ストライクウィッチーズ-1ッ目巨人の優しい嘘吐き- 作:Thunder2Eila
MSが誕生する前、まだ人類が地球でしか生存できなかった時代。
人類は世界を巻き込んだ戦争経て戦場の主役は人間から機械兵器(ここでは敢えて銃などの火器とは違うことを強調する)へと変わった。
塹壕を乗り越え敵の壁を突破するための人を詰めた
ライト兄弟が初めて空を飛んでから半世紀を前にして、人類の
かつて日本を開国させる切り札にもまった黒船の如く、
なんでいきなりこんな事言い出したかって?
つまり、戦場では求められるモノが技術などによって変わっていくということ。
そしてそれは、陸・海・空とそれぞれ違う。
例えば空では、航続距離・武装積載量・巡航速度。
最高速度は無いのかって?
そうだよ、最高速度の重要性より巡航速度の重要性がジェットエンジンを積んだ戦闘機の開発競争の結果実証された。
そういえば人類で初めて音速の壁を超えたのはチャック・イェーガーって人だっけ。
あれ、どこかで聞いたことのあるような名前だ...。
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-1944年 8月1日 ストライクウィッチーズ基地・滑走路-
訓練訓練また訓練。
来る日も来る日もネウロイ襲撃に備えて訓練だ。
不謹慎だがネウロイが毎日来てくれる方が楽なんじゃないか?
心の中でボヤキつつ坂本さんの訓練最中だ。
最近ネウロイが出現するサイクルが予報とズレる事があり隊長たちも焦っているらしい。
やっと戦闘機動でウィッチとロッテを組めるようになってきた。
別にウィッチと同じ機動をする訳じゃない、ウィッチを援護できる位置につく。
俺だってやればできる、無重力での体制制御よりは簡単だ。
死んだと思ったら生きていて、そしてそこでも戦わなくちゃいけなくて。
天国とか地獄とか、あまり信じた事は無かったけど、行いが悪いとずっと辛いところばかりにいかなきゃならないってのは本当なのかもな。
午前の訓練が終わり、一緒にシゴかれた宮藤さんとリーネさん。
俺達はへろへろになりながら昼食へと向かう。
-同日 ストライクウィッチーズ基地・ロビー-
「みなさん集まってますね。それでは、明日の海中訓練についてお話します」
「我々はウィッチだ、ストライカーで飛んでいる限りは空の上だが、いつストライカーが不調になって墜落し海に落ちるやもしれん。その為の訓練を行う」
「場所は基地の東岸よ」
「やったー!海だー!」
「「「「.....」」」」
「あれ?」
「(芳佳ちゃん!訓練だってば!」
「え?でも泳げるんでしょ?」
「あぁ好きなだけ泳げ、訓練をこなしたらな」
「あの、俺はどうするんですか?」
「ふむ、バーニィに関しては特に考えていなかったが参加しても構わないが?」
「そ、それなら遠慮しておきます...俺、泳げないですし..」
「では明朝0700集合だ、解散。宮藤、リーネ、シャーリーとルッキーニへこの事を伝えておいてくれ。ついでにバーニィもついて行くといい」
ウィッチは空を飛ぶのに海で泳ぐ訓練までしなきゃいけないのか。
俺は本物の海なんて初めてだ。
地球の面積の7割を占め水の星と呼ばれる所以。
資料で見たのと変わらない青く広がっている海を、この世界に来た時に見た。
あの時は夕暮れで赤く刺す陽がとても綺麗だったなぁ。
そうこうしてるうちに俺と宮藤さんたちはハンガーに辿り着く。
まるでMSが飛び上がる足下にいるかのような轟音と風がそちらから襲ってくる。
何事かと駆け込むとそこに居たのはシャーリー大尉だった。
-同日 ストライクウィッチーズ基地・
「凄い音でしたね〜。何してたんですか?」
「あぁ、私はストライカーユニットの調整と改造さ」
「改造って何をしてるんです?」
「主に触っているのは魔道エンジン、こいつの出力の調整をしているのさ」
「でも整備兵の人たちがいつも見てくれているのになんでそんなことしてるんですか?」
「ふふん、知りたいか?」
-同日 ストライクウィッチーズ基地・滑走路-
「準備オッケー、シャーリー!」
「よし、行くぞ!」
「いっけー!シャーリー!」
唐突に始まったシャーリー大尉のスピードコンテスト。
計測装置を持ったルッキーニさんは横でぴょんぴょんと跳ねながら応援の声を上げる。
気付けば坂本さん達もバルコニーからその様子を眺めている。
シャーリー大尉のスピードはこの隊全員の注目があるんだな。
隣でルッキーニさんが計測装置に出る速度を読み上げているが、今までの加速が800km/h手前で止まってしまった。
飛行機が好きだって言ってたやつが言ってたけど、確かレシプロエンジンの飛行機で音速を超えた人はいなかったんだよな。
いくら魔法が使えても不可能なことは、あるんだな。
スピードコンテストはシャーリー大尉の
-同日 ストライクウィッチーズ基地・
「はぁ〜、スッキリした」
「シャーリーさんって凄いんですね〜」
「それにしてもどうしてシャーリーさんはスピードにこだわっているんですか?」
「ボンネビルソルトって知ってるか?リベリオンにある1面見渡す限り塩でできた湖の平原でさ、そこは私たちスピードマニアの聖地なのさ」
「シャーリーはね、軍に入る前はバイクのレーサーだったの」
「男たちに混じって本気で最速を目指してた。そんな時に耳にしたのが空を翔けるウィッチの話だったんだ。すぐに軍に志願して私はウィッチになって今に至るって訳さ」
「へぇ〜、だからこうしてお休みの日にスピードの挑戦をしてるんですね〜」
「でもどこまで速くなればいいんですか?」
「うーん..とりあえず音速かな」
「音速ってなんですか?」
「音が伝わる速ささ」
「すごーい!でも、そんなことできるんですか?」
「さあね、でも諦めたらそこでおしまいさ。1km/hでも速く、その先を目指し続けるのさ。あたしはそこまで賢く無いからね、ずっとずっとスピードの虜なのさ」
「はは、凄いじゃないか。夢があるだけさ」
「バーニィには無いのか?」
「憧れてたことならあったかもね」
「なになに?」
「
「どうしてエースになりたいんだ?」
「そ、それは...エースっていえば皆の憧れだろ?だからさ、変かな?」
「ふーん...嘘だね」
「えっ」
「まぁいっか。ところでどうしてハンガーなんかに来てたんだ?」
「「あー!!忘れてたー!!」」
シャーリー大尉への海上訓練?の説明後、俺達は各自の部屋戻った。
...確かに俺は嘘を吐いた。
エースに憧れてたのは嘘じゃない、みんなシュミレーターで堕とした数ですら自慢してた。
だから、実践の撃墜数で俺は勝ちたかった。
そして、これはサイクロプス隊に入って、アルに出会ってからだけど。
俺はアルにカッコつけたかったんだ、憧れのジオン兵として。
こんな子どもっぽいこと、言える訳無いじゃないか、それにジオンやあの世界の事はまだ言えない。
隊長たちのような上の人ですら俺の説明で凄く狼狽えていた。
そして教えられた、この世界で人同士が争うなんて、殺し合うなんて事は誰も想像し得ないんだって。
まるで俺達は野蛮な世界から来たみたいじゃないか、と怒りを覚えたけど間違っていないのも事実だ。
でも、みんながそういう訳じゃないんだ、隊長たちは..。
複雑な気分だけど明日はまた訓練で、実戦はいつ起こるか分からないんだ。
明日に備えよう。
しばらくあいだが空きました 第7話です
コメントにて会話文にキャラ名を入れるとSSレスっぽいとのことで会話文を変更してみましたがどうでしょうか?
シャーリーへ宮藤がした「どこまで出せば良いんですか?」を聞いて某車漫画を思い出しましたね..
???「あと1km/h、もうあと1km/h。馬鹿だから足ることを知らない。永遠に終わらない。」
シャーリー「300km/hなんてボンネビルソルトじゃ当たり前だろ?」
もうすぐ学校始まっちゃうんで更新が滞ることが多くなると思いますがよろしくお願いします。