転生した彼は考えることをやめた   作:オリオリ

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今回は響目線で十番隊での生活を書いてみました。
響の影が薄いと言われたので、押し出してみることに!
主人公をもう少し前に出していくかは、この話の反応を見て決めることにします。

では、今回も楽しんでいただけると幸いです!



第十八話 十番隊にて隊務中

「よく来たな! 俺が十番隊の隊長志波一心だ! よろしく頼むぞ!」

「私は副隊長の松本乱菊よ。よろしくね」

 そういって、笑顔で迎えてくれたのは原作主人公の父親(予定)である志波一心さんと巨乳で有名な松本乱菊さんが迎えてくれた。

 正直、いきなり三席という立場になるから何かしら言われるかと思ったんだが、こうも暖かく迎えてくれるとは……!

 俺は凄く嬉しいよ!

 

「嵐山響です。色々と迷惑をかけると思いますがよろしく頼みます」

 あまりにも嬉しくて、笑顔を浮かべがら挨拶してしまった。

「おぉう、朽木隊長の義兄っていうからもっと固い奴だと思ってたんだが、良い奴だな!」

「たいちょー、そういうのって本人の目の前で言う事じゃないと思いまーす」

 なにやら驚かせたようだが、どうやら気に入られたようだ。

 乱菊さんとのやり取りもなんだかおもしろい。

 

「それもそうか! 気を悪くしたらすまん!」

「いえ、私としては好ましく思います」

 一心さんが謝ってきたけど俺的には、こそこそと陰口言われる方が嫌なんだよね。

 離れてても耳がいいから結構聞こえるし。

 

「よし、それじゃあ早速響の仕事だが……松本! 副隊長の仕事全部教えてやってくれ!」

 ちょっとまて、そこのひげ面。

「はい? え、聞き間違いですか? 今、副隊長の仕事を全部教えてって聞こえたんですけど?」

 流石に乱菊さんも驚きのあまり目を見開いて、次いでひげ面さんの正気を疑った。

 もっと言ってやってください。

 

「あー、それなんだけどな……実は響は5年くらい十番隊で経験を積んだら、五番隊で副隊長が内定してるんだ」

「初耳なのですが……?」

「あ、やべっ! 今のは聞かなかったことにしてくれ!! まだ内密なんだ!」

「……それをあっさり本人の前で暴露する当たり、隊長やめた方がいいじゃないですかねー」

「松本ちゃん辛辣!」

 

 二人のやり取りを聞いている俺は正直それどころじゃなかった。

 よ、ヨン様ああああああああああ!?

 自分の副隊長に指名してきやがったああああ!?

 なんでだ!?

 やっぱりあの現世実習を生き残ったことで目をつけられたか!?

 いや、それを考えるなら卍解修行後に現れた時点で目をつけられた可能性が!?

 

 おのれヨン様!

 既に浦原さんも夜一さんも罠にハメて置きながら、俺まで対象かああああ!?

 殴る! 絶対にボコってやるわチクショウが!

 

「と言う訳で、松本ちゃん後宜しく!」

「あ!? 待て!!」

 残りを乱菊さんに任せて、早々に立ち去ろうとした一心さん。

 流石にそれはどうよ?と思ったので、俺の横を通ろうとした時に足を引っかけた。

「ほわあああああああ!? ひでぶっ!?」

「あ、あら?」

 逃げようとしていた一心さんは、すさまじい勢いで転がっていき扉にぶつかった。

 乱菊さんは突然の出来事に呆けたように一心さんを見ていた。

 

 うん、すごく痛そうだ。

「おぉおおおぉおぉおお!? 俺の瞬歩に反応するとは流石は次期副隊長……!!」

「……霊術院を卒業したばかりの死神が隊長の瞬歩に反応した……? え、なにそれ、怖い」

 瞬歩使ってたのか。

 ってそんなことよりも、一心さんを捕まえないとな。

 一心さんの傍に近寄って、肩を掴んでおこう。

「松本副隊長、志波隊長を確保しましたが」

「あ! ありがとう!! って逃げようとするな隊長!! 仕事はまだ残ってるんですよ!!」

「いや、逃げようとしても逃げれな……! 響って力強いな!?」

「そうでしょうか? ありがとうございます」

「褒めてないよ!?」「ナイス、響!!」

 悲鳴と称賛の声が上がる十番隊隊舎にて、なんだか楽しそうなことになりそうだなと感じた日だった。

 

 

 

 あっという間に時が流れ、入隊から早四カ月。

 何とか、副隊長の仕事も覚えることができた……というか、なぜ隊長の仕事が混じっているのだ。

 時々、隊長の署名が必要なものがさらっとこちらの書類に混じってることがある。

 乱菊さんもそれを見つけるたびに、一心さんを探しに行くのでその間俺は一人で書類を捌いているのだが。

 

「響ーーー!! ちょっと隊長確保するの手伝ってーーー!!」

「響を呼ぶのは反則だろーーー!?」

 どこからともなく聞こえる声に、ため息をつく。

 今日の一心さんは本気で仕事をしたくないらしい。

 隊長室に外出中の札をかけて、俺は一心さんと乱菊さんの霊圧を感じる方へと走った。

 

「わきゃああ!?」

「おわああ!?」

 途中で一般隊士を驚かせてしまったが、まぁ問題はないだろう。

 ちゃんと間を走り抜けたからな。

 

 隊舎から少し離れた所で、乱菊さん率いる十番隊のメンツが、大人げなく本気で逃げ回る一心さんを追いかけているのが目に入った。

 直接捕まえてもいいけど、最近の一心さんは隊長羽織りを脱ぎ捨ててでも逃げるからな。

 こういう時、縛道は本当に便利だよな。

「縛道の六十一 六杖光牢」

「いぃ!? それ使うか響!?」

「よし! 貴方達!! 響が来たわ!! 今のうちに確保よ!!」

「応!」「はい!」

「だ、だが詠唱破棄した縛道なら「雷鳴の馬車、糸車の間隙」後述詠唱!? そこまでやるか!?」

 だって逃げるんだもの。

 と言う訳で、残りもささっと詠唱してしまいましょうか。

「光をもて此を六つに分かつ」

 と言う訳で詠唱完了、縛道に拘束された一心さんの出来上がりだ。

 

 こうして、週に一度は起きる追いかけっこが終了したわけである。

「いやーありがとうね、響。やっぱり貴方がいたら隊長の確保が簡単だわー」

「私は大したことはしていない」

 礼を言ってくる乱菊さんに、俺は手拭いを差し出す。

 俺を呼ぶまで走り回ってただけあって、汗だくである。

 乱菊さんは胸を大分露出しているから、正直目のやり所に困るのだ。

 全力で顔で固定しているから胸は全く見ていないが。

 

「ありがと、いつも気が利くわね」

 そんなことを考えていると、乱菊さんは手拭いを受け取った。

 しかし、他の隊士は手拭いを持っているのに、なぜ乱菊さんは持ってないのか。

 毎週こんなやり取りをしているのだから、持っていてもいいと思うのだが……

 それにその首に巻いているスカーフは暑いと思うんだ。

 まぁ、似合ってるから何も言わないけど。

 

「ぬぅぅ! と、解けん!! 本気になっても解けないってどういうことだ!?」

 何やら必死で俺の縛道を解こうとしている一心さんが驚愕の声を上げている。

 そりゃ簡単に解けたら拘束する意味がないよね。

「日々鍛錬あるのみ」

「いや、鍛錬しすぎなくらいだからね君は!?」

 何を言っているのやら、槍を使った勝負だと未だに雷公に勝てないと言うのに。

 ついでに言うと、何故か雷公は鬼道も使える。

 そして、俺よりも上手い……斬魄刀に負けてる俺って……いや、別にいいか。

 

 そんなことを考えていると、乱菊さんが凄く良い笑顔で笑っている。

「あっはっは! 残念でしたね隊長!! 私達に響がいる限り逃げるのは諦めた方がいいですよ?」

「いや、それは隊長としての威厳が……」

「威厳を保ちたいなら逃げないでください!」

 どうやら日々の鬱憤が溜まっていた様だ。

 まぁ、俺は全力で乱菊さんを支援するけどね!

 ちゃんと仕事しろやヒゲ面ァ!!

 

 二人はそのままにして俺は一足先に戻るとするか。

 

「すまないが、私は先に戻るとしよう」

「あ、はい! ありがとうございました! 嵐山三席!」

 深々と頭を下げる隊士に、一言いつも頑張っているなと声をかけて、俺はまた走って隊長室へと向かった。

 走って戻ってる最中に、後ろの方から「本当にありがとうねー! 今日は終わったら一緒に飲みに行きましょー!」と聞こえてきた。

 本当に松本さんは酒が好きだな、と思いつつ笑みが浮かんでいるのは……この隊で過ごすのが楽しいからだろうな。

 

 

 

「響ーーー!! 我が隊の次期隊長を手に入れたぞ!」

 バァン!と横開きの扉を思いっきり開きながら、何やら嬉しそうな一心さんが入ってきた。

「……松本副隊長には聞かれない様にしてもらえるだろうか」

 地位的に考えるなら、次期隊長は乱菊さんだろうけど、俺の目に移った人物を見て忠告だけにしておくことにした。

 それはさておき、新しい隊士が来たのならば挨拶せねば!

 

 俺は何故か二席ある副隊長の席から立ちあがって、彼の目の前に立った。

「……でけぇ」

 小さく聞こえた言葉に、俺はすぐさま片膝を地面に付いた。

 さっきの状態じゃ威圧してるみたいだよね。

「ようこそ、十番隊へ。私は嵐山響、三席だ」

「日番谷冬獅郎です……三席?」

 俺が今座ってたところを見て、軽く首を傾げた。

 

「響は三年後に五番隊の副隊長が内定しているんだ。だから、今は副隊長の業務を勉強してんるんだよ」

「なるほど、それで俺は三席なんですね」

「……私の後釜か」

「その通り! と言う訳で後は任せた!」

 いつもよりも足早に立ち去る一心さんの背中を見送る。

 ……まぁ、今回は俺の仕事を教えるだけだから別にいいか、と思いつつ冬獅郎に向き直った。

 

「では、一から教えていこう」

「お願いします、嵐山三席」

「響で構わない。これからよろしく頼む、冬獅郎」

「わかりました、響さん」

 うむうむ、実に礼儀正しいな。

 さて、これから色々と教えていくかね。

 

 

 冬獅郎は天才だった。

 まず、教えたことは一発で覚える。

 一度書類のさばき方を教えて、少しさせてみた。

「これでいいですか?」

 冬獅郎から渡された書類を確認すると、全く問題なかった。

「あぁ、問題ない。仕事が早いな」

「響さんよりは遅いですけど」

 そうだろうか?

 まぁ、二年間もやってればなれるよね?

「慣れれば私と同じくらいの速度でできるだろう」

「……慣れても無理な気がするけどな」

 

 

 斬拳走鬼の修行中

 斬術の場合

 

「……もう始解できたのか」

 先日、刃禅をさせたばかりなのに、冬獅郎の手には既に変化した斬魄刀が……

「氷輪丸です」

「能力に天相従臨、大気の水分を操って氷を生み出し操る能力か」

 俺がそういうと、冬獅郎は目を見開いた。

「見ただけでわかるんですか」

 うん? え、わかんない?

 空を見上げれば、冬獅郎の霊圧が混じっている雨雲。

 氷輪丸の周りは気温が低くなってるし、それによってわずかに霧が出てる。

 これだけで氷雪系だってこともわかるよね、名前からもわかるけど。

 それを指摘すると、何やら頷いている。

 なに? 一体何なのさ?

 

 

「雨や雪を降らせることはできるか?」

「流石にそれはできないです」

「よし、ではできるように修行するとしよう。それができればかなり有利になるだろう」

 冬獅郎の独擅場ができるかもしれない。

「天相従臨は斬魄刀の力であって、俺に操作できるものじゃないですよ」

「私はできるが?」

「は?」

 

 空の雨雲に干渉して、冬獅郎の横にだけ豪雨を降らせた。

 すると、冬獅郎は自分の横にだけ降り始めた豪雨に目を見開いた。

「マジかよ……」

「私は天相従臨で生み出した雷雲から雨、風、雷を自在に操ることができる」

「……本当にここだけしか降ってねぇ……!」

 豪雨の周りを一周して、驚きの声を上げた。

 若干風を操作することで、周りへの飛び散る雨を収束させ、そこだけ空から滝の様に水が降ってくると言う訳だ。

 そのままにしてたら、落ちてきた水が周りに飛び跳ねるから風で流れを作ってる。

 そのせいで、小川ができそうだ。

 

 空の雨雲を散らして、雨を止ませる。

「止めるのも自由自在かよ……!」

 冬獅郎を見ると、何やら興奮していた。

 何を興奮しているのかわからないが、これができるようになれば、冬獅郎はもっと強くなるだろう。

 まぁ、心配はしてないけどな。

「冬獅郎ならすぐにできるようになるだろう」

「……面白れぇ……やってやる……!!」

 どうやらうまい具合にやる気になってくれたらしい。

 その様子に俺は頷きながら、自分なりの操作方法を教えた。

 

 

 

 

 白打の場合

 

「フッ!」

「動きは速いが……やはり、威力が足りんな」

 冬獅郎が他の隊士よりも早く動き、突き出した拳を受け止める。

 やっぱり軽いよなぁ。

 スピードがあっても重さがない。

 本人がまだ成長しきっていない所為もあるだろう。

 となれば、やっぱり急所狙いの一撃必殺を教え込むしかないだろうな。

 

「なんで俺は全力でやってるのに、響さんは考え事をしながらでも捌けるんだ!?」

「もっと速い相手を知っているからな」

 オーちゃんとかフーちゃんとか……今考えてもあの巨体で恐ろしい速度だった……

 スピードメーターで測っても測れないんじゃねーのってくらい早かった!

 その速さで木よりもぶっとい尾が薙ぎ払ってくんだぞ!?

 壁が……壁が迫ってくるぅぅぅぅぅう!!!!

 ハッ!? いや、落ち着け俺。あれはもう乗り越えたんだ。

 それに比べたら、全然反応できるよね。

 

 と言う訳で、冬獅郎の白打は急所を狙い撃つタイプにすることにした。

 本人は若干いやそうな顔をしていたが、白打を使う場合ってどう考えても相手は人型だよね。

 四番隊でどこを狙ったら、相手を出来るだけ傷つけずに無力化できるかを卯ノ花隊長が教えてくれた。

 ……なんで隊長自ら教えてくれたのかはわからん。

 とにかく習ったことは、そのまま冬獅郎に伝授した。

 そしたら、一般隊士との組手では気絶者が量産されてしまった。

 冬獅郎って小さい分動きが素早いから、狙われたらあっという間だった。

 ……俺は冬獅郎にこれを教えてよかったのだろうか……?

 

 

 歩法の場合

 

「結構体力があるな」

「ハアッ! ハァッ! ハァッ!! クソッ! 速すぎるッ!」

「速さは私の武器なのでな。しかし、競争ではなかったのだが……」

 雷公さん曰く、俺の速さに迫る死神は今の所いないらしい。

 俺の誇れるものは『速さ』か……クーガ〇の兄貴に目付けられそう……

 そして、冬獅郎……気がついてはいたけど負けず嫌いだな。

 大の字になって転がる冬獅郎に、軽く風を操作しておく。

 

 俺たちがやっていることは簡単。

 目的地に早く辿り着くこと。

 俺も同時に出発したんだけど、どうも冬獅郎は前を走られるのが嫌だったらしい。

 後ろで感じる霊圧が強くなったなと思ったら、より早いスピードで走り始めたのだ。

 それでも俺に追いつくことはできなかったわけだが……。

 まぁ、速さに関しては大丈夫じゃないかな。

 

 瞬歩使ってったぽいし。

「少し休んだらまた同じように戻るぞ」

「はぁ、はぁ、はぁ、わかった」

 必死に息を落ちつけようとする冬獅郎を見て、俺は軽く笑った。

 

 

 

 鬼道?

 鬼道はまぁ……ほとんど習得してたとだけ言っておくよ。

 

 




はい、と言う訳で主人公と十番隊のメンツでした。
……いや、ほんとすいません。
原作がなくて、一心さんや乱菊さんがどんなふうに話していたのかまったくわからなかったので、違和感があったら本当に申し訳ない。

そして、遂に冬獅郎にも強化フラグが立ちましたね。
今作では冬獅郎も強くなる予定ですが……どのように強くなるか……
技名とか新しいの考えるとどうしても……
オサレって何ですか……?
師匠……私にもオサレな技名を考えるセンスをください……


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