奇跡のなく頃に   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
前回の続きになります。
今回の視点は、
梨花ちゃんになります。

それではどうぞ。


第2話 穹が経験した事

私達3人は、

古手神社に向かっていた。

 

「この道を歩くの久しぶり・・・」

「あうあう♪、穹と一緒ですう♪」

「ねぇ、羽入ちゃん?」

「あう?」

 

穹は困ったような表情を

浮かべながら・・・

 

「なんで僕の腕を組んでいるの?」

「穹は嫌なのですか・・・?」

「逆に聞くけど羽入ちゃんは嫌じゃないの?」

「こんな事は穹にしかやらないのです♪」

 

気のせいかしら?

羽入がドヤ顔して、

私を見てる気がするわ。

なんかムカつくわね・・・

 

「羽入、穹が困ってるじゃない!」

「梨花に言われたくないのです」

「なんですって!?」

 

羽入は昔から穹の事を好いている。

それは私も同じだった・・・

私にとって穹は初恋の人なのだから・・・

 

「あ、あの・・・」

「「穹は黙ってて!!」」

「あ、はい・・・」

 

穹には悪いけど、

こればかりは譲るわけにはいかないのよ!!

私と羽入は昔から穹の事になると

こんな感じに言い争いに発展してしまう。

 

「2人共、アイス買ってあげるから喧嘩しないで?」

「「えっ?」」

 

穹は私達が仲が悪いと思って

アイスを買ってあげると提案してきたのだ。

急な事で驚いてしまったわ・・・

 

「ちょっと待っててね?」

 

そう言うと穹は、

すぐ目の前にあった

お店に入っていった・・・

5分くらい待っていたら

穹が出てきた。

 

「はい、羽入ちゃん」

「あ、ありがとなのですぅ///」

「これが梨花ちゃんの分だよ」

「あ、ありがとう・・・///」

「どういたしまして」

 

穹は笑いながら私達に言った。

そんな顔されたら何も言えないじゃない。

彼は昔から気を配るのが上手い。

ふと、ある物に目がいく・・・

 

「穹、その袋なあに?」

「えっと、実はね・・・」

 

さっきアイスを買いに行ったところ、

店の人が穹が帰って来た事に驚いて

食材や駄菓子、更には棒アイス1箱まで

貰ってしまったとの事・・・

それもそうだ。

穹は今まで100年も眠っていたから、

村のみんなも彼が帰って来た事が嬉しいのだろう。

 

「正直、僕の事を覚えててくれてる事にビックリ・・・」

「そんなの当たり前じゃない。」

「梨花の言う通りですよ、穹は喜んでいいのです」

 

それから3人で、

喋りながら歩いていると

あっという間に神社の境内に着いてしまった。

私と羽入は穹に聞きたい事が

あるので尋ねる。

 

「ねぇ、穹。眠っていた間に何があったの?」

「どこから説明すればいいかな・・・」

 

まるで穹は、

説明する事が沢山あるようなので、

私は1つ、1つ質問する事にした。

 

「穹は昭和58年の6月に起きる事を知ってるの?」

「うん、全部知ってる。」

「梨花が殺される事もですか?」

「僕が()()()で死ぬ時は、それが原因なんだよね・・・」

 

穹が言ってる夢の中とは

どういう事なのだろう・・・

 

「そこでは、ここと同じ昭和58年の6月なんだ。ただ・・・」

「あう?。何か違うのですか?」

「登場する駒と日数制限がバラバラなんだよ」

「穹、例えばどんな・・・?」

「『鬼隠し編』のカケラって覚えてる?」

 

確か圭一が『雛見沢症候群』に陥って

レナと魅音を殺してしまい、

最終的に電話ボックスの中で

喉を掻き毟りながら死んでしまうカケラ・・・

 

「その世界(カケラ)だと、僕の夢の中で

圭一兄が登場人物として出てくるんだ。」

「「えっ!?」」

 

つまり穹の言い方から推察すると

そのカケラで死んだ筈の圭一が

穹の夢の中で出てくるという事になる。

 

「あのカケラは圭一兄が雛見沢に引っ越して来て

富竹さんが教えた『オヤシロ様の祟り』を教えた事で

始まった事だからね・・・

圭一兄、レナ姉、魅ぃ姉が死んだ後だと

梨花ちゃんと沙都子ちゃんは、まだ生きてるでしょ?」

「そうだけど・・・」

「穹の夢の中で変化が起きるのですか?」

 

羽入の問いに、

穹は真面目な表情をしながら・・・

 

「ここで初めて日数制限が出てくるんだ。

『鬼隠し編』での時は、1日しかなかったけど・・・」

「1日って、ほとんど無いようなものじゃない!!」

「じゃあ穹は・・・」

「僕は夢の中では2()()()()()()()があるんだ」

 

私と羽入は、

穹が言う事に衝撃を受ける事になる。

それは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の2つ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな・・・」

「梨花ちゃんに比べたら軽いもんだよ・・・」

 

穹は自虐的に笑っていた。

私からしたら軽いというレベルじゃない・・・

なのに穹は何で・・・

 

「思い出したくないのは『祟殺し編』かな・・・」

「えっ・・・?」

「沙都子のですね、穹・・・」

「観ていていい物じゃないよ、あんな世界(カケラ)

 

それは私にとって

最悪な世界・・・

そして雛見沢二千人の命が奪われた

『雛見沢大災害』が起きた世界でもある・・・

 

「それでね、皮肉にも僕は()()()()に目覚めたんだ」

 

ある能力とは一体・・・

 

「普段、僕は『オヤシロモード』って呼んでるけど・・・」

 

オヤシロモード?

名前からして羽入の事かしら・・・?

でもなんか違う気がする・・・

 

「レナ姉が発狂した時に異常な身体能力になってたでしょ?」

「でもあれは雛見沢症候群で疑心暗鬼になったからじゃない」

「まぁ、レナ姉は普段の()()があるけどさ・・・」

 

あぁ、穹の言いたい事が分かったわ。

穹が言ってるのはレナが可愛い物を見つけると

お持ち帰りしたくなる『かあぁいいモード』の事ね・・・

あれは私でも無理だわ・・・

 

「話を戻すと『オヤシロモード』っていうのは、

自分の意思で雛見沢症候群のレベルを5まで引き上げて

戦う、戦闘モードみたいな物だよ・・・」

「そんな事が出来るのですか!?」

「で、でも自分も死んじゃうじゃないの!?」

 

雛見沢症候群のLv5というのは

最早、末期症状の領域で自分以外が

全て敵という危険な状態。

最終的に喉を掻き毟って死んでしまう・・・

 

「実際に見せた方が早いかも・・・」

 

すると穹は、

一枚の板を取り出し

私に渡してきた・・・

 

「梨花ちゃん、この板しっかり持ってて?」

「う、うん・・・」

「羽入ちゃん、板の硬さを確かめてみて?」

「僕から見ても硬いですよ。この板をどうするのですか?」

「素手で粉微塵に砕く」

「「はっ・・・?」」

 

穹の一言に私と羽入は

口が塞がらなかった。

そんな私達をお構いなしに・・・

 

「オヤシロモード・・・」

 

そう呟くと、

穹の目に変化があった。

そして私が持っていた板に向かって

拳を振るうと・・・

 

 

 

 

 

ーーバキャ!!!ーー

 

 

 

 

 

跡形も無く、

粉々に砕け散った・・・

 

「・・・とまぁこんな感じ」

 

穹は何事も無かったように

説明した。

正直に言うと突然の事で

反応が遅れてしまった。

一方、羽入はというと・・・

 

「あ、あぅあぅ・・・」

 

その場に座り込んで

しまった・・・

 

「羽入ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫なのですぅ・・・」

 

すると穹は、

私の方を向くと・・・

 

「今日は遅いから、あとの事は明日に話すね?」

「う、うん。」

「じゃあ2人共、お休み。また明日ねー」

 

そう言い残して

穹は帰ってしまった・・・

 

「梨花・・・」

「なに、羽入・・・?」

 

羽入は真面目な表情をしながら

私に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穹、どこで寝るつもりなのでしょう・・・」

「き、聞くの忘れちゃった・・・」

 

心配だけど

明日に聞けば大丈夫、よね・・・?

多分・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は、第15話の『サイコロの1』の回になります。
原作やコミック版だと鷹野さん視点なんですが、
この間に梨花ちゃん達は何をしていたのかが
気になったので・・・
なので次回は羽入ちゃんの視点で
執筆したいと思っていますので
よろしくお願いします。

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