奇跡のなく頃に   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
今回から、第15話『サイコロの1』の回です。
オリジナルの話になっています。
前回の予告通り、
視点は羽入ちゃんになります。

「あう?、誰か僕を呼びましたか?」

それではどうぞ。



第3話 羽入が見た光景・・・

あうあう。

おはようなのです。

僕は羽入といいますのです。

 

「羽入、あんた誰に向かって言ってるの?」

「僕は梨花に言ったつもりですが・・・」

「明らかに人がいない方に向かって喋ってたわよ」

 

あぅあぅ・・・

僕は一体どうしてしまったのでしょうか?

でも、そんな細かい事はいいのです。

 

「穹は、どこに行ったのかしら・・・」

「境内の何処かにいるのではないでしょうか?」

「それはあり得るわね・・・」

 

僕と梨花は、

古手神社の境内にいるのです。

それで今は昨日の話の続きを聞く為に

穹を捜しているのです。

 

「それにしても羽入?」

「あう?」

「昨日あんた凄い顔してたわよ・・・」

 

梨花が言ってる意味が

イマイチよく分からないのです。

昨日は普通にしてたつもりなのですが・・・

 

「表情がこれでもかってくらい崩れてたわよ」

「な、何の事でしょう・・・?」

「どうせ穹の事でしょう?」

「あぅあぅ・・・///」

 

梨花は鈍いところも

あるのですが穹の事に

なると凄く敏感になるのですよ・・・

 

「い、異議アリなのですぅ!!」

「却下よ」

「まだ僕は何も言ってないのですよ!?」

「あ、穹だわ・・・」

「僕の事は無視ですか!?」

「穹~♪」

 

ひ、酷いのですぅ!!

僕が考えていると梨花は

穹のところに行ってしまった。

 

「お、置いてかないでほしいのですぅ~!」

 

ぼ、僕だって

穹に早く会って、お話したいのです。

梨花ばかり抜け駆けはさせないのですぅ~

 

「はぁはぁ、やっと追いついたのですぅ・・・」

「穹が起きちゃうじゃない、空気読みなさいよ!」

「あう?」

 

梨花を追いかけ

着いた場所は境内にある

木陰だった。

そこでは穹が静かな寝息を立てていた。

 

「穹の寝顔を見るの何年振りかしら・・・」

「やっぱり可愛いのですぅ・・・」

「そうね。ちょっと悔しいけど・・・」

 

梨花が穹を見る目は、

かつての年相応の笑顔だった。

昭和58年の6月に自分が殺されるという

絶望の未来しか訪れないという

運命を何百年も繰り返してる内に

梨花は次第に笑顔を失っていった・・・

けれど前の世界が終わった後の空間で

穹が目覚めると知った時の

梨花の嬉しそうな表情を・・・

本人は気づいてないかもしれませんが・・・

 

「ねぇ、羽入?」

「なんですか梨花?」

「そ、穹の手を握っても平気よね・・・///」

「奇遇ですね、ちょうど僕も同じ考えを・・・///」

 

穹は寝ていますし

ちょっとくらいは大丈夫ですよね?

僕と梨花が穹の手を握った

次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーカッ!!ーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眩い光が僕達を包んだ・・・

 

「こ、ここは・・・」

「カケラの世界・・・?」

「でも背景が私達が知ってるのと違う」

「僕も知らないのです・・・」

 

僕と梨花が目覚めた場所は、

無数のカケラが散らばった世界・・・

だけど違うところがある。

それは背景だった。

僕達がよく目にするカケラの世界は

カケラがただ散らばってるだけなのだが

僕達が今いる場所は・・・

 

「古手神社に似た場所・・・?」

「梨花、僕達が浮いてるのは変じゃないですか?」

「確かに羽入だけならまだしも、私まで・・・」

 

僕達が考えていると

人影が見えた。

その正体は・・・

 

「あれって穹よね・・・」

「でも様子が変なのです」

 

穹の表情は、

何かを覚悟した

そんな顔をしていた。

あんな表情をしてる穹は

梨花や僕も見た事がない・・・

雨が降る中、

穹が歩こうとすると

誰かが穹を追いかけてきた

 

「穹さん!、待ってください!!」

「「えっ!?」」

 

その声を聞いて

僕と梨花は驚愕した。

何せ声が梨花と同じだったのだから・・・

そして僕は穹の事を追いかけてきた

少女の姿を見た。

それは・・・

 

(桜、花・・・!?)

 

それは紛れもない

僕の娘であり、

古手家の開祖・・・

 

古手桜花(ふるでおうか)だった。

 

「お願いですから行かないでください!!」

「どうして僕の事をそこまで・・・」

「私はもぅ、1人は嫌なんです!!」

「桜花ちゃんは、もう1人じゃないよ・・・」

 

穹は桜花の事を

振り向かずに静かに言った。

 

「ですが私には・・・」

「羽入ちゃんの事は任せて。必ず会わせてあげるから・・・」

「母上に・・・?」

「ずっと僕も考えてた。この惨劇を乗り越えられるかって・・・」

「じゃあ穹さんは・・・」

 

桜花は穹に何かを

言おうとすると・・・

 

()()の敵が分かったんだ。

今から行っても、僕は死んでしまうけど

最後のカケラを掴むためにさ・・・」

 

穹の一言に

泣きながらも納得したのか

桜花は・・・

 

「約束ですよ、穹さん・・・」

 

その言葉を最後に、

周りに光が集まり僕と梨花は

気づいたら元の場所に戻っていた・・・

 

「羽入、さっきのって・・・」

「はい。恐らく・・・」

 

あれは間違いなく桜花と穹だった。

僕と梨花が穹の手を握った瞬間に起きた光景。

つまり、あの世界(カケラ)は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(穹の夢の中での世界(カケラ)・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は未だに寝ている

穹を見ながら確信した・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は羽入ちゃん視点を
表現してみました。
やっぱり難しいですね。
いざ執筆してみると・・・
基本的に視点は、
穹、梨花、羽入の3人で進める感じに
していこうと思ってますので、
よろしくお願いします。
次回は梨花ちゃん視点になります。

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