私はただ生存率を上げたい   作:雑紙

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前半は三人称、後半は一人称となっています
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三十八日目 第一部隊 弐

 

 

 まず、彼の日記を読んだ第一部隊全員が思ったことは、彼は戦場において冗談に値することを一つとして行っていなかったということだ。アラガミ弾とバレットの相殺、神機の投擲による串刺し、ブラストによる空中飛行……彼女達が『奇行』と呼ぶ彼の業は、彼なりに真面目に考えていた『工夫』だった。狂人と呼ばれる彼はその実、至極真面目な男だったのだ……そのベクトルが狂ってはいるだろうが。

 ほとんど表情を変化させず、話しかけられなければ口を開かない彼の印象は一匹狼が正しいと思われていた。しかし、その内面は感情も豊かで、ただ自分からは話しかけずらいと感じているだけであった。

 時々「落ちこぼれだから」だの「隊長とか無理ですから」だの言っていたあれは決して遠慮でも謙虚でもない本心で、彼女達が彼の様々な面を信頼して隊長を任せたとは彼はほとんど思っていない。彼は後ろ向きな思考の持ち主だった。

 けれど、自身が叱られるだけで他の人が褒められていてもそれを喜ぶことが出来、他人の考えを否定することなく受け止め、相手のことを思いやることが出来る……彼は、優しい人間である。更にいえば天然であり鈍感……それを露にさせる日記に記されていたユイの行動は残りの第一部隊のメンバーに多いにからかわれるネタとなってしまったのは別の話。最も、そのようなことは日記を読む前から全員分かっていたことだが。

 

 

 

 

 結論を言うと、筒井マモル――極東支部最狂のゴッドイーターという異名を持ってしまった彼は、やはり彼女達と同じただの人間だったのだ。重症を負えば寝込んでしまうし、勉強や難しいことは苦手みたいだし、変なところで頑固な一面もある……外周区の人々とも何ら変わらない普通の人間。ズレている面だけを露出してしまい、狂人のレッテルを貼られることになった不幸な人。

 

 第一部隊の面々は軽度の罪悪感に囚われた。これまでの接し方は、結果的に彼に様々な思い違いをさせてしまったからだ。だからといっていきなりそれを変えてしまうと彼は余計に混乱するかもしれない。故に、彼女らは話はすれど以前よりも心なしか距離が離れている気がした。

 

 

 「え……。そんな、どうして……黒いハンニバルとマモルさんが、単独で交戦中……!?」

 

 

 

 だからこそ、ヒバリさんのその言葉を聞いた第一部隊は騒ぐだけでも聞き返すわけでもなく、ぴたりと凍りついたのかもしれない。つかめない距離にいた彼は、いつの間にかどんどんと先へ進んでいたのだから。

 

 

 

 「…………ど、どういうこと!? マモルが一人でって……!」

 

 硬直からいち早く回復して受付の台を強く叩いたのはユイだった。その音によって残りのメンバーははっと我に返り、今置かれているマモルの状況を把握する。

 

 「あの大馬鹿野郎……おい、全員出るぞ!」

 

 「全員動くな! まだそのまま待機しろ」

 

 ソーマの掛け声で全員が一斉に準備をしようとしたところを、上から降りてきたツバキが冷たい声で静止させる。

 

 「そんな、どうしてですか!?」

 

 「そうだよ! 早く行かないとマモルが……っ」

 

 「聞け。恐らくあれは、アラガミ化したリンドウだ」

 

 ――その瞬間、再び第一部隊は凍結した。

 

 突如現れた黒いハンニバル――ハンニバル侵喰種。その正体が、極東支部のゴッドイーター達が必死に探していた元第一部隊隊長である雨宮リンドウであると、ツバキは言ったのだ。

 何故そんなことを知っているのか。そう尋ねる者はいない。なぜなら、マモルがそのハンニバルと一対一で戦っていることが既に物語っていたから。

 しかし、ツバキはそんな第一部隊を見てもなお、口を開く。

 

 「そう、あいつはそのことを知ったからこそ、一人であのハンニバルを倒しに行ったんだ」

 

 

 その言葉が、全員の予想を確信へと至らせた。

 

 

 

 

 彼の日記のタイトルには、『生存率を上げたい』という彼のありありとした願望が書かれていた。その時彼女らが思ったことは、意外の一言だった。ユイはマモルから直接話を聞いてはいたものの、それが彼女の失態をフォローする為の話なのではないかと感じていた為にあまり信じてはいなかったので、尚更であった。

 しかし、その内容は矛盾していないようで矛盾していた。人を助けることで結果的に自身の生存率が上がるので他人を守る……確かに、それは最終的には彼の助けになるかもしれない。だが、彼はそれを差し引いたとしてもあまりにリスクを冒す行動をよくしているのだ。彼自身がその危険性に気づくことなく平然と行ってしまうそれは、少なくとも『生きたい』と思う人間がやるようなことではなかった。

 ならば、何故そのようなことをするのだろう。第一部隊の面々は疑問を抱いていたが、これまでの彼の挙動と今回の彼の行動によってようやく理解した。

 

 筒井マモルは他人に優しすぎるのだ。日記を見るにそれを本人は自覚していないようだが、自身を大切にすることなく他人に尽くすその姿勢は『自己犠牲』と言っても過言ではないほどに人に献身的だった。

 

 

 「……どうして……」

 

 サクヤが言葉を零す。何故、そんな重要なことを話してくれなかったのか、一人で背負いこんだのか。それは第一部隊全員の疑問だった。

 だがそれは、よく考えてみれば分かる単純なことだ。

 

 「サクヤ、お前はリンドウに銃を向ける覚悟はあるか?」

 

 「っ! それは…………」

 

 「お前達もだ。その覚悟はあるか?」

 

 そう、相手は元第一部隊隊長のリンドウがアラガミ化したものである。そのアラガミと対峙するという事は、リンドウを相手にすることと同義だった。特に、並ならない想いを抱くサクヤとその発端となったと言ってもいいアリサの顔は険しい。

 

 そんな中で、唯一黒いハンニバルの正体がリンドウだと知った彼は単独で戦っている。彼は、とっくのうちに覚悟を決めていたのだ。だからこそ、こうして第一部隊の為に一人だけで戦っている

 

 

 「……無いなら、今ここで覚悟しろ!」

 

 

 故に、ツバキは五人に発破をかける。

 

 「これより、新たな特別任務を通達する。対象はエイジス島に出現した黒いハンニバル。可及的速やかにこれを排除しろ。現状戦力での対抗は困難な為、他のハンニバル種と同様コアを摘出後、即時撤退すること。分かったな?」

 

 新たに下された任務に一同は目を見開く。だが、その力強い言葉によってコウタとユイ、アリサの三人は頷いて返事をした。ソーマも目を閉じ、首を動かして肯定の意を示す。そして、ツバキの目がサクヤを射抜いた。

 

 「サクヤ、これは命令だ。お前はここで待機しろ。……同じ苦しみを二度も味わう必要は――」

 

 「いいえ」

 

 その甘い誘いを、サクヤはすっぱりと断ち切った。

 

 「その命令には従えません。私には、愛する人の結末を見届ける義務があります。それに……あの子にばかり頼ってはいられません」

 

 マモルは最初こそ危なっかしい動きばかりをして何度もはらはらさせてくれた。だが、それゆえに彼はいつも最前線で戦っていた。方向性は違えど反省をして次へと活かすその姿勢と、無茶苦茶でありながら射線を邪魔することのない配慮。日記を読まなければ改めてそのことに気付くことは出来なかったかもしれない。彼は前線に身を置くことでサクヤ達を引っ張ってくれていたことにも。

 

 「うん……俺も。覚悟、出来ました。まだ頭では納得できてないかもだけど……あいつがとうに出来ているなら、しないわけにはいかないから」

 

 マモルの行動の多くは一歩間違えば死に至る危険なものであり、単独での大型アラガミ討伐なんて条件がなければきっと日常茶飯事だった。どうしてそこまで死に急ぐのかと疑問に思っていたコウタは、生存率を上げるためにやっていたという事実を知って一番驚いた。死にたくないからこそ死の一歩手前に赴く、そのようなことは相応の度量がなければやろうとも思わない。その心の歪な強さに、結果的にコウタ達も知らず知らずのうちに守られてきた。

 

 「俺達の仕事はいつだって、一人で背負い込みがちなリーダーを支えることだけだ…………だろ? あいつの場合、叱りつける必要もあるがな」

 

 人外とも言えるべき機動性……戦闘能力を持つマモル。その力の源は、ほんの少し歪んでいる生への渇望。それ自体は如何にも人間臭いものだが、それによって引き起こされる行動は近いようでかけ離れていた。生きたいのなら他人を蹴落とすのだって時には必要なのに、彼は逆にそれらを助けるのだ……自身の生存率に繋がると確証のない確信をもって。第一部隊の為にと単独でハンニバルに挑んでいるのが良い例だ。わざわざ心配されなくても、ソーマ達は充分心身共に強いということを面といった方が良いだろう。

 

 「……そうですね。でも……楽観的なのかもしれないんですけど。私、なんとかなる気がするんです。あの人なら、きっと」

 

 狂人と呼ばれるマモルはこれまでに多くの発見――偶然が重なったものが多いが――をしてきた。予測不可能な 行動を取る事は毎度のことだが、それがアラガミに対する様々な策に繋がる事はすくなくはなかった。それは本人の工夫が周りに意図しない形で認められたということである。そのことを彼自身は自覚していないが、間接的に多くのゴッドイーターの手助けとなり、彼らの生存率を高めることになった。そんな彼が今回一対一で挑んでいるということは、それなりの理由と考えつかない工夫があるからかもしれなかったのだ。

 

 「うん……マモルが何の考えもなしにこんなことをするはずない。絶対何かあるに違いないよ。それが、私達の知ってるマモルだから」

 

 マモルが行動する時、その直前や間でも彼は考えを張り巡らしている。効率の良いダメージの与え方、簡単な結合破壊方法、どの部位を狙いどのように攻撃すれば相手を完封できるかなどがむしゃらに攻撃したり行動することはほとんどない。強敵であれば尚更だ。アラガミ化したリンドウだと知って尚単独で挑んでいるということは、何かしらの策が……もしかしたら、リンドウが元に戻るかもしれない方法を見つけたからかもしれない。

 彼の行動には必ずと言っていいほどそれを行った意図や理由があった。しかし、生存を志しておきながら『自身』を疎かにする傾向もある。それは実際に目の前で行われ、何より第一部隊の中で最も付き合いが長いユイがよく分かっていた。故に、自信をもって言うことが出来た。

 

 

 ツバキは五人の様子に満足そうに頷く。

 

 

 「ふっ、そうだな……。よし、全員、現場に急行しろ。そして取っ組みあっている二人にこう伝えてくれ。『二人共』無事に生還してきた時のみ、懲罰を免除するとな」

 

 

 第一部隊の面々は、静かに決意を固めて頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迫り来る熱を、身を屈ませて回避する。すぐに攻撃に移行しようとするももう片方の炎剣が暇を与えることなく振るわれるために装甲を展開して地面へと受け流す。再び迫ってきた炎を飛び越え、外側から放たれたレーザーに奴が気を取られた隙に頭蓋に放射弾をぶち込む。その反動の勢いに身を任せて後退。相手が両手にもつどす黒い炎の剣は、未だ獲物を焼き尽くすためにぼうぼうと燃え上がっている。

 

 私こと筒井マモルと唯一の同行者であるレンさんは黒いハンニバル……アラガミ化したリンドウさんと対峙していた。このハンニバルの行動は基本的に普通のハンニバルとは逆なことが多く、通常のハンニバルに慣れている私にとってやりにくい相手だった。今はもう、元となるアラガミとの交戦経験もあってほとんど対処はできている。

 

 結合破壊は未だに一つもなしていないものの、ゴッドイーターとしての感覚がもう少しで倒すことが出来ると囁いている感じがする。……普通にすらなれていない私が言うのも変な話だが。

 

 それにしても、剣の二刀流というものはやはり手数があって良いものだと思う。防御面が疎かになったり左右で力の入れ具合が異なってしまい扱いにくくなることもおおいが、マスターすれば攻撃力が単純に倍になる。力も強く何より自身から作り出した炎の剣の二刀流で戦うハンニバルの強さからも、そのことはよく分かる。試してみたいものだ。

 

 「マモルさん」

 

 「はい……次で決めましよう」

 

 現実逃避を捨て去り、私は銃口を後ろに向けて構えをとる。レンさんとアイコンタクトを交わした後、放射弾を発射してハンニバルに接近。クロス字で振るわれた炎剣を床に向けて放った爆発弾の衝撃で身体を浮かして回避。ハンニバルは長い尻尾で私を叩き落とそうとしたようだが、その瞬間片足だちになった脚部を狙われて呆気なく転倒する。

 私は重力に従ってハンニバルの頭上から捕食形態にしながら落ち、食らいつく。まだ息があったので、開いた口に神機を突っ込んてすぐに氷属性のインパルスエッジをぶち込んだ。

 暴れられた衝撃で遠くに弾き飛ばされてしまったが、すぐに態勢を整えてハンニバルの方を見ると、目を見開いたまま倒れていた。煙を吐いて動かなくなったが……どうせまだ死んではいないだろう。というより、死なれてたら困る。

 後はコアを探すだけ……と近づこうとした時、後ろから複数の足音が聞こえてきた。

 

 

 「マモル!」

 

 足音に反応する前に、聞き覚えのある元気な声が聞こえてきた。顔だけを向けると、そこには第一部隊の皆がいた。……各々の表情から察するに、ツバキさんあたりからあのアラガミの正体を聞いたのだろう。

 

 

 まあ、だからといってやることは変わりはしない。そろそろ、隠れていた部分が出てくる頃だろう。

 

 

 視線を前に戻すと、倒したはずのハンニバルが炎を巻き上げながら生き返り…………その腹部に、見覚えのある男の姿があった。

 

 「……リン……ドウ……」

 

 後ろからサクヤさんの呟きが聞こえた。あんな風になっているとは少しばかり予想外だ。……腹部にコアがなければいいが。

 

 

 

 

 

 『今ですよ』

 

 

 気がつけば、全ての色が反転した世界にいた。正確にはその場所と何ら変わりないのだが、目の前には先程まで扱っていた神機の姿はなく、変わりにいつの間にかリンドウさんの神機を持っているレンさんの姿があった。

 

 『これを逃すと、もう倒せないかもしれない。……さぁ、この剣を、リンドウに突き立ててください』

 

 そういって神機を差し出してくるが、私はすぐには受け取れなかった。今更躊躇している訳では無い、ただすぐに突っかかるとせっかく来てくれた皆とリンドウさんが会話をする機会がなくなってしまう。特にサクヤさんとリンドウさん、それにアリサはここで会話を交わしておかないとダメな気がするのだ。

 

 小さな声が聞こえてくる。リンドウさんの意識が目覚めたようだ。サクヤさんがリンドウさんに呼びかけている。……この世界だと、音が小さすぎてよく聞き取れないが。

 

 『……まだ迷っているんですか? あなたはもう、決断したんじゃないんですか?』

 

 まだもう少し待って欲しい。迷ってもいないし決断もしているけれど、サクヤさんとリンドウさんがいい雰囲気で会話しているようだから邪魔したくない。覚悟して来ているのだから、こういう場面で空気を読まないのはさすがに気が引ける。いざとなればもちろん介入するが。

 

 

 『決断が遅れれば、余計な犠牲が増えるだけだ! リンドウに仲間を殺させたいんですか!?』

 

 だから、ウェイト。まだハンニバルが行動するのに少しだけ猶予はある……と思ったら復活を終えて口から炎の吐息を吐き出し始めていた。反転した色がだんだんと元に戻っていく。

 次の瞬間、周囲に響き渡るリンドウの叫びと真横からの大声が私の耳を同時に襲ってきた。

 

 「ここから、逃げろ……これは、命令だぁ!」

 

 『早く、この剣でリンドウを刺すんだ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「五月蝿いな」

 

 急に命令されたり止めを急かされたりと、瞬間的にあまりにイラついたので思わず口走ってしまった。すると、会話や咆哮、叫び声までもがピタリと止んで静寂が訪れた。一体どうしたのだろうと辺りを見渡すと、全員が私の方を見ていた……もしかして、会話はまだつづいていたのだろうか。申し訳ないことをしてしまった。

 だが、長い会話をする皆も悪いと思う。こういうのもあるから一人で受けていきたかったのに。

 ふと、レンさんが怯えた目でこちらを凝視していることに気がついた。……レンさんの前で怒ったのは初めてだったから、これだけで怖いと思われてしまったのだろうか。

 ハンニバルの方もまるで時が止まったかのように固まり、辺りに撒き散らしている焔が激しく揺れていた。……動揺でも表しているのだろうか。

 まあ今はそんなことはどうでも良い。私はリンドウさんの神機を掴み、自身の左手を故意に捕食させて部分的にアラガミ化させる。激痛が走るが、神機適合試験よりも少し痛い程度だ、それぐらいなら既にもう試験で慣れていた。

 

 「逃げるな」

 

 私はリンドウさんの神機を左手で振るいながら、口を開く。先程から逃げろ逃げろと言っていたようだから、その意趣返しをしてやる。

 

 「生きることから、逃げるな」

 

 リンドウさんから教えられた事は今でも思い出せる。そのうちの一つに、死にそうになったら逃げろという言葉があった。言いだしっぺの法則というものがこの世にはあるもので、そう言い出した以上リンドウさんにもそれを実行してもらわなくては元第一部隊隊長としての示しもつかないだろう。

 

 「これは、命令だ」

 

 そして、最後の意趣返し。リンドウさんが行方不明になったあの日動かざるを得なかった強制命令。言いたくはないが、今やリンドウさんは私よりも下の立場である。故に、私はリンドウさんが死ぬことを許さない。死なれると困ることなんて私と違って山のようにあるのだから。

 

 

 固まってしまっているハンニバルに近づくと、ようやくハンニバルは我を取り戻したようで再び炎の剣を生成しようとした――が、遅い。私が地面から離れる前にしておけば、まだ大丈夫だったろうに。

 

 私は突進するほどの勢いでハンニバルの眼前へと飛び、二つの神機を上顎と下顎の間に突き刺して、無理やり顔から首の根元まで二分割にしながらこじ開ける。そこには、真っ赤なアラガミのコアがあった。

 

 私の予想が正しければ、アラガミの腕でさえあのような鮮明な感応現象が起こったのだから、その核ともなればより強く有り得ない現象が起こるに違いない。それをリンドウさんの神機によってアラガミ化した腕で衝撃を与える。そうすれば、きっと何かが起こる。そう考えての行動だった。

 

 レンさんには申し訳ないが、私は殺すよりも生かす方が好きなのだ。強いひとなら尚更、だ。

 

 

 

 「さて……戻ってきてもらいますよ、リンドウさん」

 

 

 

 私はアラガミのコアに、アラガミ化した左腕を打ち付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やってくれましたね……乱暴者さん」

 

 意識が途絶える前に聞こえたその声は、呆れながらもどこか嬉しそうだった。

 




日記を読んだ後の反応を含んだ第一部隊でした。
後は軽い戦闘描写ですね。
感想を下さる方々、評価をつけて下さる方々、読んでくださっている皆々様には本当に感謝しております。
いつも堅苦しいと思われそうなので少しふざけてみますね。












 if fgo

 燃え上がる町。蔓延るアンデッド。
 人類の存在が消え去った未来から存続を取り戻すための、第一の起点となる炎上都市。
 一人のマスターと彼女に仕えるデミ・サーヴァントは共に戦う最初の英霊を召喚した。その結果は幸か不幸か、その時彼女らにはわからなかった。

 「初めましてマスターさん。召喚に応じたわけではありませんが、出来る限りのオーダーには従いましょう。全力は尽くしますが、期待はしないでくださいね」

 英雄の風格など微塵もない至って普通の一般人。長い黒髪を靡かせ整った顔立ちをしている彼女……いや、彼は英霊の中でも弱い部類だろうと一見するものは誰しもが思う。

 しかし、それが大きな間違いだと気づくのはそう遠くはなかった。



 「あの黒いのは……サーヴァント!? 先輩、私の後ろに隠れ――」

 「よっ、と……あれ? 一発で終わりましたね。普通未満ですね……先に進みましょう、皆さん」

 「……おかしいな。どうしてさっきまで隣にいたのにあんなに遠くにいるんだろう」



 「エクスカリバーモルガ――ぁぅ!?」

 「宝具、展開しま――えっ」

 「あ、すみません。宝具展開されるの怖いのですぐに攻撃させてもらったんですけど……駄目でした?」

 「……理は適ってるのに何かおかしい。おい、あいつはなんなんだマスター」

 「狂人じゃないかな(遠い目)」

 最狂のゴッドイーターは、未来を取り戻す為に立ち上がる。


 ……………………なんちゃって。はい、やってみたいなーと思っていることの一つです、他の作品に主人公を出発させるみたいなの、ね。クラスは勿論バーサーカー……とは限らないってね……っ! はい、本編頑張ります。

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