うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね?   作:四季燦々

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ついに投稿が遅れること約2か月。大変長らくお待たせしました!

理由としてはとにかくリアルが忙しかった、という感じです。お待たせして申し訳ありませんでした。
具体的な説明は控えさせていただくのですが、ひとまずそちらの方は落ち着いたため、またいつもぐらいのペースで更新を再開したいともいます。(できればもっと頻繁にしたいです……)

今回はセイレムのお話です。約4か月前の話です(遅い)
とりあえず先に言っておきますと真名バレあるので注意!これだけでもう誰が来たかほとんど分かってしまうのがネック……。


狂気の地に足を踏み入れたんだけど、絶望を乗り越えることこそ人間の底力だよね?

「なあ、ロビン。玉乗りってどうすりゃできるの?バランスをとるコツっつーか」

 

「おたく、この前の特異点で芸事に目覚めたのか?第一、俺はアーチャーであってピエロじゃねえのよ。せめて弓の使い方にしてくれねえか」

 

「あっはっはっは!おかしなこと言うな!アーチャーが弓使うわけないだろ!」

 

「おかしなことを言ってんのはおたくだっての……」

 

だって剣、槍、銃、杖、石、雷、水鉄砲、羊、竪琴、棺桶等々。ほら、弓とか使ってねえじゃん(真理)

 

「――とまあ冗談は置いといて」

 

「おい待て。一体どっちが冗談なんだ?玉乗りを教えて欲しいことか?それともアーチャーが弓を使う云々か?」

 

「後者」

 

「前者はマジなのかよ……。いきなりなんで玉乗りなんて教えて欲しいとか言いだしたんだよ。まさか本当に芸事に目覚めたわけじゃないんでしょ?」

 

「……ほら、子どもを喜ばせるためには芸事の1つもできなきゃダメかなって。この前の特異点で旅の一座をしたけど舞台ばかりだったから他にもできないかなあと思ったんだよ」

 

「――ああ、なるほど。そういうことですか」

 

ポリポリと頬を掻きながら白状すると、義賊の青年は納得したようにしょうがないなと苦笑する。くっ、何だその笑みは!察しが良すぎるのも良くないと思うぞ!いや、どうせ説明するつもりだったけどなんだか恥ずかしい!

 

内心悶絶しながらつい先日まで行っていた特異点のことを思い出す。今までの特異点とは違いこれまた異質を極めた狂気の地『セイレム』。その特異点を修復し、完全に人理修復が成ってから数日が経過していた。セイレムを突破しての今日まではひたすら身体と精神の休息にあて、ようやくこうして召喚に赴こうとしていたのである

 

そう、それぐらい過酷な特異点だったのだ。マサチューセッツ州のセイレムに上書きされたその土地は文字通り"狂っていた"。天候が狂い、精神が狂い、思考が狂い、空気が狂い、そして人間が狂っていた。ここにいるロビンを始めとするサーヴァント達や同行してくれたマシュがいなかったらオレは数日と保たず狂気に飲まれて首を吊る羽目になっていたかもしれない。何が正しくて何が間違っているのか、善も悪も分からなくなりそうな混沌とした探索だった。

 

そんな狂気に支配され呪われた土地でオレは1人の少女と出会う。年相応に好奇心旺盛で友達想いで……だけど外界なる神の依代として魔神柱に選ばれてしまった少女。

 

「あの『嬢ちゃん』の召喚にチャレンジする前に、前もって芸事を習得しておきたいってことだろ?うちのマスターは生真面目というか面倒見がいいというか。それにまだ召喚できると決まったわけじゃねえでしょ」

 

「確かにそうなんだけど、少なくともあの子はあの地でサーヴァントだったわけだし可能性は十分にある」

 

「そりゃ見事な確証ですこと」

 

本来英霊の座というものは過去の偉業や功績によって登録されるものではあるが人理焼却や亜種特異点の出没によりそこらへんの基準が曖昧になっている。特異点を巡っていくうちにそれは人類滅亡への一種のカウンター的なもであるということは理解できていた。素養のある者、力のある者、正邪も問わず何でもござれなため、件の少女――『アビゲイル』も登録されている可能性が高いと踏んでの頼み事だった。

 

「とにかく。玉乗りなんてしなくても大丈夫だと思いますがねぇ。あの嬢ちゃんなら今までのマスターの旅とかサーヴァントのこととか話してやればそれで十分だろ」

 

「うーん、やっぱりそうかな」

 

確かに思い返してみると、アビゲイルは曲芸よりも物語を聞く方が好きだったか。マシュと一緒に旅のことを話してあげていた時は嬉しそうに聞いてたもんな。……まあ、隔絶された土地だったら仕方がないのかもしれないが。

 

「じゃあ、普通に召喚にチャレンジしてみようかな。ロビン」

 

「へいへい、分かってますよ。護衛として付き合えってことだろ」

 

面倒だけどマスターからの直々の命令とあっちゃ逆らえませんからね、と皮肉っぽい言葉を吐いてはいたものの特に嫌がっている様子は無かった。

ロビンってかなり世話好きだよね。バトルスタイルに関しては確かに罠や奇襲、闇討ちと卑怯と取られがちなものではあるけど、内には騎士道を重んじる意思があるのか面倒見もいいし。

 

「ホント、ロビンは良い奴だよ」

 

「いきなりどうしたよ。そんなこと言ってチョコぐらいしか出ねえぞ」

 

「チョコ出るんだ……。1個頂戴」

 

「はいよっと」

 

マントに包まれた懐から一口サイズのチョコを渡してくるロビン。なんでこんなものを持ってんのと聞くと小さいサーヴァント達――特にばらきーが良く出会い頭にせがんで来るかららしい。いや、準備万端かよ。

 

子どもの扱いに慣れまくってる義賊と共にセイレムでの出来事を話ながら召喚部屋へと向かう。一応ロビンの下へと訪れる前にダヴィンチちゃんに召喚の許可ももらっておいたし石も準備しておいたからすぐに召喚へと取り掛かれるのだ。

 

「そういや、今回はあのマシュの嬢ちゃんは?」

 

「マシュなら今頃訓練中。この前のセイレムでの出来事からさらに熱が入るようになったみたいだ」

 

「もう特異点は修復し終えて旅も終わったってのにか?」

 

「確かに旅は終わったけど、まだ一応はオレのサーヴァントって扱いだからな。マシュと彼女の中のサーヴァントとの繋がりもまだ切れてないし、何よりマシュ自身がジッとしていられないんだって」

 

オレのサーヴァントを名乗った以上、鍛錬を怠ることはできない。いついかなる時に不測の事態が起ころうとも対応できるようにしておきたいというマシュの強い希望により鍛錬は続いていた。オレとしてはあんまり無理をしてほしくないのだけれど、やはりそこは彼女の意思を優先させたかったのだ。

 

「あの嬢ちゃんも健気なもんだねぇ。まっ、そこが良いところだし眩しいところでもあるんですがねぇ」

 

「うん。オレもそんなマシュが誇らしいよ」

 

そこでオレが胸を張るのもおかしな話かもしれないがロビンは優しく口元を綻ばせた。

 

「っと、今の会話で思い出したぜ。特異点の修復も終わってカルデアのサーヴァント達も年末には退去することが決定したんだろ?なんで今更召喚なんてするんだ?」

 

「――最後かもしれないだろ?だから、全部回しておきたいんだ」

 

「大丈夫かマスター?セイレムから戻ってこれたってのに狂ってねえか?」

 

失敬な。何事も全てが終わったからといって油断してはいけないんだ。ポケットなモンスターだってチャンピオンを倒してからが本番だし、クロノなクロスだって周回プレイをしないと全員仲間にならないんだから(廃人感)

 

「とにかくいいんだよっ!ほら、早速10連いっくぞー!」

 

「分かりましたよっと。……おっ?こりゃ良い反応なんじゃねえか?」

 

「キタッ!金色回転キタッ!これで勝つるッ!」

 

おりゃーという気合と共に投げ込まれた聖晶石達。雪が解けていくように召喚サークルへと溶けていったそれらは、やがて最近ではよく目にするようになった金色の光の帯となって顕現する。間違いなく高レアサーヴァント召喚の兆候だ。

 

「クラスは……クラスカードを見る限りランサーか。俺の苦手なクラスじゃないですか」

 

「最近の流れから察するにエリちゃんの可能性が大――」

 

「わりぃマスター、俺急用思い出したわ。部屋の中に避難するって用事できたわ。じゃあこれで」

 

「逃がすわけねえだろ、令呪使うぞコラ。皐月の王も使おうとすんな」

 

もちろん冗談のつもりで言ったけど本当に来たらどうすんだ。オレが死ぬぞ(聴覚的な意味で)

 

グルグルと回転して召喚サークルの上を漂っていたクラスカード。一際大きな光を放ち、その中から召喚された人物が現れる。あの特徴的なドラゴンテールは――ないっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァント、ランサー、哪吒。…………それだけ」

 

「スリットから見える足が眩しい子キタァァァ!!」

 

見ただけでどこ出身の英霊か分かるチャイナ服。燃ゆる炎を象った刃を持つ槍、『火尖鎗』を手に持ち、足元からは実際にメラメラと炎を揺らめかせながらホバリングをするように近づいてくる。生前には傍若無人の暴れっぷりにより神々すら殺し、仙人によっていくつもの宝具(パオペエ)を贈られた人ならざる蓮華の精。斉天大聖・孫悟空の敵としても名高い『哪吒』の姿がそこにあった。

 

(ますたー)、久方ぶり」

 

「おう!久しぶり!会いたかったぞ哪吒」

 

「うん、ボク、同意」

 

くぅ~!この片言喋りが可愛いんだもう!分かるよね(真顔)

 

「おい、マスター。確か哪吒ってすでにカルデアにいたじゃねえか。セイレムに連れて行っただろ?なんでそんな初召喚みたいな反応してんの?」

 

「ロビン、1つ教えてやろう」

 

「なんだ?」

 

「――細かいことを気にしてはいけない」

 

「お、おう……」

 

例えいつの間にか在籍していたことになっていたとしてもうちのカルデアには哪吒はいなかったんだ。良い例としてはエミヤがそれに該当する。

 

「主、主」

 

「うん?どうした哪吒?」

 

いつの間にか炎によるホバリングをやめた哪吒がオレのそばまで来ていた。それにしてもパックリ開いた胸元といい、ミニチャイナ服から覗く太ももといい、それを包む網タイツといい、仙人は良い趣味してんな!ちょっと語り合いたいぜ!これで元少年神とかもう意味分からんですわ。

 

「サンソン、どうなった?ボク、気になる」

 

「サンソンは……とりあえず無事だよ。霊基にも何も異常は無いし今頃医療スタッフと一緒に医療室の整理をしてると思う」

 

「それなら、良かった。ボク、心配してた」

 

「うん、ありがとな哪吒」

 

言葉は片言だが表情は結構豊かな哪吒は安堵したように笑みを浮かべる。生前はかなりの暴れん坊だったと聞くがこうして見るとそんな様子は皆目見られない。

そういえばセイレムでもアビゲイルのことも常に気にかけていたっけ。お芝居に彼女を引っ張っていこうとしていたし、外界の神に獲り込まれた時は彼女を救うために槍も振るっていた。やっぱり仲間想いの哪吒自身は紛うことなき英霊なんだと再確認する。

 

――そして、哪吒が気にかけていたサンソン。今でもあの光景を浮かべると背筋が凍りつくぐらい思い出したくない記憶。英霊にはすでに死んでいる身であるため本来であれば仮に死んでも霊基パターンさえ分かれば再召喚は可能である。だがあの特異点では死は平等だった。生者も死者も、人間も英霊も。死ねば死ぬ。2度と会えない。

 

だからセイレムから帰還後にサンソンが前触れなく再召喚された時は驚いた。誰も想定していなかったし、召喚を試みたわけでもない。それでもサンソンは戻ってきてくれた。あの時はつい溢れる感情を抑えきれなくて泣いてしまった。それぐらい奇跡的な事だったのだ。その代償か、サンソンはセイレムでの記憶は全くない。セイレムに行くまでのカルデアでの日々のことは覚えているものの、あの狂気に染まった地でのことを一切合切忘れてしまっていたのだ。理由は――いまだに不明だ。

 

だが、別れる前にアビーが言っていたことを思い出すと、もしかしたら彼女がサンソンを……。

 

「『死は明日への希望なり』か……」

 

「……主?」

 

サンソンの宝具名。彼にとっての死とは絶望ではない。処刑人としても名高い彼にとって死とは罪と罰を切り離し、それをもって贖罪とするものだ。だからこそ、未練を残して死んだ場合グールとして蘇ってくるあのセイレムの地でも彼は蘇らなった。つまりは、そういうことなのだろう。

 

サンソンのことを考えていると、哪吒がオレの顔を覗き込む。彼女は心配そうに大きな瞳を揺らしていた。

 

「……いや、何でもないよ哪吒。それよりこれからどうする?オレとロビンはまだ召喚を続けるけど、先にカルデアの中を探検してきてもいいぞ」

 

「ううん。ボク、マスターのこと守る。だから、一緒にいる」

 

「いいだろう、存分に守られてやろうではないか」

 

「おたく、数秒前までのシリアスが息してねえぞ」

 

シリアス?そんなもんはこの前散々味わったわ。今のオレに必要なのは癒しだ。狂気に晒されて黒く荒んでしまったこの精神を癒してくれる存在が必要だ。つまり可愛いは正義(錯乱)

 

ということで急遽哪吒も参戦して召喚の続きを執り行うことに。とはいっても次の10連で終わりなんだけどな。つーわけで、聖晶石をシューティングサモンサークル!

 

「何が出るかな♪何が出るかな♪」

 

「ライオンとか出るんじゃねえか?」

 

「ごきげんようなライオンが出てきたらジャガーとの戦争が起こるな」

 

「主ッ!主ッ!これ、すごい!綺麗!すごく綺麗!」

 

サイコロを振っている時のノリで歌ったら意外とロビンが乗ってきてくれた件。あの長寿番組知ってんのかい。あと哪吒ちゃん純粋過ぎか。オレはもう見飽きるほど見たこの召喚光の光をここまで楽しめるとは。

 

「おっ!これはまた運がいいじゃないですか。金色の反応……しかもクラスはキャスターときた」

 

「うおぉぉぉぉ!フォーリナーじゃないけど今日は随分と順調じゃねえか!どっちだっ!どっちが来るんだ!?」

 

「きゃすたー……ということはティテュバ?それともキルケー?」

 

「そいつは召喚されてからのお楽しみってやつだ!さあ、来るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女性としてもかなり小柄な体躯にその身の丈を超える長い杖を手に持って彼女は現れた。ギリシャっぽい少し露出度が高い服装に合うのか合わないのか分からない厚底を履いている。美しいショートの髪にその隙間から伸びる人外の長い耳、背中から伸びた鷹のような翼が特に目を引く。惚れっぽいくせに自身の恋愛が全く成功しないことを気にしている乙女。

 

「――やあ。もうきみを寂しくはさせない。この魔女キルケーを呼び招いたのだからね。ふふっ」

 

あのメディアさんの姉弟子に当たる大魔女にして、月と愛を司る半神。キルケーさんだった。

 

「あっ、なんか髪短いですね」

 

「……君、一番最初に言うことがそれかい?ほら、あれだけロマンチックな別れ方をしたんだし他に言うことあるだろう?」

 

「あれ?何か言ってましたっけ?」

 

「まさか違う選択肢を選んでいたのかい……?」

 

もしかして豚小屋の方かッ……!?と声を荒げるキルケーさん。一応冗談のつもりだったんだけど、なんだよ豚小屋って……。

 

「嘘ですよ、ちゃんと覚えてますから。それで、結局これはどちらから会いに来たことになるんでしょうかね?」

 

「私にそう気楽に嘘を吐く人間なんて君とオデュッセウスぐらいだよ……。まあ、君の方が実害はない分何百倍もマシだけど。で、会いに来たのはどっちかって話しだけどもうそんなことはどうでもいいさ」

 

思ったよりも早く再会できたしと、揶揄われたことを根に持っているのかブスッとした表情で答えるキルケーさん。なんでか分からないけどニトちゃんと同じ匂いがします。

 

「よお、魔女さん。おたくもついに来ちまったか」

 

「なんだい、誰かと思ったらあの時の弓兵じゃないか。相変わらず毒ってるかい?」

 

「人を毒殺魔みたいに言うのやめてくれませんかね。あくまでアレは戦いの手段の1つだっての」

 

「まあまあ、いいじゃないか。同じく毒を扱うサーヴァント同士仲良くしようじゃないか」

 

「だから変な括りに俺を含めないでくださいませんかねぇ……」

 

確かに互いに毒を扱うサーヴァントだし、ロビンに至っては毒状態か否かで宝具の威力がまるっきり違うからな。セイレムでもキルケーが毒した相手にロビンが宝具ぶっ放すってことが多々あったし。

 

「鳥……肉……?」

 

「待て待て!君はまた空腹なのかいっ!?確かに私には羽が付いてるけれど別に鳥なんかじゃないからな!」

 

「哪吒ステイ。あとでおいしいご飯をブーディカさんやキャットに作ってもらうからもう少し待って」

 

「なら主、ボク中華料理を希望する」

 

今にも涎を垂らしそうな哪吒を見て全力で距離をとるキルケー。その必死の形相からどれだけ怖がっているのかがよく分かったのでやめておけと哪吒を止める。

それにしても中華料理か……あの2人なら大丈夫だと思うけどオレも手伝うか。ただし麻婆はダメな。

 

「まったく、君のいるところは本当に騒がしい限りだよ。これじゃあ、のんびりと過ごすこともできないじゃないか」

 

「でも退屈に過ごすよりかはマシでしょ?」

 

「……ま、まあ、あの島に捕らわれているよりかは、そうだねマシだとも」

 

「なら良かった。ここにはメディアさん以外にもキルケーさんの知己もいるし、きっと寂しい思いはしないと思うよ」

 

「さ、寂しいとは言ってないじゃないか!勝手な解釈をするんじゃない!」

 

どうやら図星だったらしい。ガァー!と怒るキルケーさんはその見た目も合いあまって大変可愛らしく、ふんっ!と鼻を鳴らしながらも顔を逸らす姿は年頃の少女のようだった。

 

「マスターも罪作りな男だなぁ。あんまりそういうことを軽々しく言っているといつか刺されても文句は言えねえぞ?」

 

「……?別に普通のことだろ?」

 

「アンタちょくちょく鈍いよなぁ……」

 

むう、ロビンが一体何のことを言っているのかさっぱり分からない。キルケーの逸話的にそうなんじゃないかと思って言っただけなんだけど。

 

「主、すまない。ボクお腹空いてしまった」

 

「おっと、さっきの鳥肉発言はマジだったのか。じゃあ、カルデアの案内の前に食事だな。キルケーとロビンも行こう」

 

「そもそもサーヴァントが空腹ってどういうことなんだよ……」

 

「いいじゃないか。私もこの時代の料理には興味があるし、なんならキュケオーンをご馳走してもいい。安心して良いよ、毒は抜いておくから」

 

「その言い方だと誰も安心できないんですけどねえ。対毒持ちのマスター以外全滅とかシャレにならんですわ」

 

「そもそもそんなことしようものならブーディカさんとキャットが黙ってないからな」

 

「ふふふっ……さあ、どうだろうね」

 

何とも意味深な笑みを浮かべるキルケーにオレとロビンは顔を見合わせ苦笑する。そんな和やかなオレ達を見て小さく哪吒も笑う。

狂気の地を乗り越え、オレ達はそんな何気ない時間を過ごしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ―

 

「それで、アビーさんは召喚できなかったということですね」

 

「うん、哪吒にキルケーさんは来てくれたけどアビーは来てくれなかった。あとティテュバ――じゃなかったシバの女王も」

 

「……アビーさん、元気でしょうか」

 

「それは正直分からないな。あの子が旅立ったのは果てしなく続く外界の海だ。そこで何に触れているのかオレには到底思い浮かばないよ。だけど……」

 

「先輩?」

 

「きっとあの子なりに満足のいく道を探しているんだと思う。好奇心旺盛な子だし、もしかしたら色んな事に興味を惹かれてなかなか進めていないかもしれないけれど」

 

「ふふっ、そうですね。アビーさんは私や先輩のお話にもよく耳を澄ませてくれましたから。知らないことを知るその幸せは私にも理解できます。……そうですね、私にとってこの旅が世界を知るきっかけだったようにアビーさんにとっても彼女の旅路は世界を知るきっかけになっているんですね」

 

「いつかまた、会えたらいいな」

 

「はい、その時はもっともっとお話をしましょう。私達の旅路はきっと長いお話になると思いますが、アビーさんは最後まで聞いてくれるでしょうから」




ということで哪吒とキルケーさんが新規参入です!

いやー、どっちも可愛くて仕方がないですね!哪吒はあの豊富な表情、キルケーはマイルームでのセリフが非常に魅力的です。おまけにどっちも強い。ガッツにNPチャージ、自バフもある全体宝具の哪吒。キャスターとしては三蔵ちゃん、イリヤに続き単体バスター宝具でNPチャージも毒付与もあるキルケー。使いどころによってはすさまじい活躍を見せてくれる2騎です。

さて、今回のお話はセイレムということですがいまだに謎めいた部分もあるこの特異点。個人的な解釈や他者の考察をもとに執筆をしましたが、何かおかしな点があったらやんわりと指摘していただけると嬉しいです。僕自身、いまだに全部理解できたわけではないので……。

ちなみに、今回キルケーさんが言っている選択肢とはエピローグでの内容についてです。気になる人はマテリアルを覗いてみよう!クリアしていない人は急いでクリアしよう!もうすぐ第2部が始まるぞ!

最後に。このお話は後々正月ガチャの後へと移動させます。順番的にはこの話の方が先なので。何卒ご理解ください。

次回はまた番外編(という名の一挙まとめ編)になるかもです。復刻に次ぐ復刻、新規イベ盛り沢山だったので正直執筆が終わらないんです。インターバル短すぎてプレイするだけで必死だよ!アルトリウムがまったくたまらないよっ!

で、では、次回も気長にお待ちください!

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