うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね?   作:四季燦々

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最近月一更新も怪しくなってきた四季です(自虐)
遅くなって大変申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!

おまたせしました。ロストベルトⅠ、アナスタシア回です!
今回はものすごく難産でした。書きたいことはあるのにまとめられない表現できない。そんな感じでダラダラと時間が延び、ついでに字数も伸び、えらいことになりました。

本気で今回は長いのでゆっくりと読んでいただけたらいいと思います。今回はほぼシリアスです。拙いながらも戦闘描写もあり、オリジナルの解釈もあります。何か気にある点があれば教えていただきたいなと思います。

では!過去最高文字数(約14000字)の本編をどうぞ!

警告!真名バレ注意!


第2部
極寒の地で奪う覚悟を決めたんだけど、生の意味を証明することも戦う理由だよね?


凍てつく風が頬を撫でる。強大な魔力が肌に突き刺さる。荒れ狂う吹雪に指示がかき消されないように声を張り上げる。

ここまで来るのに随分魔力を消費した。山の様な巨体のイヴァン雷帝、共闘し道を違えてしまった麗しの弓兵、そして今戦っている新たな皇帝(ツァーリ)にしてこの異聞帯に君臨するマスターとサーヴァント。主を守るかように氷の騎士が辺りを取り囲み次々に襲い掛かってくるが、邪魔はさせないとベオウルフ、サリエリ、ビリーが応対している。

 

「くっ!さっきまで意気消沈していた素人のくせにしぶといなっ!アナスタシアッ!」

 

「ええっ!」

 

「生憎それぐらいしか取り柄がないもんでねっ!マシュ!」

 

「了解ですマスターッ!」

 

ガキンと金属音のような音を響かせ飛翔してきた氷の刃をマシュは盾で防ぐ。その脇を二対の刀を閃かせた()()()()()が駆け抜けた。

 

「武蔵ちゃんッ!」

 

「疾ッ!!」

 

「チィッ!!アナスタシア!騎士を盾にしろっ!」

 

この異聞帯のクリプター――アナスタシアのマスターであるカドックが舌打ち混じりに指示を飛ばす。指示を完全に聞ききる前にアナスタシアは既に騎士を作り出し神速の斬撃を間一髪で防ぎきる。距離を取るように身体を浮かせると一瞬で約50にものぼる騎士を新たに生み出し、武蔵ちゃんへと猛襲をかけた。

 

もっとも相手は剣を極限まで極めた剣鬼だ。例え数で圧倒しようとも数秒あれば騎士達はただの氷の残骸へと変えられる。数度の瞬きの間に雑兵を殲滅した武蔵ちゃんだったが、その表情は苦虫を噛み潰したようにしかめられていた。

 

「……また仕留めそこなった。剣士として魔術師に接近戦でここまで粘られると流石に屈辱ね」

 

「何という魔術行使速度でしょうか。これが皇帝(ツァーリ)の力」

 

正直舌を巻いていた。オレが知る中でも武蔵ちゃんは最強の剣士、もちろん接近戦においても全サーヴァント中トップレベルだろう。だが、アナスタシアはこれまでの交戦で幾度となく武蔵ちゃんの間合いに入ったにも拘らず一太刀も受けていない。全て己が魔術を行使して捌ききっているのだ。

それができる理由は――

 

「カドックさんが最後に切った令呪の力ですね」

 

「ああ。あの令呪によってアナスタシアは皇帝になった。魔力量だってこの国丸ごとだと言っても過言じゃねえだろうな」

 

カドックが切った最後の令呪はシンプルなものだった。『皇帝になれ』、ただそれだけである。しかしこの雪に閉ざされた地においてそれは全てを支配する意味を持つ。つまり魔力量もその質も1人の英霊が持つものとは比べ物にならない。文字通り『獣国』という怪物を相手にしている気分だった。

 

「いい加減諦めろ素人。お前じゃ僕達に勝てない」

 

カドックの言葉を引き金に彼らの周囲で暴風の様な魔力が巻き起こり、槍の形状の氷刃が雨の如く降り注ぐ。本来の霊基とは違う、『オルテナウス』となったマシュがその刃の雨を盾で防ぎ、武蔵ちゃんは風となってアナスタシアへと迫る。そんな単純な接近は許さないと雨が一層激しくなると、小さく舌打ちをした剣士はこれ以上は踏み込めないと判断し一度マシュの盾の傘まで後退した。

 

「もう打つ手は無いのだろう?それが君の限界だ。確かに僕に令呪を使い切らせたことは称賛に値するが、結局はそこまでだ」

 

暗に降伏しろと告げるカドック。確かに今の戦況はどう考えてもオレが不利だ。令呪を全て切らせたとはいえそれはオレも同じことで、相手の守りを突破する決定的な策がない。今切れる手札はせいぜいサーヴァントに魔力を回すことでの強化(ブースト)のみだ。

 

「それが何だってんだ。こんなもんオレにとっちゃ日常茶飯事なんだよ」

 

打開策がない?令呪がない?んな状況は今までにいくらでもあった。それを死ぬ気で足掻いて乗り越えてきたんだ。今更追い詰められたくらいで諦めるかよ。

 

「そのウザいぐらい前向きな考え、鼻について憎たらしい。魔術も碌に扱えない素人のくせに口先だけはよく回るな」

 

「ああ、そうだよ。オレは魔術に関してはお前の足元にも及ばねえさ。礼装(他力の手)が無けりゃ何一つ使えねえ。素人どころか無能も良いところだ」

 

「開き直りか?」

 

「いーや、違う」

 

「……イライラするな。結局何が言いたいんだ」

 

「――これがオレの"覚悟"だってことだよ」

 

「覚悟、だって?」

 

「ああ。世界を壊す意味なんて本当に理解できてねえのかもしれない。喪われる命の重さが分かってねえのかもしれない。これから先、ちゃんと前に進めるのか不安でしょうがねえよ」

 

どうしようもないと頭を振る。オレ達がこれから成そうとしていることは今までとは全くの真逆。世界(人類史)を救う旅ではなく、世界(異聞帯)を滅ぼす旅。生きとし生ける命の灯を消すための旅だ。悪と呼ばれても当然だろう。

 

だけど――

 

 

 

 

『……負けるな。こんな、強いだけの世界に負けるな』

 

 

 

 

『だって、お前たちの世界の方が――きっと、美しいんだ』

 

 

 

 

『だからこそまだだ。まだ、生きろ(たたかえ)

 

 

 

 

『この、辛かっただけの生に意味があるとするなら……』

 

 

 

 

『それはきっと、幸福に溢れた正しい世界があると、証明されたことだ』

 

 

 

 

――言われたんだ、間違った世界で出会った『友達』に。自分達の世界が無くなるっていうのにそれでもオレ達が生きる世界の方が美しいんだから生き残れって。歪な存在として生を歩んでしまった俺達(ヤガ達)にも生きてきた意味があるのだと証明してほしいって。

 

「――だから、オレはオレ達の世界を取り戻す。友達が美しいと言ってくれた世界を。素人だろうが無能だろうがそんなことは今更諦める理由にはならない」

 

オレに出来る精一杯の覚悟。これからいくつもの世界の未来を奪っていくオレの覚悟だ。

減らず口をと吐き捨てるカドックと彼の傍らに佇むアナスタシアの周囲で爆発的に魔力が高まっていくのを感じ取る。この魔力の高まりは――遂に切ってくるのだ、英霊としての最大にして最強の『切り札』を。

 

「アナスタシア、準備はいいかい?」

 

「ええ、カドック。ここで全てを終わらせましょう。彼らを打ち倒し、貴方の力を証明するのです」

 

「違うよ、アナスタシア。終わりじゃない、()()()()()。ここから、始めるんだ」

 

「――ええ。そうね、カドック。私のマスター」

 

カドックが魔力回路を回し、国そのものの力を得たアナスタシアの魔力に更なるブーストをかける。呼応するように彼女の背後で佇んでいた精霊――『ヴィイ』の姿が徐々に巨大化していき、秘められた魔眼が絶対零度の圧力でオレ達を見下ろしていた。

 

「――宝具を開帳してきたってことはどうやらあちらもここで終わらせるようね。どうしましょうかマスター」

 

「あの精霊は明確な意思を持っています。退避しようとも追尾してくるでしょうし、そもそも逃げ切れるような攻撃ではないでしょう。マスター、どうしますか」

 

いつも頼りにしていた(武蔵)(マシュ)が指示を仰ぐ。が、さっきも言ったがこちら側にアレをどうにかする名案などない。ならば、取れる選択肢はたった1つしかないことは分かりきっていた。

 

「――退いたらその瞬間にあの宝具に食われる。マシュ、武蔵ちゃん、ここが正念場だ。真っ向からあの宝具を()()()()()

 

「あっははっ!そうこなくっちゃねマスター!シンプルで私好みの指示だわ!」

 

「確かにそれがこの状況で最も勝率のある選択だと私も思います。やりましょう!マスター!」

 

カドック達に倣うように回路を回し、2人にありったけの魔力を注ぐ。魔術礼装によるバックアップも加えた。これが今オレにできる最高の一手。

 

刹那。極限まで高められたアナスタシアの魔力、大気すら凍てつく絶対零度の力が解放される。

 

「アナスタシアァッ!」

 

「ええっ!――ヴィイ、全てを見なさい。全てを射抜きなさい。我が墓標に、その大いなる力を手向けなさい。疾走・精霊眼球(ヴィイ・ヴィイ・ヴィイ)!!」

 

「宝具発動ッ!マシュ!」

 

「はいっ!必ず防ぎきってみます!――真名、凍結展開。これは多くの道、多くの願いを受けた幻想の城。呼応せよ、いまは脆き夢想の城(モールド・キャメロット)!」

 

因果すら捻じ曲げる精霊の魔力。その魔力に僅かにでも触れようものならありとあらゆる弱点を曝け出し、容赦なく命を狩りつくす全力開放の魔眼。

 

立ち向かうようにマシュは詠唱ののち、以前よりも無骨で機械的になった盾を雪原へと突き立てる。瞬間オレ達の周囲を暖かな魔力が包み込む。以前の様な白亜の城ではなくその面影のみを残す城だったが、これこそがかの雷帝の一撃をも防いだ今のマシュの盾。力を失おうと、決して折れることのない彼女の心。

 

「ア"ア"ァァア"ア"ァァァァァァ!!」

 

「そんな未熟な宝具で私のヴィイを止められるとお思いですかッ!!」

 

ぶつかり合った2つの宝具、しかしやはり相手の方が上手だった。圧殺するように魔眼の力が城を侵食していき、突き立てられた盾が徐々に後退しマシュが苦痛の声を上げる。

 

「マシュッ!!」

 

ギギギィと嫌な音を響かせつつも必死に宝具の一撃に耐えていた。オレも少しでも助力しようとその背中を支える。

 

 

 

 

 

――微かに声が聞こえてきた。

マシュだ。彼女が攻撃を防ぎながら何かをひたすらに呟いていた。

 

 

 

 

 

 

「嫌です……!私は……!」

 

胸が締め付けられる痛々しい声だった。

 

「もう、嫌なのです……!失うだけなのは……!」

 

彼女の家はカルデアだった。少し前まではカルデアこそが彼女の世界であり全てだった。それを僅か数刻の間に奪われ、破壊され、殺戮された。

 

「先輩も……!ダヴィンチちゃんも……!シャドウ・ボーダーの皆さんも……!」

 

どれだけ胸を痛めたことだろう、どれだけ悔しかっただろう、無力な自分にどれだけ怒り狂っただろう。その激流の様な感情がマスターとサーヴァントの繋がりを経て流れ込んでくる。

 

「もう2度と、私の大切な人達をォ……!!」

 

――瞬間、展開している幻想の城が一際大きく輝いた。

 

「――奪わせたりしないッ!!」

 

「「なっ――!?」」

 

ガキィン!とマシュの城によりヴィイの魔力が跳ね除けられる。まさかはじかれると思っていなかったカドックとアナスタシアが驚愕の声を上げた。自分達の全力を込めた宝具が、未熟に尽きるマシュの宝具によって僅かにでも後退させられたのだ。

しかし、はじいただけでヴィイ自体が消え去ったわけではないため、すぐさま魔眼の力を開放し追撃。マシュも今の攻防で力を使い切ってしまったのかその場に崩れ落ちてしまう。

 

慌ててその身体を抱きかかえるオレ達に魔眼の魔力が迫るが、傍らで待機していた彼女が遂に動いた。

 

「武蔵ちゃんッ!」

 

「――南無。天満大、自在天神。仁王倶利伽羅聖天象!」

 

貯めに貯めた闘気を一気に解き放ち、剣鬼は雪原を駆ける。オレにとってマシュが最高の盾なら彼女は最高の剣だ。不動明王像の4つの剣が地水火風の剣戟を精霊の魔力へ叩き込む。一撃一撃を加えるたびにほんの僅かに魔眼の威力が減衰していく。

 

「くっ!!」

 

このままではマズいと判断したカドック・アナスタシアは限界まで魔力を注ぎさらに宝具を強化。しかし、それでも最高の剣(宮本武蔵)は止まらない。彼女の剣は『天眼』によって常に勝利の未来を手繰り寄せそれ以外を全て無かったことにする『究極の一』。

故に――

 

 

 

 

 

「――ゆくぞ、剣轟抜刀! 伊舎那大天象ッ!!」

 

――その剣に、断ち斬れぬもの無し。

 

 

 

 

 

「そんな……馬鹿な……!」

 

「まさか、今のヴィイが真っ向から破られるなんて……」

 

魔眼によって捻じ曲げた因果を斬り捨てられたカドックとアナスタシアはその場に崩れ落ちる。アナスタシアは汗を大量にかき両膝をついて手に持ったぬいぐるみを強く抱きしめ、カドックは片膝をつき息も絶え絶えだ。いくら皇帝とそのマスターといえど消費した魔力が膨大過ぎたのだ。戦場においてこの隙は致命的――勝敗は決していた。

 

「――オレ達の、勝ちだ」

 

静かに告げた言葉にカドックの答えは射殺さんばかりの視線だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――夢を見ていた。夢想に浸る淡いものではなく、決して忘れるなと告げる夢を。オレが覚悟を決めたあの日の夢を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――輩。――きて――い。――先輩」

 

「ん?マ、シュ……?」

 

「――先輩、おはようございます。もう朝ですよ。お日様もすっかり昇ってしまっています」

 

「ん、そうか。すまん、ちょっと寝過ごした」

 

もぞもぞとベッドから起き上がり大きな欠伸を1つ。そんな寝坊助の傍に居たマシュはクスッと小さく笑った。

 

「今日は新たなサーヴァントを召喚する日ですよ。霊脈のラインは既に確保してあり、召喚の準備はばっちりです。いつまでも起きてこない先輩にゴルドルフ新所長がお冠ですよ」

 

「おっと、そりゃマズい。すぐに準備してくるから少し部屋の外で待っててくれ」

 

「はい」

 

マシュに部屋の外に出てもらったオレはすぐに礼装を着用し、備え付けの洗面台で寝癖を直し顔を洗って歯を磨く。時間がないとはいえ身だしなみを整えないと新所長はうるさいからな。とは言え男の準備時間なんてたかが知れてるので10分程で終えたオレはマシュと合流してシャドウ・ボーダーの外へと向かった。

 

外に出るとここ数日代わり映えのしない光景が広がる。砂漠の様な真っ白に漂白された地表に雲一つない青空。世界に2色しかないと言われれば信じてしまいそうな光景だ。もっともそのキャンバスにはオレ達という異物が混じっているわけなのだが。

 

「――やあ、ようやく起きたのかいマスター。随分と深く眠っていたようだがまだ疲労が残っているんじゃないかい?」

 

()()、すみません。お待たせしました」

 

「……前にも言ったが先生はやめてくれマスター。僕にはそう呼ばれる資格はない」

 

「あっ、すみません『アヴィケブロンさん』。なんだか先生というのがしっくりきて」

 

シャドウボーダーの外で待っていたのはあの獣国で消滅した一番の立役者――ゴーレムマスター、アヴィケブロンさんだった。

彼はあの異聞帯を突破した後に最初に発見した召喚ポイント(霊脈)で再召喚したのだ。再会できた時は本当に嬉しかったもんだ。あの極寒の異聞帯でオレ達が生き残れたのは彼がいたからなのは間違いない。もうこれでもかというほどお礼を言った。

 

そんなゴーレムマスター、何故か先生という言葉がしっくりくる。本人はそう呼ばれることに難色を示してんだけど、こう何というかものすごく先生。そんなアヴィケブロンさんが今回の召喚の護衛ということだ。

 

「では、早速始めようかマスター。今日はどれくらいやるつもりなんだい?」

 

「とりあえず今持ってる石を全部使ってみようかなと。大体20連分ぐらいです」

 

「シャドウ・ボーダーにある召喚資源も今は多少余裕がありますからね。思い切ってやっちゃってくれとダヴィンチちゃんが言ってました」

 

2人に促されるようにオレは石を持って地表に置かれたマシュの盾へと歩み寄る。恐らくその真下にここら辺の霊脈の中心点があるのだろう。盾の周囲には幾何学的な魔法陣とシャドウ・ボーダーへと繋がる何本ものコードが張り巡らされている。カルデアの召喚部屋とは違った簡略化された使い捨ての召喚サークルということだ。今回はこれで問題ないとのこと。

 

「おーし、じゃあ早速10連目言ってみま~しょうっ!」

 

そりゃあ!と30個の聖晶石を召喚サークルへと投げ入れる。盾の上で光へと変わった石達は場所が変わったにも関わらずいつもの回転を始めた。グルグルと回り続ける召喚光。やがて少しずつ礼装やサーヴァントが召喚され始めた。

 

その中でもひときわ大きな輝きが起き、光の玉が金色に輝きだす。去年からよく見るようになった高サーヴァントの召喚反応だ。

 

「これは……今までとは違う反応だがどういうことかな?」

 

「金色の光は高レアサーヴァントが召喚された兆しですアヴィケブロンさん。クラスは……どうやらバーサーカーのようですね」

 

「ふむ。ということは僕の出番かな。一応警戒はしておいた方がよさそうだね」

 

マシュの説明を聞いたアヴィケブロンさんは一度だけパチンと指を鳴らす。すると白く染まった土壌がもこもこッと盛り上がったかと思うと、あっという間にゴーレムを5体生成してしまった。ゴーレムマスターの異名は伊達じゃない。

 

オレはというと、そのゴーレム達に守られながら誰が召喚に応じてくれたのかを考える。もしかしたらという考えが浮かび、頭の中で狂化してしまった麗しの狩人の姿が過った。最後の最後で戦いの末に分かれてしまった優しすぎる英霊。

次に会えた時は今度こそ本当の意味で共に戦える、そう思っていたのだが召喚された人物のシルエットが見えた時に召喚されたのが彼女ではない別人物だということに気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

現れたのは白い少女だった。白ドレスに装飾を身に着けた姿は一見花嫁のようだが、その考えはすぐに否定される。側頭部から金属の部品が覗き、額にはこれまた金属の何かが取り付けられている。彼女が歩くたびにその足元からパリッと僅かな電光が発生している姿は純粋な人間ではないことを物語っていた。

 

「……ウゥゥゥゥゥ」

 

唸るように召喚に応じた彼女は『フランケンシュタイン』。かの有名なフランケンシュタインの怪物と呼ばれ、悲しき末路を辿った人造生命体。

 

「フラン、君だったのか……。召喚に応じてくれてありがとな」

 

「ウッ!」

 

「フランさん、お久しぶりです」

 

「ウウッ!」

 

「ふーむ。相変わらず低燃費な話し方してんな。できればきちんと会話もしてほしいんだけど」

 

「イヤ……つか、れる……」

 

「ありゃ、残念。でもマスターになったからか何となく言っていることは分かるし別にいいか。って、うん?」

 

省エネコミュニケーションについて納得しているとフランが何やら急に慌ただしく両手をバタバタと振り、「んっ!」とオレの手元を指さしてきた。おおう?どうした?うん?なに?その手に持ってる礼装を見せてくれって?

 

彼女が指さしたのは召喚された礼装の束である。どうやらその中の『何か』をフランが感じ取ったらしい。オレが何枚か召喚された礼装を彼女に見せると、花嫁の如き少女は迷うことなくその中の一枚を抜き取った。

 

「ウッ!ウアウッ!!」

 

「フランさん、その礼装がどうかしたんですか?」

 

「ウッ!ウアッ!!」

 

「それが欲しいって?別にいいけど、なんでだ?」

 

「…………」

 

オレとマシュの疑問に彼女がとった反応は沈黙だった。いや、よく見るとほんのりと頬を染めているようでどうやら恥ずかしがっているらしい。まあ、話したくないって言うなら無理に聞き出すつもりはねえけどさ。

 

「じゃあ、それはフランにあげるよ。でも無くしたりしちゃダメだぞ?あともし必要になった時は貸してくれ。必ず返すからさ」

 

「ウッ!」

 

それでいいっ!と言っているのだろう。フランはその礼装を胸に抱く。大切に、大切に。泡沫の夢を離してしまわないように、優しくそれを抱きしめていた。その姿は決して怪物などではない。ありふれた1人の女の子の姿だった。

 

抱かれる礼装は『最後の語り部』。花畑に座る眼鏡をかけた少年が、その優し気な眼差しでフランを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからフランは『電力が来ただって!――君ッ!ちょっと彼女を借りるよッ!』とテンションアゲアゲなダヴィンチちゃんに連れ去られていった。資源はあるもののエネルギーに余裕はないシャドウ・ボーダー。確かに電力という力を操れるフランは戦力以外でも大きな力になってくれるだろう。……あとはPCのコンセントを勝手に抜いたりしなきゃいいけど。

 

「…………」

 

「あの、アヴィケブロンさん。どうかしましたか?フランさんが召喚されてからずっと黙りっぱなしでしたが」

 

マイルームのPCについて考えているとアヴィケブロンさんの様子がおかしいことに気づいたマシュが気づかいの声かけをした。ちなみにゴーレムはそのまま待機状態になっている。

 

「アヴィケブロンさん、フランがどうかしましたか?」

 

「……彼女とは少しばかり縁があってね。彼女自身は僕には興味が無いようだったが、僕自身は彼女という存在が少し気にかかっていてね」

 

「と言いますと?」

 

「僕の望みはアダムを生み出すことだ。すなわち人工の命を生み出すということいっても良い。出来損ないや怪物と言われていたが、人造生命体として確立している彼女はイヴと呼ばれるにふさわしい存在なんだ。彼女を造り出したヴィクターは本物の天才だったということだよ」

 

「アダムとイヴ、か。そういえばフランの望みは確か……」

 

「はい、『自身の伴侶を得る』ということでした」

 

「ヴィクターも原初の夫婦の創造を目的としていたようだね。だが、その計画も頓挫してしまい、彼女は孤独になってしまった……というのが僕の認識だったんだが」

 

どうやらあの大戦で良い縁を結べたようだ……とポツリ呟くアヴィケブロンさん。それが、どこか羨望を含んだ呟きだったのが印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあさあ、あと1回10連にチャレンジですよっと!」

 

残りの礼装を回収し終えたオレ達は少し小休憩を取った後、2回目の10連召喚へと望んでいた。できることなら、ここでもう1度高レアサーヴァントを召喚して戦力の強化を図りたい。異聞帯を渡り歩くのなら戦力が多いことに越したことはないし、それなら最前線で戦う武蔵ちゃんの負担も減る。

 

ちなみにその件の剣士様は今頃エミヤ特製のうどんを頂戴しているところだろう。頼むからオレ達の分も残しておいてくれよ……。

 

武蔵ちゃんとはあの極寒のロシアで再会した。彼女は実は英霊の座に戻ったはずなのだが、気が付くと漂白され極寒の地となったあの異聞帯のど真ん中にポツンと召喚されてしまったらしい。これに関しては彼女が元々が放浪者(ストレンジャー)ということ、そして宮本武蔵のありえない可能性という剪定世界の存在としての性質が関係しているのかもしれないとカルデアの賢人2人は述べた。武蔵ちゃんには本人が制御できない、世界を渡り歩くという性質がある。契約中はマスターによってそれは縛られていたが、契約が途切れたことで再びその性質が現れたのでは、ということだ。そして剪定世界が現れたことで、剪定世界の存在として強く引き寄せられたのではないかと。如何せん放浪者については情報が無さすぎるから推測の域を出ていないがらしいが。

 

なんにせよ、そのお陰で窮地を救ってもらい数か月ぶりに再会を果たせたので万々歳だろう。

 

武蔵ちゃんとの縁深さに改めて感心しつつ聖晶石を召喚サークル内へと放り投げる。先程と同じようにグルグルと光の帯を出現させたそれは再び金色へと変化していった。

 

「あっ!またまた金色回転ですよ先輩!今回はかなり調子が良いようですね!」

 

「ちょっと良すぎて怖いぐらいまであるんだが……」

 

というか、最近前みたいに金色召喚に一喜一憂しなくなってきたなぁ……。以前なら『金色回転キタコレッ!これで勝つるッ!』とかハイになってたのに、最近じゃ『おっ?金色回転か。誰かな誰かなー?』ぐらいにしか思わなくなってきたしな。慣れって怖い。

 

「あの……先輩。その召喚されたサーヴァントのクラスなんですけど……」

 

「どうし……マジかよ……」

 

「ふむ。これは随分と意外なクラスが来たようだね」

 

それは過去に2度だけ見たことがあるクラスカード。あの真っ黒サーヴァントを2回召喚した時のみ見たクラスだ。あの時は銀色のカードだったが、今回は金色。刻まれるのは復讐者の刻印。

そう、()()()()()()()クラスのサーヴァントが召喚されたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ひたすらに巨大な狼。グルルッと豪快にして戦慄するような唸り声を上げ、こちらを見つめる鋭い視線には憎悪と殺意しか込められておらず、刃物のような鋭さを持った牙と爪は今にも命を刈りとらんと鈍い輝きを見せている。その背中には逸話にのみその存在が語られている首なしのドイツ軍人1人。死神の鎌の如く両手に剣を構えた彼も狼と同様にこちらに殺気を漂わせていた。

 

「グルルゥゥゥゥ!!ガアァァァァ!!!」

 

「――ッ!!マスターッ!!」

 

「ゴーレム達よっ!マスターを守れッ!」

 

狼と軍人――『ヘシアン・ロボ』の殺気が爆発し、すさまじい勢いでその巨体がオレ達――いや、オレへと襲い掛かってくる。それを見たマシュが悲鳴を上げるもアヴィケブロンさんが一番早く反応していた。彼はゴーレムを起動してオレ達の前へと踊りださせるとその剛腕で彼らをギリギリで拘束した。

ガキン!と巨大な口が目の前で閉じられ、ならばと振るわれた爪も虚空を斬る。正直キャスターであるアヴィケブロンさんではかなり厳しいところなのだが、召喚したばかりで霊基も未熟だったということが幸いだった。

 

「先輩大丈夫ですかッ!?お怪我は!?」

 

「…………」

 

「先輩……?」

 

反応のないオレを心配したマシュが顔を覗き込んで来るが、オレにはそれにしっかりと受け答えをする余裕がなかった。何故なら、オレは今彼らだけには()()()()()()()()のだ。

 

「マスター、大丈夫かい?顔色が優れないが」

 

「…………いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

 

それが助けてくれたことへのお礼なのか、それとも気遣ってくれたことへのお礼なのか曖昧なままオレは言葉を吐き出す。

見つめる先にはロボの憤怒の視線。今もなお喉を鳴らし、ゴーレムの拘束から逃れようと必死に足掻いている。『殺す、お前を殺す』と、言葉が分からなくともそう言っているのは伝わってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

――その顔が、ヤガ達(オレが奪った命)とダブった。

 

 

 

 

 

 

 

 

よくも俺達を殺したな。

 

 

 

 

 

 

 

 

よくも俺達の世界を奪ったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に貴様を許さない。

 

 

 

 

 

 

 

 

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「先輩ッ!?」

 

足に力が入らずグラッとその場に倒れそうになる。慌ててマシュが身体を支えてくれたおかげで尻餅をつく程度ですんだが、頭はガンガンと軋み吐き気が止まらない。新宿で彼に遭遇した時も真っ黒な殺意を向けられたがここまで身体が過剰に反応することはなかった。今の彼はあの時の彼と比べても圧倒的に霊基は劣っており、大人と赤子程の力量の差がある。

にも拘らず、オレは気圧されていた。理由は……考えるまでもなかった。

 

「ふむ。とりあえず今回の召喚はここまでにしておいた方がよさそうだね。マシュ、マスターを自室へ。このサーヴァントは僕が責任もって抑えておこう」

 

「はい、分かりま「――待ってくれ」――先輩?」

 

ダメだ。ここで折れたらダメなんだ。まだ、オレが背負った(奪った)世界は1つ。これからもっと多くの命を背負うことになるんだ。それなのに、こんなところで立ち止まってなんかいられないんだよ……!

 

「先輩駄目です!無理をしては……!」

 

「いや、いいんだマシュ。ありがとう」

 

オレはフラ付く足に活を入れてなんとか立ち上がる。もちろん立ち直ったわけではない。今でも頭は割れるように痛いし、目の前も少し霞んでいる。吐き気だって収まってないし、喋ることも億劫だ。だけど――

 

"――まだ、生きろ(たたかえ)"

 

胸倉を掴み、血みどろになりながら射殺す視線を向けてきた友達が浮かぶ。そうだ、オレは生きなきゃ(戦わなくちゃ)いけない。あの世界を壊した者として目を逸らしちゃいけねえんだ。

 

「……ロボ、お前が人間を憎んでいることは知っている。愛する存在を奪われる苦しみはオレにだって痛いほど分かる。それを理解した上で敢えて言おう。――オレに力を貸してくれ」

 

「グルルゥ……」

 

唸り声を上げロボはオレを睨みつける。先程とは打って変わったオレの様子を見て彼は見極めようとしてた。いくつもの幻霊を掛け合わせ聡明となった復讐の獣がオレの心を覗き見ていた。背に乗るヘシアンはというと静観を貫いており、どうやら判断をロボに委ねているらしかった。

 

この狼王を令呪で縛ることは簡単だ。ただ一言『オレに従え』、そう言えばいい。しかし、そんな状態で戦えるほどこれから先の旅路は甘くない。いや、それ以前にそんな悲しい関係にオレはしたくない。

 

「勝手なことを言っているのは重々承知だ。だけど、オレはあの世界で生きてきた命を救いたい。そのためには少しでも多くの力が必要なんだ」

 

「グルゥア……!」

 

「悪いがオレの命はあげられない。こんなちっぽけで弱いオレでもできることがあるから」

 

「グル……」

 

「――だから、頼む。オレ達の世界を取り戻すために力を貸してくれ」

 

「…………」

 

途中からロボは唸ることすらしなくなった。ただ真っすぐにオレを見つめている。憎悪は今もなお健在のようだがさっきよりは随分と収まっているように感じたオレは傍らで待機するゴーレムマスターへと視線を移した。

 

「アヴィケブロンさん、ロボとヘシアンの拘束を解いてください」

 

「先輩ッ!?」

 

「いいのかい?離した瞬間、君にまた襲い掛かってくるかもしれないが?」

 

「かまいません」

 

「だ、駄目です!危険すぎます!」

 

「いいんだ。頼みごとをするんだし、オレだってちゃんと覚悟を見せないと」

 

オレの言葉が伝わったのか、マシュは口を噤む。暫しの沈黙、やがてアヴィケブロンさんがパチンと指を鳴らすとロボ達を抑えていたゴーレムがその場で崩れ去った。自由になった狼王とその背に乗る首なしの死神はゆっくりと立ち上がった。

 

「――ガアッ!!」

 

「先輩ッ!」

 

「――――ッ!」

 

近距離で丸のみに出来そうな大きな口が開かれ、両の剣がオレへと振り下ろされる。それを避けることも逃げることもせず、オレはただ彼らを見つめ――

 

「…………グルルルゥ」

 

――ピタリと。三つ首の死が止まった。正面からはロボの鋭い牙、左右からはヘシアンの巨大な剣。それらが触れるギリギリで止まっていた。数秒の後、彼らがゆっくりと後退し己が武器(牙と剣)を収めた瞬間、手の甲に刻まれた令呪が熱を持つ。契約完了の証だ。

 

今の行為は彼らなりの確認だったらしい。一応契約は結ぶ、だが自分達の憎しみを忘れるなという。

 

「――ありがとう、ロボ、ヘシアン。お前達が認めてくれたこの命、決して無駄にはしない」

 

「……ガウッ」

 

オレの言葉に小さく唸りを上げたロボはノッシノッシと歩みだし、やがてシャドウ・ボーダーの隣で丸くなった。召喚をコックピットから見ていたムニエルが、近づいてきた彼らにビックリして椅子から転げ落ちるのが見えて思わず苦笑してしまった。

 

なんだか締まらないなと思いつつも、ホッと息を吐きだす。見上げた空は透き通る青色。この空が繋ぐ新たな異聞帯へとオレ達は再び進み始める。

――世界をチップにした聖杯戦争は始まったばかり。新たに動き出した運命の歯車は、止まることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~貴方は1人じゃない~

 

「先輩ッ!大丈夫ですかッ!怪我はしていませんか!?」

 

「ああ。心配かけたなマシュ」

 

「~~~ッ!!本当です!なんて無茶をするんですかッ!!」

 

「ごめん。でもあれくらいの覚悟を見せないと認めてくれないと思ったからさ」

 

「それでもッ!それでも……!」

 

端正な顔に涙が浮かぶ。頭の良いマシュのことだ。マスターとしてサーヴァントに覚悟を見せなければならないという理屈は分かる、だけど方法に納得ができないといった感じなのだろう。何を言えばいいのか分からずグチャグチャなまま感情が爆発してしまっているんだと思う。

 

「……僕は席を外すよ。だからマスター、しっかりと話すといい」

 

「気を使わせてしまってすみません、アヴィケブロンさん」

 

「気にするな。……その子のこと、ちゃんと見てあげなさい」

 

そう言い残し、アヴィケブロンさんはシャドウ・ボーダーの中へと戻っていった。残されたのはオレとマシュの2人のみ。その片方は両手で顔を押さえ嗚咽を漏らしており、オレにそんな彼女へポツリと口を開いた。

 

「……マシュ。オレさ、気づいてたんだ。異聞帯を壊すってことはそこで生きるヤガ達の命を奪うことになるんだって」

 

「…………」

 

「正直キツかった。今までのどの旅よりも辛かった。だって、オレはただ自分達の世界を取り戻したかっただけで、誰かの世界を踏みにじるつもりなんてなかったんだから」

 

「…………」

 

「止めてしまいたいって本気で思った。……でも、パツシィが奮い立たせてくれた」

 

「…………ッ!」

 

「パツシィはあの時オレを助けてくれた。自分達の世界が滅ぼされると分かっていながらそれでもオレの盾になって、怒鳴りつけて、伝えてくれた」

 

「せん、ぱい……」

 

獣国を出て何度も何度も反芻した彼の言葉。それは楔の様にオレの胸に突き刺さっていた。

 

「だから、オレは生きるよ。()()()()()()()()

 

改めてもう一度誓いを立てよう。今度は揺るがないように。断固たる覚悟を以って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――オレは誓う、世界に生きる命を背負うことを。そして、必ずオレ達の世界を取り戻すことを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……分かりました」

 

マシュの口から言葉が零れる。それは何かを決意したように強いものだった。

 

「ですが、1つだけお願いがあります」

 

そう言いながら静かにオレの両手を取る。顔を上げた彼女は涙を零しながら少しだけ口元に笑みを浮かべていた。

 

「その誓い、一緒に誓わせてください。私だってちっぽけで弱い存在ですが、0と1には絶対的な差があるように、こんな私でも先輩の背負うものを少しは軽くすることはできます。貴方だけに全てを押し付けたりは絶対にさせません。――だから、ずっと一緒に歩いて(背負って)いきましょう」

 

涙によって菫色の瞳を潤ませ、しかし優しく微笑むマシュ。オレは、そんな彼女に見惚れていた。

 

――綺麗だった。ただただマシュは綺麗だった。命の尊さを知り、美しさを知る少女には似つかわしくない誓い。そんな誓いを立てても尚、この少女は綺麗だった。

 

救われたような気持ちだった。貴方は1人じゃないと大切な人が言ってくれた。

それだけで、オレには十分だった。

 

「ありがとう、マシュ。ありがとう……!」

 

胸に込み上げてくる温かさに声を震わせながら、ひたすら感謝の言葉を伝える。

――目の前で笑みを浮かべ、共に歩んでくれる少女の存在が何よりも愛おしかった。




ということで召喚されたのはフランちゃんと新宿のワンちゃんでした。

ええ、最初の10連でフランちゃんが来てくれたんですが、狙ったようにカウレス君の礼装同時に来ました。もうお前ら結婚しろよ(祝福)
現在行われている復刻水着イベでも大活躍のフランちゃん。本気で可愛いヤッタ―!って感じです。えっ?セイバーフランちゃん居るのかって?居ねえよっ!(血涙)

次に来たのは……はい、新宿のアヴェンジャ―ことヘシアン・ロボです。アナスタシア編をクリアした後の10連でこの子が来て戦慄しました。いや、これ本当に戒めだなと。ヤガ達の生きた意味を証明しろって暗に言われている感じでした。あまりのタイミングの良さに本文でもシリアスがMAXになってしまいました。

元々うちのぐだが戦う理由はマシュの為でした。彼女が生きる世界の未来を守りたいという理由だったんですが、あの極寒の異聞帯を乗り越え、更にそこで生きてきた人達の為にも戦うと決意しました。元々が一般人の彼ないし彼女が背負うにはあまりにも重すぎる運命ですよね。おかげでちょっと壊れかけてましたがマシュのおかげでギリギリ踏みとどまってます。これがこの先どうなるのかはメインストーリー次第ですね。

さて、長くなりましたが、次回はアポイベを書こうかなと思います。ぐだぐだもありましたしなるべく早く書きたいなと思います(願望)
というかぐだぐだが全然ぐだぐだしてなくて、むしろ茶々の時から全然ぐだぐだしてなかったし、もはやぐだぐだっていったい何なんだって問い詰めたいし、沖タちゃんのせいでさらにぐだぐだの定義とは?ってなったし、ぐだぐだって何?(混乱)

どうでもいいけど以蔵さんの弄りやすさは異常(真顔)

ではでは!また次回っ!あっ、ちなみにアポイベでちゃっかり星5引きました(唐突)

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