が涼やかな声をおかけくださる。何処かで聞いたような声だな……。

 

「八幡、ねえ八幡ってば、」

 

その言葉に顔を上げ、よくよく見れば、天使だと思っていたのは戸塚だった。うん。やっぱり天使で合ってるな。……しかもこの天使戸塚はミニスカサンタ服を着ておられる。 ……ミニスカ? な、なんてよく似合うんだ~~。

 俺がそのお姿をじぃっと見てしまっていると、

 

「あ、あはは。あのさ、コマチちゃんから八幡の恋人になって欲しいって言われて、……でも、八幡、男の子同士とか、そういうのは嫌なんじゃないかって、そう言ったら……」

 

 くうっ、真っ赤になってうつむく戸塚。もう、超萌える!

 

「『だったら、お兄ちゃんのポイントどーんと使って、今夜だけ女の子になっちゃいましょうか』って言われて、「女の子」に、してもらったんだ。……あの、どう? ……変じゃない。かな……」

 

 なん……だと……。

 あらためてよく見る。いつものように可愛らし顔に、いつもよりもさらに長い睫毛、ワンピース型のサンタ服に包まれた躰と、そこから伸びる手足は相変わらず細いが、ラインがより丸みを帯び、さらに華奢になった印象を受ける。肩の辺りは白いファーで縁取られたケープで隠されているが、そこから見えている首は、どきりとするほど白く……細い。

 

「あ、あの、八幡……。そんなにじっと見られたら、ぼく、はずかしい、よ」

 

「お、おう。すまん。……けど……」

 

そう言いながらも目が離せない。

 

「ごめんね、勝手にポイント使っちゃって。コマチちゃんが、『大丈夫ですよ、どうせ兄のポイントですし』って言うから……」

 

相変わらず兄の扱いがヒドイな。しかし、今回ばかりはよくやった!!

 

 俺はその場に跪き、天に感謝の祈りを捧げる。

 

「我が悲願、成れり!!」

 

天から光が射した気がした……。

 

「……八幡……?」

 

「おう、いや、ごめん。その、よく似合ってる。 ……かわいいよ、さ、彩加」

 

「八幡……えへへっ、うれしい、な」

 

笑顔が眩しすぎる……。俺の中で何かがぷつんと切れた……。

 俺は戸塚をガバッと抱きしめる。柔らかくていい香りが……これが天使か……。

 

「さ、さいか、さいかあぁぁぁ」

 

夢中になって抱きしめていると、

 

「ちょ、ちょっと八幡、痛いってば……」

 

そう言って、戸塚に押し返された。そこで我に返る。

 

「あ、スマン……。その……」

 

「えへへ、八幡、逃げたりしないから、その、もっとやさしく……して……」

 

……俺はその希望に応え、もう一度、けれどやさしく戸塚彩加を抱きしめる……。

 

 

 

夜はまだまだ長い

 

戸塚を抱きまくらにして眠る

 

 

 

 

 

 


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