Fate/Grand Mahabharata 幕間 作:ましまし
おまけに少し下ネタ入ってるので、苦手な人は注意してください。
「嫁をとりに行った!? カルナが!?」
「そこまで驚くような事か?」
兄の姿が見えないので尋ねてみたらドゥリーヨダナによる突然の爆弾。
おいおい。いつの間に嫁さん取ることになったんだよ、俺聞いてないよ?
「まあ、カルナとしては嫁取りというより腕試しと言った方が正しいだろう」
「? どういうことでしょうか?」
曰く、ドラウパディーという女性が婿選びをするらしい。あちらが用意した弓を引くことがドラウパディーをめ、娶る条件だとか。
この時代、それなりに身分がある一族はこういう催しが行われた場合「参加しなけりゃ○○の名が廃る」みたいな雰囲気もあるので参加は確定。誰を参加させるかってなった時に、そういえばカルナ嫁さんいなかったよな。アイツでいいか、という流れになったとか。
その場に居なかった俺が言うのもなんだけどそんな軽いノリで決めたのか。カルナは了承したのか。嫁さんだよ? 人生のパートナーだよ? 慣れたつもりだったけど、ジェネレーションギャップ怖すぎだろ。
しっかし、嫁か。嫁、カルナの。施し体質で一言多すぎたり足りなかったりして周囲に誤解を招き散らしているカルナに。
「そのドラウパディーという女性、兄上の意図を察したうえであの一言多いようで足りない言葉を捉えて、放っておいたらそのうち命まで差し出しかねない度が過ぎた施し精神を諌めることが出来るんでしょうね?」
「まるで姑のようだぞスラクシャ」
……姑!? ハッ、確かに。どこのモンペだ俺は……っていうか姑って。せめて舅にして欲しかった。
「そこまで心配ならお前が教えてやればいいのでは?」
「兄の嫁になるならそれくらい自分でできるような人でないと」
新婚夫婦の橋渡しとかそれなんて拷問? どう考えて邪魔だろ俺。
というか弟……じゃねえや、妹の俺に出来るんだから結婚したら兄妹より長くいる事になる嫁がこのくらいできないとかねえだろ。
それから暫らくしてカルナが帰還した。
「おお! 帰ったか、カルナ!」
「お帰り兄上。……ダメだったようですね」
「ああ。弓は引けたのだがな」
え、引けたの? いやカルナならイケるだろとは思ってたけど、勝ったって感じじゃなかったからてっきり……。
「御者の息子は嫌だそうだ」
「そんな女連れてこなくて正解です」
連れて帰ってきたとしても認めねーよ、そんな女。どんだけ美人だろうが性格ブスならいらん。むしろ追い返す。マジで姑のごとくイビリ倒して追い出す。
「スラクシャ、落ち着け。その殺気をしまえ」
「十分落ち着いてます」
なんかドゥリーヨダナ顔色悪いな、大丈夫か?
しっかし見る目ないな、その姫さん。こんな優良物件嫌がるとか。
「カルナの嫁になる人は私より兄上の事を理解できる人でなければ」
「なるほど。カルナよ、どうやら一生独り身のままのようだ」
「オレは構わん」
因みに勝者はアルジュナだったらしい。パーンダヴァいたんかい! またカルナが余計なことを言って相手を怒らせていないか願うばかりである……無理っぽいけど。
アルジュナが弓を引いた時のドラウパディーは、分かりやすく言うならアイドルファンの様だったとか。むしろアルジュナ以外眼中になかったとか。
それなら最初っからそっちに嫁げよ、と思った俺は悪くない。
でも、まだ暫くはカルナと一緒にいられそうなので結果オーライでもある。
~おまけ~
「ドゥリーヨダナ殿?」
「どうした、眉間にしわが寄っているぞ」
「ああ、カルナにスラクシャか。いやなに、パーンダヴァの5兄弟がドラウパディーと婚姻を結んだと報告が入ってな」
「そうですか。案外時間かかりましたね。アルジュナは意外と奥手なんですかね」
「いや、5兄弟全員で共有することにしたらしい」
「共有?」
「何をですか?」
「妻をだ」
「……………………うわあ。いくら兄弟仲がいいからって、穴兄弟にまでならなくてもぃだだだだだだだ!!」
「喋るな」
「だって本当……いやなんでもないです! 下品なこと言ってすいませんでした!!」
「……ああ、そういうことか。いきなりどうしたのかと思ったぞ」
「(あっぶね、痛みで素が出たわ。……つか、ジェネレーション云々以前に普通に引く)」
「(……身を守るためとはいえ、男装も考え物だな)」
久々に主人公の一人称「俺」になりました。
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