RE:世界一可愛い美少女錬金術師☆   作:月兎耳のべる

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お待たせ。

【前回までのあらすじ】
 盗品蔵で徽章を奪い返し、腸狩りエルザからエミリア達の命を守ったカリオストロとスバル。スバルはエルザによる不意打ちの一撃をエミリアから守った際に大怪我を負い、恩に報いたいというエミリアの一言で彼女が懇意になっているメイザース領へとカリオストロ共々行くことになった。



第九話 新たな出逢いと刻まれた平和

 ルグニカ王国を過ぎ、平原を抜け、森を抜け、二日間ほど竜車の導かれるがままに移動をする一行。

 その二日目の朝、朝靄の中に現れたのは趣を感じさせる西洋風の巨大な屋敷だ。大きさで言えばラインハルトの屋敷よりもかなり大きく、庭には大きな噴水のある池や、色とりどりの美しい花。そして様々な動物を模したトピアリーが理路整然と並んでおり、永い時を歩んだカリオストロでさえも思わず目を奪われる程。カリオストロは竜車の窓からの光景を見続けながら、エミリアに尋ねる。

 

「ここが?」

 

「えぇ。ここがメイザース領……の別荘ね。長旅お疲れ様、カリオストロ」

 

「へぇーこれで別荘なんだ、大層なパトロンなんだね☆」

 

 ぱとろん? とエミリアが可愛く首を傾げるのと同時に竜車が速度を落とし、玄関前で完全に停止する。

 カリオストロはこの大豪邸を別荘と言い張る財力と、かの"サテラ"と似たエミリアを王にさせる酔狂さを持つロズワールにどこか嫌な予感がした。実際に会ってみないと分からないだろうが、何故だろう、彼女を王にさせる理由はなんだかろくでもない理由な気がしてならない。

 停車してすぐに竜車の扉が御つきの兵士によって開かれ、二人は降り立つ。降り立った先には二人のメイドが寸分たがわぬ姿勢で出迎えていた。

 

 そのメイド達の第一印象は淡い青と赤だった。姉妹なのだろう、顔立ちまで似た彼女達は揃ってボブカットにしており、その違いは髪と目の色の違い程度。二人の目は主人へと絶対の忠誠を誓う鉄の意志を感じさせ、仕立ての良いメイド服に身を包む彼女達はこの華美な屋敷に非常にマッチしているように見えた。

 カリオストロは脳内で自然と前の世界で出会った少女相手にニヤつくメイドと主人以外を毛嫌いするメイドと比べたが、見かけ以外であればこちらの方がメイドらしいなという結論に至った。

 

「「おかえりなさいませエミリア様」」

 

「ただいまレム、ラム。連絡は届いてるとは思うけど、早速スバルを部屋に運び込んで頂戴」

 

「かしこまりました。レム」

「はい、姉様」

 

 レムと呼ばれた青髪の少女がスバルを寝かせた竜車へと向かい、まだ寝こけているスバルをお姫様抱っこで軽々と彼を屋敷へと運んでいった。

 カリオストロはあの男もよもや女性にお姫様抱っこされるとは思わないだろうな、とその様子を見つめていると二人の間で会話が済んだらしい。エミリアが彼女の肩を叩いた。

 

「えっと、カリオストロ。長旅の直後で申し訳ないけど、ロズワールが是非貴方に会いたいって」

 

「あ、うん☆」

 

「早速で申し訳ありません。では案内いたします。ロズワール様はエミリア様も一緒にとの事です」

 

 エミリアとカリオストロは先導する桃髪の「ラム」というメイドに続いて屋敷へと入る。屋敷の内部は外観に恥じぬ内装で、外から見るよりも広く感じる。真紅の絨毯が引かれた長い廊下を歩いている途中、カリオストロはエミリアへと尋ねた。

 

「と・こ・ろ・で~スバルは?」

 

「別の部屋で寝かせたわ、顔色こそ良いけど二日間も眠ってるとちょっと心配だし……もしまだ起きないようであれば、腕利きの医者を今度王都から呼び寄せるつもり」

 

「ふぅん☆」

 

 カリオストロの見立てではスバルはあの濃密な一日で何度も死を体験した事で疲れが溜まったのだと見ている。体そのものは大丈夫だろう。

 軟弱な奴だ、とは思わない。普通の一般人が殺される、あるいは殺されかける経験をして平常でいられるか? 答えは否である。スバルは1日しかない特殊な時間の中だからこそ忘れていたようだが、刻み込まれた死という感覚は後からでも心を蝕むものだ。心配なのはむしろ起きてからである。

 カリオストロも自らの脆弱な体を捨てて素体に逃げ込んで数百年以上経つが、死は恐ろしいし慣れない、いや、慣れたくない経験だ。体が生命の維持を出来なくなるたびに、自分の体を再構成するたびに死が自分の背筋を撫でる感覚がする。その時に感じるのは耐え難い孤独と、喪失感だ。

 

 真理にたどり着いた今でこそカリオストロにとっては「死」はただの「状態異常」でしかなくなったが、それでも尚絶対に避けたい異常なのである。

 

 仕方がない、念のためあとで診に行ってやるかと思っていると、やがて一行は長い通路の突き当たりに辿り着く。先にあるのは他の部屋より大きな両開きの扉。ラムが扉に近寄り、慎ましいノック。その音に続けて聞こえてきた「どーうぞぉ」と言う間の抜けた返答に、カリオストロは先ほどの懸念がムクリと鎌首をもたげるのを感じた。

 

「あはぁ、よーぅこそお客人。遠路はるばる当家にお越しいただき、感謝感激でござーぃ」

 

「――」

 

 さしもの歴戦の騎空士であるカリオストロも、目の前の存在には口を閉ざさざるを得なかった。

 

 扉を開けた先、広々とした執務室で待っていたのは長身痩躯、ピエロメイクで奇抜な格好をした長髪の男性だった。カリオストロが思わずエミリアとラムの両方を見るも、エミリアは気まずそうに頷き、ラムは表情すら変えず、視線すら合わせなかった。そんな言葉を失ったカリオストロを見て男は、悪戯が成功したと言わんばかりににまりと笑っている。

 

「此度の活躍ぅ、当主としてまーさに感謝しかぁありません。そしてエミリア様が恩に報いたいというお気持ちぃ、私も同意するところですねぇ。本来ならお二人揃ってから伝えたいところでありますがぁ、まずはお礼をば――」

 

 気障ったらしい口調に態度、それはまさに道化そのもので。顔に描かれた偽りの涙の上の眼には、好奇心と歓喜が刻まれているような気がした。

 

 

「エミリア様を救って頂き、まーことに感謝致しまぁす。ロズワール・L・メイザース、カリオストロ殿及びスバル殿へ此度の尽力に対して最大限報いたーくぅ存じ上げます」

 

 

 大きく腰を折りカリオストロへと頭を下げる姿は十分な教育を受けてきたと思われる、見るものが美しいと思わせる所作。それに反する道化師めいた口調と格好。そこに彼女が感じた印象は一つだけだった。

 

(……こいつ、絶対に面倒くさい奴だ)

 

 

 

 § § §

 

 

 

「えぇっとまずはぁ、カリオストロ達を招待してもらってありがとうございますっ☆」

 

「あはぁ、可愛らしいお姿にふさわしい、小鳥のさえずりのような声、素晴らしいぃですねぇ。いーぇいーぇ、当家の者を救っていただいたというのであれば招いて当然、そして持て成して当然でありますからぁ」

 

 簡単な自己紹介の後、大きな部屋で机を挟んでロズワールとカリオストロが会話を始める。カリオストロの隣にはエミリア。ロズワールのすぐ後ろにはラムが立ち、机の上には淹れたての紅茶が三人分用意されていた。

 ロズワールは安心させるかのように、まず自分からと紅茶を手に取り飲もうとするが、カリオストロもほぼ同時に手に取り、彼よりも先にそれを上品に飲み始めた。その様子を見たロズワールは一瞬目を見開き、そしてすぐに面白そうに自分も紅茶を飲み始めた。

 

「フフ、お気に召していたーだけたかなぁ?」

 

「ん☆ 凄く上品な味だねっ☆ カリオストロ病み付きになっちゃう☆」

 

「えぇ、ラムの淹れてくれる紅茶は凄く美味しいのよ。私もいつも淹れて貰ってるの」

 

「エミリア様。大変申し訳ありませんが……この紅茶は妹のレムが淹れました」

 

 えっ、ご、ごめんなさいと気まずそうにするエミリアを置いて、カリオストロとロズワールは視戦を交わし続けていた。片や、何もかも見透かそうとする好奇心の目。そして片や、仮面を被り真意を悟らせない冷静な目。二人の視戦はやがて、ロズワールが紅茶を置いたことで終わり、次なる戦いへと進もうとしていた。

 

「とーころぉで、手紙で話は聞いていましたがぁ……事の経緯、直接お聞きしてもよーろしいですかねぇ?」

 

「えぇ。それについては私からも説明させてもらうわ」

 

 エミリアが説明し、カリオストロがそれを補足するようにして経緯を伝える。ロズワールはその間ただ頷くだけで質問をすることなく聞き続け、説明が終わった後に数瞬の間を置いてから、カリオストロへと聞いた。

 

「ふぅむ、分ーかりましたぁ。此度のお二方も尽力、我が陣営としても無視できないほどの大きな恩と言ーえましょぅ。たーだぁ、ひとつだけ聞かなければならないことがありますねぇ。誠に失礼ですが、お二方。いーったい何しにこの国に来たんですかねぇ? 聞ぃけば二人とも、どうやらこの国の世情にも疎いご様ー子、差し支えなければ是非ともお教えて願いたいものでーすが」

 

 それは当然といえば当然の質問だろう。王選の真っ只中、候補者を救った二人の素性は限りなくグレーだ。カリオストロは彼が何を懸念するのかは理解していた。つまり、自分達が他の候補者の差し金ではないのか、という事。この件が他陣営からの妨害なのは明白。いきなり現れてそれを救った二人は、もしかしたら他候補の自作自演の一環かもしれないのだ。ただカリオストロもそれを想定はしていた、だから正直に自分の目的を話した。

 

「スバルの事は知らないけどぉ、カリオストロは探し物をしにこの国に来たの☆」

 

「探し物?」

 

「そう、ある魔物の情報っ☆ 空中に浮かぶ大きな動く鎧のような魔物☆ 私達はヴァシュロンって呼んでるんだけどぉ……☆」

 

「ふーむぅ、大きな動く鎧ねぇ。わーたしの方もそれは確かに聞いたことない魔物だ……つまり、今回の件は」

 

「うん☆ "偶然"スバルと出会った私が、"偶然"あなた達を助ける結果になっただけ☆ 本当は恩に着せるつもりもなかったけどぉ、ロズワールが権力持ってるって聞いてぇ、折角だし情報とか貰っちゃおうかなぁって☆」

 

 それは身の正当性も、あるいは敬意すらも伝えようと思わない、明け透けな物言いである。さしもの発言にロズワールの後ろに佇むラムの眉が少しだけ釣り上がり、エミリアはそんなカリオストロの発言におろおろしだした。ロズワールだけはカリオストロの目をじっと見詰めながら楽しそうに頷いた。

 

「――なーるほーどぉ。時にはそのような偶然もあーるでしょうねぇ」

 

「そうそう☆ エミリアは偶然助かったの☆ 王様には運も必要だからぁ、その点で言えばエミリアも王様の素質あるよっ☆ カリオストロが太鼓判押してあげるっ☆」

 

「え? う、うん。ありがとうカリオストロ」

 

 言外にラッキーだっただけだと皮肉られたが、それに気付かないエミリア。その様子に、カリオストロはこの王様候補大丈夫なのかと煽っておきながら心配になった。ロズワールは言葉の真意に気付いても尚笑顔を崩さず、ラムは心なしかカリオストロを冷たい目で見ていた。

 

「話はーぁ分かりました、でーはお客人。此度の恩は、そのヴァシュロンと呼ばれる魔物情報と引き換える、そぉーれだけでいいかな?」

 

「勿論お願いはそれだけじゃあないよっ☆ カリオストロ、与えた恩に対してそれだけじゃまだ釣り合わないと思うなぁ☆」

 

「ほーぉ? いーぃですとも。可能であればなーんでも、叶えて見せましょーぉ」

「……」

 

 ラムのカリオストロを見る視線温度が更に下がるが、当の本人は動揺した様子もなく二の句を告げる。……前に、ノックの音がそれを邪魔した。

 

「はぁい?」

 

「ロズワール様、レムでございます。お話中に失礼ですが火急お伝えしたいお話が」

 

 入室を許可されたレムは、一礼してロズワールの元へ向かうと耳元で内容を伝える。その話を聞いたロズワールはさほど動揺こそしなかったが、立ち上がると話し相手であるカリオストロと、エミリアにその話を伝えた。

 

「エミリア様、お客人。どうやらもう一人のお客人が目覚めたようだぁーよ」

 

「! 本当!」

 

「わ☆ 良かったぁ☆」

 

「たぁだ。お客人は少し元気が有り余ってたのかねぇ。レムが部屋を離れてる間に抜け出して、部屋の外で倒れてたみーたいだぁーよ」

 

「……本当!?」

 

「わぁ……☆」

 

 何やってんだアイツ、と思わず頭を抱えたくなる。結局、カリオストロのもう一つのお願いに関してはスバルの様子を見てからという事になるのだった。

 

 

 

 § § §

 

 

 

「おぉ、エミリアたんにカリオストロ! ご心配おかけしました、不肖ナツキスバル、完・全・復・活!」

 

 カリオストロとエミリアがベッドの上でうざい上に謎のポーズを取るスバルに対面したのは、スバルが通路で倒れた所を発見されてから数時間後だった。

 最初は心に負った傷のせいで衝動的な行動でもしたのかと懸念し、再度スバルの体を治療しようとしたカリオストロ。だが、要因は別にあることに気付いた。

 

 それは彼の体からマナが少し失われていた事。

 

 カリオストロは一体スバルに何をしたのだと当時看病していたレムを問い詰めたが、そんなマナを吸い取るような真似はしないし出来ないと言う。では誰がやったのか? スバルマナドレイン事件の容疑者として上がったのは、この屋敷のもう一人の住人だった。

 

「そうか、あのドリルロリ。ベアトリスって言うのか……くそっ、いきなり気絶させやがって、漏らしたらどうするつもりだったんだ!」

 

「漏ら……もう!スバル、そう言う下品なのどうかと思うの」

 

「エミリア様、このお客様は既に野獣めいた欲望をお持ちです。先程も起きた直後に欲望をぶつけられ汚されました。姉様が」

 

「エミリア様、このお客様は今も尚獣欲を発散させようと獲物を探しているようです。先程も起きた直後に襲われました。レムが」

 

「……」

 

 お前ら初対面なのに酷くねぇ!? とエミリアに謝罪しながらレムとラムに突っ込むスバル。個性的過ぎる会話の応酬にカリオストロは最早突っ込む気も失せた。

 どうやら事の真相は、「見ず知らずの場所に着き混乱したスバルが、さまよった先で偶然ベアトリスという少女に出会い、その少女に無礼を働いたせいでマナを盗られた」という事らしい。ラム曰く「ベアトリス様とは狙って会えるものではなく、会えたのであればかなり幸運」との事だがその幸運で気絶させられるとはこの男、幾度の死も含めてかなりついていない。

 

(いや、多分こんなノリで迫ったんだろうな。初対面でコレならオレ様でも気絶させるわ)

 

 この短期間、スバルと付き合ってわかったのは、他人との対話が非常に下手であるということだった。自信のなさの表れか、自分を下げて相手をあげようとする生粋の道化師のような発言がとにかく多い。それだけならつゆ知らず、人の個人的空間にずかずかと入り込んだあげく押し付けると言った。相手との距離感、会話のアプローチまで壊滅的であった。スバルとこれからも付き合い続けると思うと、本当に頭が痛くなる。

 

「それで~スバル☆ これまでの説明は要る?」

 

「おぉカリオストロのその猫被りも久し……あー猫! 猫といえばパック!パックどこいったんだろなー!?」

 

「猫? パックは猫じゃなくて精霊よ。あと今パックは昔なじみに会ってくるらしくてどこかに行ってるわ」

 

 カリオストロは余計な事を言いそうになったスバルを人差し指を向けただけで黙らせると、ため息ひとつと共に事の経緯を説明する。

 始終高いテンションを維持しながらその話を聞くとスバルはしきりに自分の腹を撫でさすった。治っているものの不安らしい。しかしながら顔には隠しきれないほどの安堵が浮かんでいた。

 

「あーでも何とか、生き残ったんだよなぁ……」

 

「うん。私を守ってくれて本当にありがとうスバル。お陰で助かったわ」

 

「どういたしましてエミリアたん! って言っても俺じゃなくてほとんどカリオストロの力だけどな」

 

「たん……前も言ってたけどたんって何なのかしら。でも勿論カリオストロにもありがとうって言いたいわ」

 

「謙遜しなくていいよスバル☆ 今回の件はほとんどスバルの力みたいなものだから☆」

 

「……お、おぉ? あのカリオストロが褒めるなんて。明日は雪か? 実はデレ期来てるとか? ハーレムか!? いよいよ持って俺の主人公説が高まって来たぁ!」

 

「エミリア、助けられたけど付き合いだけはよーく考えるんだよ☆ この子ちょっとアレがアレだから☆」

 

「そ、そう……うん、アレなのね……」

「アレね」「アレですね」

「アレって何なんですかねぇ!?」

 

 煽られて、高テンションで反応する二人の様子にエミリアが口元に手を当てて笑い、スバルも嬉しさを隠せずに釣られて笑った。死んで死んで、三度の死を重ねた結果に得られたご褒美にしては安いかもしれないが、この和やかな空気は得難く、貴重なものだ。しっかりと噛み締めて欲しいとカリオストロは思った。

 

「お客様のあまりの珍獣っぷりに伝え忘れそうになりましたが」

 

「おいおいおい珍獣って。カリオストロに対してまでディスっていいのかメイドさんよぉ、アヤマッテ!」

 

「カリオストロ様は別でございますから」

 

「何で出会って数時間で格差がこんなに広がってるんだよ!?」

 

「はいはい、お客様の話はあとで聞かせて頂くわ。それよりもそろそろ昼食の準備が整うところです。エミリア様、カリオストロ様、よろしければ昼食は如何ですか?」

 

 そういえば朝に到着してから結構時間が立っていた事を忘れていた。意図的にハブられたスバルの抗議をメイド達がさらりと受け流す中、カリオストロが口を開く。

 

「ん~っとぉ、ありがたくお受けしたいのだけどもぉ~☆ その前に少しだけ、スバルと大事な事を話したいの☆」

 

「へ? 俺と?」

 

「そう。スバルとぉ~、二人っきりでっ☆」

 

 室内の視線がスバルに集中する。よもや白羽の矢が自分に立つとは思わなかったスバルは呆けた顔でカリオストロを見ていたが、やがて言ってる内容を認識すると凄い勢いで悶えながら独り言を呟き始めた。

 

「お、おぉぉ。これは、いきなり告白イベントか何かか!? おいおい、俺この世界でようやく主人公っぽい展開にありつけてるのか!? それにしても好感度とか全然足りてない気がしたけどそれはあれか、俺の主人公特技……ニコポあるいはナデポ補正がようやく働いたと考えてもいいかも――」

 

「え? え? ちょっとスバル、一体どうしたの? 何言ってるの?」

 

「姉様姉様、お客様が先程よりも一段と気持ち悪くなっています」

 

「レムレム、お客様の評価が先程から上がることないのだけどこれはどうしたものかしら」

 

 再び話が混迷し始める中、カリオストロはベッドで悶え続けるスバルへと何気ない足取りで近付き、おもむろにスバルの胸ぐらを掴んで顔を引き寄せた。

 

 

「――嫌とは言わないよね?」

 

 

 世紀の美少女が笑顔で顔を寄せる全男性羨望の光景。だがその少女の目に宿るのは、あの快楽殺人鬼にも負けない嗜虐的な目。一瞬で黙らされたスバルには「はい」と言う返事以外、許されていなかった。

 

 




これからゆっくり更新していこうと思います。
ふぇぇ、ロズっちの言葉遣い面倒だよぉ。


《ラム》
ロズワールに仕えるメイド。実は鬼娘。胸は普通?
妹のレムをとても大事にしており、ロズワールに心酔している。
メイドとしての技能は掃除洗濯が得意。とてもとても毒舌。

《レム》
ロズワールに仕えるメイド。実は鬼娘。胸が大きい。
姉のラムをとても大事にしている。
メイドとしての技能は掃除洗濯調理庭整理戦闘と全般が得意。頑張りや。

《ロズワール》
メイザース領の領主。ルグニカ王国一の魔法使い。CV子安。
ピエロメイクで人をおちょくったような発言が多いが、公私は弁えるらしい。
王選ではエミリアをバックアップする立場になっている。

《ニコポ・ナデポ》
女の子にニコってするとポってなる。
女の子にナデナデするとポってなる。そんな力。
転生者が持つ能力の中でも標準的なチートの一つ。

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