逸見、戦車道やめるってよ   作:暦手帳

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西住まほは気付けない

『わわ、私は、にちじゅみっ…西住みほですっ!これから宜しくお願いしましゅ!』

 

 黒森峰の戦車道で毎年恒例、新入生による自己紹介が行われる

 新入生にとって一番最初の山場であるそれは、先輩が新しい後輩達の性格を見定める絶好のタイミングであり、新入生達の評価を軽く付けておく場でもあった

 

 そんな大切な場でのミス

 適当に並ばされた順での自己紹介で、順番が回って来た私の妹は顔を真っ赤にして涙目になっていた

 別に私は気にしないのだけれど、妹のみほは隊長である私の面子を気遣って、自己紹介くらいはしっかりやりたいと言って、何度も鏡に向かって練習していたのにこの結果だ

 泣きたくなる気持ちももちろん分かる、分かるがそこで目尻に浮かべた水滴を溢してしまうと、ただでさえ、ざわついている周囲の収拾が付かなくなるし、自己紹介の時に噛みまくって泣いた奴というレッテルを貼られてしまう

 

 ざわつきばかりが増していく中でみほから自己紹介が進まない

 次に自己紹介する人は何やってるんだと視線を向けると、その人の前のみほが噛んだことで緊張のキャパシティを超えたのか癖毛の子が顔色を真っ青にして石のように固まっていた

 みほとその子、対照的になってる二人の姿に少しだけ感心していると、癖毛の子の隣に並んだ銀髪の子が癖毛の子に軽く肘打ちをして、何かを早口に捲し立てている

 

 現状の打破を図ったのだろうが、癖毛の子は青い顔をさらに青くして口をパクパクと動かすばかりでろくに声を出せていない

 私の後方にいる2・3年生の誰かが堪えきれずに吹き出した音がした

 みほは熟れた林檎の様な顔のままついには肩を震わせて、癖毛の子は完全に目を回し始めた

 

 これは、駄目だな

 そう思って1度仕切り直すために声を張り上げようとした所で

 

『1年b組逸見エリカっ!!!』

 

 喧騒にまで膨れ上がったざわつきを破壊するような大声が響き渡った

 ざわついていた隊員達は何事かと、癖毛の子の隣にいる銀髪の子へ注目する

 

 この場にいる、およそ数百名の視線を一身に受けてそれでも顔色1つ変えないその子は私を含めた上級生を睥睨するかのように見回す

 

『王者の呼び声高い黒森峰に憧れて入学しました!!!先輩方どうか私を最強の戦車乗りになれるよう御指導の程宜しくお願いします!!!』

 

 それは、本心であったのか、それとも見るからに小心者の2人の新入生の失態を、強烈なインパクトで塗り潰すためのものだったかは結局分からなかった

 けれど、混乱の境地に居た2人の新入生は一種の兵器のような銀髪の、逸見エリカの大声を受けて、最初の山場を超えられた事は確かだった

 

 

 

 

 

 

 

「変わらないな。」

「はい?」

 

 簡単な食事所での昼食に高校の頃の後輩を誘った

 その誘いに渋々と言った声色で了承した、今は元隊長となったエリカは注文表に向けていた顔を上げる

 

 気が強く、意見を違えればどちらかが納得するまで言葉をぶつけ合う、相手が誰であろうとそれは変わらない

 そんな生きにくい生き方をしているエリカは中学の頃から苦労していたようで、それでもその態度は今も変わらず続けているのは、素直に凄いとそう思う

 

「いや、黒森峰の最初の頃から変わらないエリカに安心したんだ。」

「…なるほど、そうですか。」

 

 ここは黒森峰学園艦の一角に位置する古びた雰囲気のあるレストラン

 周りを見渡しても私達以外の客は数える程しかいないが店主が味に並々ならぬ拘りを持っており、私が黒森峰に在籍していた際は、度々ここで飲食面のお世話になる事があった

 

 エリカが注文表に視線を落としたのを確認してから、窓の外の様子を窺う

 バケツを引っくり返したような豪雨が傘を差し歩く人達を急かすように打ち付けている

 そんな見ているだけで憂鬱になりそうな天気に、当分は帰れそうに無いな、と思わず口に出してしまった

 

「酷い豪雨ですからね。ですが、予報ではそろそろ止むそうですよ。今の状況からは信じられないですけど。」

「そうか、止んでくれると良いんだがな。ん、注文は決まったか?」

「はい、お待たせしました。」

 

 大学に入り、高校生の時よりも戦車道に触れる機会が増えて、1つ1つ地道に作業して試合に出て結果を出している内に、その大学戦車道の副隊長を任せられるようになった

 国際強化選手としての訓練がある中で、副隊長も同時に勤めると言うのは難しい部分もあるが隊長や隊員達の助けもあり何とか続けてこれている

 充実、うん…充実しているんだ、黒森峰でみほに敗北して、見詰め直すべき課題がいくつも見つかって、私の凝り固まっていた戦車道の世界が広がっていくのが楽しくて仕方ない

 これまでに無い程に忙しない生活の中で、時間を縫って、黒森峰の頃の後輩であるエリカと食事しているのには訳がある

 

「ご注文はお決まりですか?」

「あ、私は目玉焼きハンバーグで。」

「カレーハンバーグをお願い。」

 

 注文を店員が受け取り去っていく後ろ姿を見送り、置かれたお冷やで口を潤そうと手を伸ばした所で、エリカが梅干しを大量に口に含んだような微妙な表情をしているのに気が付いた

 

「どうしたエリカ。何かあったか?」

「いえ、その…、…こんな格言を知っていますか。過ぎたるは なお及ばざるが如し。」

「ん、孔子の言葉だな。過ぎたことも足りないのと同じくらい良くないと言う意味の筈だが。それがどうした?」 

「…すいません、何でも無いです。」

 

 黒森峰に居た際も時々歯切れが悪くなるときはあったが、言いたいことを遠慮なく口にするエリカが言い淀む等考え辛いため、恐らく本当に何もないのだろう

 

「そうか、では本題に入ろうか。」

「…そうですね。」

「分かってるかも知れないが、西住流の件だ。」

 

――大会の直前、エリカは西住流を破門とされた

 

 戦車道に対するひたむきなエリカの姿勢は、お母様にとって好ましいもので、特に目を掛けていたのを知っていたから、そんな眉唾物の話は到底信じられなかった

 

 その話を西住流の生徒から聞いて、慌てて実家に帰ることにして、噂の詳しい話を家に居た人達に聞いて回った

 大方の西住流関係者はエリカの破門は真実だと言うことしか知らなかったが、昔から女中として働いている菊代さんから、破門する前にエリカとお母様で何やら話し合いをしていたと言う話を聞くことが出来た

 

 しかし、その事をいくらお母様に訊ねても、その話の内容は頑として口にしてくれず

 業を煮やした私は、登録していたエリカの番号へ電話を掛けて半ば無理矢理食事の約束を取り付けたと言う訳だ

 

「なぜ西住流を抜けた。お前の意思か?お母様の判断か?」

「…家元に伝えられていないなら、私から話すことはありません。」

「お母様には許可を取った、エリカが話すなら話を聞いて良いと。」

 

 はぐらかそうとするエリカに畳み掛ける

 目を合わせようとしないエリカの態度は明らかに、関わってほしくないと言っているようだったが私はさらに踏み込む

 

「エリカは私に言いたくないのか、言えないのか。それすら話してくれないのか?」

「言いたく…ありません。」

「なぜだ。」

「…。」

 

 心底億劫そうに椅子の背もたれに体重を預け、口を開こうとしないエリカの姿にこのまま聞き続けても、聞き出せないだろうと判断する

 

「…なら、私の予測を話す。」

「…どうぞ。」

「大会の前に、お前はお母様に破門を願い出た。お母様はエリカを目に掛けていたから理由を聞いた筈だ。けれど、お前は理由を話さなかった。」

 

 お母様に何度もエリカについて、質問を投げ掛けた

 最初は平然としていたお母様が段々と悲しそうな表情になっていったのを覚えている

 

 あの悲しそうな表情は、恐らく可愛がっていた生徒の反抗によるものだろう

 

「お前が西住流を破門として欲しかった理由は2つ。1つ、みほは西住流に対しての理解がエリカよりも深い、対西住流とも言うべきみほにエリカの西住流では勝てないと判断したから、1つ、戦車道を高校で辞める決意をしたから。」

「面白い考察ですね。」

「大きく間違っては居ないだろう?」

 

 どうでしょう、と肩を竦めるエリカは顔色1つ変えない

 

「戦車道を辞める理由は、水瀬さつきに対する劣等感か?あの子の試合は見たことがある、あれが世界最高峰の才能だと肌で実感した。」

「ええ、水瀬は優秀な隊員です。」

「それとも…、みほとの確執か?」

 

 一瞬、エリカの表情が強張った

 やっぱりか、とそう思う、みほとエリカの仲の良さは私も知っていた

 あの頃は何かと、みほはエリカの話ばかりしていたし、2人の仲の良さは端から見ても疑う余地も無い程で

 だからこそ、学校が変わったくらいで揺らぐような仲では無いだろうと思っていた、いや、慢心していたのかもしれない

 

 その結果が現状の破綻、若しくは敵対か

 可愛さ余って憎さ100倍と言う言葉がある、袂を別ったらそれまでの友愛は反転してしまうのかと悲しく思った

 こればっかりは当人達が解決していくしかないだろうが何も出来ない自分に本当に嫌気が差す

 

「…エリカ、みほも悪気があった訳じゃないんだ。そろそろ許してやってくれないか?」

「――私はあの子に対して特に思うことはありません。」

 

 嘘だ

 一見、涼しげにも見えるエリカだが顔を目の前に置いているグラスから外そうとしないし、声色には役所仕事のような機械的な色を含んでいる

 

「そうか、なら私から言えるのは特に無いな。」

「…。」

 

 口を割ろうとしないエリカの頑なな態度に、一旦この件の追及は止めることにする

 この不器用な後輩と色々話したいことは沢山あるのだ、作れた時間などでは到底足りないくらいに

 

「言いたくない事を追及してすまない。だが、エリカとは浅からぬ関係なんだ、進退くらい気になってしまう。」

「いえ、心配していただいてありがとうございます。」

「…そういえば、祝いの言葉がまだだったな。全国大会優勝おめでとう、決勝くらい応援に行ければ良かったんだが…。」

「大切な練習試合があったのはお聞きしています。仕方ない事かと。…大学での練習と国際強化選手としての練習、方向性の違い等は問題ありませんか?」

「ああ、大学では副隊長を勤めているから融通は効くし、違う方向性の訓練は新しい刺激となるからそう悪い事ばかりではない。」

 

 そんな雑談を始めると、黒森峰の頃に戻ったような気分になる

 あの頃はこういう後輩との時間をあまり取らなかったから、懐かしさとは違うと思うのだけれど、こういった昔の気分に浸るのは悪い気分ではない

 エリカの表情も機械的な固さが解れ始める

 

 そんな時、ふと、エリカの顔色が悪いのに気が付いた

 話の内容がエリカにとって良くないものだった、と言う事ではなく、初めから青白かったのに気が付かなかったと言う方が正しいだろう

 ちょっとでも違和感に気が付くと、後は崖から転げ落ちるように色々な違和感が目に入り始める

 

 エリカの髪の色はこんなに灰に近い色だったか?

 エリカは目の下の隈がこんなにくっきり出来る体質だったか?

 エリカは手入れをしないで、こんなに肌を荒れさせる奴だったか?

 エリカの笑顔はこんなにも悲しげだったか?

 

「――まほさん、聞いてますか?」

「あ、ああ、すまない。少し意識が飛んでいた。」

「それは…、疲れているのでしたら早めに切り上げて休んで下さい。」

「いや、大丈夫だ。ありがとう。」

 

 眉尻を下げて心配そうにこちらを見詰めるエリカは、やつれ、痩せ細っていた

 

 どうして今まで気が付かなかったのだろう

 いっそ、病的なまでのエリカの様子は私が黒森峰に居た頃とは掛け離れている

 こんな変化、普通なら直ぐに気が付くものではないだろうか

 

 いつの間にか、店員が注文した料理を運んできていた

 エリカは嬉しそうにお礼を言いながら、料理を受け取り、それぞれの前に料理を配置する

 

「エリカ。」

「はい、どうしました?料理が来ましたよ、早く食べちゃいましょう!」

「エリカ、頼む聞かせてくれ、何を背負ってる?」

「――――。」

 

 踏み込むべきではなかった境界を踏み越えてしまった、そんな気がした

 

 ドロリと、絡み付くような悪意がエリカから発せられた

 鳥肌が立つ

 悪寒が走る

 その感情は憎悪か憤怒か

 

 料理を前にして浮かべていた笑顔は既に消えていて、仮面を貼り付けたような感情のない表情で唯一、青い双眸だけが爛々と狂気的な光を輝かせる

 

「何を背負っている。貴方が、他ならぬ貴方がそれを聞きますか?」

「エ、リカ?」

「背負ってますよ、色々と。貴方が残したものを全て、私が犯した罪を全て。」

 

 エリカが髪を掻き上げる

 録な手入れをしていないであろう髪は手櫛でも引っ掛かっているのが分かる

 エリカの狂気的な光を輝かせる瞳から目が離せない

 

「貴方を憧れている、これは今も変わりません。貴方の強さに憧れた、貴方の指揮を羨望した、貴方の芯の強さを尊敬した。戦車乗りとしての最高クラスの能力を持つ貴方を憧れ続けています。」

「でも、私は貴方を最高の隊長としては認める事は出来ない。なぜなら、貴方の弱さが、優柔不断が、私情が、多くの人を傷付けた。」

「大洗との決勝で勝敗よりも西住流を優先した、黒森峰にとっての敗北がどれだけ隊員達に悪影響を及ぼすのかをみほの件で気が付かなかった、敵となったみほを敵として見ることが出来ないのに中途半端のまま大会に臨んだ。」

 

 血を吐くようなエリカの叫びに

 

 呼吸を忘れていた

 身動ぎ1つ出来ない

 反論しようにも、言葉が出てこない

 

「人の救助より勝利が大切な癖に、泥にまみれた勝利はしようとしないんですねっ!それでどれだけ苦しむ人が居るのか知っている筈なのに!」

「私達よりみほが大切なら最初っから守り通せば良かった!敵として見れないなら大洗にでも行けば良かったじゃないですか!なんで中途半端にっ、私達の側にいて頼らせて信じさせた癖にっ!!」

「毎日、泣いてる子が居た!吐いている子も居た!苦しんでいる子達が居てっ…。私のせいだって震えてる子が居て、心無い罵倒に晒されている子達が居て…、それを作り出したのが…。」

「…貴方が残した、私の罪です。」

 

 エリカは泣いていた

 涙は流れていない、それでも、きっとエリカは泣いていた

 私を責めている筈のエリカの言葉は、同時に自分の罪を私に懺悔していて

 ずっと溜め込んできた暗い感情の一端が見えた気がした

 

 気が付くと、エリカの瞳の輝きは消えていて

 気まずそうに顔を俯かせたエリカが目の前に居た

 

 

 私が黒森峰で残せたのは、何だったのだろう

 私の代で黒森峰の連覇を終わらせてしまって、最大の強敵を作り出してしまった私は、エリカ達に何を残せていたのだろう

 

「…ごめんなさいエリカ、ごめんなさい。」

「――もう良いんです。もうすぐ全部終わりますから。すいません、こんなこと言うつもり、無かったんですけど…。」

 

 エリカの言う終わりが何を指しているのか分からない、恐らく戦車道を辞める事だろうかと思うが何か違う気もする

 けれど、この時の私はエリカの悲痛な声に目眩がするような衝撃を受けていて、そんなこと気にも出来なかった

 償わなければ、そう思って

 

「エリカ…、もう1度だけ私に着いてきてくれないか…。」

「…。」

「都合の良いことを言ってるのも分かっている。けど、今度はお前を、守って見せるから、お願いだから、もう1度だけチャンスをくれないか…。」

「まほさん…。」

「黒森峰の子達にも、頭を下げる。これまでの不甲斐ない私の行いを、そしてそれを償う場を作らせて欲しいと。だから、エリカ。頼むっ…。」

 

 声が震えていない自信は無かった

 身勝手な事を言っているのは自覚があったから

 

 今更何を言っているのかと一蹴されるかもしれない

 ふざけたことを言うな、とまたあの憎悪に晒されるかもしれない

 それでも、彼女にとって駄目な隊長だったとしても、垣間見せたエリカのあのどす黒い感情を精算させなければならないから

 

「――もう、遅いんです。」

 

 暴言も中傷も、暴力だって覚悟していた

 なのにエリカの声色は酷く優しげで

 告げられた言葉は酷く残酷だった

 

「今の私達は確かに幸せなんです。努力が実って、優勝出来て、黒森峰は今までに無いくらい仲が良くて。ほら、これ以上無いくらい最高の結末じゃないですか。だから、償いなんて必要ないんです。」

「っ…、なら、今のエリカはなんだと言うんだ。幸せと言うなら何故みほと距離を置く、何故戦車道を辞める必要がある!」

「…何故、戦車道を辞めるか、ですか。そうですね、私の両親は戦車道を野蛮な競技だと言って嫌っているんです、だから、黒森峰に入る交換条件として大学は戦車道とは関係無い、有名大学に入るよう言われていたんです。」

「嘘だろう、それは。もし真実だとしても、ここまで徹底的に辞める必要は無い筈だ。戦車道が有名でない大学で一から始める事だって出来る筈だ。エリカが辞める直接的な理由はっ!」

「私、戦車道が大嫌いなんです。」

「っ…。」

 

 これで満足ですか、なんてもう疲れてしまったように笑う

 きっとそれは、本心からの言葉で、もうどうしようもないのだと言うはっきりとした拒絶だった

 

 エリカと最後に会った、私が黒森峰を卒業した日

 エリカが確かに笑顔で私を送り出してくれたのを覚えている

 あの時から後悔が苦悩がエリカを蝕んだと言うなら

 あれから、どれだけの苦難がエリカにあったのだろう

 想像出来ないほどの悪意と挫折があったのだろう

 それでも前に進み続けたエリカがもう終わりにしたいと言っている

 それなら、いっそもう終わらせてあげるのがエリカの隊長だった私に出来る唯一の優しさではないだろうか

 

「過去の精算はもう良いんです。失ったものは想像してたよりずっと大切なもので、今はこの喪失感だけが確かにあった私の大切なものの証明で。この喪失感さえ無くしてしまったら、本当に何も無くなってしまうから。」

 

 だから、もう良いんです。

 

 紡がれた言葉が悲しくて切なくて、もうどうしようもない現実を私に突き付ける

 もっと早く私が気付けていれば

 もっと早くエリカが私に助けを求めていれば

 この現実は防ぐ事が出来たのだろうか

 

「雨、止みましたね。」

 

 いつの間にか、あれだけ激しかった雨は止み、今は曇り空ですらなく、太陽が燦々と私達を照らしていた

 

「料理、食べちゃいましょうか。」

 

 今まで散々食べてきた好物の筈なのに、何故だか味が感じられなくて、少しだけ冷めてしまっていた

 


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