宮永家の日常   作:るみにゃん

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途中まではバスなどの公共機関で移動できたけど

そこから先は徒歩で数十分の道のり…

誰一人通ることのない歩道は雑草などが生い茂り、獣道となっていた

遮る草などを掻き分けてようやく目的地に辿りつくことができた

中距離くらいの先に見える学校は今時あり得ない古校舎だった

校門の横に書かれた表札「公立・辰道第四小学館」

学校なのにどうして「館」が付くのかと疑問に思う二人だが

校門を潜った先でその真実が明らかになった



第二章 二人を迎えるもの… 前編

校門を潜った二人は道なりを少し進み、玄関前で辺りを見回した。

 

ゆかり「3階建てで5クラスまでありそうですね・・」

 

瑠魅花「たぶん渡り廊下を挟んで北校舎と南校舎の感じね」

 

ゆかり「左側には遊具が設置されたグランドと……古い体育館ですね」

 

右側には花壇や畑と今どき珍しい園芸が置かれていた

遊具自体もどれもが昭和風の物で木の体育館なんて今どき見るだろうか・・・。

 

ゆかり「作りはともかくとして・・やはりに学校は学校じゃないですか」

 

ゆかりは先ほどの表札を思い返して疑問に思った。

 

瑠魅花「いえ・・たぶん、あれがそうじゃないかしら?」

 

そう言いながら瑠魅花は右前方の奥に建っている大きな館を指さした

無数の木が遮ってるために全体までは見えないけど、屋根の部分が辛うじて見えた。

 

ゆかり「離れ・・・?別館でしょうか・・」

 

ゆかりは別館を眺めながら考えていた。

 

瑠魅花「とりあえず、中を見て回りましょう」

 

瑠魅花はそう言いながらゆかりを連れて校舎の中に入ろうとした

しかし、正面玄関は閉ざされていて入ることができなかった

中の様子を見ても下駄箱の所々が開いていて、上靴が無造作に落ちていた。

 

瑠魅花「むぅ・・此処での破損などで何か注意書きとかあるかな?」

 

ゆかり「え・・?依頼書には特に書かれてませんが…何するんです?」

 

瑠魅花に問いかけられたゆかりは依頼書を確認しながら首を傾げた。

 

瑠魅花「こうするのよ・・ファイア!」

 

瑠魅花は玄関に向かって魔法を唱えた

威力を抑えたものの…放った部分は破壊され、ガラス全部が粉々に割れた。

 

ゆかり「・・・・・・・・」

 

ゆかりは唖然としながら破壊された玄関を呆然と眺めていた。

 

瑠魅花「よし!これで侵入できるわね」

 

ゆかり「よしじゃないですよ!何やってるんですか!?」

 

瑠魅花「だって、このままじゃ入れないでしょ?」

 

ゆかり「一応は依頼者の所有物ですよ!?」

 

瑠魅花「どっちみち崩れそうな学校で所有物もなにもないんじゃない?」

 

ゆかりの言ってることを理解してない瑠魅花に対して、ゆかりは顔を手で抑えた

でも、そこが瑠魅花さんの良い所と思いながら少し微笑んだ。

 

 

 

校舎の中に入った二人は下駄箱先の掲示板の前で立ち止まった

そこには古びた紙の連絡所やパンフレットが掲示されていた。

 

ゆかり「るみかさん!このパンフレット昭和の物ですよ!」

 

瑠魅花「これは何かしらありそうね・・ゆかり、依頼書を見せてくれる?」

 

ゆかりは言われるがままに肩掛けバッグから依頼書を取り出して差し出した

依頼内容は・・

 

この度は宮永家様に失礼を承知でお願いしたいことがあります

前々から計画していた新設校の設立につきまして、ある高校の取り壊しを検討してます

建設にあたって、現地にて地盤の確認や設計の下見に来たわけですが…

 

突然の人員による怪我や体調不良による不可思議な出来事に調査は中断

このままでは今の子供達にとっての教育の場が出来ない形となってしまい

至急、調査と原因解決をお願い申し上げます。

 

他は現地の住所と依頼報酬などの備考が書かれていた。

 

ゆかり「見た感じは普通の感じですが・・これらならBくらいが妥当な気が・・・」

 

依頼難易度は分類と状況下によって決められる

それは依頼者が決めたり、公共機関で定めることもできる

ランクは上位から,LLL~C,までとなっている。

 

瑠魅花「討伐ランクはAA・・この程度なら最高でもAまでね」

 

ゆかり「内容を見ても調査ですから・・もしかして勘違いとかも?」

 

瑠魅花「原因解決がついてるから必要によってじゃないかしら?」

   「でも、Lランクとなれば既に普通ではない感じよ」

 

一般人からの依頼でLランクはありえない・・普通でもAAが上限だった

ここまでくると国からの特別依頼じゃない限り、つけられないランクだ。

 

瑠魅花「とりあえず、このまま帰るのももったいないので調査しましょう」

 

ゆかり「了解しました」

 

そう言いながら二人は今いる南校舎から見回りを始めた

昭和時代の設立もあって、床は脆く抜け落ちてる部分が度々あった

一つ一つの教室でも机はカビなど生え、荒れた感じで何処となく寂しさが残っていた。

 

ゆかり「雨の影響もあると思いますが・・少し匂いもきついですね」

 

掃除ロッカーや周囲にはカビ臭い匂いが立ち込めてる所もあった

ゆかりは手で鼻を抑えながら顔を歪ませた。

 

瑠魅花「何時からかはわからないけど・・かなり前から放置されてるからね」

 

そう言いながら瑠魅花は鞄入れの上に置かれた本棚を漁っていた

どの本も今では見かけない年代物の本ばかりが収納されていて

ページも黄ばんでいてカピカピの状態だった。

 

南校舎全体を見回ったけど、これといって目ぼしい情報は何もなかった

重要部分は最後に残しておいたので残りは教員室のみとなった。

 

瑠魅花「保健室か職員室だけになったけど・・どっちから見回る?」

 

瑠魅花はゆかりに問いかけた。

 

ゆかり「んー・・まずは、保健室から回りましょう」

 

頷いた瑠魅花はゆかりと一緒に保健室へ向かった

保健室は二人が侵入した下駄箱から左手のすぐにあった。

 

瑠魅花「ここは結構綺麗なのね・・」

 

他の部屋とは違って保健室の中は腐食などもなく、綺麗に保たれていた。

 

ゆかり「つい最近までだれかが使っていた感じでもありますわね」

 

瑠魅花「もう少し物色してみましょう」

 

瑠魅花達は棚や引き出しなど、保健室の中をくまなく調べ回った

古い書物は変わりないけど、一部新しい本や参考書なども混じっていた

薬品なども最近まで使われた痕跡の物も見つかっていたので二人の疑問が高まった。

 

ゆかり「明らかにおかしいです・・この薬の期限はまだ先ですよ?」

 

瑠魅花「それだけじゃないわ!これを見て」

 

瑠魅花はゆかりを呼ぶと手に持っていた日記帳を見せた

それは施錠された机の引き出しを解除して見つけた物だった

そこに書かれていたのは…

 

 

8月28日

やっと実現できる・・これは人類の革命に相応しい舞台だ

日本各地に存在する野蛮軍…宮永、結月、弦巻、東北、琴葉、紅十字騎士団

この勢力を一掃するための力を私は手にしたのだ!

 

この情報を本国に持ち出さないといけない・・しかし、そうなればこの学校は不要

置いておけば何者かの手によって、この作戦が明らかになってしまう

そうなる前に打開策を講じねばならない・・・

 

これは賭けになるが、宮永家を利用する手はないであろう

実験に使ったあの化け物を封じれるのは宮永家以外・・不可能だ

下手に勘繰られるのも危険だ・・あれを見つけるにしても時間はかかる

 

その間にこの力をどこかに移さなければならない

ばれるのは時間の問題・・宮永家が真実に辿りつく前に早急に対処せねば

 

 

ゆかり「これって・・4日前の話じゃないですか!」

 

瑠魅花「なるほどね・・ぎりぎりまで引き延ばしてそこから時間を稼ぐ魂胆か」

 

ゆかり「どういうことですか?」

 

問いかけるゆかりに対して瑠魅花は答えた。

 

相手はこの計画を前々から考えていて、密かに研究を続けていた

研究が完成すればそれを目的の場所まで運び出す

この学校はその施設であり、用済みとなればここに居る必要はなくなる

 

でも、このまま放置しとくのは危険すぎる・・かといって処分のしようがない

そのために能力者を雇って、こっちが仕事してる間に研究物を移動させる

後始末も行ってくれるから向こうにとっては好都合・・

 

瑠魅花「そのまま自滅してくれれば、更に嬉しいでしょうね」

 

ゆかり「酷い・・私たちはまんまと利用されたのね・・・」

 

ゆかりは悔しさを表情に出しながら両こぶしを握り締めていた。

 

瑠魅花「恐らく・・私達がこうして調査してる間に向こうは実験物を運び出してるわね」

 

ゆかり「それでしたらこんなことしてる場合ではないです!早く止めないと!」

 

瑠魅花「焦らないで!止めるといっても相手が何処にいるのかわからないのよ?」

 

ゆかり「でも!こうしてる間に事態は・・」

 

瑠魅花「落ち着いて!ここに何かの手掛かりがあるはずだわ」

   「闇雲に相手を探すよりも確実よ!」

 

焦るゆかりを瑠魅花は制し、冷静になるように促した

ゆかりも深呼吸しながら興奮を抑えようとした。

 

瑠魅花「職員室に行きましょう・・南校舎で鍵が掛かった部屋もあったし」

 

南校舎には所々に施錠された部屋もあり、開けることができなかった

職員室なら全校舎の鍵が置かれているため、二人はそれを入手しようとした。

 

ゆかり「鍵が掛かってれば壊せばいいのでは?」

 

瑠魅花「あまり魔力を消費するのも良くないわ」

 

昭和風の木造机が並んだ職員室は荒れていた

机には資料が散乱していて、此処は何も手を付けられてないと二人は感じた

お目当ての鍵は鍵置き場に保管されていて、すべての鍵を持ち出した。

 

瑠魅花「まずは理科室から回ってみましょう」

 

ゆかり「実験といえ一番の相場ですわね」

 

理科室は二階にあり、複数あるのか木の表札で「第一理科室」と書かれていた

鍵を使って施錠を解いた二人は中に入った。

 

ゆかるみ「……!」

 

理科室の中に入った瞬間、この世とは思えないほどの妖気と異臭が漂っていた。

 

ゆかり「残留怨念ですか・・?吐き気がしますの・・・」

 

瑠魅花「これはあまりよろしくないわね・・ゆかり、大丈夫?」

 

口に手を抑えながら顔色を悪くしたゆかりに対して、瑠魅花は様子を窺った。

 

ゆかり「大丈夫ですわ・・とりあえず、探索しましょう」

 

気遣う瑠魅花にゆかりは心配かけまいと強気の態度を示した

でも、震えた口調からは無理をしている様子が窺える。

 

瑠魅花「無理はしないでね・・とりあえず、棚の方をお願いするわ」

 

瑠魅花はゆかりに指示し、理科室の中をくまなく探索した

薄暗く重い空気が絶えない理科室・・経験を積んできた瑠魅花に対して

あまり慣れないゆかりは一秒でも早く出たいという思いから焦りを見せていた。

 

瑠魅花「・・・・・ゆかり、貴方は外に出てなさい」

 

ゆかり「な・・何言ってんですか!二人で探したほうが効率いいですよ!」

 

瑠魅花「ゆかりはまだ慣れてない・・無理し過ぎてるわ」

 

調査しながらもゆかりの様子を窺っていた瑠魅花は察していた

ゆかりの顔色がどんどん悪くなるばかりでこのままだと危険と悟ったのだ。

 

ゆかり「無理なんか・・私は大丈夫です!」

 

瑠魅花「私の言うことが聞けないの?これは命令よ!」

 

ゆかり「何ですか!私だって今まで頑張ってきたんです!」

   「るみかさんから見て私はそんなに頼りないんですか!?」

 

瑠魅花はゆかりの身を案じて気遣っていたけど、ゆかりにはそれが苦痛でしかなかった

いつも守られてばかりで何もできない自分が許せず

少しでも役に立ちたいと・・その思いだけで今まで頑張ってきたのだった。

 

瑠魅花「ゆかり!私は貴方のことを頼りないと思ったことないよ・・わたs…」

 

ゆかり「今でもそうじゃないですか!私が気になって集中できないんでしょ!?」

 

瑠魅花「ゆかり・・・」

 

ゆかり「そんなに邪魔だったらいいですよ!私は私で探索しますから!」

 

瑠魅花「ゆかり!待ちなさい!」

 

ゆかりはそのまま理科室を飛び出していった

瑠魅花の呼び掛けも聞かず、その表情には涙が浮かんでいた。

 

瑠魅花「まずいわね・・今のゆかりはかなりまいってる・・・」

   「このまま放置するのは危ないわ!」

 

瑠魅花は感じていた・・この部屋の空気は普通ではないことに

ゆかりを心配してたのは体調のことではなく、ゆかりを取り巻く妖気だった

調査の時もゆかりから離れない妖気が気がかりで打開策を考えていた。

 

瑠魅花「ちゃんと説明すればよかった・・ゆかり・・・!」

 

瑠魅花は南校舎をくまなく探し回った

しかし、ゆかりの姿はどこにもなく不安ばかりが込み上げてきた。

 

 

 

ゆかり「るみかさんのばか・・!そんなに私は頼りないですか・・・?」

 

ゆかりは零れる涙を拭いながら廊下を歩いていた

自分も少しは強くなったと思ってたけど、瑠魅花に認めて貰えなかったことに落ち込んでいた。

 

ゆかり「外は暗いですね・・今日は帰れそうにないでしょうか・・・?」

 

窓の外は既に日が沈んでいて真っ暗な闇が広がっていた

携帯の時計を見ても7時過ぎを指していた。

 

ゆかり「瑠魅花さん・・急に飛び出したけど、ここは何処かしら?」

 

闇雲に走り回ったゆかりは今いる場所を学校の案内図で確認した

気が付かないうちに北校舎の2階に来ていたのだった

薄暗い廊下は不気味なほど静かで少しだけ恐怖心がした。

 

ゆかり「早くるみかさんと合流しないと・・」

 

一人で探索したことがないゆかりは今の状況に孤独と不安を感じていた

渡り廊下を見つけ、南校舎に戻ろうとしたとき…

 

「お姉ちゃん・・私と一緒に遊びましょ・・・・?」

 

何処からともなく少女の声が聞こえた、慌てて振り向いたゆかりが見た物は…

ボロボロになった白いワンピースに顔が見えないほど伸びた髪の毛の少女だった

露出された肌は痣や傷で埋め尽くされ、不気味に笑う口は裂けてるように引きつっていた。

 

ゆかり「あ・・ああ・・・!」

 

恐怖で声すらも出せないゆかりはその姿を見て呆然としていた

月明りで照らされる少女はこの世の物とは思えない姿でゆっくりと歩み寄って来る。

 

ゆかり「きゃああああああああ!」

 

ゆかりは咄嗟に悲鳴を上げてその場から逃げた。

 

瑠魅花「ゆかり!?」

 

南校舎をくまなく探し回っていた瑠魅花はゆかりの悲鳴に思わず呟いた

瑠魅花はすぐに駆けつけるために声が聞こえた北校舎に向かった。

 

少女「どうして逃げるの・・?私と遊びましょうよ」

 

ゆかり「いや!来ないで!」

 

不気味に微笑みながら追いかける少女に対してゆかりはとにかく走り続けた

相手は歩いてるのに距離が離れることなく、段々と近づいて来てるように思えた。

 

瑠魅花「ゆかり!ゆかり何処に居るの!?」

 

北校舎に着いた瑠魅花は叫びながらゆかりを探した

しかし、どんなに叫んでもゆかりの姿はなく、同じ校舎なのに足音も聞こえなかった。

 

瑠魅花「おかしいわ・・今の悲鳴は何かに襲われてる感じだった」

   「でも、何もないほどに静かすぎるわ・・・」

 

周りを見渡す瑠魅花は今の状況に疑問を感じながら考えた

もしかしたら、ゆかりは別の次元に閉じ込められた・・

それだったらどんなに探しても見つからない

 

考えた瑠魅花はその次元を見つけるべく、詠唱を唱えた。

 

我は命ずる・・現世に住み着く次元の精霊よ

 

我を偽りの空間へといざないたまえ!

 

瑠魅花「時空転移!」

 

詠唱を唱えた瑠魅花の周りを光が包み込みその場から消えた

再び現れたのは先ほどとは変わらない場所だけど、そこは元居た場所とは違った。

 

ゆかり「いやああああ!来ないで!」

 

ゆかりの叫び声が聞こえた

瑠魅花は急いで叫び声の方向へと駆けていった。

 

少女「ふふふ・・どうして逃げるの?」

 

追い込まれたゆかりは必死で後ずさるも後ろが行き止まりになっていて逃げれなかった

少女はただ不気味に微笑みながらゆかりに近づいていった

まるで怯える姿を楽しんでるように思えた。

 

ゆかり「お願い・・来ないで!あっちに行って・・!」

 

少女「お姉ちゃんはね・・私と一緒に遊ぶの」

  「もう元の世界に戻ることはできないの・・・ふふふ」

 

どんどん歩み寄る少女は人一人分の距離まで詰めていた

そして、片腕を伸ばし、ゆかりに触れようとした。

 

ゆかり「いや・・いやああああああ!」

 

瑠魅花「悪しき悪霊・・私のゆかりに手を出すな!」

 

その瞬間、何処からともなく瑠魅花の声が響いた

少女は声の方向へ振り向こうとした瞬間、その周りを青い炎が包み込んだ。

 

少女「ああああああ!」

 

炎に包まれた少女は悲鳴を上げながらその場から消えた

その向こうに瑠魅花の姿があった

瑠魅花は急いでゆかりの下へ駆け寄り、その身を案じた。

 

瑠魅花「ゆかり!大丈夫!?」

 

ゆかりを支えながら呼びかける瑠魅花の声

今までゆかりを襲っていた恐怖が一気に解け、温もりがゆかりを包む。

 

ゆかり「るみかさん・・怖かったです・・・すごく・・!」

 

ゆかりは泣きながら瑠魅花にしがみついた

瑠魅花もそんなゆかりを優しく抱きながら安心させた。

 

瑠魅花「ごめんね・・私、貴方のことちゃんとわかってあげられなかった」

 

ゆかり「私の方こそ・・るみかさんに迷惑かけてばかりで・・・今回も・・!」

 

瑠魅花「そんなことないよ・・?今回は悲しみと恨みが渦巻いていた」

   「この学校は普通じゃない・・急がないと大変なことになる」

 

今でも至る所から憎悪の気や憑りつく機会を窺っていた

昼間の時はその力も弱まっていたけど、夜になった今は強大に増していた。

 

瑠魅花「ゆかり!これからは絶対に私から離れちゃだめだからね?」

 

ゆかり「はい・・私の方こそるみかさんと離れたくありません!」

 

そう言いながら瑠魅花の手を掴む、その手は少し震えていた

表情を見ても最初の時とは一変して不安でいっぱいの顔だった

瑠魅花はゆかりの頭を撫でながら微笑み、少しでも安心させた。

 

二人はその場を立ち上がると元の次元に移動し、北校舎の探索を始めた

しかし、ある程度見て回っても目ぼしい手掛かりはなく、二人は途方に暮れていた。

 

ゆかり「なかなか見つかりませんね・・どうしましょうか?」

 

瑠魅花「うん、この学校って校長室は北校舎にあるのね・・珍しい」

 

ゆかり「言われてみればそうですね・・でも、なかにはあるのでは?」

 

瑠魅花「そうだけど・・とりあえず、調べてみましょう」

 

少し考えていた瑠魅花はゆかりを連れて校長室に向かった

この学校の校長室は北校舎の3階だった。




突如ゆかりを襲った謎の少女

昼間には感じられなかった悪霊の気配

表向きは普通の廃校だったけど、夜になり裏の世界が二人を襲う

疑問が疑問を重ねつつ、二人は校長室に向かった

この学校で行われて来た事・・

その真実に辿りつくべく、二人は可能性を信じて校長室の扉を開けた


第二章 前編 終

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