ジブリ見てきました!!
やっぱり映画館のジブリは迫力が違いますね!!
てなわけで、どうぞ
「それって…………」
エラリィは、その事実に思わず唾を飲む。
すれ違った人間、列車で隣に座った人間、食材を買いに行く店の店員、全員果たして本当に普通の人間なのだろうか?
「得体が知れない組織ということが分かったって事ですか」
クイーンは、大きくため息を吐く。
「まあ、前進と取るしかないだろ」
後ろ向きに前向きな事を言うしかないエラリィは、疲れ切ったように言う。
「さ。それじゃあ、この話はここまで」
ルイーズの合図にクイーンは、頷く。
「了解です。それじゃあ、会議はここまでです。あー、頭使ったんで角砂糖食べていいですか?」
クイーンは、そう言いながらテーブルにある角砂糖を口に放り込む。
「頭使う前にも食べた方が効果的だよ」
「へぇ。今度、機会があったら試してみるですよ」
「あ、そうだ。クイーン、ジッポー貸しておくれよ」
「何につかうんですか………というか、非常時に備えて簡単に火のおこせる道具ぐらい携帯していてください」
クイーンは、そう言いながらジッポーをポケットから取り出す
「待ってください!!」
会議を締めようとする二人をベイカーが声を荒げて止める。
「なんだい、ベイカー?もうそろそろ夕飯の用意しないと後があるんだけど。因みに今回は、簡単に焦げ目を付けるというテクニックを知ったからぜひやってみたい」
ジッポーを何に使うか察しのついたクイーンは、スっと元の場所にしまった。
「何さも自分が用意するみたいに言ってるんですか。絶対台所に立たないでくださいね…………じゃなくて!!」
ベイカーは、スカーレットを指差す。
「こいつ、俺の制服盗んだんですよ!!」
「えぇ~………その話蒸し返すのかい?じゃあ、私が怒っておくからそれでいいだろう?」
どうでも良さそうにそう言うとベイカーには、シッシッシと手を振る。
「いいわけないでしょう!!
「んなもんねーよ」
スカーレットは、ぶすっとした顔でそう返答する。
「あたしが、個人的に盗みたかっただけだ。切り裂きジャックは、関係ねーよ」
(男の服を個人的に盗みたかったって、どんな変態だよ)
「…………何で、盗みたかっただけの?」
そんな心の声を飲み込みベイカーは、努めて冷静に尋ねる。
「やだよ。何で言わなきゃいけねーんだよ」
『冷静』の二文字は、この瞬間霧散した。
「言わなきゃいけないに決まってんでしょ!!他人の服盗んどいて何でそんなに偉そうなんだ、お前は!!」
「うるせぇな!!突然デカイ声だすんじゃねーよ!!」
そういうスカーレットも相当な大声で言い返す。
「いいだろ、別に。ルイーズには喋ってんだ!!お前にいう必要なんかねーんだから!」
「教官!!」
「やだよ。言わないよ」
巻き込むなと言わんばかりの感情を吐き出しながら、ルイーズは、席を立つ。
「って、教官、どこ行こうとしてるんですか?」
そんなルイーズを引き留めるエラリィ。
「いや、今日は私が食事当番だし、これから台所に」
「おい、馬鹿共!!早く出前をとれ!!」
「おい、どういう意味だい」
ルイーズが無言でエラリィの頰を引っ張りだした。
言い合うベイカーとスカーレット。
エラリィの頰を容赦なく引っ張るルイーズ。
そんな四人を眺めながらクイーンは、GHSを起動させる。
「あ、もしもし。えぇ、予約してあった宴会用の食事の配達よろしくです」
「あぁ!!クイーン!!最初っからそのつもりだったなぁ!!」
「当然です。それと、ルイーズ、潜入に使った制服の返却処理をするので、私の部屋に来て下さい」
◇◇◇◇
「来たよ~」
ルイーズは、言われた通りクイーンの部屋に来ていた。
「相変わらず、女の子らしい部屋だねぇ。誰に見られる訳でもないのに」
「誰かに見られるの前提だったら、もう少しサイズに気を遣ってるですよ。それと言うほど女の子らしいとも思わないですけど」
「スカートが、部屋にあるってだけでそう見える」
「それは『女の子らしい』でなく、『女がいる』の判断材料です」
クイーンは、淡々と返しながら紙を渡す。
受け取った紙に書かれた文字を見て目を丸くした後、ため息を吐く。
『気付いたこと全部書いてください』
「バレた?」
「何年ルイーズの親友やってると思ってるんですか?」
確かにクイーン達に促され渋々切り裂きジャックについて気付いたことを話した。
だが、それで全てではなかったのだ。
ルイーズは、受け取った紙に書き込む。
『話した方が早いけど?』
「まあ、そういう余計なことは、言わない方がいいですよ。余計な敵を作ることになるんですから」
どこで誰が聞いてるか分からないと暗にほのめかす。
あの場でルイーズがわざわざ言わなかった理由ぐらい、クイーンでなくても分かる。
少なくともあの三人には聞かせたくないからだ。
万が一、クイーンの部屋の前で聞き耳を立てられていればバレてしまう。だから、これはクイーンなりの配慮だ。
(最近、ベイカーもルイーズについて分かって来てるんですよね………)
まあ、もっと言うならクイーンにも聞かせるつもりもなかったのだろうが。
だが、それを許すクイーンではない。
ルイーズは、諦めて紙に書き始めた。
「宴会用の出前って何を取ったんだい?」
「色々ですよ。サンドウィッチに、チューリップ、それに焼き鳥とか………あぁ、マーボーカレーも頼んだですよ」
「お!やったねぇ」
軽口を叩きながら、ルイーズは、書き上げた紙をクイーンに渡す。
クイーンは、受け取った紙に目を通し、思わず息を飲み込んだ。
「………ワインは、飲まないでくださいね」
「もちろん」
「
「多分ね」
そう言うとルイーズは、扉を開き出て行った。
クイーンは、それを見送ると受け取った紙を胸ポケットにしまい、同じように部屋を出る。
そして、部屋の入り口の回りを確認する。
(埃が中途半端にない…………これは、足跡ですね)
女性の大きさではない。
(エラリィは、わざわざこんなことしないですし、となるとベイカーですね………)
クイーンの予想は当たっていた。
ベイカーもルイーズの態度を不審に思い、聞き耳を立てていたのだ。
「ハァ……………」
(愛されてるけど信用ゼロですね)
クイーンは、そのままトイレに向かった。
◇◇◇◇
『不思議だったのは、切り裂きジャックへの依頼方法だ。
私達が暴くまで、切り裂きジャックが殺し屋だと言うことは民衆には一切公開されていない。おまけに世間に潜んで暮らしている。
こうなると依頼したくてもどうやって依頼すればいいか分からない。
だから、逆なんじゃないかと思う。
依頼を待つんじゃなくて、自分達から恨みを持つ人達に売り込みに行ってるんだと思うんだ。
《お前が〇〇に対して恨みを持っているのは知っている、代わりに我々が晴らしてやる》みたいな感じで。
根拠は、スカーレットの話。殺しの金が個人に直接支払われている時もあるって話だった。
それは、つまり組織からの依頼で請け負った仕事ではない。
となればだ、自分達で仕入れた情報を頼りに依頼人該当しそうな人間に売り込んで得た金と考えるのが普通だろう?
まあ、または、仕入れた情報を組織に伝えて別の切り裂きジャックを派遣してもらったりってことももちろんしていたと思うよ。
さて、それを踏まえて、被害者とその凶器の資料を見てご覧。。
それによると切り裂きジャックに殺されているイジメの主犯格の凶器の大半は、レイピアとサーベルだ。
この武器を使う切り裂きジャックの二人は、教師。
つまり、この二人は自分達の立場を利用して情報を集めていたんじゃあないかと思うんだ。
被害者は、ローウェル・ヒュラッセイン学園の関係者だけじゃない、と君は言いたいだろうねぇ。
別にローウェル・ヒュラッセイン学園に限定する必要はないんだよ。なにせ、二人は教師だ。学校に関わる情報ならいくらでも集められる。
………さて、まとめよう。切り裂きジャックは、表社会に潜んでいる。
そして、表社会の立場を利用して恨みを持つ人間を探し出し、自分を売り込む。
売り込みが成功すれば、組織に伝えて、誰か別の人を派遣してもらうか、あるいは自分達で請け負う。
これが、切り裂きジャックの仕事の流れだと私は考える。君がどう考えるかは自由さ』
クイーンは、目を通すと懐からジッポーを取り出し、紙に火を付ける。
(分かっているんですよね?)
ルイーズの書いた紙は静かに燃えていく。
(切り裂きジャックは、潜んでいる立場を利用して、情報を集め、売り込む)
ある程度燃えたところでトイレに流す。
(ルイーズの事です。どうせあっちこっちで恨みを買っているんでしょう。でも、殺すほどとなるとやはり、あの事故の関係者です)
ルイーズが研究所を追われたあの事故だ。
(当然ですが、あの事故の関係者は、軍の人間です。
そして、ルイーズの推理どおりなら、恨みを持つ軍の人間に近付き仕事を請け負った奴は………切り裂きジャックは、)
そう、そういう事だ。
分かっていたからこそ、ルイーズは、明言しなかった。
(軍の人間…………!!)
ちょっとずつ近付いていきます。
ラストのシーンは、ハ〇レンのあのシーンを見て、個人的に好きだったので入れてみました。
では、また外伝85で!!