ストライクウィッチーズ-1ッ目巨人の優しい嘘吐き-   作:Thunder2Eila

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肩で息をし、この慣れない環境を駆ける。
勿論好き好んででは無い、これは訓練で上官命令だ。
後ろでもっと醜くへろへろになっている1人よりマシと思うか、年下の上官がついて来られる程度でしか走れていないととるか。
兎にも角にも、重力下というのはこんな感じなのか。
流石は宇宙世紀の技術だ、コロニーでも1Gというのは再現されていた。
でも、あくまでそれは管理された閉鎖空間、自然というのは再現しきれなかったようだ。
直に浴びる太陽からの光、海から漂う塩の匂いと浜風、湿気、気温...初めての感覚ばかり。
今もこうして訓練なのに、どこかハイスクールのような感覚だ。
ペースが落ちてしまった。
さあ、鬼教官が待っている滑走路までもう少し。


第2話 翡翠色の瞳に映るもの

-前日 ストライクウィッチーズ基地・基地付近の海岸-

投降を呼びかける人影に俺はザクのコックピットハッチを開け、両手を上げながら外に出た。

まるで宇宙人と出会ったかのような好奇の目が全身を舐める。

若干名その方向が違ったが。

隊長格らしき人物、投降を呼びかけてきた人物がこちらに銃を向けながら質問を飛ばす。

 

ミーナ「素直に従ってもらえれば貴方に危害を加えない事は保証します。貴方の所属と"コレ"の説明を」

バーニィ「えっと...」

ミーナ「ここで話せないと言うなら然るべき機関へお連れしましょうか?」

バーニィ「いや、そういうんじゃないんだ!ただ俺の考えてる事が間違いじゃないならまずは隊長さん?とかとだけで話し合った方が良い、と思う...いや、思います!」

ミーナ「ここでは明かせないと?」

バーニィ「抵抗はしない、って言っても信じてもらえないか...」

坂本「仕方ない、私立会いの下、ミーナとの席を持とう。怪しいと思えば、分かるな?」

バーニィ「あ、ありがとうございます。ところでコイツはどうします?」

ミーナ「現在、数人のウィッチにカバーを取りに向かわせています。一時処置としてここを立ち入り禁止、コレを覆い隠して大事にならないように努めます」

 

ミーナという隊長らしき人物の対処や口調はまるでこのような出来事に慣れているかのようだった。

俺は感謝の意を示し、基地の隊長室へと連行された。

パイロットスーツがやはり目立つ。

どうせなら脱いでおけば良かった。

基地のがらんどうとした感じがそんな気持ちを捨てさせてくれた。

さて、この人達の格好は記憶が正しければ西暦の頃にあった世界大戦の時代に使われていた軍服。

こんな大掛かりなドッキリなんて無いだろうし1番の可能性はタイムスリップ、とか言うやつなのかな。

そのままに説明して信じてもらえるだろうか。

立会人を買って出てくれたあの人の刀の錆になるのだろうか...。

まあいいか、死に時は死ぬんだし。

 

ミーナ「さて、まだ足りないものはありますか?」

バーニィ「いえ、話す決心はつきましたから。最初に俺...私はバーナード・ワイズマン伍長であります。所属としてはジオン公国特殊作戦部隊サイクロプス隊。俺はその中で1番下です。そして先ほど隠して頂いたアレはMS(モビルスーツ)のザクです」

ミーナ「随分と凝った嘘がお好きなのかしら?私達は、そんな国名も部隊名も、MSという単語も聞き覚えがありません。それともどこかの国の本物の工作員組織とでも?」

バーニィ「やっぱりこうなるよな...」

ミーナ「やはりとは...?」

バーニィ「突拍子もない事ですが俺は多分この世界の住人じゃ無い、という事ですよ。変な話かもしれないけど、俺は死んだはずなんだ...アイツにやられて...。それに俺はサイド6で、コロニーで戦ってたんだ。でもさっき見たのは本物の海、みたいだった。てことは俺はどこか別の世界に来たとしか思えないんだよ」

ミーナ「あなたねえ...!」

坂本「まあ待てミーナ。伍長、今日の年月日を言ってみろ。もし正確に分からんと言うならだいたいでも構わん」

バーニィ「えっと、アイツと戦ったのはクリスマスだったから...U.C.(ユニバーサルセンチュリー)(宇宙世紀)0080、1月5日位ですか...?」

坂本「...。今日は西暦1944年7月13日だぞ。どうやら本当にバカを貫き通そうとしているか本当にその宇宙世紀とやらから転生してきたという訳だ、ミーナ隊長?」

ミーナ「...。貴方の態度からはとても嘘やでまかせを言っている様には見えませんが...。そのMSについても聞きたいところがありますし、それは他の組織においてもそうでしょう。貴方の安全確保の観点からこの基地において軟禁という形で対処を取らせて頂きます。またこの後も暫く貴方を尋問する事になります。構いませんか?」

バーニィ「あ、ありがとうございます!良かったぁ...」

 

肩から荷が降りる、って意味は違うけど言葉通りの感覚になった。

尋問と言っても、宇宙世紀とは、ジオン公国とは、MSとは...聞いたことのない単語について次々と質問されそれに答える、というものだった。

その経緯で地球連邦軍との戦争、一週間戦争、ルウム戦役、そして一年戦争。俺が知っている限りでの話は全て喋ったつもりだった。

そしてこれは人同士の争いだ、という事を伝えた時、俺は転生してきたという事が確実となった。

俺が知っている西暦では2度の世界大戦をはじめ、極東の島国が絡む大陸との戦争、革命や紛争も含めればかなりの数の人同士の争いがあったはずだ。

だが、彼女らいわく、この西暦では幾度かの人同士の戦争はあっても最近ではそんな事はほとんど無いのだという。

確か俺の知っている西暦では、新型の破壊爆弾が使われ、以後世界に語り継がれる悲惨な戦争があったはずだ。

兎も角、これで俺は一定の信用を得られたようだった。

少なくともこの部隊に対する敵対組織ではないと言う事は。

そして、ようやく今度はこの世界について教えてもらう事が出来た。

古くから人間と戦う事のあった怪異、聞いていれば聖書や神話に出てきたような話だがここでは本当の歴史だそうだ。

そしてその怪異に対処できる唯一の存在、魔女(ウィッチ)

彼女らもウィッチであり怪異に対する統合戦闘団、ストライクウィッチーズという部隊の1員だという。

他にも怪異がネウロイと呼ばれている事、現在欧州の大半をネウロイに占領されこのブリタニア近くにも巣と呼ばれる発生源が存在しているという事、など様々な情報を得た。

その中には彼女らがズボン?と呼んでいるどう見てもパンツなそれについての質問に対する回答もあったが、こちらが気にしなければどうという事は無さそうなのでそうすることにした。

斯くして、俺はストライクウィッチーズ居候の身となる事でなんとかこの世界でも生きていけるようだ。

明日、MSについての詳しい説明と部隊に俺を紹介するらしい。

なんて説明するつもりなんだろうか。

また戦争しなきゃいけないけど...人を殺すわけじゃないんだ。

油断したら死ぬのに変わりは無いけど、それでもと言える、そんな世界だ。

アル、お前達のところではもう戦争は終わったよな?新年は迎えたか?

生きているのに帰れなくて悪いな、そっちの世界に戻れるかは分からないけどさ...俺はまだ死んじゃいないぜ。




自己紹介まで進めても良かったかもしれない...と思いましたが区切ります
今後もあまり長くなり過ぎないようにしようかと思っていますが調子が乗ったり長い方が良いと言われれば長くします
ガンダムとストライクウィッチーズのクロスオーバーで焦点を当てるポイントはやはり「人同士の戦争」だと私は思います
あまり口説く個人の思想が入り過ぎないように努めますが多分どこかで暴走するかも...

-追記(8/28)-
誤字の指摘を頂きました
誤)グリプス戦役→正)ルウム戦役
です
申し訳ありませんでした

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