新しい世界で俺は忍者になる!   作:ルーニー

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医療系って結構勉強必要だよね

あ~。なんだろ。なんでこんなにやる気が涌いてこないんだろ。筋トレとかはなんとか続けれてるけどどうしても忍術とか体術のやる気が起きねぇんだよなぁ。おっかしいなぁ。俺趣味でもなんでもはまったやつは結構長続きするタイプだと思ってたのに。

これあれか?飽きたのか?今まで飽きたことない、というか今まで生きてきた中でここまで熱中してたものもなかったかそういや。熱中してても金銭とか移動とかでそこそこ不自由があったからこそ続けれてたのかもしれないのかねぇ。忍者の修行は不自由なくやってこれたし、最近進展もほとんどなくなってきてたから一気に飽きが来たって感じなのかね。

 

う~ん……。まぁ、いいか。どうせまた再燃するだろ。趣味なんてそんなもんだろうし。なんか別のことしようかな。つっても、何しようかねぇ。体を動かすのもいいけど、いっそのこと体を動かさないことやるか?ここ何年か体動かすことばっかりやってきたしなぁ。なにしよ。体を動かさない。仙術?ないない。毎回体動かさないっていうと仙術に頭持ってかれるの何とかした方がいいかな。

 

あ、そうだ。医療について勉強とか始めてみようかな。医療忍術とかやりたいし、やるなら人体のこととか学ぶ必要あるだろうし、なにより自分を治すときに知識なしで治療するのとか怖すぎてできるわけないし。

う~ん。でも、医療って最初はなにを勉強すればいいんだ?化学?生物?ここら辺は絶対にいるだろうけど、でも他に何か必要なことってあるような気がするんだけど、なんだろ。

 

……まぁ、ここで悩んだところで意味はないか。とりあえず医学書とか見てってわからないところを生物とか化学とか読み合わせて勉強していけばいいだろ。でもこれだと時間かかるだろうなぁ。でも生物から勉強したとしても……いやその前に理科の内容すら怪しいから理科の授業のことも勉強しないといけないか。いやでも中学高校の授業内容を勉強できる場所とかあるのか?

……買うのが一番早いんだろうけど、さすがに中学生高校生の理系の教科書とか問題集、あと参考書とかって地味に高いからなぁ。お小遣いもうないから買えないんだよなぁ。他で思いつく図書館とか専門書があって基礎的な部分とかなさそうだしなぁ。

先生とかに借りるか?いやもう捨ててそうだし、そもそも授業取ってない可能性があるのか。う~わどうすっかなぁ。

 

……学校の図書館、には、あったっけ?ないよな確か。探してみるか?でもあそこ広いからなぁ。あそこの検索機能どうだったっけ。使ったことないからわからんからなぁ。

いいや。先に市の図書館行こう。あそこは前に印のことで調べたことあるから検索機能とかわかってる部分あるからまだ調べやすいだろうし。

 

とりあえず、そうだな。重しつけてランニングして行くか。チャクラはなるべく使わずに基礎体力を鍛える方向でいこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市立図書館。満足に体を動かすことができない()にとって、暇をつぶすことのできる数少ない場所でもあって、同時に数少ない友達に会える場所。たまたま同じ場所で本を探していた子と仲良くなって、今日もその子と一緒に本のことで仲良く話をしていた。

 

「でな、この本すごい面白いんさ。良かったら読んでみいひん?」

 

「そうなんだ。それじゃちょっと借りてくるね」

 

私の勧めた本を持って周りに迷惑が掛からない程度に急いで行く。私の勧めた本を楽しみにしてくれているということに、久しく感じてなかった友達とのやり取りを感じてとてもうれしく思う。

足が動かなくなって学校にも行けなくなってかなりの時間が経つ。もう私と遊んでくれる友達もいなくなったのかなぁとちょっと悲しくなってきた頃に仲良くなった友達だから、こういうことでもとてもうれしくなってくる。

 

「……ん?」

 

ふとフラフラしながら中に入ってきた男の子に目がいった。足に中に何かが入った袋を巻き付けて、きつく固定されたウエストポーチにボトルホルダー、そしてその顔は少し前に家に無理やり招いたトレーニング馬鹿の男の子だった。

 

「……えらい走動きずらそうに、というかめっちゃ疲れてへんかあれ」

 

まるで足を引きずるかのような動きに足にケガをしたのかと思ったけど、ベンチに腰を掛けた時に揉み解すように足を触っているのを見るにただ単に疲れているだけだったようだ。

また公園の時みたいなアホなトレーニングでもしとったんかいな。そんな呆れを感じながらそこに向けて車イスを動かす。

 

「なんでそんな疲れとるんや?」

 

「んあ?」

 

疲れている中で後ろから声をかけたせいか、ややダルそうな声色を出しながら頭だけどこっちに向けると、まるで面倒くさいものを見たかのような表情を浮かべた。

 

「げっ。なんでここにいるんだよ豆タヌキ」

 

「誰がタヌキやねん。ええ加減名前で呼んでぇさ」

 

「あーあー聞こえない聞こえない疲労がたまって何も聞こえなーい」

 

まるで聞く気もないといわんばかりにわざとらしい声を出しながら耳をふさいで足をバタつかせてくる。

 

「後であの時みたいにしばいたるからな。覚えときやこのアホ」

 

「止めてくれカカシ。その術は俺に効く」

 

「誰がカカシやねん」

 

よりによって足の動かない私にカカシって、もしかしてケンカを売られているのかとすら思ったが、さすがに身体のことで悪口を言うようなことはしないとは家に招いたときにわかっているからたぶんなにかの漫画とかのキャラクターなんだろう。もしかして流行っているのかな。足が治って学校に行けるようになった時に話せるように調べた方がええのかな。

 

「……あれ。珍しい場所にいるね」

 

今後のことを考えていると、横から友達の声が聞こえてくる。そういえば席から勝手に動いていたからもしかしたら探してくれていたかもしれなかったということを思い出し、動いてごめんと謝ると大丈夫だよ、と笑みを浮かべて返してくれた。

 

「なんだ。いたのか」

 

「どちらかといえばそれは私が言いたいことなんだけど」

 

気の置けないようなやり取りで会話をする2人。運動しかしない男子といかにもなお嬢様が仲良さげに会話をしている様子は、どうもぬぐい切れない違和感を覚えてしまうのは私だけなのだろうか。

 

「……あれ、こいつと知り合いなん?」

 

「うん。クラスメイトなの」

 

クラスメイト。あれ。確か、私と同じ聖祥大附属の学校だったはず。え、もしかしてこいつも聖祥大附属なんか!?あんな馬鹿っぽいことしてるのに!?

 

「それで、なんでここに来たの?何を調べに来たの?最近様子がおかしかったけど、そのことで図書館に来たの?」

 

「ん~?いや、生物とか化学の基礎的な部分を学べる本がないか探しに来たんだけど、少女お前ここに詳しい?」

 

「生物と化学?基礎的な部分を学ぶってことなら、いろんな参考書が置いてあるコーナーにあると思うけど……」

 

「あるのか。んじゃそこに行って探しに行くかぁ」

 

さっきまでのフラフラした様子は見る影もなく、しっかりとした足取りで目的のものがどこにあるのかを探しに行った。

……なんやろ。私もちゃんと勉強しているつもりなんやけど、2人の会話が私が聞いたことないようなことをポンポンしているのを見たら、本当に聖祥大附属なんだということを見せつけられているようで、というかこいつよりも私の方が成績が低いという感じがしてすごく傷つく。

 

「……なぁ、あいつに少女って呼ばれとんの?」

 

「うん。あいつ、何回言っても人の名前を呼ぼうとしないの。私の友達も小娘に運動音痴なんて呼んでくるんだよ?」

 

ひどいと思わない?と困った表情で、同時に諦めたような感じで頭を振りながら言う。なんやろ。人の名前を呼ばないことに何か意味でも見出しとるんか?そんな迷惑しかかけないような意味なんてとっとと捨てるようにせえへんと絶対将来苦労することになるやろ。

 

「……なぁ、どうやったら直すようになるんかな」

 

「……無理だと思う。直そうとしても本人にそういう意思ないから、そこから直していかないと」

 

「……やんなぁ」

 

出会ってからそこまで時間が経ったわけやないけど、今日、というかあいつのことで今までよりももっと仲良くなったと思ったのは、正直あまりうれしいとは思えなかった。

とりあえず、次からはちゃんと名前で呼ぶように何度でも言おうと心から誓ったのだった。

 


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