真かみさま転生200X(未完)   作:tbc

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#08/29 美鶴先輩→桐条先輩に修正


大型シャドウ「マジシャン」

>4月6日(月)

 今日は転校生……原作主人公の来る日だ。ちなみに事前に聞いた話から転校生は男だそうな。ハム子こと女主人公子なんていなかった!まあ、俺は鳥海先生か桐条先輩の方が好みだから別にいいんだけど。

 俺は寮生じゃないので、まだ一般人ということになってる彼を出迎えることは出来ないけど、初日は何も起きないはずなので大丈夫だ。事が起こるのは、満月……つまり明々後日、3日後の木曜日の夜。自分の入学式のこともあるんだし、その時までは身体を休めておこう。

 

 

>4月7日(火) 満月まで後2日

 入学式の日。サクッと済んで、クラス割を確認したが1年A組だった……だからといってS.E.E.Sの誰かがいるわけでもないが。

 でも知ってる原作キャラはいた。おでこちゃんこと、伏見千尋ちゃんだ。メガネの子で、話下手な内向的な女の子。若干のヤンデレ気質があるかもしれない。やがて生徒会会計に入り、キタロー、じゃなかった男主人公の恋人候補にもなる存在である。おのれうらやましい。別にいいけど。好みじゃないからいいけど。

 クラスの担任は原作に出てこない、覇気のない男性だった。あまり特筆すべき人物ではなかったので彼は省略する。

 教科書受け取りやらオリエンテーションを済ませ、半ドンで下校がてら、クラスの男子に混ざってカラオケに行った。皆してJPOPを歌う中、俺はアニソンを歌ったが受けは良くなかった……ヲタ趣味で悪かったな!

 とりあえず俺でも知ってる無難な普通の曲で場を紛らわせ、内心では気不味いまま解散となった。借家に帰りつつケータイを確認したら、桐条先輩から連絡が入っていた。内容を詳しく書いているわけではないが、どうやら転校生が影時間の適応者だってことを伝えているようだ。1、2週間もあれば月光館学園の本学生寮で部屋割りの都合がつくので、暫く特別課外活動部は活動できないがそれまでゆっくりと学校に慣れてくれとか。心配無いと思いますけどね。

 了承のメールを送るが、今度は真田先輩から影時間の訓練に誘うメールが飛んできた。桐条先輩、そっちは止めないんですか……と思ったが、そういや原作でも転校生のいる最中に活動してたな。俺としても経験値を稼ぎたいので付き合うのはいいけど、明日のこともあるし消耗は避けなきゃな……。

 

 

  >4月7日  影時間

  臆病のマーヤを今日も4、5体ほどなぎ倒して終わりかと思ったが、どうやら俺の知らないタイミングで原作のイベントが起こる日だったようだ。

  伊織順平……通称テレッテこと主人公の同級生である影時間への適合者、ペルソナ使い候補と遭遇したのだ。コンビニのあたりでパニクってるのを発見し、真田先輩と身元を確認し、後日改めて勧誘することになった。

  しかし影時間に適合したばかりなのか知らんが、今夜ずっとパニクっていた彼が後のS.E.E.S一のお調子者になるとは……ひょっとすると俺含めた並の転生トリッパーより逞しいメンタルではなかろうか。

 

>4月8日(水) 満月まであと1日

 放課後、自宅に理事長が訪問してきた。幾月修司、月光館学園の理事長にして、特別課外活動部の顧問。更には桐条グループのシャドウおよびペルソナ研究の第一人者でもある。……そして一連のシャドウ問題の黒幕でもある。

 それを知っているだけに、奴の顔を見た時に頬がひくついたが、誤魔化して話を聞く。S.E.E.Sに加入して、巌戸台分寮に転居しないかという話だった。親もいないし(どうやら俺は両親を失っている設定になってるらしい)、手続きやそれに伴う金銭は向こうが受け持つとのことなので特に障害はなく俺一人がうんと頷けばいい話なのだが、それでも断らせてもらった。……俺だって夜遊び(意味深)したいですもん。

 それに原作の男キャラは最大5人、寮の男子部屋も5つで足りなくなっちゃうじゃないの。

 

 俺が断ると、暫く俺の能力に関しての話をしてから理事長はアパートを出て行った。後で学生寮に行って今度はキタローと会話をするんだろうな。……キタローに、ラスボス・ニュクスが封印されてることも知ってるんだったっけ?どこかで計画を台無しにしてやりたいけど、アイギス倒さなきゃいけないのが難しいなぁ。物理耐性持ちのあの子に剣士だと相性悪すぎワロエナイ。

 

>4月9日(木) 満月デー

 今日は満月。原作通りなら、大型シャドウ「マジシャン」が活動する日である。

 クラスメイトには今度はゲーセンに誘われたので俺の格ゲーの腕を見せつけたかったけれど、残念ながら準備しなければならないので断らせてもらう。

 念入りに日本刀のメンテ……といっても研ぎとか知らないので布で刃を拭き取るだけだが、掃除して影時間に備える。新入生やら新学期でボクシング部の練習がうまく出来ず、昼間のストレスが溜まっている真田先輩に今夜も付き合えと言われたのだが、その途中で大型シャドウと遭遇するはずだ。倒せればそれに越したことはないが、きっと無理なので原作通り途中で先輩と共に撤退するとしよう。

 回復アイテムを買う金はなかったけれど、【ディア】使いは多いんだし逃げ切れればなんとかなるさ。

 

 

  >満月の影時間

  巌戸台駅で合流し、そのまま街に出没するシャドウ探索を開始する。途中、雑談としてこの前であった適合者の男子、伊織順平のその後の件が話題になったが、桐条先輩から隠れて秘密裏に交渉を行い、驚かせようとしてる途中なんだと。折角だから俺も交渉に参加しろと言われたが、俺も新入りなわけだし、後輩の立場で先輩には頼みづらいので勘弁して欲しい。

  そんな話をしながら駅周辺の商店街を歩いていると……巨大な身体を引きずりながら、アイツが現れた。

 

 

  臆病のマーヤと同じような粘体状の、しかしながら体躯は巨大で、無数の腕のうち1つに青い仮面を携え残りの腕に剣を持ったシャドウ。ゲームではイベントで撃破されたものの、真田先輩を苦戦させるほどの力を持つ「マジシャン」の大型シャドウだ。

  面白そうだと声を漏らし、先手必勝とばかりに殴りかかる先輩。しかしながらそこらの雑魚シャドウと違って、パンチ一発ではちっともそのHPは削れない。

  仕返しに、手に持った剣で攻撃される。……やべ、クリティカルしてる。慌ててカバーに入ったが、それでも真田先輩は結構なダメージを受け、動きが鈍っている。二人で倒せるとは信じてなかったが、こうもあっさりと崩されるとは思わなんだ。

  巌戸台分寮への撤退を提案し、真田先輩は素直に従ったので殿を務め防御に専念する。図体こそでかいが、基本的にレベルは高くないようだ。それでもイソラより若干上のようだ……12レベルといったところか。使用スキルは【アギ】【ひっかき】、それから【九十九針】らしき飛び道具技と、周辺を焼きつくすほどの大技【地獄の業火】か。後者は1ターンほど集中する隙があったので、俺には無理だが戦法によって妨害が可能かもしれない。桐条先輩と合流したら試すチャンスだ。……物理攻撃も強い傾向はあるが、典型的な「魔術師」のアルカナにふさわしい魔法攻撃タイプのシャドウだ。

  防御に徹していても、回避しきれなかった攻撃でじわじわとHPが削れる。そろそろ“命運”がなくなりそうだ、というところで真田先輩が逃げる距離は稼げただろうと俺も逃走し始めた。巌戸台分寮への連絡は先輩が既に行っているはずだが、できるだけ早く駆けつけてほしい……。

 

 

  やっと寮に到着し、玄関から出てきた桐条先輩と合流、怪我を負ったままの真田先輩には後方から補助に徹してもらうとして、マジシャンとの再戦に入る。前衛はレベルの低い俺、それから桐条先輩と不安だが……桐条先輩のペルソナ、ペンテシレアによる氷結魔法【ブフ】が刺さった。火炎相性の魔法使いだけに、対立相性の氷結が弱点のようで【地獄の業火】を放とうとする隙に【ブフ】が刺さり、凍結(FREEZE)状態に陥ることで集中が阻害される。しかも凍結状態の副効果で固まって動けないマジシャンに、俺の渾身の【ヤマオロシ】がぶっ刺さり、体力の大半を削る。このまま倒せそうだ……と思ったが、今度は凍結から回復したマジシャンが俺らの前から逃走し、周囲の住宅街の障害物を乗り越えながら寮の方に向かっていった。桐条先輩が通信で寮のメンバーに知らせながら慌てて追いかけるが……この展開、完全に原作通りである。

 

  寮に到着するが、どこにいるのか姿の見えないマジシャンの位置をカメラで確認するため向かった4Fの作戦室で、初めてペルソナを降ろし、マジシャンおよびその残滓のシャドウにトドメを刺して倒れ伏すキタローの姿を見届けた。

 




「マジシャン」のデータ(200X相当で自作)
怪異マジシャンLv12  力8魔13体10速8運8  HP660MP150(ボス補正込)  火炎無効、氷結に弱い
【九十九針】【ひっかき】【アギ】【地獄の業火】【格闘武器】【追加射撃威力】

ただし「地獄の業火」は、それに[集中](1行動消費し、宣言した行動の次の判定+20%)を行った次のターン最初にしか使用しない。

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