真かみさま転生200X(未完)   作:tbc

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連続投稿也


ミカエル、ラファエル、ウリエル

 

>夜魔リリスLv72の悪魔カードを手に入れた日

 高レベルで、BS無効、魔法も無効など強い耐性を持つこと。BINDやFREEZEハメのような卑怯地味た手を取れないこと。

 無限回【龍の眼光】により毎ターン5回行動を行えること。攻撃を運任せに回避して凌げない、正面からの殴りあいに耐えるだけの耐久力が、高レベルでは必要になること。

 多彩な攻撃相性、あるいは万能相性【メギドラオン】により全門耐性ですら防げない攻撃があること。

 いわゆるラスボス級の悪魔は、下手に小手先の技を使うこともなく、高いレベルで万能で殴ってくる力バカであるのだ。

 

 夜魔リリスは、そんなやがて戦うだろうミカエルら高レベル悪魔が備えるのと同様の性能を持ち、なおかつレベル72とラスボス格に比べればやや低めということもあってまだ力の足りない俺にも相手できる、ラスボス級悪魔という条件を満たしているので経験を積むのに最適な相手であり、ルイ・サイファー閣下の采配が確かなことは分かる。

 だが分かっていて彼女を連れてくるあたり、非常に悪質。

 糞野郎、この悪魔め。

 

 

 

>決戦の日

 スティーブンが、ザインが元老院に出頭したことを知らせてくれた。やがてアレフも元老院に向かうのだろう。俺も行かなければ……わざわざ俺への犠牲になった、彼女を無駄にしないためにも。

 

 仲魔は邪神ニャルラトホテプ、魔王ヘカーテ、大天使クシエル。造魔は最後に魔王アバドンを合体した。俺自身は夜魔クイーンメイブとなって、全員例外なく【耐物理】等により剣への耐性を獲得している。魔法全般耐性を持つものも多く、ほぼ雑魚悪魔相手なら完璧だが……それでも足りないくらいだ。

 幸い、ドロップ品の貴重な武器を売却したことにより金は溢れるほどに手に入ったため、妖魔クルースニクから【至高の魔弾】を全員に持たせ、何人かには【ラスタキャンディ】や【ランダマイザ】を習得させた。全員ではないが、【リカーム】や【サマリカーム】、【メディアラハン】も習得し、ダーク悪魔には【回避強化】も持たせた。リリス戦で顕著になった、メギドラオンの連発に味方が耐え切れない問題はある程度解決したつもりだが……果たして本気のミカエルに耐え切れるかどうか。

 

 俺はセンタービルに向かった。途中ゲートのパスコード等はスティーブンから全部聞いているし、道中の雑魚は万能相性の攻撃すら持ってないため俺に攻撃は通じず、もはや相手にならない。

 メシア教徒と天使には【八相発破】、時折り現れるマシンは【真空斬り】と強引になぎ倒し、センタービルの22階、元老院の間の前に来た。既に石化したザインの石像が扉前に突っ立っており、中では戦いの気配が感じられる。アレフに遅れたか……?

 仲魔を呼び出し、変身し戦闘態勢を整えて中に突入すると、今にもアレフが正体を現した元老院のウリエル、ラファエルの二柱と矛を交えようとする寸前であった。魔獣ケルベロス、国津神サルタヒコに女神フレイア等を従えるアレフとそしてヒロコは仲魔から判断するに俺と同程度のレベルだが、そのレパートリーはとてもではないが万全な対策を施した布陣ではない。特に【マハブフダイン】を使うラファエルと回復の要【サマリカーム】を使えるケルベロスの相性は最悪だ。三体全てを受け持つ予定とはズレたが、俺は戦いの場に乱入しラファエルに攻撃を加え、強制的に向こうの意識をこちらに割かせた。

 

 最奥の間でアレフ・ヒロコとウリエル、俺とラファエルの二つの戦いが繰り広げられるが、やがて片方の戦いはすぐに終わった。多少【デカジャ】が使えるからといっても、万能相性の使えないラファエルではとても有効打を与えられないからだ。途中で残りの手勢が加わったりすれば大変困るところだが、この間ミカエルは見に徹していたようだ。

 飛び交う【至高の魔弾】の傷を刻むような攻撃により、ラファエルは徐々に削れるHPへ悲鳴を上げて倒れた。前哨戦は命運の消費も少なく、ラファエルの経験点でのレベルアップによりHPとMPもリセットされミカエルへは万全の状態で挑むこととなる。アレフは未だウリエルと戦闘中だが、時間稼ぎの【テトラカーン】に苦労しているだけで心配は無用そうだ。

 

 腰を上げたミカエルはアレフをよそ目に、奴も真の巨体を現し、手に持つ大天使の剛槍を振り回し、仲魔ごと俺を薙ぎ払ってきた。しかし物理攻撃はかすり傷だ。それを奴も小手調べにもならないと分かっているのか、【テトラカーン】の守りを張り……見に徹したことでこちらの弱点を見ぬいたか、速攻を仕掛けてきた。

 時間をかければ、【ラスタキャンディ】【ランダマイザ】により補助を積む時間があり、そして【メギドラオン】を撃てるMPがなくなる。だがじわじわと削っても【リカーム】からの【メディアラハン】で簡単に体勢を建てなおされる。それをウリエルとの戦闘で分かっているからか、次の手に集中に集中を重ね……自身のMPの半分を一息に費やす、怒涛の【メギドラオン】15連発を繰り出した。

 流石に仲魔全員を守り切ることは出来ないが……俺一人生き延びることに集中すれば、どうとでもなる。クリティカルは急所を防ぐ観音神符を切り、最初の数発は仲魔に【カバー】をしてもらい、半分は自力で回避を、残り半分はライフで凌ぐ。リリスでの経験から、高レベル悪魔のメギドラオン連発を全ての仲魔が生き延びることはできないと早々に見切りをつけ、敵が手を緩めるまでは俺だけで耐えることに専念すると決めていた。

 メギドラオンをしのいだ俺がリカーム、サマリカーム、メディアラハンで次々と仲魔の体勢を立て直すのを見て、愕然とした表情を浮かべる。最強の切り札を切って、俺のMP以外のリソースを削れなかった時点で最早負けが決まったようなものだ。

 しつこく、ミカエルは再び15連メギドラオンを繰り出すが、今度はクリティカルも少なく、生き延びる仲魔まで現れる。またその程度の火勢では、当然俺が倒れるわけもなく、回避の目は悪かったが僅か2点の命運を切るだけで凌ぎ切った。MPの9割を消費し、もはやあと数発しか【メギドラオン】を撃てない状況に陥ったミカエル。“詰み”だ。

 

 ミカエルを屠り、後ろを振り返るとウリエルは倒され、ガブリエルが次の戦いへ向けてアレフを癒やしているところだった。苦戦はしていたが、向こうは無事に勝てたようだ。回復もあって、次なる作られた偽神への調子は万全だろうが、それだけで足りるように見えない。

 本当なら手を貸してやるべきだが、元老院を倒すスティーブンとの約束を遂げた以上、そこまでする理由はない。それに……もう、疲れている。

 後の敵はそちらに任せたと告げ部屋を出る前、COMPを通してアレフに大天使クシエルの仲魔データを送る。元はピクシーから付き合ってくれた最古参の悪魔だが、これからの俺よりもアレフに使ってもらった方が役に立つ。きっと。

 アレフには何か言われそうになるが、結局何も言われないまま彼らは現れた偽の唯一神へ戦いを挑んだ。その始まりだけ見届けて、俺は石化が解けつつあるザインを横目にセンタービルを離れ、ミレニアムの西へ向かう。

 

 ミレニアムのエリア間通路を抜け、今はもうアバドンに食われ、地下世界か魔界か、どこまで続くのか底が見えないヴァルハラ跡地に着く。

 羽田ジムから抜けた俺を拾ってくれたものの恩を仇で返す形になったTen-DO組、ヴァルハラを離れるきっかけの戦いを繰り広げたが後に酒の会で悪くない友人になれそうだったダレス、そして俺の生前生後を通しての正真正銘初めてを捧げたアリス・リデル。

 ミレニアムに居た時間はペルソナ3よりも短い間だったけど、ここ数回の転生の中で一番好きにやれて、何よりも楽しかったと感じた。それだけに……

 

 何もなくなったその空間へ一歩踏み出し、自由落下中に我が身を守るように包む風を肌で感じながら、俺は目を閉じた。

 

 

 

 




ミレニアム終わり。

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