レナの兄貴に転生しました【完結】   作:でってゆー

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悟史 沙都子

「やばいやばい!夢中になりすぎた!」

 

梨花ちゃん、羽入と3人で遊ぶのが楽しすぎて時間を忘れていた。

 

古手家をあとにして全力で集合場所に向かって走る。

集合時間までもう時間がない!

 

「・・・・ギリギリセーフ!」

 

「アウト」

 

俺が全力で走った影響で地面を見ながら肩で呼吸をして息を整えていると、前方から聞き慣れた少年の声が聞こえた。

 

「少しぐらいおまけしろよ」

 

「あはは、冗談だよ」

 

そう言って俺に笑いかけてくる少年。黄色の髪に華奢な体、将来美少年確定の憎き男 悟史だ。

いやまぁ、俺もイケメンだし?悔しくなんてないけど!

その後ろではその妹の沙都子がいた。

 

こいつもこいつで礼奈や梨花ちゃんに負けず劣らずの可愛らしい容姿をしている。

性格はまったく可愛くないが。

 

「灯火さん遅いですわよ!」

 

沙都子は俺の方を向いて怒った顔をする。

 

「悪い悪い」

 

俺が苦笑いをしながら謝罪する。

遅刻なんて割としてるから今更だ。

 

「軽い、というか誠意が足りませんわ!」

 

「はいはい、悪かったって」

 

吉澤悟史と吉澤沙都子、2人とは1年前に知り合った。

 

暗い顔をして歩いている悟史を見つけて声をかけたのがきっかけだ。

 

この時点の悟史たちは再婚したばかりで新しい父とうまく馴染めずにかなりのストレスを感じていたようだ。

 

なので暗い顔の悟史を遊びに無理やり連れ出し泥だらけになるまで遊び尽くした。

 

最初は俺に無理やり付き合わされて戸惑っていたけれど、最後の方には本当に楽しそうに笑いながら遊びに付き合ってくれた。

 

それから悟史と遊ぶようになり今ではお互いに冗談を言い合えるくらいに仲良くなれた自信がある。

 

そして沙都子だが、ある時悟史が妹も連れて来たいっと言い出したので喜んで了承すると、次の日に悟史の袖を掴んでこちらを睨みつける沙都子がやってきた。

 

最初はお前は私の敵だと言わんばかりに嫌われてしまっていた。

 

にーにーをとったのはお前か!っと言わんばかりに睨みつけてくるんだもん。

 

だがこの世界で生きていくと覚悟した俺はその程度では止まるつもりない。

 

原作知識によって沙都子が好きそうなことの目星をつけていた俺は沙都子が興味を持つであろう遊びを提案し続けて沙都子と遊びまくった。

 

一緒にトラップを作りそのトラップを近所のおっさんに仕掛けて爆笑したりした。

 

そのあと2人しておっさんに拳骨をもらったのもいい思い出だ。

 

ちなみに沙都子は最初普通の口調だったのだが、原作知識によって違和感を覚えた俺がお嬢様口調を覚えさせた。

 

最初は仲良くなるための遊びの1つとして提案しただけだったのだが、沙都子は気に入ったのか普段からお嬢様口調を使い始めた。

 

このくらい子供だったらお嬢様口調は大人びて?見えるのかもしれない。

俺的にはこっちのほうがしっくりくるから嬉しいのだが。

 

「それで?今日はどうするの?」

 

悟史がそう聞いてきたので考える。

 

「野球はこの前したしな」

 

「だったらトラップですわね!」

 

沙都子が目を輝かせながら言う。

 

「昨日仕掛けておっさんの拳骨を食らったばかりだろ」

 

目を輝かせている沙都子の頭にチョップを入れる。

 

「あう」

 

コツンっという音が沙都子の頭から響き沙都子は涙目で頭を押さえている。

 

「じゃあどうすんですの!?」

 

ガー!と歯をむき出していってくる沙都子をなだめながら考える。

 

「んーとりあえず秘密基地に行こうぜ」

 

「わかった」

 

「賛成ですわ!」

 

2人とも賛成のようなので俺たちは秘密基地がある場所、雛見沢の奥の方にある森を目指して歩き出した。

 

「毎度のことながらなんでこんなとこに作ったんだろう」

 

「灯火が作ったんじゃないか」

 

生い茂る雑草をかき分け森の中を歩くこと20分。ようやく目的の場所に到着した。

 

その場所だけが綺麗に雑草が刈られておりその場所の真ん中に多くのツルが絡み合って作られたドーム状の部屋が存在していた。

ツルは段ボールや木の板などで何重にも補強されており、ある程度の衝撃なら余裕で耐えられるほどの耐久性がある。

 

中にはバットとボール、トラップ製造に使われる小道具、本にお菓子、様々なものが置かれている。

 

「あー疲れた!」

 

そう言って秘密基地の中に入り座り込む。秘密基地の中は意外と広く、高さもあるので子供が3人ぐらいならまだまだ余裕がある。

 

悟史と沙都子も座り込み、各々が自由にしている。

 

この秘密基地ではそれぞれが自由に行動するのがお決まりだ。

 

悟史は持ってきた本を読み、沙都子は小道具を手に持ってトラップ作成、俺はその時その時でバラバラ。

 

「そういえば礼奈はどうしたの?」

 

悟史が本を読みながら聞いてきた。

 

「あー誘ったんだが用事があるからって断られた」

 

そういつもならここに礼奈もいるのだ。

基本的に俺たちはここに礼奈を入れた4人で行動をしている。

 

まぁどうせいつも通りあそこにいるだろう。

礼奈が1人で行くところなんて限られている。

 

「ぷ!妹に断られるなんて兄としての器が知れますわね!」

 

俺の話を聞いて作業をしていた沙都子がこちらを見ながら口に手を当てて笑ってくる。

 

「おい悟史。お前の妹に少し意地悪してもいいか?」

 

「ほどほどにね」

 

悟史が苦笑いしながら了承したので俺はニヤっと効果音が付くような悪い笑みを浮かべて沙都子に近寄る。

 

「と、灯火さん!?顔が怖いですわ!こ、こっちに来ないでくださいまし!」

 

沙都子は怯えて後ろに下がるが残念ながら秘密基地に逃げ場ない。

 

「沙都子、お前にはデコピン10連発の刑だ」

 

「ひっ!にーにー!助けて!」

 

「あはは・・・・」

 

沙都子が悟史に助けを求めるが悟史が苦笑いをするだけで助けるつもりはない。

 

 

秘密基地から少女の悲鳴が響いた。

 

 

「じゃあまた明日な」

 

悟史と沙都子に手を振って別れる。

沙都子が遠くでギャーギャーわめいている声が聞こえるが無視。

 

すでに時間は17時を回っており空が夕暮れに染まりつつあった。

 

「まさか・・・・まだいるなんてことないよな」

 

そう言いながらあいつならありえると思い、夕暮れで染まる道を駈け出す。

 

「はぁ、何回走るんだ今日は」

 

走ること10分、ひぐらしの世界では定番の場所、ごみ捨て場に到着した。

 

「・・・・やっぱいた」

 

顔を片手で押さえながらため息を吐く。

我が妹ながらわかりやすい。

 

「礼奈ー!!」

 

ごみ捨て場に向かって大声で名前を叫ぶ。

 

すると

 

「はう?お兄ちゃん?」

 

ひょっこっとごみ捨て場の奥から礼奈が顔を出した。

 

礼奈は俺を見つけるといろんなゴミで散らかっている地面を器用に下りながらこちらまであっという間にやってきた。

 

「お兄ちゃんなんで礼奈がここにいるってわかったのかな?かな?」

 

礼奈は首を可愛いらしく首を傾げながら聞いてくる。

 

「お兄ちゃんだからな。妹のいるところなんてわかって当然だ」

 

そう言って礼奈の頭を撫でる

 

「えへへ。そっか」

 

俺が頭を撫でると礼奈は嬉しそうに顔をほころばせる。

 

「ほら帰るぞ」

 

「うん!」

 

俺がそう言って踵を返すと礼奈も後ろから付いてきて俺の横まで来ると俺の腕にしがみついてきた。

 

「おい・・・・歩きにくいだろ」

 

「えへへ。ちょっとだけ」

 

そう言って離れる気がない礼奈。

風に乗って礼奈の匂いは届く。

 

いい匂いしてるなー。

 

「お兄ちゃんいい匂いだよー」

 

俺がそう思っていると礼奈も同じことを言ってきた。

 

「ふっ」

 

思わず笑ってしまう。

 

「お兄ちゃん?」

 

礼奈がいきなり吹き出した俺に不思議そうな顔を向ける。

 

「いや・・・・やっぱ兄妹だなって思ってさ」

 

「そんなの当たり前だよ?」

 

「ああ。そうだな」

 

「変なお兄ちゃん」

 

不思議そうな顔をする礼奈を見て俺はまた小さく笑う。

 

家に着くまで腕を組んだままだった。

 




沙都子の口調は現段階だと普通の口調なのですが、誰かわかりにくいのでここでお嬢様口調を使うようにしました。

この時点で悟史と沙都子が雛見沢にいるか不明ですがいる設定。

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