ストライクウィッチーズ-1ッ目巨人の優しい嘘吐き- 作:Thunder2Eila
今になってクリスのことを思い出すなんて、あの時の夢を見るなんて...。
私は精一杯やったのだ、それでもネウロイが強かったのだ...。
私が未熟だった。
戦力だって足りていなかった中、私はやりきった。
あともう少しのところでクリスだけでも救えれば...。
撤退作戦自体は上手くいったのだ、私は悪くない。
クリスが傷付きカールスラントが堕ちた一因は私にもある。
ネウロイを見くびっていた上層部のせいだ、私は命令通りに動いたんだ。
私はなんて無力なんだ...。
私は、私は悪くない...!
クリス、申し訳ないが、お前が誇れる姉はもう、いないのかもしれない...。
私のせいじゃない!クリスだって早く避難していれば...!
もういい、ならばその姉はもういない事にすればいい。
なんでもいい!私は、私は悪くないんだ!何故こんなにも苦しまなければならない!
ああ、そうだ。私はただの軍人ウィッチ。
私は悪くない...!
クリスの姉という私はしんだんだ。
-1944年7月26日 ストライクウィッチーズ基地・
今日は宮藤さんと俺の実戦訓練を兼ねた飛行訓練を行うそうだ。
なんでも宮藤さんは訓練無しでストライカーを乗りこなし実戦に参加したそうだ。
連邦の
俺は坂本さんの毎日の訓練のあと、なんとか時間を作って武器の調節がなんとか終わった。
これできちんと目標に当たるだろう。
だがまだ実射も出来てないしまともにここの皆ストライクウィッチーズと飛んだことは無い。
だからこの訓練は特に気を付け無きゃならない。
そしてしばらくして坂本さんが来て訓練説明が始まった。
坂本「集まったな。今日は編隊飛行の訓練を行う。私の二番機にリーネ、バルクホルンの二番機に宮藤が入れ」
リーネ「はい!」
宮藤「えと..」
坂本「宮藤、返事はどうした?」
宮藤「は、はいっ!」
坂本「よろしい。バーニィ、すまないが今回は敵役を頼む」
バーニィ「ぼ、僕がアグレッサーですか?」
坂本「バーニィ、返事が不明瞭だぞ?」
バーニィ「は、はい!わかりました!」
坂本「よし、では続きは空に上がりながらだ」
各々が発進装置から撃ち出されて空へ上がる。
俺にはカタパルトが無いからそのまま上昇。
やはり戦闘機に追いつけるほどでは無い。
ある程度速度がのるとやっと追いついてきた。
そして坂本さんから無線がとぶ。
坂本「2機での編隊を
バルクホルン「あぁ、構わない。行ってくれ」
バーニィ「あの、俺はどうすれば?」
坂本「敵に指示されないと伍長と言うのは逃げることも出来ないのか?」
バーニィ「とんだ鬼教官じゃないか...!」
坂本「はっはっはっ!」
そうして俺達の模擬戦が始まろうとする瞬間だった。
ネウロイ出現のサイレンが鳴った。
基地の方を振り向くと、基地の兵が板を掲げている。
「
坂本さんが素早く読み取りこの場全員に伝わる声で叫ぶ。
まだ基地からあまり離れていなかったため、増援の隊長とペリーヌさんが合流してきた。
本格的な実戦参加になることに一段と気を引き締める。
坂本さんの指示で素早く3組のロッテを組み直す。
俺はまだ上手く動けないだろうと全員の後方より支援射撃の体勢。
情けないなんて言ってられない、これは命懸けの実戦だ。坂本さんの合図で坂本・宮藤組、バルクホルン・ペリーヌ組が攻撃をかける。
間近で見るネウロイはデカイと思ったのが第一印象。
でも、それだけじゃない。
ウィッチ達の射撃には少量だが魔法力による威力増加があるらしい。
それは普通のライフルで戦車などの装甲を抜くようなものとたとえ話をされた。
だがそれが無力に等しいのだ。
ネウロイはビーム攻撃をしてくるからあまり同じ場所に留まっての射撃は出来ない。
おかげで皆1点に撃つのではなく表面を無闇に撫で回している。
表面が少しめくれてもすぐに回復し黒い表面が蘇っている。
しばらくは敵ネウロイに見とれていた、と言って間違い無かった。
初めての出撃ではリーネさんの狙撃で片付いたからそんなに近くまで迫る事は無かった。
だから隊長に援護指示をされるまで固まってしまっていた事にすら気付かなった。
ビームマシンガンを連射する。
教科書通りの射撃、トリガーハッピーにならない様に細かく切る。
流石に皆より口径が大きいだけあって少しは深く削れるようだ。
その代わり自分にも攻撃がとんでくる。
慌ててザクのシールドでガードしようとする。
するとシールドが無かった。が、シールドが現れた、ウィッチ達と同じシールドが。
どうやらこのザクはシールドが張れるらしい。
一安心し射撃を続行する。
やっと状況に適応しかけた頃、問題は起きた。
大尉とペリーヌさんがぶつかった。
それだけならいい。
その弾みで大尉が被弾したのだ。
爆発が起きたところを見ると正確には大尉のMG42の弾薬が誘爆したのだろうか。
爆発の煙の中から地面へと自由落下して行く大尉。
宮藤さんとペリーヌさんがそちらへ向かうのを見て隊長に通信、俺も大尉の方へ向かう。
大尉は爆発でやられたであろう傷から酷く出血している。
宮藤さんが治療をしているようで、それをペリーヌさんがシールドで守っている。
俺はペリーヌさんと同じくシールドを張って彼女らの援護に入る。
ペリーヌ「宮藤さん、どうか大尉を..!」
宮藤「わかっています、今度こそ...!」
バルクホルン「いい...宮藤...。私のことは放っておいて、早くネウロイを、その力を敵を倒す為に...!」
宮藤「嫌です!目の前で倒れている人さえ助けられないのにみんなを守ることなんて...!」
バルクホルン「...その考えは捨てろ。みんななんて、救えやしないんだ、決してな..」
宮藤「どうしてそんなこと言うんですか!私はストライクウィッチーズで、みんなでネウロイと戦っているんでしょう?私は戦闘も訓練もダメダメだけどそれでも、みんなを助けたいと思う力ならある!」
バルクホルン「それが夢物語だと言っているんだ...。ウィッチとてネウロイのような巨大な脅威の前ではダメなんだよ...」
宮藤「バルクホルンさん...!」
イライラする。
これほどまでにイライラしたのはアイツと戦う直前にアルと言い合った時以来か?
あの大尉はこんな人なのか?
俺も他人にいちいち言えるほどの人間じゃないけど、必死に助けてくれようとしてる人の前でこんなこと言うやつがいるのか?
俺は気付いたらオープンチャンネルで頭の中に浮かんだ事を怒鳴り散らしていた。
バーニィ「バカヤロー!あんたそれでも大尉なのか!あってすぐの時俺のことを軟弱者だとか言ったくせに自分はそれか!人が目の前で必死なのに応えようとしないのがカールスラント軍人なのか!栄誉の死とかってカッコつけたいのかよ!死んだって誰も喜びやしないんだよ!」
バルクホルン「...でも」
バーニィ「でもじゃない!部隊の人間が死ねば残された人は悲しむんだ!宮藤さんの言う通りだ、助けようと思う気持ちが無ければ目の前の1人も誰も助けられない!宮藤さんの力は無駄だってあんたが証明する事になるぞ!」
バルクホルン「私は..」
バーニィ「大尉...!」
バルクホルン「私は悪くないんだ!私は無力で、国を救えず、妹も救えず、こんな無力なヤツは生きてちゃダメなんだ...!だから、だから私は救われるだけの、宮藤が力をかけるだけの価値も無いんだ...!」
バーニィ「ふざけるなよ...!今もペリーヌさんは自分が周りを見えていなかったって、自分のせいで大尉が被弾したって苦しんでいるのに被害者は自分だけですみたいなこと言ってるだなんて!だったらもういい!そこで自分を恨み責め虚しく可哀想ぶってればいい、お望みなら妹も連れてきてやろう、きっと寄り添ってあんたの言うことに首を縦に振り続けてくれるさ!」
バルクホルン「..」
バーニィ「どうした、もう何も言い返せなくなったか!」
バルクホルン「貴様は..」
宮藤「バルクホルンさん...!」
バルクホルン「バーナード・ワイズマン伍長!貴様には基地に帰ったら上官への口の利き方をみっちり仕込んでやる!覚悟しろ!誰が栄誉の死など選ぶものか!貴様が2度と口がきけない様にしてやりたいところだ!」
バーニィ「た、大尉..!?」
バルクホルン「ただ、伍長と宮藤には礼だけ言っておく。ありがとう、ありがとう...」
丸あきの背中を向けている状態でこんな事を言われれば1発もらってしまってもおかしくないと後で俺は思った。
だが大尉は治癒に力を使い果たした宮藤さんの銃を手にザクに最高速に負けない速さでネウロイに向かっていった。
呆気に取られているうちに、大尉の怒涛の攻撃によりネウロイは撃墜された。
ただただ俺の思った事をぶちまけてしまったが、大尉が復帰したなら結果オーライということか。
何やら上空では大尉が隊長からも説教を食らっているようだ。
少しすると坂本さんから通信が入った。
宮藤さんとペリーヌさんを連れて基地に戻ってくれ、と。
宮藤さんは寝てしまっているのか動かない。
ペリーヌさんに手伝ってもらいザクの手のひらにストライカーと一緒に乗せ帰る。
こうして、俺の初?の実戦は無事に終了した。
帰還後、宣言通り大尉よりお説教があったのは別のお話。
しばらく間を空けてしまいました
第6話です
先日ブレイブウィッチーズの放送開始日と放送局等の発表が出て界隈ではかなり盛り上がっているようですね、先生カワイイ
今回のお話で読み手さんが割れてしまうかもしれませんね
バーニィに長ったらしいセリフとか叫んでる感じはいまいち合わないと痛感しました..
でもやってもらいますけど
キャラ崩壊?にも付き合ってもらえる寛大な方はこれからもどうぞよろしくお願いします..
P.S. お気に入り45件という数に作者はかなり喜んでいます
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これからもどうぞよろしくお願いします