新年特別編(2月突入済)
新年とは…?(土下座
何十回目かのガス欠に陥ってましたが劇場で遂に種自由見てきた勢いで一気に書き上げました。
気分はさながら族神復活の知らせを受けた族OBモブです。
俺達の黄金時代が還ってきた…!ってなりましたよ本気で…
創作沼に嵌ったのが種だったんだよなぁ(しみじみ
感想・評価よろしくお願いいたします。
なんだったら種自由についてでもOKです(コラ
「俺から見た伊丹隊長の印象、ですか。
そうですね……端的に表現するなら『人は見かけによらない』のお手本みたいな人物でしょうか」
「第3偵察隊の面子の皆もそうだったんですが、俺が伊丹隊長の事を知ったのは『銀座事件』が最初になります。
と言っても実際に伊丹隊長の名前を聞いたのは、全国から総動員された警官隊と合同で当時銀座に侵攻してきた帝国軍から銀座を奪還して、ある程度事態が鎮静化して出動してた俺達もマスコミの報道に耳を傾けるだけの余裕が出来るようになった頃なんですけれどね」
「あの時はロシアがアメリカやヨーロッパ中に侵攻して暴れ回ってからそれ程経っていなかった事もあって、最初の頃は『ロシア軍が停戦を破って今度は日本の首都に侵攻してきたんじゃないか』って同期と話しながら出動の準備をしてましたよ。何せ実際に第3次大戦の初期にはアメリカの首都が直接ロシア軍に侵攻されて、ヨーロッパの時は主だった国の首都へ同時に化学攻撃も行われたんですから、最悪既に核ミサイルが撃ち込まれて東京はもう壊滅してるんじゃないかって覚悟してましたよあの時は。
……実際に攻めてきてたのは龍やオークやゴブリンみたいなアニメに出てくるようなモンスターが入り混じった異世界の軍隊、なーんてある意味ロシア軍や核ミサイルよりもとんでもない存在だったワケですけど、これは流石に予想出来ませんでしたよ」
「それで伊丹隊長についてでしたか。
最初は『現地で市民の避難誘導に活躍した自衛官が居る』って話が、まぁその時は噂みたいな形で俺達の所には伝わってきてました。
そこから『現地で敵の軍勢に抵抗している集団が居る』、『少数の警官隊を指揮して防衛戦を構築して護り切った自衛官が居た』なんて少しずつ正確な情報が入るようになっていって――補給と交代の為に臨時で競技場に設置された前線指揮所へ引っ込んだ時、中に設置されていたテレビで初めて例の皇居前で戦う伊丹隊長の記録映像を見たんです」
「いやぁアレには驚かされましたよ。なんせその時流れていたのがちょうど対爆スーツを着た隊長がえー、機関けん銃に、催涙銃に、おまけに火炎放射器まで使ってたった1人で帝国軍の大群に切り込んでいく姿でしたからね。
おまけに銃や火炎放射器が弾切れを起こしたら敵から武器を奪って戦い続けて、巨大なバリスタの矢がヘルメットを貫通して突き刺さったのにそれでも生きてて、挙句にその刺さった矢を武器にして戦闘を続けようとしたんですから……当時はきっと中身はラ〇ボーかター〇ネーターに違いないって思いましたよ、アレは」
「伊丹隊長の顔を知ったのは『銀座事件』の功績で賞詞を授与されるニュースででした。
隊長が指揮する部隊に配属される事になったと知った時はやっぱり緊張しましたし、同時に期待も感じたのを覚えています。あれだけの活躍と戦いぶりをする英雄が上官になるわけですからね。そりゃワクワクしちゃいましたよ。
――その分、初めて直接顔合わせをした時の反動も凄かったんですけどね。
だってあれだけ激しい戦いの中心で活躍した英雄とは思えないぐらい
「うーんどう言えばいいのか……
俺は自衛隊に入る前には料理人としてそれなりに格が高い料亭で客を楽しませられるだけの腕を奮ってきた事を誇りにしてます。料理人に限らずそういう腕と経験を積んできた自負を持っている熟練のプロっていうのはやはり独特の雰囲気を放つようになりますから何となく感覚で判るんです」
「ですが最初に俺達の前に立った隊長からは、
「この際だから正直に白状しますけど、最初は英雄どころか幹部自衛官かどうかも怪しく感じるぐらい緩いと言いますか、冴えない上官っていうのが伊丹隊長の第一印象でした。
多分俺だけじゃなくて当時一緒になった隊の仲間も同じ感想だったんじゃないかと――あ、やっぱり黒川二曹もそう思いました?
栗林二曹なんか目に見えて分かるぐらい思いっきり落ち込んでしましたからね。それが今じゃ隊長にデレッデレで子供まで作っちゃってるんですから人間変わるもんですよ本当。
だけどあんなハリウッド映画みたいな助けられ方をされたら隊長に惚れちゃうのも無理はないですよ。
とどめに伊丹隊長が第3次世界大戦を終わらせた伝説の部隊の英雄だったっていう政府から発表ですからね。
あの時は隊舎の部屋で同室の連中と会見を見てたんですけど、隊長の功績を本位元首相が発表した瞬間隊舎どころか駐屯地中から悲鳴や絶叫が上がったのを覚えています。俺だって叫んじゃいましたよ。
その後も拉致された邦人の奪還に、炎龍退治に……極めつけがあのキングスレイヤー作戦です。
あの時俺は情報収集任務を命ぜられてゾルザルの下に送り込まれていたんですけれど……ええ、その通りです。皇宮内の人間としてあの場に居たんですが、伊丹隊長達が乗り込んできた時の皇宮の混乱はそれはもう凄くて――……」
「ともかく第3偵察隊が編成されて隊長の過去の功績が公表されるまでのしばらくの間は、自分含めて隊員みんなが本当に伊丹隊長があの銀座の英雄か疑って見てましたね。
訓練とそれ以外の業務は最低限こなしておいてそれ以外の時間は昼寝したり薄い本を読んでサボったりしょっちゅうでしたから。怒った他の幹部に追いかけ回されてるのを見かけるのも珍しくはありませんでした。
それもあって幹部の中には伊丹隊長を嫌っている人間も多かったって話です」
「……その割に今考えてみると、コダ村の避難民や炎龍との遭遇みたいな突発的なトラブル以外で隊長のしわ寄せが俺達部隊の皆に来た事って思いあたらないんですよね。
きっちり部隊運用に必要な手配を万全に整えた上でああも気ままにオタクをやってたと考えると、伊丹隊長っていち兵隊してだけではなく指揮官としても実はかなり優秀だったんだなって今なら分かります。
伊丹隊長を嫌っていた幹部が多かったのも、『やろうと思えばできるのならサボろうとしないで最初から真面目にやれ』って思った結果だったんでしょう。同じ立場なら自分もきっと幹部達と同じ感想を抱いた筈でしょうから」
「そういった意味でも『人は見かけによらない』のお手本みたいな人物――それが俺から見た伊丹隊長の印象です」
「あら、わたくしからも伊丹隊長についてお話を聞きたい、と?
あのような殿方の話を聞きたいとは皆さまも奇特な……いえ皆さんをバカにしているつもりはないのです。ただわたくしが
「ええそうです。英雄だのなんだのと崇められている隊長ですが、わたくしからしてみれば婦女子の敵以外の何物でもありませんわ」
「『何故そこまで嫌っているのか』ですか?
それはですね、あの方は母国から世界を隔てて遠く離れた医療体制も不十分な土地での任を命ぜられて隊を率いる身でありながら、その立場にかこつけてよりにもよって自分の部下に飽き足らずいたいけな現地の女性達とも不埒な関係を結んだ変態的性癖の持ち主だからです」
「『落ち着け』? いいえわたくしはこれ以上ないぐらい落ち着いておりますとも。
ええ、ええ、自分が孕ませた部下の定期検診に他に手を出した女性達と代わる代わる交代で付き添っては、所構わず複数名の女性相手に睦まじい様子を見せつける事で甘ったるい空気を散布し我々衛生課や他の入院患者へ無視出来ない影響を齎している事をつい思い出してしまっただけですので」
「まったくあの子達ときたら、資源調査の名目で僻地へ送り込まれた事で周囲からの目が無くなった途端にまさかあのような暴挙に出るなどとは、わたくしも予想していませんでしたわ。避妊すら満足に……ゴニョゴニョ
しかも普段からスキンシップが激しくいつ過ちを犯してしまってもおかしくなかったロゥリィとテュカはまだしも、まさかレレイまで自ら乱痴気騒ぎに飛び込んで伊丹隊長との肉欲に溺れてしまうなどとは――」
「……成程、そちらの神官服の皆様はロゥリィへ仕えにに神殿から?
こちらのエルフの殿方達はテュカに会う為に、あちらの魔導師の方々はレレイに教えを請いに遥々ロンデルより参られたのですか。
これは失礼いたしました。このような場では相応しくない内容を口走ってしまいましたわね」
「『謝罪はいいから今の話をもっと詳しく教えてくれ』?
口を滑らせたわたくしが申し上げても説得力など無いも同然ではありますが、初対面の皆様方にこのような下世話な話題をこれ以上語るのは些か気が引けますので遠慮させて下さいな」
「何でしょうかプライス大尉……『彼らには今の内に伊丹との関係を理解させておいた方が面倒が少ない』ですか。
はあ、この方々の一部とは今後も何らかの形で関係が継続されるかもしれませんし、私の浅慮で中途半端な情報を与えてしまった状態でレレイ達に接せさせてしまっては、確かに何らかの問題が起きてしまいかねませんわね」
「――と、ここまでがわたくしが語れる範囲での伊丹隊長とレレイ達の関係になりますわね。
ええ、ええ。ロゥリィを除けばクリ、テュカ、レレイそれにヤオも危うい所を伊丹隊長に救われたのがきっかけとなり、最終的にあのような妻妾同伴の関係を構築してしまったのですわ」
「あらパルナさんも何時の間に。
……ふむ、『力ある男が複数の女を囲うのは別に珍しい事じゃないし、そこまで見事な男ぶりを見せつけたならむしろ囲っていない方が不自然。女を侍らせてるんじゃなければ男の方が好きな性癖の持ち主ぐらい』と」
「……はぁ。そうですわね、その点については当人達も同じような意見を大いに力説していましたわ。
寵愛を求めて妻妾同士で陰湿な争いを行うなどというどこぞの大奥じみた真似をして無関係の人々にも実害を齎すなどという事も今の所はしておりませんし、ひっじょ~~~~~~~~~~~~~~に不服ではありますが、わたくしも彼女達の想いに女として些少ながら感じ入った部分もありました。
「ええ、ですので個人的な好悪は別として、わたくしも今は伊丹隊長と彼女達の繋がり方
伊丹隊長の方もこの件に関してだけは他人に尻を叩かれずとも、最期まで殿方としての責任を取ろうとしておられるようではありますしね。
……少しでもその意志に陰りが見えた時は2度とクリのような犠牲者が増えないよう
「何より――これから生まれてくる命には何の咎も罪もございませんもの。
新しい命には親からの愛と祝福が不可欠なのです。医療者の端くれとして幼子からそれらを奪ったり、陰らせるような真似など、断固として行う訳にはいかないじゃないですか」
「……いえ、ですので彼女達と伊丹隊長の関係を受け入れてはおりますが、
任務中に部下や民間協力者と不適切な関係を結んだ挙句、然るべき対策にも失敗してわたくしの友人を孕ませた破廉恥漢である事は変えようのない事実なのですからね」
「……結局俺も話に付き合わされるのか」
「長々と語るつもりはない。そんな義理なんぞお前達には一切持ち合わせちゃいないんだからな」
「そこの2人のイタミの部下が語った内容はいち側面からどちらも正しい内容であるというのは認めよう。
「俺から見たイタミはそう――
「アイツは自分が例えどんな境遇に立たされようと、手垢のついたよくあるハリウッドのアクション映画に出てくるヒーローに自ら望んでなろうとも、シェイクスピアが描くような悲嘆に嘆き狂う悲劇の存在を気取ろうなんて考えもこれっぽっちも思っちゃいない」
「『食う寝る遊ぶ、その合間にほんの少しの人生』がアイツのモットーだったか?
食べて寝て酒や女や創作物を
「――だがな、
「天秤を思い浮かべてみろ。そいつは傾き切ったが最後魂を戻れない狂気に落とす人間性の天秤だ。
俺が知るある
ある
またある
イタミの中にある天秤は
「
それがどのような苦難であっても、その過程でどのような悲劇に遭おうとも、その結果の果てに何を背負う事となろうが、イタミは己を手放す事無く目的を遂げる。
アイツはずっとそうしてきたし、これからもずっとそうするんだろう。
例え周囲からは龍殺しの英雄や死神として扱われようがきっとアイツは変わらないんだろうさ」
「――そう、ただの
特にオチはありません。
伊丹の臭い(気配)は0銀座編に登場した警察側の伊丹の被害者が触れてます。