俺の一族がレアモンスターなんだが。   作:鰹ふりかけ

11 / 23
どうやっても話があまり進まない……



マスターの苦悩

リヨンに到着してから暫く経過し

 

リヨン市街城壁からは遠くで竜牙兵達の集団がワイバーンの群れをボーラ(石と石を縄でつないだ狩猟道具。当たったら体に縄が巻き付いて動けなくなる)で追い立てているのがよくみられるようになった。

 

「今日も大漁だな」

城壁にジークフリートがあがってきて会話を振りかけてくる。最初に会った時よりはだいぶフランクになっているが警戒は解いてはいないようだ。

「ああ、自慢の戦士だよ……」

「どうした?何かあったのか?」

かえってきた言葉に悩みや不安を感じとったのかジークフリートの表示が真剣になる。

 

「今しがた、報告があった」

「報告ってアレか?」

「ああ、アレだ」

ジークフリートは確認のためか城壁の一角を指差す。

そこには竜牙兵が立っているのだが……

 

「はっ(ラットスプレッド)はっ(バック)はっ(アブドミナル)はっ(サイドチェスト)……」

次々と筋肉を強調するポーズを変化させており。

暫くして竜牙兵のポージングが終わるとこちらに近づいてきた

 

「マスター、ティエールより報告です。ワイバーンの数が昨日から200匹ほど増加しているそうです」

「またか……」

 

そう!これは竜牙兵達による広域通信なのだ!

(な、何だってーーー)

 

さらに竜牙兵を五キロメートルごとに配置。これによりリヨンからマルセイユ間をわずか二時間でリレー形式の通信が可能に

(スゲー)

 

しかも明確な暗号表が存在しないため(竜牙兵達は感覚的に意味理解をしている)に敵サーヴァントには只の筋肉が不思議な踊りをしているようにしか見えない

(エニグマ式暗号よりムッこいぞ)

 

原理?腕木通信の亜種じゃないかな……

(特許申請中death)

 

「200か……」

ワイバーンが200増える。これがどれだけの絶望的かピンと来ない人も多いと思う。

言うなれば…

〈昨日は100機だった敵の戦闘機が300に増えてやがる何を言っているかわからない〉白目) のようなものだ

 

二百や三百ならばロムルスの宝具で壊滅も容易いがワイバーンがいると多数の地上戦力としてスケルトンが一緒にやってくるのでうち漏らしが多く出てしまう。

しかも陸と空の二重の戦線となり戦場が三次元化する

 

それがやっかいなのだ

 

地上戦オンリーよりも戦力が必用となり……さらに、陸と空に向ける配置が片寄れば瞬時に戦場が崩壊して勝てる戦がそうでなくなってしまう。

 

 

 

「まあ、悩んでも仕方がないか」

「そうだぞ、大将がそんなんじゃ戦士も不安になるしな。それに対策もしているんだろ?」

「ああ」

そう言ってリヨンの市街地を見下ろす

 

「ローマの兵士は皆工兵である!」

「ローマのためにーーー」

「ローマンコンクリート、マスターもわかっておられる」

あちこちで城壁の補修や蛸壺、塹壕が掘られ。ローマンコンクリートのトーチカの建設が進んでいる。

また、家々の間にはワイバーンの進入を防ぐためにロープが垂らされ、逃走経路を増やすために民家間の一部の壁が取っ払われている。

 

幸いにもワイバーンには対地能力はあまりないのでこれらは有効であると思われる

 

「この短期間によくできるな…」

「まあ、伊達にローマローマ言ってるわけではないさ」

何だかんだ頼りになるんだようちの連中は。

 

 

 

要塞は人を安心させ士気を上げる。

というよりこんだけ戦力に差がある状態で野戦なんかできるか!

ここリヨンは複数の街道が重なる流通の拠点であり防衛設備も他に比べれば充実している。少し手を加えたら十分に迎撃も可能である。

 

今できるのは情報の収集と戦力の貯蓄だけだ。

現状、いやマシュ達と合流してもこの戦いはかなり勝算がない……いくら英霊という規格外の存在を引き連れていても数千のワイバーン、スケルトンには勝てない

さらにもし邪竜が倒せなければ……もし敵サーヴァントの抵抗が激しくワイバーンが合流したら……味方サーヴァントが一人でも欠けたら……フランス軍(囮)がいなかったら……等、ひとつのピースが欠けるだけで敗北が決定する。

 

 

リアル桶狭間ダメ絶対

 

 

というより自分達よりも強大な戦力に奇襲や夜襲もせずに正面突発(しかも要塞。迷った時点でアウト)とかバカなの?死ぬの?人類滅ぼしたいの?

 

 

人類の存亡をいけるだろう?で決定させてたまるか!

なので事態を好転させる事が自分の役目である。

 

思考に浸っていると竜牙兵がまた走ってくる

「マスター、フランス軍が!」

「今度はどこだパリか?トロワか?」

「ボルドーです!」

「追い詰められてるじゃねーか!!」

早速ピース欠落の危機である

魚屋のおじさん(ジルドレ)が指揮しはじめたフランス軍残党が予想以上に苦戦しているようだ。

〈この時代では大砲しかも最古の石射砲が出てくるかこないくらいの集団に対空を求めるのも酷な話である〉

 

なんとかフランス軍を支援しなければ……援軍

(無理だな、こっちがフランス軍に襲われる)

 

敵へ部隊での牽制攻撃を仕掛けるか?

(泥沼化待ったなし!)

 

そうだ!物資を支援しよう

確か竜牙兵が夜なべして作っているワイバーン素材の武器が有ったはずだ、あれならワイバーンも倒せるはず。あと、余っているワイバーン肉を乾燥させて彼らの近くにポツポツ配置しよう!

 

 

 

〈この時、彼は知らなかった。自分の主食であるワイバーンに毒があることを……〉

ちなみに本人は身に付けている治癒のルーンのおかげで気付いてない

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

フランス軍への物資供給が行われ

毎日毎日積まれていく牙をノミで削っていく日々が続くが相変わらずマシュ達一行は見つからず。

 

「もうやだ……おうち帰る」

「マスター、今日も大漁です!」

ドサッ

「………おうち」

「マスター!マスター!」

「癒し!癒しがほすぃ。フォウ撫でまわしたい……」

 

「マスター!今夜のご飯です」

こんがり肉(ワイバーン)森のベリー添え

「パン!パンが食べたい………」

「こんな事態の時に食料を売るような人はいませんよ」

「ウム、ローマの昔を思い出すな。あの頃は狼と森で猟をよくしたものよ!よし、今からいこうぞ!」

「遠慮します……」

筋肉まみれすぎてsan値が大変な事になったりしたが

 

その時は突然やってきた

 

「マスター、オルレアン方面から連絡!サーヴァントとおぼしき魔力3つとワイバーンの大群が接近!警戒されたしだそうです!」

 

 

第一次リヨン防衛戦の勃発である

 

 




どうあがいても絶望!
大五、6特異点よりはましかもしれないが戦力的にまれにみるぐらいの絶望
原作のまま突っ込んだらアボンが目に見えている


終わる頃には
「ジャンヌ様、あいつらやっちゃいましょう!」
とかなってそう。
主人公だいぶ位置的にはダークサイド側だし

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。