うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね?   作:四季燦々

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連続投稿の後編です。前編を未読の方は先にそちらをどうぞ!


今年もお正月召喚に挑戦してきたんだけど、新年だし大盤振る舞いで大丈夫だよね?(後編)

それから、黒髭への殺意を一切隠そうともしない2人をカルデアへと見送った後、少し休憩して再び召喚に挑戦する。が、思うような成果を得られなかった。

 

「それにしても、これだけ召喚しているのに――君が召喚したいと言っているそのメルトリリスとかいうサーヴァントは来ないね。嫌われてるんじゃないのかい?」

 

「いや、それはない」

 

「すごい自信ですね、先輩」

 

「だってお墨付きだからな」

 

「「…………?」」

 

以前オレがメルトに会えなくて落ち込んでいる時にラスボス系後輩からもらった言葉。今でもその言葉を信じている。メルトと共に過ごした時間を信じている。だから断言しよう、嫌われてるとかそういうのは絶対ない。

 

「――だから、来てくれ、メルトっ!!」

 

そうして投げ込まれる石達。すぐさま魔力へと変換され、光の玉が回転を始める。1つ目、礼装。2つ目、礼装。3つ目――っ!!

 

「金色反応来ました!高レアサーヴァント召喚されます!!」

 

金色に発光した魔力はやがて光の柱となるよう一際強い輝きを見せる。やがてその中から1人の影が現れた。

その人物こそ、オレが待ち焦がれた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」

 

「そこはメルトが来る流れだろうがこのドンファン顔ォォォォ!!でもやっと来てくれたなこのやろぉぉぉぉ!!」

 

赤い外套に白髪の逆立った髪。やや褐色に染まった肌に鍛え上げられた肉体。雰囲気から皮肉屋で愛想無しというのが嫌でも分かるが、同時に心優しき英雄であるということも伝わってくる。『錬鉄の英雄』、『贋作者(フェイカー)』、『紅茶』、『カルデアのオカン』とこれでもかと異名を持つ弓兵のサーヴァント。

 

「やれやれ、呼ぶのが随分と遅い上、ようやく呼ばれたと思ったら君はいきなり一体何を言ってるんだ。それに誰がドンファン顔だ」

 

「仕方ねえだろう!オレだって召喚できたことへの感動と、あんたが来てメルトが来なかったことへの絶望感でいっぱいなんだっ!!」

 

「ふむ、何やら機嫌損ねてしまったようだ。全く心当たりがないのだがね」

 

名を『エミヤ』。オレの最初の特異点である冬木において敵として立ち塞がったこともある英霊だった。確かBBにメルトとエミヤは多少なりに関わりがあると前に聞いたがそれ関係か?

 

「くそう、エミヤさんが来てくれたことは嬉しいのに素直に喜べない……!」

 

「そこの少女――マシュといったか。マスターはいつもこんな感じなのかね?」

 

「今日は殊更テンションのアップダウンが激しいですね。喜ばしいことがあったり悲しくなるようなことがあったりしたので」

 

「新年早々おめでたいものだな。いつかの聖杯戦争の召喚を思い出して心配になってきたぞ。いや、彼女はもう少し魔術師らしかったか?……ええいマスター、少しはシャキッとしたまえ。それでも君は人理を救った人間か」

 

「……そうだ、いっそのことエミヤさんを触媒にしてしまえば可能性は上がるんじゃないか?」

 

「待て、私の顔を見て物騒なことを呟くんじゃない」

 

「エミヤとエミヤオルタを2人並べればもしかしたら効果はさらに倍……?」

 

「さらに恐ろしいことを口にするんじゃない。君はあれか、戦争でもしたいのか」

 

何とか今召喚できたエミヤさんをメルト召喚に活かせないかと考えていたが全て却下されていく。うーむ、おかしい。何となく女難っぽいエミヤさんがいれば来てくれそうな気がするんだけど……。まあ、確かにエミヤさんとエミヤオルタさんを同じ空間においたらそこら辺が剣の残骸でいっぱいになりそう。固有結界のバーゲンセールが起きそう。

 

「――よし、分かった」

 

「そうか、ようやく分かってくれたか。そうとも、私は戦場で生きる者であり剣に過ぎない。だからこそ――」

 

「エミヤさんにはうちのカルデアの料理長をしてもらおう。おーし!これでオレもようやく肩の荷が下りたぞー!」

 

「待て待て待てマスターァ!何故私のポジショニングが厨房なんだ!私が持つのは剣であって包丁やおたまではないぞ!」

 

「えっ?」

 

「えっ?」

 

いや、貴方は誰よりもまず厨房に立つべきでしょう。カルデアのオカンの異名は飾りではないことを見せてくださいよ。うちには少ないとはいえ、セイバーオルタさん、ランサーオルタさん、サンタオルタさんとアルトリアさん達がいるんですから。というか反転してる腹ペコ王しかいねえことに今気づいた。

 

「じゃあ、お願いなエミヤさん。時々水着着た女神とか小悪魔チックなエミヤさんと似た褐色少女とかジャガーとか来るかもしれないけどよろしく!」

 

「猛烈に逃げたくなってきたうえに寒気までしてきたぞ……」

 

大丈夫大丈夫!たぶんどうにかなるって!という我ながら完全に棒読みのエールを送る。ぐぅぅぅぅ……と何かに耐えるかのような唸り声を上げていたエミヤさんだったが、やがて何かを悟ったかのように静かにカルデアへと消えていった。帰る際の大きな背中から哀愁が漂っていたのは間違いじゃないだろう。

 

「これでカルデアの食事事情に大きな一手を打てそうですね」

 

「アルトリアさん達の食欲はすさまじいからなぁ。料理ができる英霊が増えたのはデカい」

 

も、もちろん戦闘でも頼りにさせてもらうぞ?エミヤさんは戦闘と家事全般をこなせるオールマイティーサーヴァントだからな!バトラーだからな!……過労死だけはしないように気を配ろう。

 

それからも召喚を続けたものの、限定礼装やすでに我がカルデアにいる星4のメンツばかりでメルトが来る気配は全くなかった。

 

「先輩、いよいよもって次が最後の10連召喚になるのですが……」

 

「星4のサーヴァント達がかなり増えたとはいえ、いまだに――君のお目当てのサーヴァントは召喚されていない、か。物欲センサーというものは須らく恐ろしいということだね」

 

「うーむ、ここまで召喚してみてうんともすんとも言わないのは何かしら不具合でもあるんじゃないかと思いたくなるな。そこんところどうなのダヴィンチちゃん」

 

「はっはっは!今更カルデアの召喚術式に不具合なんてあるわけだろう。ここは特異な空間とは言え術式には何ら問題はないよ。問題があるとすれば君以外にあり得ないからね!」

 

「くそうっ!きっぱり言い切られてしまった!」

 

「ということはやはり先輩は今年も……」

 

いやいや星4がいっぱい来ている時点で去年よりは随分とマシだからね!?そんな悲しい顔をされても困るからね!?泣きたいのはオレの方だよっ!違うよっ!オレの運気は謙虚なだけだよ!どっかのナイトと同じレベルで謙虚なだけなんだよ!

 

「そうですかありがとう強がりすごいですね」

 

「マスターは深い悲しみに包まれた……」

 

「先輩とダヴィンチちゃんの言語が何やらおかしくなってしまいました……」

 

うん、黄金の鉄の塊でできているナイトごっこはここまでして、最後の召喚と行こうか。まあここまでトライしてみてダメだったら、今回はまだその時じゃないってことなのだろう。その場合は潔く諦めるさ。

 

「じゃあ、新年最初の召喚チャレンジ、最後の10連の石達よ!いっけー!」

 

ポイポイと放り投げて召喚サークルへと吸い込まれていく石達。そういえば今までどれくらいの石達を召喚に使ってきたのだろうか。うーん、去年の途中まで石を購入したりすることなく無償石のみで頑張っていたから……3~4000個ぐらいだろうか?あくまで推測なので分からないが。

そう考えると結構な召喚にチャレンジしてきたんだなと思う。まあ、結果はお察しだが。

 

「あっ、先輩!金色反応来ましたよ!高レアサーヴァントです!」

 

『あなたは今まで食べてきたパンの枚数を覚えてるの?』『13枚。私は和食ですわ』って会話のキャッチボールをしてる吸血鬼と魔法使いがいたなとかなり適当なことを考えていたのだが、マシュの鋭い声にハッと我に返る。

 

「おっと、最後の最後でこの反応か。これはもしかしたらもしかして良い締めになるんじゃないかい?ここで――君のお目当ての『白鳥』とやらが来たら何ともドラマチックだ」

 

バチバチと反応する反応は今までの星4のサーヴァント達のそれに比べて桁違いに強い。肌を刺すような圧倒的な魔力、強者らしい後退してしまいそうなプレッシャー、手の甲に刻まれた令呪がドクンドクンと脈を打つ。

――間違いない、これは星5のサーヴァントが召喚された反応だ。

 

「クラスカード現れます!これは……!な、なんですかこのクラスは……!?」

 

「見たことがないクラスカードだね。ローブを被っているが、中身の造詣が人間に見えない。周囲に描かれているのは星……いや、宇宙かな?現在カルデアにいるどのクラスにも該当しないということは、残された可能性は1つだ」

 

「もしかして、『フォーリナー』のクラスということですか!?」

 

『フォーリナー』。セイレムという特異点で出会った新たなエクストラクラス。外宇宙、別次元より降臨した存在を指すということは分かったのだが、いまだに謎の多いクラスだ。

 

「ということはアビーさんが来られるということですね!やりましたね先輩!」

 

「いや……もしかしたら違うかもしれない」

 

「えっ?ですが、現在確認されている『フォーリナー』にクラスはアビーさんのみだったはずでは……?」

 

確かにあの夢を体験していないマシュからしたらそうなのだろう。だが、オレ()()1()()知っている。セイレムで出会ったあの少女とは別の、もう1人の『フォーリナー』クラスの霊基を持つ存在を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

身の丈もある大筆を携えて彼女はやってきた。花札で言う芒に月模様の着物を着こなし、帯には華を象った装飾が施されている。同じ華の装飾を用いて髪の毛を結っており、ニヤッといたずらっ子のように小さく笑う笑みは大変可愛らしい。そして、何よりその彼女の隣にいる宙に浮いた黒い蛸が異常だった。

 

 

 

「――葛飾北斎。しがない画工サ。お手前様が『ますたあ』殿で?ま、勝手気ままにやらせてもらうサ」

 

 

 

彼女と()こそ。日本のみならず世界にその名を轟かせている最高峰の芸術家。ありとあらゆる絵画を網羅し、和に洋と節操がない超有名絵師、『葛飾北斎』その人だった。

 

「……まさかこんなに早く再会できるとは思わなかったよ」

 

「おうとも、おれもまさかこうしてますたあ殿に会えるとは思ってなかったよ。こっちにはいつ戻ってきたんだい?」

 

「ほんのついさっきだよ」

 

「そうかい。そこら辺の時間の感覚がおれはいまいち曖昧でなぁ。まあ、何せよこの出会いに感謝感激雨霰ってか」

 

カッカッカッ!と見た目に似合わない男勝りな笑い声を上げる北斎さん。いや、お栄さんか?まだ和服の姿をしているということはたぶんお栄さんのはずだ。北斎さんである()が隣でフヨフヨしてるし。

 

「せ、先輩。この方は一体……?」

 

「おおっ!何やらめんこい美人がいるじゃねえのサ!!名前はなんていうんだい!?」

 

「は、はい!マシュ・キリエライトといいます!えっと、貴方があの有名な葛飾北斎氏なのでしょうか?」

 

「そうかいそうかい!ましゅって名か!いい名前じゃねえか!で、おれが葛飾北斎かって?まあ、一応おれととと様は1人と1匹で1つみてえなもんだから間違っちゃいねえが、正確にはこの蛸坊主がそうサ。おれはとと様がいなかったらただの娘サ」

 

「そ、その宙に浮いているのが……!?」

 

目まぐるしく進行していく事態にマシュがアワアワとテンパっているのがものすごく伝わってくる。まあ、そりゃ見たことのないクラスが召喚されたと思ったらそれが『フォーリナー』のクラスで、それならアビーが召喚されたと思ったら、いきなり新たな『フォーリナー』クラスのサーヴァントが召喚されて、しかもそれがあの葛飾北斎で、かと思ったら実はその傍らにいる蛸が北斎本人で……うん、マシュじゃなくてもこんなの混乱するわ。オレだって初見でこんな状況になったら思考を放棄するレベル。

 

「まさか2人目のフォーリナーが葛飾北斎とはね。――君、いつの間に縁を結んだんだい?」

 

ついさっきです、とまだ説明していなかった初夢の内容を2人に説明する。また自分達の知らない間にオレが厄介ごとに巻き込まれていたことに驚いていたが、特に口を挟んだりせずに静かに聞いてくれた。

 

「――なるほど。よもやそんなことが君の身に起こっていたとはね。というか、確か去年もそんな感じのことに出くわしていなかったかい?」

 

「武蔵さんとの出会いの時ですね。先輩、新年早々からお疲れ様です」

 

「なんだい、ますたあ殿は去年も似たような目に遭っていたのかい。そりゃ随分と厄介ごとの神様に好かれちまったようだねぇ」

 

「は、ははは……」

 

その厄介ごとの一端は少なからず貴方が関わってるんですけどね……と口に出すものの、はっはっはっ!そりゃ確かに!これは1本取られたねぇ!と軽く笑い飛ばされてしまった。くっ、そんなに楽しそうに笑われてしまったら何も言えないじゃねえか。やっぱり美人はズルい。

 

「じゃあ、改めてこれからよろしく頼むよますたあ殿。絵を描くぐらいしか能がねえおれ達だが、逆にそこだけは誰にも負けねえ。漫画でも屏風絵でも今時の萌え絵?でも何でもござれってんだ」

 

「うん、よろしくお願いします。北斎さん、お栄さん」

 

「あと、そのかたっ苦しい喋り方。おれとお前の仲だろう。もっと楽にいこうじゃないか」

 

「分かった。じゃあ先にカルデアに行っててくれ」

 

「おうよ。じゃあな。あっ、それとそこのましゅと別嬪さん。後で一筆描かせてくれよなー」

 

ヒラヒラと手を振って消える北斎さんとお栄さん。なんというか、芸術系のサーヴァントは独特の雰囲気を持っているからいなくなった瞬間の空気の変化がすごい。

 

「す、すごく豪胆な方でしたね……」

 

「あれが葛飾北斎とその娘か。――君も奇特な人物に出会っていたものだね。というか私をモデルに選ぶなんてやはり超一流は分かってる!まあ、私のモナ・リザよりも上手いとは思えないけどね」

 

「ダヴィンチちゃんと北斎氏の絵対決とか次元が違いすぎるだろ……」

 

誰が判定下せるんだよ。少なくとも人間には無理な気がした。こういう時にギルガメッシュとかいるといいのかもしれねえなぁ……。

 

「ふふっ、それも楽しみだけれど今は置いておこう。これにて新年の召喚は終わりってことでいいのかな?」

 

「うん、まあ石も呼符も使い切っちまったしね。1番召喚したかったサーヴァントが召喚できなかったのは残念だけど、これも星の巡り会わせってやつだろ」

 

また新しいピックアップに備えてコツコツ石を貯蓄するよ。慌てなくてもきっといつか出会えるさ。

 

「私も先輩のいう白鳥さんという方に会ってみたいです。きっと素敵な人なんでしょうね」

 

「さっきも言ったけど素直じゃないけどな。でも、なんとなくマシュと気が合うんじゃないかな。何か根っこの部分が似てるなって思うからさ」

 

誰かのために戦える、そんな強さを2人は持っている。だからきっと仲良くなれると思う。いや、やっぱりメルトは素直じゃないしツンツンしてるからマシュが苦労してしまうか?でも、冷たくあしらわれてもマシュならスッと寄り添えるんじゃねえかな。

 

そんないつか訪れて欲しい夢は描きながら、オレは明日からの日常に思いを馳せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故忘れていたのか、まるで意図的に記憶を一時的に消されていたようだった。次に目覚めた時にオレは全てを思い出した。自分達の現状、これから立ち向かう強大な敵のことを。

 

――オレ達の旅路の終着点は、いまだ見えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~現実世界に帰る直前の話~

 

「よし。じゃあ――君、マシュ。君達は先に戻ると良い」

 

「あれ?ダヴィンチちゃんは?」

 

「いいからいいから。私はまだここの処理が残っているからね。先に君達だけで帰還したまえ」

 

「それなら私もお手伝いしますよダヴィンチちゃん」

 

「なあに私は万能の人だぜ?これくらい1人で十分十分。さあ、帰った帰った。適当に目を瞑れば戻れるからさ」

 

「ふーん、そんなもんなのか」

 

「便利な空間ですね……」

 

軽く会釈をしてこの空間からの退去を試みようとする少年少女。そんな2人を愛おしそうに見つめる英霊がいた。英霊は知っている。これが、今の自分と彼らとの別れになることを。

 

――彼らとずっと共に戦ってきた。どんな状況でも決して諦めずに歩んできた彼らを見てきた。グランドオーダーというあまりにも重すぎる旅路にゲーティアの残した4つの異種なる特異点の修復。それ以外にも世界の危機が訪れる度に果敢に立ち向かっていった。

 

そしてそれらを乗り越えてなお、少年少女に新たな苦悩が降りかかろうとしている。本当はもう安息の日々に戻ってもいいのに、これ以上戦わないでいいのに、それでも彼らは立ち向かうと決意した。その心はあまりにも気高く、尊く、レオナルド・ダ・ヴィンチにとって美しいものだった。

 

「――君、マシュ」

 

「うん?どうしたのダヴィンチちゃん」

 

「どうかしましたかダヴィンチちゃん」

 

「………………いや、なんでもないさ」

 

「なんだそれ」

 

「おかしなダヴィンチちゃんですね」

 

少年は怪訝な顔をし、少女はクスリと笑う。浮かべる表情は最初の頃と何も変わっていなかったが、それでも彼らは随分と強くなった。身体だけではなく心も。

 

――これなら、あとは任せても大丈夫かな。

 

万能の人は何も言わず、ただ笑う。自身の信じた最高の美しさで笑みを浮かべる。奇しくもそれは、あの時()()()()()()()()と同じ笑みだということを本人は気づいていない。

 

「じゃあ、先に戻ってるから早くダヴィンチちゃんも戻って来いよなー」

 

「お先に失礼しますねダヴィンチちゃん」

 

「……ああ。()()()2人共」

 

そうして戦友でもある少年と少女がこの空間から消えた。無事に現実の世界に戻れたのだろう。ただ1人残された存在は、自身の身体が僅かに光を放ち徐々に消えていっていることに気が付く。

 

「なんとかもってくれていたが、流石に限界か。――君、マシュ。これから君達の進む先はこれまでとは全く違う戦いが待っているだろう。一応バックアップを残してはいたけど、君達と共にいけなくてすまないね。でも、私なりに完璧なフォローはしたつもりだ」

 

消えていく。女性の美しさの究極のような身体が、その手に持つ杖が。少しずつ消えていく。

 

「――ロマニ、君もこんな気持ちだったのかい?だとしたら、君はズルいな。こんな気持ちを先に味わっていたなんて」

 

瞼を閉じると、あのヘタレでかっこ悪くておっちょこちょいで、だけど勇気を振り絞って消えていった悪友の姿が映る。

 

「後を託せる相手がいるってことがこんなに嬉しいなんて、君は本当に幸せ者だよ。まあ、これで私も幸せ者の仲間入りだけどね」

 

白い空間に同化していくように薄れていく。もうほとんど消えかかっている彼女はニコリと聖母のような笑みを浮かべた。

 

「――君。マシュ。君達の旅路はこんなところじゃ終わらない。愛と希望の物語の完結にはまだ早すぎる。定番のセリフだが、だからこそ響くというものだろう。――2人共、頑張りたまえ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そして、カルデアを支え続けた万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)は静かにその身を消滅させた。その大きな存在は、彼女が託した少年少女へと受け継がれる。世界を、人類を、何より大切な人達を守るために。




はい、ということで新規サーヴァント祭りの回でした!今回の召喚結果を新規以外のサーヴァントも含めますと

・酒呑童子
・ニトクリス(New)
・アン&メアリー(New)
・エミヤ(弓)(New)
・葛飾北斎(New)
・宝蔵院胤舜(New)×2
・ヴラド(槍)
・ナーサリー
・アタランテ

となっております。今回は具体的な召喚回数を明記しなかったのですが、大体10連11回分、呼符35枚ほど引きました。はい、全力全開です。が、メルトが来ない……!!難しいよあのツンデレさん……。彼女の召喚に当たって召喚の儀の呪文もちゃんと詠唱したのに(実話)

福袋に関しては本文中の叫びが全てです。どうしてこうなった……!

ですが、まさかの葛飾北斎到来。去年は正月に武蔵ちゃんの体験クエをやった後に武蔵ちゃんを引いたので、どうやら僕はセイバー以外に正月の限定星5にも縁があるようです(何故)

はい、ここで疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。お前、メルト引くんじゃなかったのかと。なに北斎ピックアップやってんだと。
ああ!やめて!石や空き缶を投げないで!これには理由があるんです!
実はですね、僕はてっきりメルトを召喚できるチャンスは福袋だけだと勘違いしており、元々貯めていた石も『正月限定のサーヴァントとか来るだろうからそれ用に貯めておこうかー』と考えていました。

そのままメルトピックアップを知らぬまま北斎ガチャを30連だけチャレンジ。結果北斎を奇跡的に引き当てました。その後、感想欄のコメントで『メルトピックアップありますねっ!』というコメントを読んで『ゑ?』と急いでお知らせをチェック。

そしたら何ということでしょう。メルトピックアップがあるではないですか。そこで慌てて石をかき集め、運営から詫び石とお年玉石と合わせて召喚にチャレンジしました。なので実際メルトガチャの挑戦は80連と呼符全部です。でも来ませんでした(2回目)

思わぬうっかりが発動してしまいましたが、結果は新年スタートダッシュにしては良い結果になったと思います。すごく我がカルデアが強化されました。
――うん、例えあの日々を過ごしたカルデアが無かろうと我がカルデアは不滅です。マスターやマシュ達がいる限り。

さて、長くなってしまいましたが節分イベが終了しバレンタインイベが始まっております。今年から新しくお迎えしたサーヴァント達からチョコをもらい、渡すための周回が始まっております。節分イベも個人的には非常に楽しかったです。日頃あまり運用しないサーヴァント達の強みに気づけて良イベでした。特にヘクトールさん。あと女性陣の温泉。

そしてこれはまた別の機会に書きますが、新しい星5のサーヴァントも引けました。でも敢えて伏せます。ちなみに神秘殺しではない女性バーサーカーですり抜けです(ほぼ答え)

ではでは、次の更新も気長にお待ちいただけると嬉しいです。今年も本小説をよろしくお願いします!

PS Fate/EXTRA Last Encoreが全く違うシナリオになっててワクワクが止まりません。くそう!早くネロちゃま引きたいなー!

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