素晴らしい世界かもしれないが不死人には物足りない   作:みーと

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フロム脳全開。
いつも通り、細かい間違いとか食い違いは許してくださいね。

日が空いてしまって申し訳ないです。
作者としてはぽんぽん感想来るわ、評価つくわでてんやわんやですやん。

追記:眼にあると噂のダークリングですが、公式的な発表がないために作者が胸にしました。



第6話

 

 

 

 

あれは何時の事だったか。

特にする事もなかったので、双王子のいるロスリック城に白サインを書いてぼーっとしていた時。何時ものように別世界に召喚されるはずが、気付けば仮称:火継ぎの祭祀場へとやって来た。

 

いや、あれは焦った。広がるのは崩れた貴壁でもなければ、朽ちた城でも、不気味な大書庫でもなかったのだから。かつてロスリックがロードランと呼ばれていた頃の時代では当たり前だったが、ロスリックの時代では消え去った美しい緑が何処までも広がるなど、夢かと勘違いしたほどだ。

そしてアクセルの街につき、目を疑った。誰も彼もが楽しそうに生活している。失われた笑顔と活気がそこにはあった。そもそもただの人間など久方ぶりに見たものだ。

 

火に惹かれる羽虫のようにふらふらと彼らの領域へと踏み入った時のことは鮮明に覚えている。

 

 

 

 

 

いつも通りに復活し、訪れた空間。

女神エリスが地上にいる所為か、ここには誰もおらずなんとも寂しいものだった。

 

アルトリウスは篝火の前に腰を落とし、じっと燃ゆる火を眺める。ゆらゆらと揺れる陽炎を前にすると心が安らぐ。やはり火の無い灰、不死人の故郷こそは篝火であり、唯一の安寧なのだと実感する。

 

今最も己の頭を悩ませる『亡者化』。

『ダークリング』よりソウルと人間性を失い、狂い果てた存在である亡者。彼らは皆、己の渇きを癒すためにソウルを求める。

 

そも、人を不死人という怪物へと変えるダークリングとは当初は人間だけに現れる病のようなものだった。

しかし、それこそが『誰も知らぬ小人』が見出した『王のソウル』にも匹敵する『闇のソウル(ダークソウル)』の加護。それは人間に神々でさえ成しえなかった不死を与えた。

人は闇のソウルを身に宿し、神すら脅かすのだ。故に偉大なりし太陽『グウィン』は奸計を講じた。闇を祓う最初の火を絶えず燃やすこと。つまり不死人の巡礼である。

 

『火継ぎ』とは即ち、太陽と闇の争い。光を前に闇は無力だ。しかし、その光が翳れば翳るほどに闇は勢いを増す。

その果てこそがロスリックである。全てが澱み、太陽は堕ちた。明けない夜がすぐそこまで来ていた。

 

 

 

閑話休題、話がずれた。

亡者とは結局のところ人間として必要なモノを失った存在である。

女神エリスが暗い穴を癒せたとしても、呪いを解いたとしても、潤沢なソウルを持たない己は本質的には亡者と変わらない。幸運な事に無差別に人から貪るほど渇いてはいないが。なによりこの世界の存在が持つソウルは脆弱なのだ。ここで一つ、エリアボスぐらいに大きいソウルが欲しい。『異形のソウル』でも構わん。

 

人間性はロードラン以降は感知出来なくなったので気にしない事にした。

 

 

 

 

 

「違和感があると思って戻ってみれば、やっぱりですか」

 

「待っていたぞ、女神エリス」

 

女神様のご帰還である。

半ば呆れた表情でこちらに歩んできた。

 

「わざわざ此処にとどまっているということは、私に何かご用ですか?どうやら、お待たせしてしまったようですね」

 

「いや、構うものか。俺にとって時間などあってないようなものだ。人は永遠に変わらないモノを求めるが、己が永遠に変わらなくなって気づいたよ。永遠など糞にも劣るモノだとな。移ろい変わるからこそ、全てに価値があるのだ。過ぎ去る一瞬こそが至高なのだよ」

 

「なんか深い事を言いますね。私も神格ですから永遠の存在ではありますが、やはり人というものとは根本から異なっているのでしょうか。少なくとも私は永遠を疎ましく感じたことはありません」

 

始まりから永遠である神と、そうでない人の価値観の違いは明瞭だ。

 

「女神エリス、一つ頼みたい事がある。勿論、無理ならば断ってくれて構わない」

 

「なんでしょう?」

 

鎧を脱ぎ、己の胸を曝け出す。

そこには二つの孔がぽっかりと空いている。一つはそれを縁取るように火が奔る、不死人の証、ダークリング。もう一つは昏く、人間性を垂れ流し、呪いを蓄積する暗い穴。

 

「……これは『ダークリング』というやつですか?」

 

「そちらは今は関係ない。そうではない、もう一つの孔だ。徐々に黒い靄のようなモノが流れ出ている方を見ろ」

 

「『暗い穴』でしたか?これをどうしろと?」

 

「塞げるか?この穴は深淵より戻った火防女が癒すことが出来たものなのだが、神である貴方ならばどうにか出来るのではないかと思ったのだ」

 

まじまじと孔を見つめるエリス。

痩せ細った身体に関しては事前に説明が済んでいる為に問われることはない。

 

「難しいかもしれません。これは本質として神の存在を否定するものです。それが神の力で癒せるかと聞かれたら、答えは果てしなく微妙です。溜まった呪いを解く程度なら、今すぐにでも出来ます。しかし、これを塞ぐとなるとかなり時間が掛かりますし、準備もしないと…」

 

「解呪出来るのか?!」

 

「まぁ、それくらいならば…」

 

つまり、それは解呪石が無限にあるのと同義ではないか。手間ではあるだろうが死ぬたびに女神エリスに呪いを解いて貰えれば無理に暗い穴を癒す必要はない。

 

こうして、アルトリウスは亡者化に対する暫定的な対処法を手に入れた。

 

 

 

 





ちょっと感想で聞かれたので補足。

主人公は1→2→3と体験してはいますが、全部転生という形です。ちなみに周回時の別エンドは覚えています。
つまりですね、1でアンドレイと知り合ってはいますが、3では別人として転生しているのでアンドレイは主人公のことを知りません。

そういう都合上、主人公は1、2、3の全ての装備を網羅しているわけではなく、3に出てくるモノだけです。なぜなら、作者が1、2の装備なんて覚えてないからさ!(すんません

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