GATE;「扉ガバガバじゃねえか!」と叫ぶ転生者 作:水の水割り
"銀座門攻防戦"から早1週間が経った。
マジでここ拘置所なの?
連行とは名ばかりの保護だったらしいけど、いくらなんでも豪華過ぎるだろ……ロイヤルホテルか何か?
それでこの部屋はというと、最早完全に
インターネット環境完備!
勿論ゲームも完備!
テレビは最新の大型!
ベッドはふっかふかのキングサイズ!
備え付けの電話で内線に繋げばいつでもピザとかが食える!
「外出だけは勘弁してください! オナシャス!」
と、偉そうな人から懇願されたのでそこだけは不便だが、まぁいいんじゃない?
食っちゃ寝し放題だし天国だ。大学に比べたらマジで天国!!
つまるところが、そう。
「
「いや何言ってんだお前」
ベッドに寝たまんま声がした方、後ろを見ると伊丹が自衛隊っぽい格好で入口にいた。
全く、ノックぐらいして欲しい。
「こんなに散らかしやがって……ハァーメンドクセーマジで……」
そうはいいながらも
「あと下着姿で食っちゃ寝するのやめろよなー、周りの目に毒だし太るぞ」
「ふん、余の体を見せつけてやっているのだ。ついでに余は太らないぞ」
やれやれ、と再び溜め息を吐いて部屋を片付けて行く。
片付けは伊丹に任せて
もう私はとにかく好き勝手に生きたい。
どうせ"俺"は死んだんだしヤケクソだ、ワガママに生きてやろうじゃないか。
「ったく漫画も散らかしっぱなしだしよ……お? お……おおおおおおお!!?」
「……今度は何だ伊丹。余のパンツならやらんぞ」
「いや普通にいらねぇけどさ……。コレ! 一体なんだよコレ!!」
「伊丹よ、ついにおかしくなったか……。それはラノベという娯楽でな」
「そうじゃなくて!!!」
伊丹は
出版社はファンタジア文庫。
そして気になるタイトルは『デート・ア・ライブ"15"』
伊丹はそれをまじまじと、もう穴が空くのではないかと思うほど見つめている。
「これ……どうした?」
「続きが気になったから貰った」
「なあセイバー、これ来月発売の奴だよな?」
「うむ、だから貰ったのだ」
「来月なら待てよ! ってまさかお前……!!」
「自衛隊員に頼んだら次の日に貰った。便利だな」
「もうやめてくれよ……(絶望)」
たまにここに来る自衛隊員やらと雑談を交わす内に仲良くなっちゃったりして、ついつい言っちゃったのだ。
「これの次の巻はまだなのか」と。
よりにもよっちゃって一番
それを聞いた
それにしても自衛隊の彼はどうやって来月発売の文庫本を手にいれたのだろうか……。
「な、なあセイバー。ものは頼みというか」
「よいぞ」
「うっひょー! サンキューセイバー様ぁぁぁ!! いやー気になってたんだよなー俺もなー」
うーん、そろそろ
やっぱりアレだ、外の空気に触れたい。体を動かしたい。
ここでの食っちゃ寝生活も素敵だが、本格的にダメなセイバーとなりつつあるのでそろそろニート卒業したい。
という訳で。
「伊丹ー、余は外に出たいぞー」
「んーもうちょっと待っててくれセイバー。多分そろそろだからな」
「その言葉、三回は聞いたぞー伊丹……」
ちい、ダメか。
あぐらをかいてデート・ア・ライブ15巻を読みながら、適当にひらひらと手を
しかし本当に
いやまぁ他のセイバーが嫌いって訳じゃないんだけどね、赤セイバーが一番好きだから他のになる機会が少ないだけで。
後は
「あーそうだセイバー。後でまた聴取入るからそれまでに服ぐらい着ろよー」
「ぬ……またか……」
そう、聴取である。
正体不明戸籍不明本名不明の
これがまた面倒なもので。
「貴方は誰ですか?」
から始まり。
「年齢は?」
「住所は?」
「我が国、日本についてどう思われますか?」
「貴方はとある作品のキャラクターだそうですがその事について自覚はありますか?」
「あのさぁ……。うち、鰻重とかあるんだけど……(本当の事)言ってかない?」
……等々、とにかくみっちり延々と質問されるのだ。
一応向こうも
どうにも日本国内にある"門"と違って
なんでも海外諸国から
アイドルになるつもりはないっす。
いやまあね、こんな
と、まぁとにかく
じゃあこれからどうするのか?
いつまでもここでニートしている訳にもいかない。
かといって海外諸国に行くのもやだなぁ……ご飯美味しくなさそう(偏見)
という訳で、答えは決まっているのだ。
ぬんっ。と気合を入れると、下着姿から頭の中で想像していた
性格が、口調が、
まるでゲームカートリッジを差し替えるかの様に切り替わるのを感じる。
ジャージ姿にマフラーと帽子で顔を中途半端に隠したセイバー……じゃなくてアサシンのクラス、
ちなみにチョイスに他意は無い、適当に選んだだけだ。
にしても本家ヒロインXが
「……ふぅ」
「お、んじゃ行くか? まー上の方も上手くやってくれてるっぽいし近い内に仮釈放されるだろうなぁ」
私はその呼び掛けに「ん……おKです」とだけ返し、ついでに。
「伊丹、聴取を受けるのは構いませんがあの"門"の向こう側……別に制圧してしまっても構わないのでしょう?」
「えっ」
さぁ、
「いや、普通にまだ無理だろ。流石に我慢してくれセイバー」
「アッハイ」
流石にもう飽きてきたよ……アーイキソ(退屈)
「えーと……じゃあまず"今の貴方"のお名前をお聞かせ願えますか?」
「ヒロインXです」
「ウッソだろお前……」
場所は拘置所内、
言わずもがな、いつもそこで聴取を受けている。
今回の聴取相手は優男……のような雰囲気の男。
何故男なんだ……そろそろ女性と触れあいたい。
むさ苦しい……とにかく女性と……女性と触れあいたい。マジで。
「えっと……もしかしなくても"あの"ヒロインXさん、ですよね?」
「ええ、間違いなく合っています」
「……僭越ながら宝具を見せて貰っても?」
「構いませんよ」
別に隠す必要もないし
どこからともなく
それをまじまじと見つめるので、
その様子は何処か戦隊モノやらの玩具で遊ぶ子供の如く、目をキラキラさせている。
「あの、僕もその、所謂オタクに分類される者でして……。いやぁ、まさかこんな形で本物のアルトリアさんと出会えるなんて感激です!」
「いえ、私はヒロインXです。断じて賢く強くカッコいいアルトリアさんではありません」
「えっ、でもどう見ても貴方」
「私はヒロインXです。いいね?」
「あっ、そっかぁ……(思考放棄)」
聴取相手さんのアルトリア発言に、つい口が勝手に否定してしまう。
こうせいのう せいばー ぼでい!
……なのはいいんだけど口が勝手に動いたりするのにはいつもヒヤヒヤするからやめて欲しい。
あっそうだ(唐突)
最近、拘置所ぐらし! をしている内に判明した事があったゾ。
なにを隠そう
初め、俺は《セイバーならなんでもありなんじゃね?》と
ついぞ一応セイバーの筈であるランスロットやガヴェインには姿が変わらなかったのだ。
これには
「何!? セイバーならガヴェインにもなれるのではないのか!?」
と。もしや女性限定なのか? とも考えた、合ってるようで違う。
そして3日前。
うん、ヒロインXになれたってことは……。
"セイバーならなんでもあり"じゃなくて"アルトリア顔ならなんでもあり"じゃね?
と、やっと理解した。そりゃそうだよランスロットやガヴェインはアルトリア顔じゃないもの。
まぁこんな感じに思い違いが解けた訳で、それ以外は"門"の向こう側には異世界が広がってるぐらいしかわかってなかった。
ぶっちゃけネットの情報も銀座攻防戦で
うーん……伊丹にこの前聞いたが。私がこの人達に協力する意志は見せてはいるが、どうにも足踏みしているらしい。
仮釈放はもうじきされるっぽいけど、あくまでも"仮"だしなぁ……。
ここは思いきるべきか。
脱線し続け、
「へっ? ああいや、うーん……確かにそれはそれで上も首を縦に降りそうですが……」
「いいですよね?」
「え、でも僕の一存では」
「いいですよね?(威圧)」
「アッハイ、上にかけあってミマス……」
「ならば良し」
仮釈放期間は、むさ苦しくならなそうだ。
展開が遅いのは積みガンプラを消化していたからなので僕は悪くありません。シャイニングガンダムが悪いのです。
こんな作品なので賛否両論が激しかったり激しくなかったりしますが、僕はとりあえず皆様に呼んで貰えているので嬉しいです。
その読者が僕に114514円分ぐらいのiTunesカードを恵んでくれる人なら、もっと嬉しいです
次回→年内