レナの兄貴に転生しました【完結】   作:でってゆー

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お疲れ様です。

久しぶりの投稿だというのに暖かく迎えて下さってありがとうございます。
これから頑張っていくので宜しくお願い致します。
また誤字脱字を指摘下さった皆様、ありがとうございます。
自分で思いますが、誤字脱字がひどいですね。
一応見直しはしているのですが、まったく気づきませんでした。
暇を見つけて訂正していきますのでご容赦を。

また、これにて暇つぶし編は終了になります。

次話は明日の19時に投稿予定です。




暇潰し編 結

目が覚めて一番最初に飛び込んできた景色は、病室のライトではなく、妹たちの泣き顔だった。

 

「お兄ちゃん!!?お兄ちゃんが起きた!起きたよ!!うえぇぇん!!!」

 

大粒の涙を流しながら俺に抱きついてくる礼奈。

うぐぁぁ!!怪我した頭の傷に響くぅぅぅ!!!

 

「もう・・・・本当に心配したんだからね!!」

「本当によかった、もしかしたらもうお兄ちゃんの目が覚めないんじゃないかって」

 

礼奈と同じように涙を溢れさせて俺に抱き着いてくる魅音と詩音。

待って!心配してくれるのはすごく嬉しいんだけど、頭に響くから揺らさないでぇぇぇぇ!!

 

「灯火・・・・気が付いて本当によかったのです」

 

「梨花ちゃんも来てくれたのか、心配かけて悪かったな」

 

「本当にそうよ・・・あなたがいなくなったら私は・・私は・・・」

 

涙声で溢れる涙をぬぐっている梨花ちゃんの頭をそっとなでる。

この中で梨花ちゃんがもっとも俺がやってきたことを理解している。

だからこそ、もっとも心配してくれていたのだろう。

 

「あうあうあう!!灯火の目が覚めたのです!!よかったのですよー!!」

 

その声に反応して上を見上げれば、空中で大泣きしながらフワフワと浮いている羽入が目に入った。

 

みんなが来てくれてたのは嬉しいんだが、あれからどうなったのか確認がしたい。

 

小屋で誘拐犯の一人に人質として捕らわれてしまったけれど、赤坂さんが一瞬の隙をついて誘拐犯をぶっ飛ばし、俺を助けてくれたのまでは覚えてる。

 

その後、気絶してしまったのか記憶はそこで途切れてしまっている。

 

「そうだ!!葛西は!魅音詩音!!葛西の容態は!?」

 

「大丈夫だよ、撃たれた弾も綺麗に貫通してたみたいで命に別状はないってさ」

 

「葛西は丈夫なので心配無用だよ、それよりお兄ちゃんは自分のことを心配して!」

 

「そっか・・・・よかった」

 

俺のせいで命を落としたなんてことになればどう詫びればいいかわからなかった。

葛西の方はこれで大丈夫、残る問題は。

 

「灯火君!よかった、気が付いたようだね!」

 

「んっふっふっふ、ご無事なようで何よりですよ灯火さん」

 

これからのことに考えをめぐらせていると、大石さんと赤坂さんが俺の病室の扉を開けて入ってきた。

2人の様子を見れば特に怪我をしている様子はなく、こちらを見て安心したように息を吐いている。

 

「・・・・警察、今お兄ちゃんは怪我して休んでるんだから邪魔しないで」

 

2人の登場に魅音は冷たい目と声で応える。

 

詩音も同じで無言のまま2人を強い怒りを宿した目で睨み付けている。

2人はある程度、俺が今まで何をしていたのかを知っているのだろう。

 

だからやってきた警察を2人は歓迎することはない。

 

それ以前に今までダム建造阻止運動の時に警察に何回もお世話になっているのだ。好きになれるわけがない。

 

特に大石さんと魅音、詩音の仲は最悪だ。

 

「魅音、詩音・・・・俺は大丈夫だ、ありがとうな」

 

俺を守るように2人を睨みつける姉妹の頭をなでる。

俺の声に姉妹は納得していないが、ひとまず2人への絶対零度の視線をやめてくれる。

 

「みんな、俺とこの二人の三人だけで話したい、悪いけど席を外してくれ」

 

「・・・・うん、わかった。みんな、行こう」

 

俺の視線で大事な用だと察してくれた魅音がみんなを連れて病室を出る。

 

礼奈と梨花ちゃんは俺を心配そうに見ながらもおとなしく従ってくれる。

 

魅音と詩音も、大石さんと赤坂さんに殺しそうなほどの鋭い視線を浴びせながら退出していく。

 

今はしょうがないけど、いずれ魅音と詩音の警察嫌いをなんとかしないとな。

 

「気を使っていただいてありがとうございます、私は魅音さんと詩音さんに嫌われてしまってますからねぇ」

 

苦笑いを浮かべながらこちらにお礼を言う大石さん。

あの二人の睨みに苦笑いで終われるこの人の度胸も相当なもんだ。

 

「いえ、俺も三人でゆっくりと話したかったので」

 

まぁ正確には四人だけどな!俺の上空でフワフワと浮いてる羽入の姿を2人は見ることは出来ない。

 

だからいても問題はないのだが、これは梨花ちゃんの指示か?あとで羽入から話した内容を聞くつもりなのだろう。

 

「灯火君・・・・まずは君に謝罪を。僕のせいで君に大怪我をさせてしまった、本当に申し訳ない!」

 

そう言って本当に申し訳なさそうに俺に頭を下げる赤坂さん。

 

・・・・あの時の赤坂さんはどう見ても冷静じゃなかったように見えた。

 

疑心暗鬼による冷静さの欠如はひぐらしの世界では十八番だが、あのタイミングで赤坂さんがああなると思わなかった。これが運命の強制力というやつか、運命め、やってくれる。

 

「気にしないでください、それよりもあの後どうなったのか教えてもらってもいいですか?」

 

赤坂さんの謝罪を簡単に受け、俺が気絶してしまった後の話を聞く。

 

大臣の孫である寿樹君はあの後やってきた警察の仲間に保護され、安全な場所にいるようだ。

 

赤坂さんが吹き飛ばした誘拐犯は捕まることなく逃走し、今も捕まっていないらしい。

 

もう1人に関しては重症で意識はないが、命に別状はないらしく警察の監視の元、病室のベッドの上にいるようだ。

 

確保した男が目を覚まし、事情聴取を行えば今回の事件の詳細がわかるだろうと赤坂さんが語る。

 

病院で寝ている男はこの世界において梨花ちゃんを殺す死神の一人だ。

 

その男が目を覚まし、素直に真実を吐くとは思えないが、今回の件で警察を完全に敵に回したのだ。

 

これで彼らも多少は動きづらくなるだろう、小さくても未来への戦いへの布石になればそれでいい。

 

赤坂さんの話が終わった後は、こちらが質問をされる番だった。

 

どうしてあの場所にいたのか、今回の事件についてどこまで知っているのか、自分のことをなぜ知っていたのかとどんどん遠慮のない質問が飛んでくる。

 

赤坂さんの怒涛の質問に頬をひくつかせながら回答を誤魔化しながら対応する。

 

ていうか赤坂さんの話を聞いていると俺の認識との食い違いがひどい。

 

赤坂さんは俺のことを完全に悪の親玉かなにかと勘違いしている。

 

俺の回答にも完全に納得はしていないようだし、どうしてこうなってしまったのかさっぱりわからない。

 

とりあえず、今回の事件に関しては園崎家は関係なく、俺や葛西については巻き込まれた被害者ということになりそうだという話をもらった。

 

まぁ銃を持っていたとか、いろいろ問題はあるけれどそこらへんは園崎家が警察とうまくかけあってくれるだろう。

 

「・・・・赤坂さんはこれからどうするの?」

 

話が一段落したところで、この事件の本命とも言える話題を切り出す。

 

俺が危険を冒してまで大臣の孫の救出に向かったのも、すべては赤坂さんの妻の死という運命を回避するために行った行動だ。

そのためには赤坂さんにはすぐにでも東京に帰ってもらわなければならない。

 

「ああ、事件の詳細を調べて報告しないといけないからね、もう少しの間はこっちにいるよ」

 

「・・・・早く東京に帰った方がいいと思うよ」

 

赤坂さんの発言を聞いて思わずそう口にする。

 

原作とは違い、赤坂さんに怪我がないためか東京に帰らずにここにとどまることになってしまったようだ。

 

「・・・・・どうして東京に帰ったほうがいいか教えてくれ。その言葉、梨花ちゃんにも言われたんだ」

 

俺の言葉を聞いて神妙な顔でそう口にする赤坂さん。

 

梨花ちゃんからは事前に説得に失敗したという話は聞いている。

赤坂さんには一刻も早く東京に帰ってもらわなければならないのだ。

 

「・・・・さっきなんで俺が赤坂さんについて知ってるのか疑問に思ってたよね、それは園崎の人たちが話しているのを聞いたからなんだ。聞いた感じ、けっこうな詳細まで把握されてたよ」

 

回ってくれ俺の口先!圭一のようにうまく出来ないなんて言ってられない。

 

今この瞬間だけは、うまく言葉を繋げなくてはならない。

そうでなければ全部が水の泡だ。

 

「たぶん、警察の中か、その関係者に知り合いがいるんじゃないかな?赤坂さんの名前はもちろん、経歴や出身地までわかってたよ・・・・奥さんが妊婦だってこともね」

 

「っ!?雪絵のことまで知られていたのか!?」

 

もちろん嘘だ、俺はそんなこと聞いていないし、園崎家の人たちだってそこまでの詳細は知らないはずだ。

 

「園崎家の会議の時にその話が出てさ、物騒な雰囲気でどうするかなんて話をしてたから慌てて止めたんだよ」

 

「そ、そうか・・・・あの時の話はそういうことだったのか、ありがとう灯火君」

 

「まだお礼は早いよ。それで終わればよかったけど、今回の事件で俺が怪我したのがまずかったね。ないとは思いたいけど、逃げた犯人への八つ当たりで赤坂さん・・・・もしかしたら奥さんにまで被害がいく可能性がないとは限らない」

 

赤坂さんはどういう経緯でそうなったのか、園崎家(俺含む)に過剰なまでの恐怖を覚えているようだ。

 

ならばそれを利用して東京に帰らせてしまえばいい。

園崎のみんなには悪いけど、俺は実際やっても全然おかしくないと思ってるからな!

 

「っ!?ごめん、少し席を外させてもらうよ!」

 

俺の話を聞いて、青ざめた顔になった赤坂さんが病室から飛び出るように出ていく。

きっと電話で奥さんの様子を確認しにいったのだろう。

 

・・・・これで赤坂さんは東京に帰るはずだ。

 

奥さんは今も無事であるかは赤坂さんの電話でわかる。

 

俺が施した保険がうまくいっているのなら大丈夫なはずだ。

 

だが、それも完璧とは到底言えない、運命という強い強制力がどこまで強いものなのかわからないのだ。

 

「んっふっふっふ、灯火さん、あんなこと言って大丈夫なんですか?あなた、園崎家側の人間でしょうに」

 

俺が結末を見届けるためにベッドから起き上がっていると、横から大石さんの声が届く。

 

「赤坂さんには助けてもらいましたからね、そのお礼ですよ」

 

「・・・・そうですか、では私からもお礼を。事件の報告の際には可能な限りあなた方に迷惑をおかけしないように頑張りますよ」

 

 

あ、それはマジで頼みます。

 

大石さんからの頼もしい言葉に喜びながら病室の扉を開く。

運命の瞬間は、もう目の前だ。

 

 

 

三人の話が終わるのを廊下で待っていた時、勢いよく病室の扉が開いたと思えば、青ざめた様子の赤坂が廊下へと飛び出していくのが見えた。

 

廊下に出た赤坂は一瞬、こちらを見て顔を歪め、そのまま階段を下りていく。

 

あのただならぬ様子の赤坂、きっと灯火が赤坂に何かを言ったのだろう。

 

「羽入!中で何があったのか教えなさい!」

 

病室の扉をすり抜けて私の前に現れた羽入に中で起こったことを問いただす。

 

「灯火が赤坂に園崎家を脅しに、奥さんに危険が迫っていると伝えたのです!それを聞いた赤坂が飛び出していったのですよ!!」

 

「っ!?そういうことね!急いで追うわよ羽入!」

 

「はいなのです!」

 

階段を下りて行った赤坂を追いかける。

この後訪れるであろう運命に泣きそうになるのを必死に抑えながら。

 

 

 

「梨花!赤坂がいたのですよ!!」

 

「っ!?」

 

羽入の指さしたほうを見れば病院の電話の前に立ち、受話器に耳に当てている姿だった。

 

「くっ・・・・なかなか繋がらない!」

 

焦った様子で受話器を耳に当てる赤坂に近づく。

 

ああ・・・・このまま電話が繋がらないでほしい。

 

灯火は頑張ってくれたが、赤坂が東京に帰るべきタイミングはもう過ぎてしまっている。

 

誘拐された大臣の孫を救出し、すぐに帰っていればよかったのだが、灯火たちを病院へと送り、その後も事件の詳細を仲間に報告しなければならなかったせいで東京へ帰れるタイミングを失ってしまったのだ。

 

ゆえに赤坂の妻は赤坂の無事を願うため、日課である祈りを屋上でするために階段を上がり、階段の整備不足が原因で足を滑らせて亡くなってしまう。

 

赤坂がここにいる時点でもう運命は決まってしまっているのだ。

 

「くそ、はやく繋がってくれ・・・・っ!よかった、繋がった!」

 

「っ!?」

 

もうダメだ。

これから赤坂が知ることになる運命に思わず目を背けてしまう。

 

「すいません、赤坂と申します!そちらの病院に妻の赤坂雪絵という女性がいるかと思いますが、すぐに彼女に繋いでください!お願いします!」

 

必死な様子で奥さんへの通話をお願いする赤坂。

 

以前までの私は赤坂に奥さんが亡くなったという事実を知らせたくなくて、少しでも知るのを遅くさせようと病院はもちろん、町にある公衆電話の電線を全て切って回った。

 

それでも結局は、大石からその事実を伝えられてしまい、彼は絶望してしまう。

 

いやだ、もう絶望する彼を見たくない!

 

何度も見て、目に焼き付いてしまった絶望する彼の姿が脳裏に浮かび、無意識にぎゅっと目を閉じる。

そして固く目を閉じた私の耳に。

 

「雪絵!!はぁ、よかった。繋がった!そっちは大丈夫か!?何も変なこととか起きてないか!?」

 

赤坂の安心した声が聞こえる・・・・え、電話が繋がった・・・・?

 

「う、うそ・・・・生きてる・・・・どうして?」

 

赤坂さんの声が耳に入ってくる。相手は赤坂の奥さん、今の時間には死んでいるか、手術の最中であるはずの女性。そんな彼女が何事もないかのように赤坂と会話をしている。

 

「よかった・・・・うまくいったみたいだな」

 

私の後ろから安心したように息を吐きながらそんな声が漏れる。

慌てて後ろを振り向くと、予想通り、この状況を作り上げたであろう男、灯火の姿があった。

 

「灯火!一体どういう手品を使ったのよ!説明しなさい!」

 

「別に手品なんて使ってないさ、赤坂さんの奥さんが死ぬ原因は屋上の階段からの転落死だろ?だったら原因である屋上へ行かせなければいい話だ」

 

私の質問に得意げな表情でそう答える灯火。

続く彼の説明は、私を放心状態にさせるには十分な内容だった。

 

灯火は園崎家の関係者が東京にいることは知っていた。

 

そしてその人に産婦人科のある全ての病院の電話番号を教えてもらったようだ。

 

その後はその電話番号に電話して赤坂さんの奥さんがいる病院に当たるまでかけまくったらしい。

 

「赤坂さんの奥さんの名前は梨花ちゃんに教えてもらってたし、この時代は個人情報に対してそこまで厳しくないから聞けばすぐ教えてもらえてな。俺が子供だからってのもあるだろうけど」

 

まぁもちろん全部の病院で教えてもらえたわけじゃないし、同姓同名の人だって何人かいたけどなと説明を付け加える灯火。

 

「あとは名前があった病院と教えてくれなかった病院に、屋上への階段を通行禁止にするように呼び掛けただけさ。階段にガタがきてて危ないとか適当に理由をつけてな!これに関しては子供の俺が言っただけじゃあ弱いと思ったからさ、葛西に凄んでもらいながらお願いした!いや~その時の葛西の凄みが迫力あってさ!電話口の人が涙目で言う通りにしてたのが簡単に想像できたぜ!」

 

「なっ!?私の知らないところでそんなことしてたの!?」

 

灯火の説明を聞いて口を荒げる。そのことを教えてくれていれば、もっと落ち着いた思いでいられたというのに!

 

「いや~ごめん!びっくりさせたくてついもったいぶってたら言うタイミングがなくなっててさ」

 

はっはっはと笑う灯火の足に蹴りをいれる。あとで覚えときなさいよ!

 

「まぁ・・・・そうは言ったけど、実際に通行禁止にしてくれるかはわからなかったし、電話した病院の中に赤坂さんの奥さんがいる病院が本当にあったかも確証はなかった。見た限り上手くいったみたいだけど、正直運がよかったとしか言えないな」

 

私の蹴りを受けながら真面目な表情で語る言葉を聞き、確かにと納得する。

灯火の言った可能性も大いにあったと思う。だからこそ灯火はこれを保険にして、確実に事故を防ぐことが出来る赤坂の東京への帰還を優先して行っていたのだろう。

 

 

「ああ、わかった。俺もすぐにそっちに帰るから安心してくれ。俺が戻るまで出来る限り病室から出ないようにしてくれ・・・・ああ、気を付けて帰るよ、じゃあまたあとで」

 

灯火からの説明を聞き終えた時、タイミングよく赤坂のほうも話し終わったようで、通話を終えて受話器を元の場所に戻している姿が見えた。

 

「あ、梨花ちゃんに灯火君。ちょうどよかったよ。改めてお礼を言わせてくれ。梨花ちゃんの警告の意味は灯火君に教えてもらった。ありがとう。このことを僕に伝えることは君たちにとっても危険なはずなのに・・・・」

 

通話を終えた赤坂が申し訳なさそうに私たちにお礼を言う。

羽入から聞いた園崎家を脅しに使ったと言っていた件だろう。どういう伝え方をしたのかは後でみっちり聞きだすとしよう。

 

「気にしないでよ、それより早く奥さんのところに行ったほうがいい。俺の方でもなんとかするけど、用心に越したことはないからね」

 

「ああ、そうさせてもらうよ。大石さんには悪いけれど後のことは頼もう。梨花ちゃんに灯火君、君たちには落ち着いたら改めてお礼を言いに来るよ!」

 

「・・・・約束なのですよ」

 

「ああ、約束だ」

 

赤坂が膝を折って私と視線を合わせながらそう口にする。

 

またここに来てくれると赤坂が言ってくれた。

 

いくら助けを求めても、二度と雛見沢に来てくれることがなかった彼が、もう一度来てくれると言ってくれた。

 

ただの口約束だけれど、心が温まるのを感じた。

 

「灯火君もありがとう。僕は君を勘違いしてしまっていた、そしてそのせいで君に怪我を負わせてしまった・・・・この償いは必ずするよ、今度会う時に必ず」

 

「うん、期待してる」

 

「ああ、期待をしていてくれ。じゃあ僕は大石さんのところに向かうよ。灯火君もはやく病室に戻ったほうがいい」

 

そう言いながら大石さんの元へと向かう赤坂。

きっと大石さんに後は頼んですぐにでも東京に帰るつもりなのだろう。

 

「また来るか・・・・いつになるんでしょうね」

 

無事子供の出産が終わったとしても、赤坂には仕事があるのだ。

 

仕事の合間にこんな遠くの田舎にくるのは難しいはずだ。

ダム反対運動だってまだ続いている、少なくともこれが落ち着くまでは難しいだろう。

 

「まぁ、気長に待とう、それより梨花ちゃん」

 

「なに?」

 

「ハイタッチ」

 

灯火は笑みを浮かべながら私に掌を見せる。

私はそれを見て同じように笑みを見せて彼の手に自分の手を重ねる。

 

私達の手から鳴った気持ちの良い音が、室内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




園崎家はどうやって大臣の孫が誘拐された情報と赤坂がくるって情報を知ったのだろう?

私が描写シーンを知らないだけで鷹野達がわざと情報を園崎に流していたのかもしれませんが、本作では園崎家の関係者が警察の重役にいるということで!

園崎には有名な弁護士になってる人もいるんだから、警察へのパイプを作るために潜り込んでても不思議ではないはず!

赤坂の移動は灯火が園崎家にお願いしました。
灯火に怪我を負わした関係で怒る園崎の面々を灯火がうまく誘導しました。

赤坂は雛見沢の近くの警察署に移動しますが、大石と同じところではありません。
赤坂の部署は特殊なため、大石の警察署ではなく、もう少し離れた場所にある大きな警察署へ移動することになります。

少し距離はありますが、東京と比べたら全然近いです。

また明日読んでいただければ幸いです。


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