駄文ですが……よろしい直進だ!
という人は楽しんでいってください
さて、突然だが皆さんは転生と言うものを信じるかな?
おとぎ話?空想?大いに結構だ
だが、自分は信じている。
いや、信じざるを得ないと言った方が正しいのだろう
実際に一度経験しているのだから……
ある日、目を覚ますと知らない男女と知らない場所で一緒にいるのだ。
当然ながら驚き体を動かそうとしてさらに驚くべきことに自分が赤ん坊になっているのだから……
それから、暫く赤ん坊の時期を過ごしていろいろあって割愛するが
幼少になった頃には転生したということについては確信を持っていたがここがどんな世界かは分からなかった
しかし、ある情報によってそれは簡単に判明する。
この世界にはあの冬木市が存在しているのだ
すぐさまここがfateの世界だと理解するが、そこまで悲観してはいなかった
それは、ただ冬木に近づかないようようにすればいいからだ。あの魔境に居なければ裏の魔術師なんかに殺される可能性は隕石に当たって死ぬくらいの確率である。
自分はこのまま成長し勉学に励み就職してやがて死ぬ
ずっとそう思っていた………
この世界はそんな幻想すらも簡単に打ち砕く
暫くして自分が魔術師の一族だった事が判明したのだ
しかも、名家や一般の魔術師なら少しは救いがあっただろう。そう言える程に特殊な一族だった
言うならばメタルスライム。いや、メタルキングの方が妥当だろう
理由は簡単、有用過ぎるのだ
自分の一族は鉱石魔法や金属加工に優れていた
それも、普通のものではない。
一族は魔術回路が少ないが多すぎる魔力を保有して生まれてくる。
当然のことながら魔術回路が少ないので大規模な魔術は殆ど使えない。
なので、先祖は考えた…………
先祖は有り余る魔力を体の中で結晶化させ一生をかけて
成長させ、それをもって道具を作り魔術の根源へと至ろうとしたのだ
その結晶は神代のものに匹敵しほぼ魔法のようなものも行使できたそうだ
しかし、それは神秘が薄れた時代では最高の触媒となった。なってしまったのだ………
魔術師というのは基本自分の研究以外には興味がない他人がどうなっても自分が良ければそれでいいという人種だ。あと、外道が多い
そこに、最高の触媒が戦闘能力も低い状態でいる
狩られないはずがない
こうして、わが一族の獲物としての歴史が始まった
始めは結晶の成長した族長によって守られていたが。段々と狙ってくる魔術師の増加によって守りきれなくなっていき次第に魔術師がいない東へ東へと一族は逃亡を始めていく。安住の地を探して追っ手を振り切って長い年月をかけて旅を続け一部が魔術があまり発達していない日本へと到達した
しかし、過酷な旅路の中で得るものもあった。
各地を放浪することにより様々な技術を見た一族はそれらを統合させてより高度なものに昇華させたのだ。
日本は一族にとって楽園だった。
自分達を狙う魔術師も少なく得意な鉱石の加工や細工をきちんと評価してくれる。そこは安寧の地だった。
それから月日が流れる
文明の発達によって世界が近くなり
長い安寧にドップリと浸かっていた一族は再び危機に陥った。欧米の魔術師の襲来である。
当然ながらより発展した欧米魔術にガラパゴス状態の一族が敵うわけがない……
多くの一族が捕まり欧米へと連れて行かれ、やがて小数は息を潜めて生き残る事がでた
今では全国でこっそりと職人として生活している。
自分はその子孫に当たるらしい……
「絶望したーーーーーー自分の一族に絶望したーーーーーーーーーーー」
それを聞いたのがちょうど高校生だった。
転生のお陰で勉学もよくでき、前世の失敗から学んで世渡りもうまく行っていた所に超ド級の問題が降って湧いてきたのだ。
同時に今まで自分に鍛冶や金属細工を小さいな時から教えてこられた訳が分かった。
恐らく両親に何かあった時に一人で生きていけるようにしておきたかったのだろう
(ただの親バカだと思っていたが何故か指導の時はいつも殺気だっていた)
「昨日までは人生イージーモードだったのに今日からは難易度ルナティックモードだよ………」
お先真っ暗まさに今の自分にはぴったりである。何せこれから死ぬまで綱渡りが続くのだ。
そして、自分の目標だった社長や官僚等の目立つ職業には決してなれない。
目立つイコールどうぞ狩ってくださいである。
下手したらニュースに映るだけでもアウトの場合だって有るのだ(祖父はそれで捕まった)
「これからは、成績もほどほどにしてクラスでもあれ?居たんだって呼ばれるような存在にならなくては」
目指せ小市民である。
聞いた所によると一族そのものが半ば封印指定を受けているに等しいらしく
サーチアンドデストロイならぬサーチアンドキャッチ
捕まったら最後、絶対に逃げられず即ホルマリン漬けか地下での強制的魔道具作製、大穴で繁殖用の種馬である。
どちらにせよ二度と日の光は浴びれないだろう
「今日の晩御飯は何かなーーうっ!!」
そんなのんきなことをつぶやきながら家路につくがちょうど家の区画に入った時に異常な感覚を感じる。
同時に父親の言葉を思い出す。
(いいかい、もし何か異常だと感じたら直ぐに逃げろ!何がなんでもだ。どんな些細なことでもだ)
「くそっ」
その言葉に従ってもと来た道をゆっくりと何も気が付かないように歩きだし暫く離れたら全力で走る。
「はあはあっゲホゲホ」
生まれてこれだけ走ったのは初めてだろう。少し離れた駅の広場まで気が付けば来ていた。
途中からまるで自分の魂が警鐘を鳴らすような感じがして止まるに止まれなかった………今でも冷や汗が止まらない
「あれがもしかしたら人払いというやつか?」
違和感を感じるエリアでは人一人も見なかった。通常ならばそんな事はありえないのだ。今の時間は一人は帰宅中の学生がいるはずである。
しかし、原作の知識でそのような術があることを知っている恐らくは確定だろう。
「まさか、バレたか?」
人払いがされているということは魔術師がいるということである。偶然あの近くで魔術柄みの事件があったならば別だが父親の調査ではそんな兆候は全く無かった。
恐らく目的は自分達家族である
「……………」
もしそうだったら直ぐにこの街を離れなければならない家の中にはそういう決まりがあった。
確かに必要だが同時に家族との永遠の別れになる可能性がある。
昨日までの平和な生活が頭をよぎる
あの温かい家庭を捨て去るのが酷く辛かった。もしかしたら何かの間違えではと思ってしまう
希望的憶測は時には死を招くのだ………
「っ!!」
気が付くと回りの人が前よりも減っている。普段ならば帰宅する人で溢れる駅前が平日の昼間よりも少くなっている。
異常だ!
しかし、違和感は感じない。それでも魂は警鐘をならし続ける
「離れなくちゃ」
広場から去っていくと人にあくまでも自然体の形で去ろうとするが………
「貴方、まだ逃げられると思っているの?」
後ろから凛とした声でそう言われた。女性のようだ
その瞬間まるで全身が鉛のように重くなり指ひとつ動かせなくなる。
「貴方も難儀な星の元に生まれてきたものね……」
まるで憐れみと少しの同情が混ざったように呟きながら正面へと歩いてくる。
「はじめまして、人理継続保障機関カルデア所長オルガマリー・アニムスフィアと申します。輝石の一族さん」
薄れ行く意識の中で思う。よりによってfate/grand orderかよ…………
ばたんっ
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