うちのカルデアに星5の鯖がようやく来たんだけど、全クラス揃えるとか夢物語だよね?   作:四季燦々

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FGO界隈が剣豪とハロウィンで盛り上がっている中、時期外れもいい2017水着ガチャのお話です。だってピックアップとイベントの感覚が短すぎるんだもの。追いつけないよ(血涙)

それにしても剣豪は最高だった。僕の初めての星5が武蔵ちゃんで本当に良かった。QPも素材も搾り取られたけどスキルマにして良かった。ありがとう武蔵ちゃん!

さて、ではお待たせしました。水着回という名のイシュタル弄り回の始まり始まり~。


女神って威厳を感じたりするんだけど、神話を見ると善悪が酷く極端だよね?

――『女神』という存在を知っているだろうか?読んで字のごとく女性の神。神話と名付けられる物語には必ずと言っていいほど登場してくる、力の面でも美や知的さという面でも人間をはるかに凌駕した存在である。一般的には勝利の女神や美の女神といった比喩表現として用いられるが、神秘が衰退し科学が発達した現在ではその存在を信じる者はごく少数だろう。

 

家系こそ魔術的要素を持ち合わせたオレの家だが、その血は衰退への未来をジェット機で飛びぬけており、魔力の濃さも質も『たったの5か、ゴミめ』と言われても仕方がないほど没落している。そんな、一応魔術も齧ってますが小指の先レベルですよーを地で行っている父親には――

 

『女神とかよく物語に出てくるだろ?実際にいるんだぞ、アレ』

 

と、ものすごくアバウトな説明は頂戴していた。あまりにアバウトすぎてこの話を聞いた当時のオレはまるで信じていなかった。確かに魔術はあるだろうが、神などは所詮事象を人々が勝手に神格化して崇めているだけなのだとしか思っていなかった。

 

それに舐めないでほしい。こちとら科学に染まりきった生粋の現代っ子だ。ゲームとアニメと漫画が大好きな普通の一般人(笑)だ。二次元の世界でならまだしもこの三次元の世界で神とか女神とかないわー、オレの女神は画面の向こう側だわーと考えていたのだ。このカルデアに来て数多のサーヴァント達と出会うまでは。

そう。女神は本当にいたのである。日本だのギリシャだのエジプトだのローマだのと神話はそれこそ数えきれないほど存在するが、それに名を刻む女神はマジでいたのだ。

 

さて、ここで一つ問いたい。女神と聞いてどんな印象を持つだろうか?可憐や慈愛といった印象をまずは持つと思う。実際、日本語において女神という言葉をマイナスの印象で使われていることはまずないし、きっと美しさと優しさの塊のようなものだと思うだろう。

 

だが、いざ神話を紐解いてみると女神がそういうものとはかけ離れたものであるということはすぐに分かると思う。殺し、騙し、裏切りは当たり前。冤罪や誘惑からの寝取りに支配。時の権力者をいともたやすく狂わせ滅ぼした国の数は数知れず。女神にはこのように悪と断罪されるようなものを行っているお話が多々ある。つまり一般的な印象とは所詮イメージ程度でしかなく、実際はドン引きするようなものばかりなのだ。

 

神であるため純粋な力があることは認めよう。そりゃ母性もあるだろう。優しさや慈愛がある女神もいる。しかし、それ以上にこいつらはヤベーのだ。女神とはそういう存在だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて皆、まずは今日集まってくれたことに感謝するよ。この開廷を宣言した理由というのはすでに分かっていると思うけど、数日前の騒動の件だ。今回の騒動だがここで裁判員の意見を聞きたいと思う。酌量の余地は個人的にないと思うんだけど皆はどう思う?」

 

『ギルティ』

 

「はい、ということで今ここに判定を下します。被告人は有罪」

 

「ちょっ!待って待って!こんな一方的な裁判なんて無効よっ!弁護士を呼ぶことを要求するわっ!」

 

「と、申しておりますがルーラー弁護士ジャンヌさん、およびマルタさん。どうしますか?」

 

「「ギルティ」」

 

「弁護士すら見放したっ!?」

 

「ではこれにて第78回カルデア裁判は閉廷。速やかに被告人を連れて行ってください。彼女には一週間カルデア内の清掃を命じます。隅々まできちんと掃除するように。埃1つでも残そうものならカーミラさんの『幻想の鉄処女(ファントム・メイデン)』の刑に処します」

 

「やめてよっ!?今の私はライダーなんだから死ぬわよっ!?」

 

あああああっ!放して!弁解ぐらいさせてよもうぉぉぉぉぉ!!と力自慢のサーヴァント(ヘラクレスさん)に連れていかれる被告人――もといライダークラスにチェンジした女神イシュタル。自慢だと謳っていた艶のある綺麗な黒髪ツインテールをボッサボサに乱れさせながら扉の向こうへと消えていく彼女を見送った後、続々とサーヴァント達がこの裁判室から退室していった。

 

「先輩お疲れ様でした」

 

「マシュもお疲れ。とはいっても速攻でケリがついたから疲れるまでもなかったな」

 

「裁判員全員のギルティからの即判決。弁護士に名乗り出てくれる人もいませんでしたし、皆さん検事の状態でしたからね。開始5分掛からずに判決を出すとは鮮やかです、先輩」

 

「それだけあの駄女神に引っ掻き回されて腸煮えくりかえってたってことだろ」

 

「ちょっぴりイシュタルさんが不憫でしたが……」

 

苦笑しながらマシュは大英雄に連行された女神のことを案じる。いやいや、心配しなくていいだろ。今回ばかりは自業自得だ。

 

さて、何故こんな魔女裁判もビックリな裁判をしていたのかというと、まあ説明するまでもなくこの前のイシュタルさん主催のイシュタルカップのことである。特異点が見つかったと宣いやがったあの女神さまはあろうことかサーヴァント達を勧誘しレース大会を開催。特異点修復に必要なことだと法螺を拭いた挙句、実はこの大会は彼女の最大戦力であるグガランナを復活させるためだったのだー!あっはっは!と悪役っぷりを存分に発揮。カルデアの職員とサーヴァントを大いに巻き込んだ大騒動を引き起こしやがったのである。

 

いやね、オレもレースは楽しんでたよ?水着は最高でしたよ?それにこの騒動がウルク攻防戦の時に役に立てなかったって言う後悔(とお金儲け)から来てるのも分からんでもないよ?

だがやり方が悪かった上に監獄にお世話になったり、メイブちゃんサイコーしたり、終いにはグガランナでオレ達に襲い掛かってきた――本当のグガランナの強さを考えれば戯れにも等しいが――と問題ばかりが発生したのはいただけない。結果、完全に顕現しきっていなかったグガランナは哀れにも同じく金星の女神であるケツァル・コアトルのバックドロップからの脳天落としを食らい、イシュタルさん本人はこうして裁判を迎えたのだ。

ちなみに『私は駄目な女神です』という名の再利用品(リサイクル)を持って出頭していた。無駄に律儀である。

 

「お前のご主人様も完全に悪い訳ではないんだけどなー」

 

「モウゥゥ……」

 

「なんだかごめんなさいって謝ってるみたいですね」

 

オレはマシュの腕に抱えられた生き物を撫でるとしょぼんとした鳴き声を発する。この子は何故かクラスチェンジしたイシュタルさんについてきた『ミニグガランナ』だ。グガランナの幼体と言ってもいいかもしれない。どういう生態なのかさっぱりだが、基本訳の分からないものが蔓延っているカルデアからしたら些事なので問題ない。あと、さっきからオレの肩に乗っているフォウ君からの圧力がすごい。覇気でも纏ってんのかってぐらい重い。カルデアマスコットとしての立場が危うくなっていることを感じているためなのだろうがいい加減覇王色でも発しそうで怖いです。

 

「よし、じゃあ早速ちゃんと清掃しているか監視に行くか」

 

「そういえば、よくよく考えればイシュタルさんって清掃のやり方ってご存知なんでしょうか?あの方は女神ですし、掃除なんてやったことがないのでは?」

 

「別に本当にピッカピカにできるなんて思っていないさ。反省の色が見えればそれでよし、だ」

 

だってあの女神うっかりが酷いんだもの。綺麗になんてできるわけない。だが、今更ながら罰を間違えたかと若干後悔しないでもない。

……相当酷かったらオレも手伝うか。一応マスターだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間。イシュタルさんは思ったよりも真面目にカルデアの清掃に取り組んでいた。確かにマシュも懸念していた通り掃除の仕方はド素人も良いところで、物は壊すわ、仕事は増やすわ、終いには恥も外聞もなくどうすればいいのよぉぉぉぉぉ!!と泣き出すわと無茶苦茶な様子ではあったが、そんな状態でも決して止めるとは言わなかったのは彼女なりにこの罰を真摯に受け止めていたのだろう。まあ、流石に見ていられなかったのでオレとマシュで手を貸したりもしたが。

 

「ほい、それじゃとりあえず刑期は終了。お疲れさん」

 

「ああぁぁぁぁ疲れたぁぁぁ……。もう二度とやらないわよ……」

 

「じゃあ、もう二度とやらかさないでくれよな?」

 

「うっ、分かってるわよ……」

 

終了を宣言した瞬間その場でぐでーっと倒れ伏す女神。とてもメソポタミア神話置いて崇拝されている女神とは思えない品の無さだ。服装も水着にパーカーのままなので一層それが引き立っている。そんな姿にやれやれと思いつつ、抱えていたミニグガランナを倒れる彼女の目の前へと下ろした。

 

「でも意外だったよ。てっきり途中で投げ出すもんだと思ってたし」

 

「うるさいわね。私だってそうなるだろうって思ってたわよ」

 

「じゃあなんで?」

 

「……これでも一応あんたのことはマスターとして認めてるのよ。私も今回のことは流石にやりすぎたかなって思ってるし」

 

やはり彼女なりに思うところがあったようだ。プイっとそっぽを向きつつミニグガランナを撫で、うっすらと頬を染めている女神さまについ笑ってしまう。女神の中でもかなり上位に食い込むような相手にそういってもらえるとは光栄の極みだな。

 

「むむむ……なんだか子ども扱いされている気がするわ。――ねえ、マスター。この後暇かしら?」

 

「うん?まあ、一応このあとにレイシフトの予定もトレーニングの予定もねえけど」

 

「よし!じゃあここで1つ女神らしく恩恵というものをマスターに与えましょうか!」

 

「はっ?恩恵?」

 

急に何を言い出すんだこの女神。

 

「恩恵って何さ」

 

「なんでも召喚が上手くいかなくて困ってるんでしょ?私はイシュタル、幸運の女神でもあるわ。だから私のご加護で召喚運を上げてあげましょう!」

 

「マ?(マジで?)」

 

「マジもマジ。大マジよ」

 

うおぉぉぉぉ!!マジかっ!ついに召喚運上昇イベントキタァ!これは手を拱いてる場合じゃねえな!急いで準備だっ!

 

「そうと決まれば石掻き集めてくるぜ!元々水着サーヴァント召喚の為に貯蓄してたからな!イシュタルさん、いやイシュタル様は召喚部屋にてお待ち下さい!」

 

おおおぉし!いよいよお待たせしましたよ水着サーヴァント達!クールな暴王のメイドオルタにキャスターの方が相性がいいネロ様、風紀委員の頼光さんに娘へとランクアップしたフランちゃん。ロックなノッブ、スク水エレナさんにメジェドコスプレのニトちゃん。皆可愛くて綺麗でエロい水着イベサイコー!

 

「欲に忠実過ぎて素直に気持ち悪いわねこのマスター」

 

背後で何か聞こえた気がしたけどノープロブレム!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後。聖晶石を持って召喚部屋へと特攻していくとふよふよと部屋の中をスクーターで飛んでるイシュタル様がいた。部屋の中でスクーターってどうよと思うが、どんなサーヴァントが召喚されるか分からないためこの部屋の作りをそれなりに広いので特に問題はない。

 

「あら、もう来たの?随分早かったわね」

 

「だって待ちきれないですから!」

 

「そ、そう。それで今日はどれくらいやるのかしら」

 

「40連に挑戦ですっ!今回はたっぷりとため込んでしましたぜぃ!」

 

「そっ。まあ今回は期待していいわよ。なんてったってこのイシュタル様が見守ってるんだから」

 

自信満々に胸を叩く女神ライダー。おおっ……つい1週間前まで駄目な女神です石板を携えていたとは思えないほどありがたみのある姿だ……!

 

そんなわけで早速10連一発目に挑戦。グルグルと回り始めた召喚サークルから聖晶石の魔力によって呼ばれた者(物)達が現れる。結果――

 

「6人星3のサーヴァント、星3礼装が1、星4の礼装が1、起源弾が1、スク水の可愛らしい幼女礼装が1、ですか」

 

「これまた微妙な結果ね。あんた、本当に召喚運が無いのね」

 

うーん、でもまあ1発目なんてこんなもんだろう。むしろいつもよりいいぐらいか。起源弾は今後のキャスターとの戦闘を考えると必要不可欠な特攻礼装だし、何よりスク水の天使達の礼装が確保できたのは良い滑り出しではある。多少は加護があったか?

 

「マスター、黒髭みたいな顔してるわよ」

 

「やめろください」

 

あんな年中デュフフフ言ってるような奴と一緒にしないでください。オレはあくまでノーマルです。アブノーマルな性癖なんか持ち合わせてないです。脳裏に浮かんだ変態海賊にはあとでハサン先生に妄想心音(ザバーニーヤ)してもらおう(理不尽)

 

そんでもって次の10連にチャレンジ。結果は――

 

「星3が5人。いつもの礼装が4つ。ジャンヌと三蔵ちゃんの限定礼装が1つ……あれ?」

 

何か召喚の結果が悪くなってないですか?気のせいですか?星5礼装すら出てないんですが。

 

「あのねぇ。いくら私とはいえ元々底辺に近い幸運値の持ち主の運気を上げるのも一苦労なのよ。それに波ってのはどうしても発生してしまうものよ」

 

全部が全部最良の結果なんてただの怠惰よ、とそれっぽい言葉を並べるイシュタル様。う、うん、言ってることは分からんでもないがちょっと納得がいかない。本当に召喚運上がってるのか?

 

とりあえず召喚したものを回収。そんな中ジャンヌと三蔵ちゃんの礼装を見てふと思う。

 

「ぶっちゃけこの2人、聖女とか僧とは思えない格好してますよね」

 

「聖女様の方は大きいのに基本の服装がパツパツで身体のラインがくっきりと見える格好で、もう片方は水着と大差ない格好してるしね。一神として自身に仕える者たちがこんな格好をしてたら正直戸惑うわ」

 

「まあ、その女神様もこうして水着に格好しているんですが」

 

「お言葉ですけど、どこまで行っても人間である者達と最高クラスの女神だと気品の勝負になんてならないわよ。誰よりも優雅に可憐に大胆にっ!それが私なんだから」

 

これは依代の身体を借りてるからこんな身体だけど本当の私はもっとグラマラスなんだからと胸を張るイシュタル様。そんなことを言いつつもこの依代は気に入っているらしいが。

 

さて、次は30連目になるわけなのだが、今のところ限定礼装が出たぐらいで芳しい結果は出ていない。さっきは良い感じに言いくるめられたが、少しだけイシュタル様への不信感が芽生えてきた。本当に大丈夫かこの女神様。

 

「今内心で思いっきり不敬なこと考えやがったわね貴方。ふん、そう言っていられるのも今のうちよ。3度目の正直という言葉を知らないのかしら。次こそは抜群の女神力を発揮してやるんだから」

 

「女神力(笑)にならないことを祈ります」

 

「スクーターで轢き殺すわよ」

 

「怖いっ!」

 

ギロリと睨みつけてきたイシュタル様に冷や汗を掻きつつ、30連目に挑戦する。あそこまで自信満々に豪語したのだ。次こそは今までとは違った素晴らしい成果が出ることだろう。

 

――と思っていたことがオレにもありました。30連目で召喚されたものを再確認してみると限定礼装も高レアサーヴァントもいない。恒常の星3サーヴァントと星4礼装が1つだけ混じってあとは星3礼装。紛れもない爆死である。

 

「――なあ、イシュタル。数分前に言ったこと覚えてるか?」

 

「さ、さあ?女神ってのは長生きだし不要でどうでもいいことなんて一々覚えてなんかいられないわ。だ、だから知らないわよ。というか敬語……」

 

「そうか。ならば思い出せるように一語一句間違えずに教えてやろう。『3度目の正直という言葉を知らないのかしら。次こそは抜群の女神力を発揮してやるんだから』と豪語しやがったよな。で、なにこれ。明らかに悲惨なことになってんだけど。1回目と2回目は限定礼装が出ていた分超悪化してんだけど」

 

「し、知らないわよっ!私の責任じゃないわ!あんたの運が悪いだけでしょ!」

 

「お前さっき女神の加護がどうとか言ってたじゃねえかっ!あれか!回数制限でもあんのかっ!?」

 

「愛の女神の加護は無限大よっ!あんたの私への信仰が足りないんでしょっ!もっと私を崇めなさい!称えなさい!甘やかしなさい!」

 

「ふざけんな!この散財の女神がっ!」

 

「誰が散財を司ってるよっ!?そんなものとは対極に決まってるでしょ!」

 

「じゃあ、今のポケットマネーの残高言ってみろよ!」

 

「……………………億万長者よっ!」

 

「小学生みたいなこと言ってんじゃねえよっ!?」

 

知ってんだぞこの前のイシュタルカップで全財産のQP使ったってこと!全てサーヴァント達にぶっ壊されてたし本当に一文無しのはずだろうが!

 

「くそう!やっぱりうっかり属性のある女神になんて頼るんじゃなかった!」

 

「ちょっと!うっかり属性なんて持ってないわよっ!」

 

「その依代を選んだ時点でお察しだよっ!」

 

「あんたこの娘の何を知ってるのよっ!?怖いわよ!」

 

ぜえぜえと互いに息を荒げるオレ達。ちくしょう、せっかくの水着サーヴァント達を引き当てるチャンスだってのになんか無駄にしちまった気分だ。お金もない。神としてのご利益もない。称えられそうな一面もない。色々とヤバいだろこの女神様。

……あれ?冷静に考えると段々可哀想になってきたぞ?

 

「――イシュタルさん、あとで食堂で何か奢ってあげるよ。何がいい?多少の融通ならきかせてやるから」

 

「えっ、ちょっと何よ急に。いきなり優しくしないでよってなんで肩ポンしながら泣きそうな顔するのよ。待って待った待ちなさいその憐れむような目止めなさいよ如何にもこれから先頑張れよみたいな雰囲気で両手握るんじゃないわよ!」

 

「いいから。だから無理すんな……」

 

「いい加減本気で殴るわよ貴方っ!マジカル八極拳舐めんじゃないわよっ!?違うって言ってるでしょ!わ、私は駄女神なんかじゃないんだからぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

イシュタルの境遇が哀れに思えてきたオレははひっそりと涙を流す。そうだよな、神様なんて腐るほどいるんだもんな。だったらできない女神が居ても不思議じゃないよな。この哀れな女神様に祝福を!

 

「ふんっ!!(無言の腹パン)」

 

「ごはっ!?」

 

「いいからとっとと最後の10連召喚やりなさい!見てなさいよ……!私の女神としての力見せてやるんだから」

 

「だ、だからって生身の人間殴んなよ……!」

 

マジカル八極拳とやらで内臓が爆発したらどうするつもりだ……!ズキズキと痛む腹を抑えつつ最後の10連用の聖晶石を召喚サークルに放り込む。グルグルとおなじみの光源が回転し、爆発するように光の柱が現れる。

浮かび上がるのは銀色のクラスカード。刻まれるは弓兵を示す刻印。先程から見飽きてきた星3アーチャーのものだ。

 

「あれー!?なんでー!?」

 

「おい、イシュタル」

 

「ち、違うのよ!これは違うのよっ!だからド、ドスの利いた声で呼ばないでよ!」

 

「さっき刑罰は終了したって言ったけどアレ取りやめな。延長1ヶ月だ」

 

「職権乱用じゃない!?そんなこと認められないわっ!」

 

オレ(裁判長)がルールだ」

 

「神より横暴よこの人間!?」

 

「いいんだよ。第一お前さんのご加護、が……?」

 

「あっ……あああっ!」

 

イシュタルに対して改めて通告をしている時だった。先程現れたクラスカードがもう一度輝いたかと思った瞬間、バリバリと金色の光を発しながら金色に変わったのだ。

 

「ウソォ!?」

 

「ほーら!ほらほらっ!見てみなさい!私はできる女神なのよっ!駄女神なんかじゃないわ!」

 

嘘だろっ!?まさかここにきて女神の加護発動かよっ!?しかもクラスはアーチャーの星4以上。まさか、これは――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の中から現れたサーヴァント。小柄な体躯に似合わない大きな水鉄砲を背負い、ガラガラと独特の形をしたバイクを押している。髪の毛を黒のリボンで縛り額にはゴーグル。そして何といってもその幼い身体つきにピッタリなスク水。胸元には彼女の名前が可愛らしく平仮名で書かれている。そう、この彼女こそ――

 

「――エレナ・ブラヴァツキー、鮮やかに霊基を変えてみたわ! やってみると結構できちゃうものね! ……多分、何かの理由がきちんとあると思うのよね。コレ、本当はそう簡単にできるものじゃないでしょう?」

 

「ニャァァァァァァァァフゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

マハトマの探究者。直流と交流の世話役。オレがずっと待ち焦がれていたエレナママその人だった。

 

「マジかマジかよマジですか3段活用!本当にエレナさんだぁぁぁぁぁぁぁ!!いやったぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「そ、そんなに喜んでもらえるなんてなんだか恥ずかしいわね。でも、嬉しいわ。ありがとうマスター」

 

可愛い(断言)

 

「イシュタル様もありがとぉぉぉぉ!!駄女神とか言ってすんません!」

 

「ものすごく熱い手のひら返しを見たわね……。でも、これで私の加護の力を思い知ったでしょ」

 

うんうん!それもマハトマだよね!(意味不明)

 

「ふうふう……」

 

「やっと落ち着いたかしら」

 

「よぉしっ……!やった……!念願のエレナさん……!」

 

「あっ、ダメだわ。全然落ち着いてないわ。アウトプットからインプットになっただけだわ」

 

だってオレがどれだけエレナさんを引き当てようとしてたか分かってる?前はエジソンさん2連チャンに阻まれてからサッパリだったんだぜ?今喜ばずしていつ喜ぶ?

 

「いや、ほんとよく来てくれましたエレナさん。お待ちしてましたよ」

 

「私もよ。貴方に呼ばれるのはいつになるのかずっと待ってたんだから。でもこのクラスで呼ばれるとは思わなかったわ。キャスターのクラスとは違うけど、どうかしら?」

 

最高です(真顔)

 

「これで私の女神力を思い知ったかしら。分かったのならきちんと私を崇めなさい」

 

「うん。本当にありがとうイシュタルさん」

 

「ス、ストレートにお礼言われるとそれはそれで照れるものね」

 

照れ照れと頬を染めるイシュタルさん。それを見ながら母性しか感じない笑みを浮かべるエレナさん。よーし、早速エレナさんの為に種火周回してくるぞー!あとはイシュタルさんのQP稼ぎもしてあげよう。

 

「じゃあ、これからもよろしくね。この私はキャスターの私と比べてちょっぴり我儘だったりするけど貴方の為に頑張るわ」

 

「むしろ我儘ばっち来いって感じですけどね。エレナさんも何か要望があったら言ってくださいね」

 

「要望……そうね。じゃあ今度私と海に行って遊びましょう!この身体の年齢に引っ張られるせいかすごく遊びたいの!」

 

よーし、マスター童心に帰っちゃうぞー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―おまけ―

 

「そういえばエレナさんのバイク変わった形してますよね。どこぞのキングみたいで」

 

「キングというのが誰かは分からないけど結構気に入ってるわよこれ。モノホイールバイクっていうの。速いし色々機能も搭載できるし。ああ、そうね。このカルデアにはバイカーのサーヴァントがいるんでしょう?彼ら彼女らと勝負してみたいわね」

 

「イシュタルさんと金時さんですか?いいですね、ぜひとも見てみたいです」

 

「でしょ?前のレースは支援ありだったわけだし、今回は単独での勝負もしてみたいわね。アーチャーのクラスになって単独行動のスキルもついてるし」

 

「それはあんまり関係ないかと……。うん?エレナさんちょっとお聞きしたいんですがスキルって何をお持ちですか?」

 

「どうしたの急に。えーと『サマーバケーション』、『ニャーフ』、『大佐の夏休み』。あとはクラススキルである『対魔力』と今言った『単独行動』。これくらいかしら」

 

「えっと……それだけですか?」

 

「ええ、これだけね」

 

「『騎乗』スキルは……?」

 

「ないわ」

 

「…………」

 

「なによ、心配しなくてもよくってよ。マハトマの力があればバイクを乗りこなすなんて簡単なんだから」

 

「いやいやいや!危ないでしょう!?駄目ですよ!せめてちゃんと講習を受けてからに――」

 

「さあひとっ走り行ってくるわマスター!ダヴィンチ女史にお願いしてレイシフトしてくる!」

 

「だ、だから駄目ですって!1人じゃ危ないんでせめて金時さんを……!」

 

「ライディングニャーフ!アクセラレーション!いやっほぉぉぉぉ!!」

 

「ちょっ!エ、エレナさぁぁぁん!?話聞いてくださぁぁぁぁい!!」




はい、ということでエレナさんをお迎えすることができました!(デデンっ!)

いやー、待ってましたよエレナママ。まさかキャスターではなくそっちのクラスで来るとは思いませんでしたが良かったです。まあ、全体的に見て石120個使って星4が1体のみという酷い結果ではありますが(笑)

いいの!可愛いからいいの!むしろ水着サーヴァントを引けただけでも勝利なの!(強がり)
スク水にウルトラマンになんかSっ気のある衣装とか反則でしょう。何だこのおばあちゃん。おまけにチーム名といい、途中で出てきた『アクセラレーション』という単語と言い、バイクと言いネタに走りすぎで笑いました。エレナママは決闘者だったのか……!(衝撃)
ちなみに本文の最後のエレナさんのハイテンションは決闘者はデュエルでないと話を聞かないと言うことを暗に示していたり。

さて、次回のお話ですが、現在のFGOの流れから遅れてきているのでもしかしたらピックップを色々飛ばすかもしれません。僕の執筆スピードが遅いという怠惰なところが問題です。本当に申し訳ない。
でも、1つ言わせてください。FGOピックアップといいイベントといい間隔身近過ぎじゃない?そのスピードに合わせるのは無理です……。

というわけで次回の内容はまだ未定です。また1ヶ月ぐらい空いてしまうかもしれませんが気長にお待ちいただけると幸いです。イベントも走らないといけませんしね。

ではでは。また次回お会いしましょう!

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