久しぶりに朽木家の男衆が出せました。
主人公を絡ませ辛い……
「よく来たな響! この時を待ちわびていたぞ!」
「お父さん、少し落ち着いてください」
「兄上、お久しぶりです」
今日の銀嶺さんたちはテンションが高いなぁ。
「久しいな、爺さん、蒼純、白哉」
挨拶を返すと、銀嶺さんがにやりと笑った。
「四年も姿を見せぬから、十番隊に赴こうかと思ったぞ」
やめてください、そんなことされたら十番隊が大混乱します。
「それはすまなかった。今日はとことん付き合おう。それで勘弁してくれないか?」
「ハッハッハ! 初めからそのつもりだ! 今日は無礼講だ! 飲むぞ!」
銀嶺さんの言葉に苦笑して、そう返すと銀嶺さんは楽しそうに笑った。
「僕も久しぶりに飲もうかな、それにしても本当に久しぶりだね」
「あぁ、蒼純も体調は大丈夫か?」
「大丈夫だよ、休隊してからは調子も良くなった」
「……その分、私は苦労したのですが……」
晴れ晴れと笑う蒼純に、白哉が眉にしわを寄せて呟いた。
「ははは、苦労かけたね。けど、嬉しい事もあっただろう?」
「…………あぁ、緋真と桃花か」
嬉しい事って何よ?
って思ったけど、白哉が喜ぶ事と言えば緋真と桃花の事しかないな。
白哉に視線を向けると、何やら狼狽えていた。
落ち着け白哉、原作のクールさはどこ行ったんだ。
「……確かに桃花が初めて手料理を振る舞ってくれたり、抱き着いてきたりとしてきが、忙しかった所為ではなくて……あぁ、だが桃花に構いすぎて頬を膨らませてた緋真もかわいかった……」
おう、白哉よ。
脳内のフォルダは一時的にしまってくれないか?
さっきからウイルスでも入ったのか、フォルダの中身が溢れてきてるんだが。
蒼純に視線をやれば楽しそうに、白哉を眺めている。
銀嶺さんは……あれ?いないぞ、どこいった?
……この事態をどう収めればいいんだ?
「響! 準備ができたぞ!! さぁ! 飲もうか!」
姿が見えないと思ったら、酒を取りに行っていたらしい。
もう考えるのも面倒くさくなってきたので、酒に逃げることにした。
「あ、お父さん。もう持って来たんですか?」
「話は飲みながらで良かろう!」
酒の入った杯をそれぞれの目の前に置いた銀嶺さんは、杯を掲げた。
まってまって、銀嶺さん以外何も準備できてないから。
お爺ちゃん先走りすぎです。
「ほれ! 全員杯を持たぬか!」
「はいはい、全く忙しないですね」
「偶には、良いかと」
「白哉も言うようになったな」
ようやく全員が杯を持ったので、銀嶺さんがゴホンッと一度咳払いした。
「では! 響の副隊長就任を祝って! 乾杯!」
まだ就任してないです。
と、内心でそう呟いて、俺も杯を掲げた。
「「「乾杯!」」」
最初の一杯をグイッと飲み干して、ようやく俺たちの飲み会が始まった。
「しかし、白哉よ。なぜ、響を取り逃がしたのだ?」
酒を杯に注ぎながら、銀嶺さんが白哉を見た。
「そういえば、白哉は響を六番隊に迎えるって結構張り切ってたよね。なんで五番隊に取られたんだい?」
蒼純の言葉に白哉が眉間にしわを寄せた。
そして、グイッと酒を飲み干すとカァンと珍しく荒々しく杯を机に叩きつけた。
杯、割れてね?
「……私とて、兄上を他の隊に渡すつもりはなかった」
俺の心配をよそに、白哉はトクトクと杯に酒を注いで、また飲み干した。
こりゃかなり悔しかったみたいだなー。
そこまで好かれてることに照れる気がするが、俺も酒を飲んで誤魔化そう。
そう思って、酒を傾けた。
「だが、争奪戦に卯ノ花隊長、更木隊長の両名が参加してきたのだ」
「ッ!?」
白哉の言葉に思わず酒を吹き出しそうになった。
ちょ、なにそれ!?俺聞いてないんだけど!?
「ふはっ! 初代剣八と現剣八が争奪戦に参加してきおったか!!」
ちょ、銀嶺さん笑い事じゃないっす!
「それで、勝負は何だったんだい? 剣八がいるってことは斬り合いかな?」
それってガチの殺し合いが始まるよね?
っていうか、内容が凄まじすぎてさっきから俺飲むことしかできねぇ。
白哉たちの言葉に耳を担げつつ、俺は静かに酒を飲んでいた。
が、次いで聞こえてきた言葉に思わず固まった。
「将棋だ」
「あぁ、将棋かぁ~、総隊長の得意なものだねぇ」
「元柳斎殿、本気で勝ちに行きおったな」
銀嶺さんたちが何か言ってるが、頭に入ってこない。
……将棋?
え、将棋ってあれだろ?
歩とか飛車とか使って、遊ぶボードゲームだろ?
……え、剣八と面と向かって将棋指したの?
あの見た目で?
ふと、更木剣八が将棋盤の前で正座して、対局する姿を想像する。
…………えぇ~~、合わねぇ…………
まぁ、剣八が将棋強いとも思えないし、一回戦敗退かな。
「総隊長は一回戦で、更木隊長との勝負で敗退した」
「ッ!? ゴホッ! ゴホッ!」
「む、響よどうした? 大丈夫か?」
「も、問題ない」
え、何!?負けた!?
灼熱爺さん、剣八に将棋で負けたの!?
「それにしても剣八の奴、よう勝てたの」
「将棋は知らなかったが、教えた後、総隊長に圧勝していた」
「へぇ、そんなに頭もいいのかい? そうは見えなかったけどなぁ」
蒼純さん、中々に辛辣なこと言いますね。
つか剣八……ルール知らなかったのに、灼熱爺さんに勝ったのかよ。
将棋って一応戦略ゲームだったよな……勝負事が絡むとチートになるのか?
「本人曰く、『勘』だそうだ。総隊長は地面に膝と手をついて悔しがっていたな」
「はっはっは! 自分が一番得意な将棋で負けるとはな! いい気味だ!」
「お父さん、総隊長に勝てなくて悔しがってましたもんね」
「奴の年期には勝てん! 年の功という奴だろう」
見た目だけなら銀嶺さんも負けてないんですけどねー。
というか、銀嶺さん。
貴方、間接的に剣八にも負けたことになるんですけど?
っていうか、俺はいつの間に剣八に目をつけられたんだ?
一度もあったことないんだけど?
なんつー嗅覚してんだ。
しかも、何故か卯ノ花さんまで参加してるし。
……卯ノ花さんは違うよな?
まさか、原作であったあの狂気の卯ノ花さん覚醒しないだろうな?
そしたら俺は逃げるぞ、どこまでも。
「しかし、なぜ剣八は参加したのだ?」
「あぁ、何やら強いと言う噂を聞いたらしくてな。十一番隊に巻き込めばいつでも戦闘を楽しめると言っていたな」
「……なんとも迷惑な話だ」
いやほんと、まじで!やめてくれませんかね!?
「何言っとるんじゃ、もしかしたらお主が次の剣八になるかもしれんのだぞ?」
「だが断る」
銀嶺さん、俺はそれだけは絶対に拒否する。
確か隊長の入れ替わりって、斬り合いだろ?
勘とか、力を入れるだけで色々と抑え込めるチートと戦いたくありません。
「響なら歴代最強の死神になれると思うのだがなぁ……」
銀嶺さんのそんな呟きを酒を飲むことで無視する。
最強の死神とかどうでも良いですハイ。
「残念じゃ……それで、最後に残ったのが五番隊隊長と剣八だったのか?」
俺がそれ以上反応しないと察した銀嶺さんは再び白哉に話を振った。
「はい。真に屈辱ながら、私は藍染隊長に敗れました」
「そう気にするな」
あの人はチートだからな。
頭脳も実力も、流石ラスボスだぜ。
「兄上……ッ! 不甲斐ない弟で申し訳ありませんっ!」
「気にするな」
おー、白哉も酔ってきてるなー。
顔が赤いぜー。
「兄上っ」
頭をポフポフと叩くと、何やら感激している様子。
「しかし、良かったな響よ」
銀嶺さんの言葉に何が良かったんだろうと、一瞬固まって瞬間理解した。
俺はあと一歩で世紀末な生活を送ることになっていたのだと。
「……あぁ、本当に良かった」
ヨン様ありがとう!!
まさかラスボスに感謝する日が来るとは思わなかったけど、本当にありがとう!!
確かにヨン様は最終的に死神を裏切るが、それまでは確かに良い隊長をやっていたのだ。
期限付きとは言え、良識のある良い隊長と最初っから最後まで隊長との死合(誤字にあらず)する日々なんて比べるまでもない!!
「勝負は本当にギリギリだった。藍染隊長があそこまで冷や汗を流す姿は初めて見たな」
剣八つよすぎぃ!?
藍染隊長が頭脳勝負で冷や汗だくだくだと!?
いや、きっとそういう演技をしていただけだ。
そうに違いない!
だってラスボスだもん!
そう簡単に負けるわけないじゃん!!
公式チートだもん!!
思わず、開け放たれた障子の向こう側に映る月を見る。
「……あぁ、今日の月も美しいな」
……そうして、俺はこれ以上考えることは精神衛生上良くないことだと判断して、考える事をやめた。
「…………藍染隊長、最近どないしたん?」
パチ パチ
「何でもいいだろう? さぁ、次はギンの番だ」
パチ パチ
「……まぁええですけど……」
「……王手だ」
「いやー、まいりましたわ」
「さぁ、もう一局だ」
「ホンマにどうしたんですか」
藍染さま、かなり本気だったのに追い詰められた模様。
剣八さんチートすぎぃ!
そして完全に新旧剣八に目をつけられた響の命運はいかに!?
うん、色々とすいません。
なんかうまく書けませんでした。
スランプかなぁ……