Fate/Grand Mahabharata 幕間   作:ましまし

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涼しくなってきたからでしょうか?最近番外ネタがよく浮かびます。
ハロウィンネタです。イベントで調子のってたらエリちゃん回収ギリギリになりそう……。



うわー! 予約投稿を失敗してしまったようで、一日遅れとなってしまいました……。


trick or treat ~好奇心はマスターとサーヴァントを殺す~

「ハロウィン……うわ、もうそんな時期ですか」

 

 ハロウィン。ざっくり説明すると仮装して近所の家を周り「trick or treat(お菓子か悪戯か)?」とお菓子を強奪……ではなく貰うイベント。

 お菓子を貰えれば良し、貰えなければ悪戯……まあ常識の範囲内でなら基本何をしても許される日である。

 

「懐か……楽しそうなイベントですね。マスターはその姿は……魔法使い?」

「大体そんな感じかな。それでね、スラクシャ」

「はい?」

「trick or treat?」

 

 両手を差出し、笑顔を見せる玲。

 そんな玲にスラクシャはにっこりと笑い、袋に包まれたドーナツを掌に置いた。

 

「あれ? なんだ、準備してたの?」

「いえ。先日、無性にかぼちゃ入りのドーナツが作りたくなったので、エミヤに手伝ってもらったのです。たくさん作って持ち歩いておけと言われたので」

「かぼちゃ入りって、またピンポイントだね……」

 

 悪戯が出来ると思っていたのだが未遂に終わってしまい、少し不満げな玲だがスラクシャは内心ホッとしていた。

 彼が後ろ手に隠していたヒラヒラしているピンク色のものがさっきから視界をチラついている。それが一体何なのか、彼女は考えないようにした。

 

「しかし悪戯か……。マスター、少し手伝ってもらっても?」

「え、どうしたの?」

「実は前からやってみたいことがありまして」

 

 スラクシャは玲の耳元で何やら囁く。それを聞いた彼は少し考えるようなそぶりを見せ――。

 

「乗った!」

「そういってくれると思いました」

 

 リスクを無視してノることにした。なんだかんだ言っても年頃の男の子。こういう時位ははっちゃける。

 

「っと、その前に何か仮装……」

「あ、じゃあこの帽子使いなよ」

「ありがとうございます。…………怒られるときは一緒です」

「一蓮托生だね。絶対成功させよう」

 

 

 

 

 

 

「「trick or treat?」」

「「…………は?」」

 

 揃って手を差し出すマスターと妹(姉)に「カルデアで面倒くさいサーヴァントTOP5」にセットでランクインしているマハーバーラタの大英雄2人は困惑していた。因みにスラクシャを加えてトリオでカウントすると一気に1位へ躍り出る。

 

「今日はハロウィンだからね」

「お菓子か悪戯か。さあ、兄上、アルジュナ。お菓子を」

 

 マスターはともかく、滅多に見ないほど輝かしい顔をしている姉にアルジュナは思わずカルナに助けを求めるような目を向けたが、当の本人も似たような顔をしていた。

 

 使い物にならない、と舌打ちをする。

 

「申し訳ありませんマスター、姉上。今から食堂に行って……」

「アルジュナはないんだね。カルナは?」

「すまないが、オレも持っていない」

「2人とも持っていないと。これは……」

 

 

「「2人とも悪戯だね/ですね!」」

「「!?」」

 

 本能に従い、咄嗟に霊体化してその場から逃げようとした2人だったが――

 

「令呪を以って命ずる、2人とも霊体化しないで。逃げるのもナシ!」

「なっ!」

「マスター!? こんなことに令呪を使うなど……姉上も何を考えてるんですか!」

「悪戯しようとしてるのに逃げようとするから悪いんです」

「悪戯すると宣言されて逃げないという選択肢はありません!」

「まあまあ。えーと、これどんな構造になってんの? ていうか脱げるの?」

「脱ぐ……?」

「何をする気ですか!?」

 

「ちょっと2人に服を交換してほしくて」

 

「………………は?」

「マスター。令呪でやった方が早いかと」

「それもそうだね。令呪を――」

「待てマスター。回復するとは言え、それは愚かな行為だぞ」

「選択肢は3つですね。

 

1 自分たちで交換する

2 令呪で交換させられる

3 私が脱がして着せる

 

 この3つ」

 

「「1で/だ」」

「「よしっ!」」

 

 

 

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

 

「――――っ!!」

「うわあ……イケメンて何を着てもイケメンなんだね。羨ましい」

「ふっ、ふふっ、っ、げほっ!」

 

 

「何故私がカルナと…………!」

「…………」

 

 例えばカルナ。髪も肌も白い彼がアルジュナの白い服を着ると真っ白すぎて病人か何かに見える。

 アルジュナは褐色の肌に黒い、体に吸い付くような露出の多い服に羞恥と屈辱で顔を赤くさせていた。彼には恩情としてスラクシャがコートを貸しており、それが羞恥に拍車をかけていた。

 

「大丈夫、2人とも似合ってるよ……ふっ」

「っ、くくっ、ふふふふっ」

 

 別に似合わない訳ではないのだが、やってやったという達成感と好奇心を満たせた満足感。そして犬猿の仲のカルナとアルジュナが服を交換しているという状況に戦犯2人は笑いが止まらなった。

 

「…………マスター、スラクシャ」

「はい?」

「ん?」

 

 

「お菓子か悪戯か」

「――! マスター、姉上。お菓子か悪戯か」

 

 

「「…………………あっ」」

 

 笑いから一変、明らかに「やべっ」という顔をする2人。それもそのはず、ここに来るまでにいろんなサーヴァントたちに会ったのでもうお菓子は品切れなのだ。スラクシャが大量に作ったドーナツはまだ食堂の冷蔵庫に眠っているが。

 

「持ってないのなら悪戯だな」

「マスター、先ほど清姫と静謐殿が探しておりました。……あとで姉上と2人で遊んでいたと伝えましょう」

「ちょっ!?」

 

 下手したら命に係わる悪戯(報復)に玲は顔色を青ざめさせる。

 

「スラクシャは後で部屋に来い。……6月の衣装がまだ残っている、着ろ」

「はあ!? まだ残って、ていうか持ってたんですか!?」

 

 とうに捨てたと思っていたがまだ持っていたらしい。玲と違い実害はないが、精神的な何かはガッッツリ削れる。

 

 

 

 

 この2人には二度と悪戯をしないことを誓った主従であった。




ちなみにかぼちゃドーナツは前日に妹がマジで大量に作りました。

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