おっぱいドラゴンに柱間ァ……!大好きクレイジーサイコホモがinしました(休載中)   作:ふくちか

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この章も終わりです



第十一話「後日談?」

魔王サーゼクス・ルシファーはかなりと困惑していた。

彼は現在、リアスとライザーの試合を観戦し終えた所であった。

 

「…………参ったな」

 

彼は、妹の幸せを第一に願っていた。

たとえ、冥界を統治する魔王であったとしても、彼は何時もそれを願っていた。

 

 

だが、そんな肉親への情だけで冥界は変われない。

 

 

 

彼はそれを分かっていたからこそ、今回の婚約に対しても口を出さなかった。

 

今回の結果は、恐らくはライザー側の勝利だろうと、他の面々もそうだが、彼自身そう思っていた。

 

だが、結果は思わぬで覆ることになった。

 

 

 

リアス・グレモリーの勝利――――

 

 

 

 

この結果を見て、他の上級悪魔は驚愕を露わにした。

 

かく言う彼自身も、この結果に関しては最初は信じられなかった。

だが、勝利は勝利。

 

彼は、密かに安堵した。

 

 

これで妹に、望む恋愛をさせてやれると。

 

 

 

だが、それに関して手放しで喜べない事が一つある。

 

 

 

今、サーゼクスの眼前のモニターに映っているのは、古風な甲冑を身に纏い特徴的な髪形をした赤目の少年、兵藤一誠。

 

 

従者のグレイフィアに聞けば、リアス達は彼指導の下で特訓を受けたらしい。

だがそれにしては、あまりにも強くなりすぎている。

 

 

そして、彼自身の強さも。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

時系列はイッセーがライザーの眷属を一人で相手にしていた時まで遡る。

 

 

「その余裕ひん剥いてやるにゃ!」

「覚悟するにゃ!」

 

胡坐で座り込んだ彼に猫娘の兵士二人が突っ込む。

だがその拳はイッセーに届かず、青いオーラによって阻まれる。

 

「「え?」」

 

 

刹那――――二人は強い衝撃により地面に叩き伏せられ、一瞬で意識を刈り取られた。

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』二名、リタイア』

 

グレイフィアの音声アナウンスで、レイヴェル・フェニックスは我に返ってイッセーの方を見る。

 

 

見れば、イッセーの周囲を半透明の肋骨が覆っており、その横から大きい骨の腕が剥き出していた。

おそらくはあれが二人を――――と思案がそこまで至る間に、イッセーは次の行動に移っていた。

 

「火遁・爆龍炎弾」

 

複雑に手を動かした後、彼は口から火を吐いた。

最初は小さい灯火程度の大きさだったそれだが、レイヴェル達の眼前に迫る頃には莫大な熱量と範囲の大きさになっていた。

 

それはまさしく、獲物を求め彷徨う龍の化身だった。

 

「っ、美南風!」

「はい!」

 

炎の勢いを止めるべく、レイヴェルに呼ばれた十二単の眷属の少女が防御結界を張る。

だが炎は留まることなく、結界ごと美南風を飲み込み、焼き尽くす。

 

「あぁぁあぁあああぁぁあぁぁあぁぁぁああぁぁぁあぁぁああぁぁぁあぁぁっ!!!!!!!!」

「美南風!!!」

 

喉が潰れるほどの叫びをあげながら、美南風はリタイアの光に包まれた。

 

『…………ライザー・フェニックス様の『僧侶』一名、ゲーム続行不可能により、強制リタイアとなります』

「強制、リタイア……ですって?」

 

レイヴェルは今までのレーティングゲームでそれほどの攻撃を見たことがなかった。

故に、彼女の本能が告げている。

 

 

――――この人間は、危険だ。

 

 

 

「イザベラ、シーリスッ!!この男を何としても落とします!ただの人間だと思ってはいけません!!」

「あぁ!!」

「勿論っ!!」

 

シーリスと呼ばれた女剣士が大剣を持って躍り出る。

それに合わせるようにイザベラは背後から勢いをつけた蹴りを放つ。

 

「「ッ!!」」

 

イッセーはそれを一瞥することなく前方にシーリスの剣を須佐能乎が持つ魔力の剣で受け止め、後方のイザベラの蹴りは須佐能乎でガードした。

 

「…………ハァ」

 

イッセーはあろうことか溜め息を吐くと、須佐能乎の剣を横にスイングする。

それだけの動作だったが、シーリスの体はいとも簡単に浮かび上がり、持っていた剣は粉々に砕け散った。

無防備な彼女に対し、イッセーは須佐能乎のパンチを食らわせる

 

「キャアァァァ!!」

 

だが、それでもイッセーは容赦はしない。

 

「木遁・樹槍殺」

 

イッセーの周囲の大地が隆起したかと思うと、樹木が伸びて出てきた。

それは生き物のようにうねると、先端が鋭い槍上に変化し、宙を舞うシーリスの体を容赦なく貫いた。

シーリスは悲鳴を上げる事無く落ちていき、やがてフィールドからリタイアした。

 

「シーリ――――」

 

シーリスの名を叫ぶイザベラを須佐能乎の腕が掴み上げた。

そのままイッセーの目の前まで持ってくると、イッセーは彼女を一瞥する。

 

「…………あ、あぁっ…!」

 

直後、イザベラは何かに怯えるように震えだす。

そんな彼女をイッセーは須佐能乎の腕で強く握りしめ、

 

「雷遁・恐撃波」

「―――――――――――ッ!!!!」

 

須佐能乎の手から放つ赤い雷でイザベラを感電させる。

轟く雷鳴に悲鳴を掻き消されながら、イザベラもまたフィールドから消えた。

 

 

「………さて」

「っ」

 

イッセーの瞳がレイヴェルへと振り向いた時、彼女は本能的に一歩後退る。

これ以上この場にいれば、自分も先に散っていった眷属達と同じようになる、と。

 

そう理解できたからこそ、彼女は完全に彼に恐怖してしまっている。

何せ本当に彼は立ってすらいないのだ。

それに汗一つ掻かず、息一つ乱れていない。

 

「残るはお前だけだ」

「………貴方の力はよく分かりました。そして、私では貴方に勝つ事も出来ないと言う事も」

「だったらどうする?」

「……それでも、私にも誇りがあるのです!何があっても引く訳にはいかないのですから!!」

 

そう決意の啖呵を切ると共に炎を揺らめかせる彼女を見て、イッセーは――――

 

 

 

「…………青いな」

 

その一言で片付けた。

レイヴェルはそれを聞くことはせず、イッセーに特攻を仕掛ける。

 

 

そして―――――

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「……ス様、サーゼクス様!」

 

と、ここでサーゼクスは誰かに呼ばれているのに気付き、そちらに視線を向ける。

 

「グレイフィアか」

 

その正体は、彼の眷属であり伴侶のグレイフィア。

 

「どうかなさいましたか?」

「ちょっと、彼の事でね」

 

彼、という言葉が誰を指しているのか分かっていたグレイフィアは特に追及はしなかった。

 

「驚いておられるのですか?」

「あぁ。だがあんな強さを見せた以上、彼は嫌が応にも他の勢力から狙われるだろう」

「……その時は、如何なさる御積りで?」

「妹に未来を切り開く切っ掛けを与えてくれた者だからね。その時は必ず守るさ」

 

まぁ、必要ないのかも知れないけど、とサーゼクスは苦笑いで付け加えた。

 

「お優しいですね」

「そうかな?こういう時は、甘いと言うべきだろうに」

「それは貴方の欠点であると同時に、美点でもあります。咎める事が出来ましょうか?」

 

そう努めて冷静に返すグレイフィアに、サーゼクスは内心叶わないと漏らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




今更ながら、コイツ主人公です

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