うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね?   作:四季燦々

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お待たせしました!3周年ピックアップ及びスカディピックアップのお話です!

今回の内容は僕とフレンド登録している方なら知っていると思いますがこんな感じの結果になりました。うん、波乱しか起こってないね(遠い目

FGOも3周年。月日が流れるのは早いもんですが、これからも楽しくプレイしていけたらなと思います!

ガチャがどういう結果になったのか気になると思いますので早速本編をどうぞ!



女神ピックアップと福袋で盛り上がったんだけど、思い通りにいかないからこその縁だよね?

季節は廻り、オレ達の旅が始まってそれなりの時間が流れた。いくつもの特異点を巡り、数多の英霊達と出会い、いくつもの強敵と相対してきた。春が過ぎ、夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬が来る。そして、再び春が来る。時の理にして絶対不変の摂理。いや、四季折々なんて日本ぐらいのもんなんだけど。

 

――――まあ、何が言いたいのかというとだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「3周年記念ガチャ及び福袋の時間だよォォォォォォォ!!!」

 

「わ、わーい」

 

パチパチパチとものすごく気のない拍手音がどこともつかない空間に溶けていく。おいおいマシュ!もう少し乗り気になりなさい!せっかく記念すべき3周年なんだぜ!?

 

「いえ、あの。前回のシリアスはどこに行ったのかとか、これはどういう時間軸なのかとか、ここは一体どこなのかとか色々ツッコミたいところが多すぎるんですが」

 

「あれだよ、ここは隔離された時間軸だから。無理矢理ねじ込まれた時間だから。あんまり深く考えないで、いいね?」

 

「アッハイ」

 

無理矢理マシュを納得させたオレは盾が置かれた召喚サークルに向き直る。さあさあ今回の記念ガチャ。目玉は2つあり、1つはもちろん女神スカサハ=スカディだ。聞くところによると、女神の名に恥じないぶっ壊れ性能を持っているらしい。キャスタークラスの星5がいないうちには是非ともお呼びしたい人物だ。

 

そしてもう1つは福袋ガチャ。今までに何度か挑戦したが、今回はクラスを限定して挑戦できる。そしてオレが引くのはもちろんエクストラクラス。狙うはアルターエゴ、『メルトリリス』。いい加減来てくれないとそろそろ君でシリアスできなくなってくるからはよ来て!!

 

どうでもいいけど、福袋ガチャ引くためにダ・ヴィンチちゃんから聖晶石を買う時、彼女の見た目も合い余って犯罪臭がしたんだけど。すっごくいけないことしてる気持ちになったんだけど。

 

「と、とにかく!今回は潤沢な召喚素材を用意した!これで召喚できなかったらマジ泣くからな!」

 

「いえ、非常にみっともないのでやめてくださいね。他のスタッフの方々に示しがつかないので」

 

「お、おう……。この毒舌感久しぶりだぜぇ……!」

 

と、とにかく!今回用意した聖晶石は福袋分の30個とスカディ用に100連分および呼符10枚!これだけあれば引けるだろ!(フラグ

オレ達にとっての初星5キャスター。このチャンスを逃してなるものかぁぁぁ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あァァァんまりだァァアァ!!おおおおおおれェェェェェのォォォォォいしィィィィィがァァァァァ~~~!!」

 

「現在50連目が終了。ですが、星4以上のサーヴァント0とは。久しぶりに先輩らしさが垣間見えて私は嬉しく思います」

 

「慰めてくれよ!?なんで追撃かますのこの子はっ!?」

 

おいおい既に突っ込んだ石の数150個やぞ!?そんなに簡単にスカディさん来るとは思ってなかったけど流石にこれおかしくない?星5どころか星4すら来ないっておかしくないっ!?

しかも――

 

「……なあ、マシュ。1つ聞いても良いかな?」

 

「はい、何でしょうか」

 

「キャスタークラスのサーヴァント、何人来たっけ……?」

 

「……0人、ですね」

 

これである。50連してそもそもキャスタークラスのサーヴァントが来ない。あの魔術師の刻印が記されたクラスカードがそもそも出ない。これってスカディピックアップだよね?星3のキャスターすら来ないってオレ嫌われ過ぎじゃない?やだ、ショック。

 

「ええぇぇ……このあと福袋ガチャもあるんだぞ。幸先真っ暗すぎやしませんかね……」

 

「これは今までの中でも上位レベルの爆死結果ですね。先輩、大丈夫ですか?」

 

「一応。でも早くも心が絶対零度だよ……」

 

「意味分からないですね」

 

だから慰めてくれよ……。ええい、畜生!このまま爆死に負けるか!石はまだあるし呼符もまだ残ってる!そう簡単に諦めて堪るかってんだ!!

 

「うおおぉぉぉぉぉ!唸れ!オレのレインボーストーン!!」

 

ぽーいと次の石を放り込む。グルグルといつもの光の球が回転を始めるのを眺めていると、遂に待ち焦がれていた反応があった。

 

「あっ!先輩ようやく来ましたよ金色反応!高レベルサーヴァント召喚の兆しです!」

 

「おおおっしゃぁぁぁ!来た来た来たァ!!」

 

ワクワクしながら現れるクラスカードの確認を行う。金色のカードに刻まれるのは魔術師の刻印――ではなく、暗殺者の刻印だった。あれれ~おっかしいぞ~?

 

「これはアサシンクラスのサーヴァントですね」

 

「う、うん。ま、まままっ!!来てくれただけでもありがたいから!さあ、いったい誰かな?」

 

パアッと光を放つクラスカード。その中から現れたのは小柄な体躯の人物だった。

 

 

 

 

 

 

 

黒い長い髪を翻し少女は現れた。暗殺者らしい軽装、というか身体中に黒い帯を巻いて網状の何かで覆っている。ほとんど裸同然といえるその格好でも、携えた苦無や腰に差された忍者刀から少女がくノ一ということが分かる。

 

「甲賀上忍、真名を望月千代女。クラスはアサシン。どうぞ拙者に、主命をお与えください」

 

禍々しい悪意が充満していた世界、下総国でオレ達の前にアサシン・パライソとして立ちはだかった存在。大蛇の呪いの力を振るう忍であり、巫女でもある望月千代女がオレの前でかしづいた。あの時とは違う、敵意ではなく心からの忠誠を表現するその態度には忍の誇りを感じる。

 

「――マシュ、ちょっと叫んでもいいかな?」

 

「は、はい?いきなりどうしたんですか?」

 

「いやこれは言っておかなければいけないとオレの中の何かが訴えるんだ」

 

「そんなに大事な事なんですかッ!?せ、先輩がそこまで言うなら……」

 

「ありがとう」

 

マシュの承諾を得たオレはすうぅと大きく深呼吸をする。望月千代女、彼女を見た瞬間これだけは言っておかなければというある種の使命感のようなものが沸き上がった。さあ、もしよろしければ皆さんもご一緒に!!

 

「YO!SAY夏が胸を刺激すrぶふっ!?」

 

「ストップっ!!ストップです先輩!それは色々とマズいです!!」

 

全力でマシュに口を塞がれました。くぅっ!ほんのちょっとしか歌えなかったっ!!おのれマシュめ!!

 

「あ、あのお館様?突然歌われていかがなさったのですか?」

 

「駄目です!望月さん!今の歌に触れてはいけません!

 

「なんでやっ!西○アニキ最高やろっ!!」

 

「少し黙ってください!今ここでTでMなRevolutionの話は駄目です!!」

 

ものすごく怖い顔で止めてくるマシュに思わずヒェッ!となってしまった。くっ、仕方がない。ここは引いてやろうではないか。だが、1つだけ分かってほしい。ちーちゃん見たらこれはもう当然の反応だ(断言

 

「ごめんね、ちーちゃん。つい湧き上がる激情を抑えきれなくて」

 

「いえ、私は構わないの――待ってください、お館様。今何と?」

 

「えっ?湧き上がる激情を抑えきれなくて?」

 

「いえ、その前です」

 

「……ちーちゃん?」

 

「それです!ち、ちーちゃんとはどういうことでございますか?」

 

聞きなれない名を聞いたせいか、ほんの少し頬を赤らめて問いかけてくるちーちゃん。どういうこともそのまんまの印象なんだけど。

彼女が持ってる属性的な?だってくノ一で巫女に加えてこの少女っぽい見た目に反して未亡人だよ?玉藻さんやエリちゃんも真っ青な属性盛り盛りだよ?

 

「ちーちゃんはちーちゃんだよ。千代女だからちーちゃん」

 

「そ、そのような可愛らしい名など私には似合いませぬ!普通に千代女でお願いします!」

 

「えー、ちーちゃんが良いよ。ねえマシュ」

 

「そこで私に振られても困ってしまうんですが……。しかし、親しみを込めるという意味では大変可愛らしいと思いますよ?」

 

「そ、そんな……」

 

顔だけではなく身体全身を真っ赤にするちーちゃん。こんな格好をしているが意外と恥ずかしがり屋さんなのかもしれない。最早決定事項なちーちゃん名に顔を押さえて悶える姿はメチャかわでした。眼福眼福。

 

さて、ちーちゃんを見送ったオレ達は早速次の召喚へとチャレンジする。ようやく金色が来たし、このままいいペースでいってほしいものだ。

と、思っていたら――

 

「おおっ!また金色回転来たぞ!」

 

「ようやく調子が上がってきた、という感じでしょうか。この調子でどんどん行ってみましょう先輩!」

 

グルグルと回転する白色の光が鮮やかな金色へと変化する。さあ、今度こそスカディさんかな?

 

「えっと、これは――どうやらまたアサシンクラスのようですね」

 

「あ、あれ~?キャスターは?」

 

現れたクラスカードは先程見たものと全く同じもので暗殺者の刻印が刻まれたものだった。ちなみに現段階でもキャスタークラスのサーヴァントは0である。やっぱりおかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中国に伝わる衣装を身に纏いながら衣擦れの音と共に彼女は現れた。長い髪をツインテールの様にまとめ、勝ち気そうな眼は爛々と輝きを放っている。先程のちーちゃんよりも更に小柄な体躯を持ち、『にぱー』という擬音が付きそうな笑みを浮かべる彼女が中国史における唯一の女性皇帝とは誰が想像できようか。

 

「妾の名は武則天。妾を使役しようとするなど……不遜過ぎて逆に興味が湧いてきたぞ?」

 

ディスガイ――ゲフンゲフン。不夜城のアサシンとして異種特異点アガルタでオレ達と敵対した拷問女帝――武則天。新たな拷問系サーヴァントの登場である。

 

「今度はふーやーちゃんのご登場とは……。あれ?これってロリピックアップだったっけ?」

 

「そんな黒髭さんが歓喜しそうなピックアップはありません」

 

そうかな?そのうちありそうな気がする(未来視

 

「ふーむふむふむ。なんじゃ、妾を召喚したマスターがどれほどの賢人かと思いきやただの凡夫か。この聖神皇帝を使役できるとは到底思えんが」

 

「……なあ、マシュ。オレってそんなに一般人臭漂わせてる?結構な確率で召喚した時に凡人とか凡夫とかパンピーとか言われるんだけど」

 

「そ、そんなことありませんよ!私は今まで先輩がどれ程の偉業を達してきたのか知ってます!ですから先輩は素晴らしいマスターです!私の中で世界一です!」

 

「お、おう。ありがと」

 

まさかそこまで必死に言われるとは思わなかったのでつい照れてしまう。まあでも、ぶっちゃけ魔力だってほとんど持ってないし、扱いもカドックに言われたようにまだまだ未熟だしな。英霊達の第一印象がパッとしないのも当然かもしれない。

 

「むぅ。そなたら!妾を置き去りにして勝手に盛り上がるでないぞ!盛り上がるなら妾を中心に盛り上がらんか!」

 

「こ、これは申し訳ありませんでした武則天様。先輩、早く契約の話を」

 

「おっといかんいかん。ごめんな、ふーやーちゃん。飴あげるから契約して?」

 

「こいつ不敬すぎてビックリするっ!?たかが凡夫が妾を馬鹿にするかっ!?拷問してグッチャグチャにするぞ!」

 

「あれ?いらない?甘くてすっごく美味しんだけどなー」

 

「……いらんとは言っておらんのじゃ。ほれ、早急に寄越すがいい」

 

「はい、どうぞ」

 

持っててよかったエミヤ印の飴ちゃん。ブスッと不機嫌そうにしていた武則天だったが口に飴を含んだ瞬間パアッと表情が晴れ渡り、ニコニコしながら中でコロコロしながら飴を堪能していた。うん、特異点の時同様飴好きでよかった。

 

この武則天はどうやら特異点での記憶が無いようだ。7つの特異点とは別の異種特異点で出会った英霊達はその時のことを覚えている者と覚えていない者がいる。ふーやーちゃんはどうやら後者だったらしい。

 

「ということでお飴食べたし契約完了ってことでいいかなふーやーちゃん」

 

「……いいじゃろう。ただし!これからも定期的に妾に捧げ物として飴を寄越すことが条件じゃ!」

 

「あの、武則天様。先輩からの呼び方はいいんですか?」

 

「それは別に良い!なんか可愛いし!」

 

いいんかい。カーミラさんグッジョブ。

 

「正直そこまで物資に余裕がないから保証ができないんだけど、なるべく頑張るよ」

 

「うむうむ。じゃが、あまりにも期間が空き過ぎたらこちらから酷使を送るからな!命の保証はせんぞ!」

 

あの拷問に特化した奴ら、アガルタのせいでトラウマなんだけど。あれ?割とトンデモない条件でOK出しちゃった?皇帝様、恐ろしい子……!

 

ふーやーちゃんとの契約が完了し、まだまだ残っている聖晶石で追加の召喚を行う。が、さっきまで良い流れで来ていたのに、ここでまたパッタリ途絶えてしまった。ちょっとペースを変えてみようと呼符を10枚回してみたが、これも見事に爆死。あっ、ようやくキャスタークラスのサーヴァント来たよ!ジェロニモさん(既に宝具レベルMAX)だけどな!アサシンの星3はボロボロ出まくってるのにどういうことだってばよ……。

 

「残り10連分だけですか……」

 

「呼符合わせて100連やったのにキャスター1人って、もはやピックアップ間違ってんじゃねえかってレベルなんだけど。ねえ、マシュ。オレ何かピックアップで間違えたかな?」

 

「ピックアップで間違いとかそういうのはよく分かりませんが、これはある意味快挙ですね」

 

「快挙まで言うか」

 

うへーと項垂れつつ最後の石を投げ込む。なんか、ここまで酷い状況だともう誰でもいい気がしてきたな。とりあえず一旦アサシン枠は保留してもらってそれ以外の星4以上来てくれ。もうそれ以上は望まないから(諦観

 

「あっ!先輩先輩!来ましたよ!金色回転です!」

 

「おしおしおし。ここまではいいんだ、ここまでは。あとはクラスだ。アサシン以外アサシン以外アサシン以外アサシン以外……!!」

 

が、呪詛の様な願い虚しく刻まれた刻印は暗殺者。なんでや。

 

「……いや、うん。もうここまで来たら何となく分かってたけどね。寧ろここまで来て他のクラスが来たらビックリなレベル。七騎+αクラス分あろうが関係ねえから」

 

「凄くピンポイントですね……。今日の先輩は異常なまでにアサシンに好かれてるみたいです」

 

「アサシンに好かれるなんて物騒過ぎやしませんかねぇ。光栄ではあるけども」

 

まあ、所詮オレの幸運(ガチャ運)ランクなんてこんなもんだろ。星5キャスターは魔境だしね。そう簡単に来ないもんね。マーリンだって掠りもしなかったもんね(古傷

 

そんなこんなで一際輝く召喚光。白い光に染め上げられた空間の奥に黒い影がスッと現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

気配遮断を発動している『彼』の歩みには物音1つしない。くすんだ赤いフードを目深に被り口元は暗闇に紛れられるように黒い包帯で覆っている。腰元にはナイフを携えているが、恐らく彼の武器はそれだけではないだろう。本当に生きているのかどうかすら怪しいほど生気を感じさせず、もし仮に夜に彼に出会おうものならその存在すら気づかないだろう。

 

「また汚れ仕事か……まあいい。いつものことさ」

 

「貴方は確か……」

 

「冠位時間神殿でお会いしたサーヴァント、ですよね」

 

「――そうか、僕はアンタに召喚されたのか。どうやら人理焼却を防いでも僕のやるべきことは残っているらしい」

 

いや、生気を感じないのは存在だけではなかった。彼の発する言葉1つ1つにも何一つ気持ちが乗っていない。機械と会話している気分だった。

 

「あの時はありがとうございました」

 

「僕は僕の抑止力としての使命を果たしただけだ。感謝など無用でしかないし、聞きたくもない」

 

「そ、そうですか。すみません。あの……ところであなたはなんと呼んだらいいですかね?」

 

「呼び方なんて好きすればいい。アサシンでも抑止でも。勝手にしてくれ」

 

「アサシンも抑止も被ってしまう人がいるんで……。ちなみになんですけど、本名とか聞いても良いですか?」

 

「……さあな、そんなものは忘れてしまったよ」

 

何か仕事があれば呼べと言い残し彼は消えてしまった。気配遮断スキルを発動したのかもうどこに行ってしまったのか分からず、残されたオレとマシュはしばらくの間無言だった。

 

「――不思議な人でしたね」

 

「ああ。でも、よく分からないけど怖くはなかったんだよなぁ。抑止力って言ったし、もしかしたらエミヤさんか、もしくは沖田オルタの関係者かもしれねえな」

 

世界と契約し、人類の護り手となった存在『抑止力』。エミヤさんに少しだけ話を聞いたことがあるが、彼自身あまりそのことを語りたがらなかったので深くは知らない。

 

「あんまり詮索するのも失礼だとは思うけど、後で少しだけエミヤさんに聞いてみようか。沖田オルタはうちにはいないし」

 

「そう、ですね」

 

よし、じゃあ切り替えて次行ってみよう。これで100連+10枚呼符は終了だ。結果的にスカディは来てくれなかったし、そもそもキャスターすら碌に出なかったけど結果オーライ!あっ、最後の10連でもキャスターでも来たよ!蒸気王(宝具レベルMAX)だったけどな!

 

「――では、ついにやるんですね」

 

「ああ、本日のメインイベント。福袋召喚だ」

 

さっきも言ったが狙うは『メルトリリス』一択。エクストラクラスに限定された今回の召喚はビッグチャンスだし、この機会を逃すわけにはいかない。ただでさえ彼女は召喚しづらいしな。

 

先程までとは桁違いの丁寧さでダ・ヴィンチちゃんから買い取った召喚石をサークルへと入れていく。すぐさまバチバチと煌き始めたそれは、やがてサーヴァント召喚の兆候である三本ラインを刻む。金色や虹色回転ではなかったので星3のサーヴァント召喚ということになるが……はて?エクストラクラスで星3って確か……。あっ(察し)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「私は、死だ。私は、神に愛されしものを殺さねばならぬ。……我が名はサリエリ。いいや。違う。私は、私は誰なのだ…………――――」」」」」

 

赤と黒を基調とした某仮面なライダーの様な出で立ちで彼は現れた。どこかの音楽家の様な仮面を被り、その手には細剣を手に持っている。神に愛された音楽家――ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを毒殺したと人々の間で囁かれ、無辜の怪物となってしまったアマデウス絶対殺すマン。

 

真名『アントニオ・サリエリ』。かつて神聖ローマ・オーストリア帝国の宮廷楽長というヨーロッパ音楽界のトップに居た人物である。ロストベルトでは最終的に味方になり共に戦ってくれた偉大な音楽家。

そんな人物が召喚されたのだ――一気に5人も。いや、すまん。何かシリアスな感じなんだけどこれだけ言わせてほしい。

 

「多いわっ!!いきなり宝具レベルMAXできるじゃねえか!!」

 

「なんというアマデウス戦線。これにはアマデウスさんもドン引きだと思います先輩!」

 

オレもそう思うよ!

 

「「「「「どこだアマデウスゥゥゥ!!殺す殺す殺すぅ!!!」」」」」

 

「待って落ち着いてくださいサリエリさん!言ってることペンテシレイアさんと似てるのにギャグにしか聞こえませんから!5人でハモって殺意振りまいてもシュールなだけですから!!」

 

「なんという見事なコーラス。これが音楽史に名を残す音楽家なんですね!」

 

「悠長かッ!?」

 

必死になってビークール、ビークールとサリエリさんを宥める。メルトを召喚するために意気込んでいたのに何でオレは暴走した音楽家を宥めてるんでしょうかねえ……!!

 

「いい加減落ち着いてくださいサリエリさん!マリーさん呼びますよ!」

 

「「「「「…………」」」」」

 

「効き目すげえ!流石に予想外だわ!!」

 

「マリーさんの兄、ヨーゼフ2世はサリエリさんを宮廷楽長に任命した方ですからね。恩義を感じてると以前ロストベルトで聞いていましたが……」

 

とりあえず落ち着いてくれたサリエリさん。このままだと話しづらいしアマデウスがマジで蹂躙されかねないので人数を減らす意味でも宝具レベルを強化して、その場を後にしてもらった。アマデウスは霊基で待機状態だし不意にかち合ったりすることはないだろう、たぶん。

 

「あっ、先輩。虹色回転来ましたよ!」

 

「盛り上がりも何もねえなおい」

 

荒れ狂う音楽家を抑えるのに辟易していたオレはマシュの指摘により召喚サークルへと目を向ける。なるほど、確かにそこでは召喚の光が七色に輝いていた。つまり星5サーヴァント召喚の兆候である。高魔力の紫電を発しながら現れるクラスカードに刻まれた刻印は――

 

「2人のピエロ……つまりこれは……!!」

 

「うおおおおおっしゃあぁぁぁぁぁぁ!!!ついにキタァァァ!!この時をどれ程待ったことか!!待ちに待って待ちわびたぞあの白鳥めええ!!ツンデレここに極まりかよぉぉぉ!!」

 

刻まれた刻印は『アルターエゴ』。そう、あのメルトリリスと同じクラスのカードだ。そしてこれは星5確定召喚、つまりはつまりそう言うことで!!!

 

「ううっ……!長かった……本当に長かった……!!」

 

「先輩が本気で泣いていらっしゃいます……。むう、なんだかすごく複雑な気持ちです」

 

ごめんなマシュ!テンション上がり過ぎてもうよく分かんねえや!でも、今までの召喚もこの結果の布石だったんだな!やっぱりオレの幸運も上がってきてるってことだな!

――そうやって、オレが歓喜に震えている時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ゾクリと。身の毛もよだつ妖艶な気配が背中を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――アルターエゴ、殺生院キアラ。救いを求める声を聞いて参上いたしました。でも、ふふ……。私のような女を呼ぶだなんて、なんという方なのでしょう。私は生きとし生けるもの、有情無情の区別なく味わい尽くす魔性菩薩。これはもう、地獄の底までお付き合いしていただくしかありませんね?」

 

現れたのは白鳥の主役(プリマ)ではなく、尼の風貌をした1人の美女。男の心を鷲掴みにする美貌に所作。動作の1つ1つに毒の様な色香を漂わせ、あらゆる生命への欲を許容する女性。彼女の言葉は精神を汚染する呪いの如く空気中を漂い、標的と見なした相手を犯し尽くす。

 

――かつて海洋油田基地セラフィックスにて行われた死闘。誰にも知られず、誰にも語られることのない虚数の世界にて魔神柱に支配され、そしてその魔神柱すら手中で弄んだ狂人。己の快楽のために人類を抹殺しようとした人類悪。『ビーストⅢ』の名を冠する、正真正銘の(ラスボス)

 

「ということで、マスター。改めてよろしくお願いしますね」

 

「召喚!ハンス・クリスチャン・アンデルセン!!」

 

最早反射だった。以前キアラのことをBBから聞いていたオレは速攻で童話作家を召喚した。いや、これマジで無理。本当に無理。つか、寄りにもよって三分の一の確率を外したってことかよ!地雷どころか核爆弾すら生易しい超危険物じゃねえか!!

 

「いきなり召喚とはどういうつもりだ貴様。俺は忙しい――おい、今すぐ仕事場に戻せ。今ならいつもの数百倍のスピードで仕事が進む気がする。悪いことは言わんからすぐに俺を消せ。寧ろこの場で殺せ」

 

「絶対逃がすか!!知ってんだからなお前がこのやべえ奴とかなりの関係だったこと!全部聞いてんだからな!」

 

「馬鹿か!まさかだから俺ならこいつをどうかできるとでも妄想しているのか!頭が不安ならあの殺戮看護婦にでも見てもらったらどうだ能無しが!!ただの三流サーヴァントがどうこうできるわけがないだろう!!」

 

「どっちにしても死じゃねえか!いいからおめえが手綱を握るんだよ!オレは逃げる!!」

 

「逃がすかァ!!」

 

「ぶへっ!?おいぃぃぃ!!なにマスターに光弾撃ってんだこの不良作家っ!!」

 

「限界まで抑えてやったんだから感謝したらどうだ、醜いアヒルにすら劣るチキンハート!!」

 

「そのアヒルのクライマックスである白鳥が来なかったからこんなことになってんですけどねぇ!?」

 

売り言葉に買い言葉。お互いに頬を引っ張りながら我先にと逃げようとするオレ達。いや、ホント醜いな。

 

「あらあら。殿方達は勝手に盛り上がってしまっているようですし、私達も勝手に盛り上がりますかお嬢さん」

 

「えっ?いや、あの私には何が何だか分からないんですが……。というか盛り上がるとはどういうことでしょうか?」

 

「おいこら全宇宙エロスの化身がぁぁ!!マシュに気安く話しかけてんじゃねえぞゴラァァァ!!穢れたらどうしてくれんだぁぁぁ!!!!自害させんぞ!!」

 

「あら、自傷プレイだなんてマスターもなかなかコアな趣味をお持ちなんですね。いえいえ、私は菩薩。全てを受け入れる者。それがマスターのお望みとなれば快く受け入れてみせましょう。そして全てを我が快楽へと」

 

「もう嫌だ、この快楽天……。アンデルセン、本当にどうにかして……」

 

「断固拒否する!」

 

「あ、あの。結局この方はどこのどなたなんでしょうか……?私だけ見事に置き去りにされてしまってるんですが」

 

ひたすらにカオス。2人はこの状況に嘆き悲しみ己が不幸を呪い、1人は現状を全く把握できず右往左往。そして最後の1人はこんな状況すら愉しんでいるように悦びに身をくねらせている。

 

――はあ、くっそうもう自棄だ。召喚してしまったのはオレだし、今はあの時と違って令呪もある。ある程度彼女の行動を縛ることは可能だろうし、いざという時はカルデアの全サーヴァントで対応すれば何とかなるだろう。いや、何とかしたい(切望

 

ぶっちゃけ、かつてビーストにまでなった存在が身内に居るとかブラックジョークにすらならないんだけど彼女の実力はそりゃもう桁外れだ。戦力として手綱を握ることができれば異聞帯側にとってもとんでもないカウンターになり得る。ようは全てオレ次第……。

 

「もうどうとでもなーれ」

 

「ああ!よく分かりませんが先輩が最高にやる気のない顔に!」

 

「まあ、気持ちは分からんでもない。今だけは同情してやるマスター」

 

「うふふふ。私はこれからが非常に愉しみですわマスター。貴方が私に溺れるその日まで、付き従うと誓いましょう」

 

……できればそんな日が来ないことを祈る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-if 快楽の海を渡航した者達(もし記憶を保持していたら)-

 

「えっ!?あのエロ尼召喚しちまったんですかい……?おいおい、マスター。おたく世界を滅ぼす気ですか?」

 

「うっひゃー!マスター、いくらなんでもそりゃないっしょ。流石のアタシもテンサゲっていうかー?マジ無理」

 

「うむうむ、マスター。流石にキャットでも拾い食いするものは選ぶ。せいぜいお腹を壊さないように気を付けるのだな」

 

「おい、アンタがどんな英霊を呼ぼうと俺には関係ないが人選は慎重にするべきだろう。仕事に邪魔が入ったら非効率だ。いざという時はあの女、俺が殺すが文句はないな?」

 

「ええっ!マスターさん、メルトを召喚してくれるって言ってたじゃないですか!私せっかく感動の再会の時にこの手で潰――じゃなかった抱きしめる練習してたのに!」

 

「あの、マスターさん。流石にこれにはBBちゃんもドン引きなんですけど。寄りにもよってキアラさんとか殺されたいんですか?寧ろ殺されたい(犯されたい)んですか?悪いことは言いませんから、キアラさんと会う時は童話作家さんと一緒の方がいいですよ。ナノレベルで生存率上がりますから」

 

 

 

 

「――みんな辛辣ッ!!!」




ということで、たっぷりアサシンズに加えてアルターエゴ、殺生院キアラさんの参戦でした!

……いや、なんでやねん。キャスターであるスカディさんピックアップで呼符合わせて110連回してアサシンばっかりってどういうことやねん。嬉しいけど。
ちなみにマジでキャスタークラスのサーヴァントは2体(ジェロニモさんと蒸気王)しか来ませんでした。どういうことなの(唖然

ま!まままま!ちーちゃんもふーやーちゃんも可愛いですしいいでしょう。エミヤ(殺)さんはこのタイミングで来てくれたのでZeroコラボはピッタリのタイミングでした。ようやくうちもエミヤ一家が充実してきました。あとはイリヤのみ!キャスターもシトナイも両方欲しい!

そして、来ちゃいましたよ快楽天……。最初アルターエゴのクラスカードが来た瞬間、『よっしゃあああ!!』って人知れず叫んだんですが、次の瞬間『何でさ……』と素で出ました。それくらい衝撃でした。

やっぱりあれかな。触媒と言いますかお祈りもかねて某笑顔動画でCCCのRTAの動画見たのが間違いだったんでしょうか。そのままふと気になってキアラさんとアンデルセンの最期のやり取りを見てしまったのがまずかったんでしょうか……?だってあのシーン好きなんだもの……。
メルトのシーンだけにしてたらまた違っていたのかなってちょっぴり後悔。

ということで次回は恐らく水着イベになると思います。季節も冬になろうとしているのに今更水着。まあ、冬コミもあるし似たようなもんでしょ!(錯乱

ではでは、次回もよろしくお願いします!

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