惑星ベジータにサイヤ人として生まれた。
いや、生まれ変わったという方が正しいか。ともかく、転生しましたドラゴンボールの世界。名前はパセリです。
2歳の時に遠目に見たリアルフリーザが怖くて夜も眠れない5歳の幼児です。氣、サイヤ人風に言えば戦闘力の扱いが無駄に優れているので既に修行を始めてます。後、ある程度気功で回復役もこなせます。
サイヤ人は死の淵から蘇ると、つまり受けたダメージが回復すると強くなれるらしい。ので、自身の氣を纏うようにしながら延々と体に負荷を与えて、内側からこれまた氣によって回復するという効率厨な修行を行っている。
他に出来ることもないので毎日、限界までやっていたらちょっと戦闘力がおかしくなってしまった。
正確な数値は分からない。抑制を解いたら電源の入っていたスカウターが全て爆発してしまったのだ。それも惑星中のスカウター全てが。
たぶん、氣の総量だけならフリーザを超えた。
戦闘に関するセンスが皆無だから量でゴリ押ししないとならないため、修行は続行。
しばらくして、王子の方のベジータのお付きに抜擢された。
更に月日が流れて、惑星ベジータが消えフリーザの軍にベジータ、ナッパ、ラディッツと共に入軍。
そしてまた月日は流れて……
「地球ッスか?」
「ああ、そこに何でも願いの叶うドラゴンボールとかいう物があるらしい」
「はぁ……。その話、本当ですかね」
勿論、ドラゴンボールの存在は知っているが適当に合わせる。
「どちらにせよ、ラディッツを殺せる程度のヤツは地球にいるんだ。少し遊んでも問題ないだろう」
「へっ、ラディッツを倒すのもやっとの連中だろ? 少し期待しすぎじゃねぇかベジータ」
「移動に1年近く必要なのはどうにかならないですかね。フリーザに言って最新式の宇宙船借ります?」
「馬鹿め。パセリ、サイヤ人が1年間あればどれだけ成長出来ると思っている。今のままでは俺様の相手は務まらん。時間をくれてやっているんだ」
「カカロットの子供に期待し過ぎじゃないっスか。それ自分も行かないと駄目ですかねぇ……。王子だけでも過剰戦力だと思うんスけど」
「貴様と行動していた方がフリーザへの言い訳が立つ。ついて来い」
「アッハイ」
更に1年が流れて、
「自分は後ろで見てますんでナッパどーぞ」
「好戦的じゃないサイヤ人なんて笑い話にもならねぇぜ。まぁ、カカロットが来るまで少し遊んでやるか」
「待てナッパ。ここはひとつ、派手にやって貰おうじゃないか」
「……成程。だが、怖気づいて戦いにならなくなるな。おいパセリ!」
ベジータとナッパに視線を向けられて意図が分かった。エネルギー弾で適当にどこか破壊しろということだ。
比較的(当社比)氣を表に出さないようにしているつもりでも修行で漏れる部分はどうしようもない。
自分の戦闘力は推定12000くらいだと思われている。うっかり漏れてしまって12000だ。高めたら王子がブチ切れる。
ベジータの命令には基本的に逆らわないようにしているから、仕方なく明後日の方向に向けてエネルギー弾を撃つ。
遠くからキノコ雲が上がり、爆風がここまで吹き抜けて来た。地図を書き換えることになるな。
「な、なんて氣だ……。しかも、アイツが1番強いって訳でもなさそうだぞ……」
クリリンが震え声でそう言ったけど、安心するが良い。現時点では自分が1番強いです。
王子なんて片手間に木っ端微塵に出来ます。しないけどな。
というかアレ? ナッパじゃなくてサイバイマンが最初の相手だったような……。
やっべぇぞ。
ないわー。ナッパが遊んでるから死人でてないけど、全員虫の息ですわー。
悟空は地球に戻ってきてないみたいだし。……あ、ヤムチャしやがって。
さよなら天さん。すぐに逝ったね天さん。ピッコロさーん!
やべぇよ……やべぇよ……。
いや、もしかして自分が生きる上では問題ないのでは。セル生まれなくなるっぽいし、魔人ブウはたぶん倒せるし、ベジータが不老不死になっても自分的には別にオーケー、そしたらフリーザ様もそのうち倒せるじゃろ。
おっしゃ勝った!ドラゴンボール完!
それは駄目でした。
悟飯とクリリンが芋虫みたいになったところでようやく到着。せんずのちからってすげー。
ナッパが爆破されそうになったので王子を抑える。
コイツは一足先にフリーザ様に言い訳をしに行ってもらおう。宇宙船を呼んで押し込めて飛ばしておく。
そっくりな技(エネルギー波)とか皆やってるから。
ちょっと余所見してたら王子が猿に。マジか、顔上げらんねーよ。
あ、もう大丈夫? 静かになったっぽい。
「パセリ……何をしてやがる、さっさと俺を回復しやがれ……」
呼ばれたみたいだ。
「駄目ッスよ王子。自分の方法だと、今の王子を回復させるのに時間かかるんで」
「ッ! そうだ、戦ってなかったから忘れてたけどまだサイヤ人が!」
全員満身創痍なのに無傷の敵がいるとか心折れるわ。
まぁ、やらないけど。
「どうします王子ー。ここで自分がこの星をぶっ壊して仇討ちするのと、1度引いて王子がこの星をぶっ壊すの。どちらがお好みで?」
「……チッ」
息も絶え絶えだけど、帰る気になったみたいで宇宙船を呼び出した。王子を押し込んで、宇宙船が飛ぶのを確認。
「さて、後は……」
ひとり残った自分を見てクリリンがヤジロベーの刀を向けてくる。
「やめやめ。自分は王子の機嫌取りで星の表面削ったりしましたけど、基本的にはラヴアンドピースなんで」
「そんなの信じられるか!」
「あ、ちょっと黙ってて貰えます」
自分のスカウターに通信が入っていた。
「あ、どうもフリーザ様。ご無沙汰してます。はい、ドラゴンボールの件なんですけどね、どうもこの星のものは使えなくなってしまったらしくて…………。あ、大丈夫です。ナメック星人の技術らしいので、そっちを当たってもらえば。…………ついて来いと。え、ナッパ撃ち落とすんですか。人がせっかく……。了解しました。近衛としてついて行きますよー」
通信切れた。
「ちぇっ、観光とかしたかったんですけどねー。お仕事入ったんで退散しますわ。……あぁ、カカロット」
死に体の悟空に近付いて、とりあえず教えておく。
「王子……ベジータよりも強い人がドラゴンボールをお求めらしい。そういう理由だから、来るなら強くなってからだね」
「聞いても、いっか……?」
声も出すのが辛いだろうに、悟空は嬉しそうに笑っている。
「どうぞ」
「おめぇと、そのベジータよりも強いってヤツ……どっちが強ぇんか教えてくんねぇか」
あれ、気は抑えていたのに。本能かな?
「勿論、自分だよ」
「へへっ、そっかぁ……」
試しに戦うなんて言われても困るし、他の奴に聞こえないように教える。
「そうだね、もしフリーザ様に勝てたなら条件付きで相手をしてあげてもいい」
「そいつぁ、楽しみだな……」
その後、宇宙船壊れててスカウターぶち壊した。