教官   作:takoyaki

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外伝83です!!
みなさまお久しぶりです!!


リアルがドタドタバタバタしており、大変遅くなりました!!
気が付けばライダーも最終章とか言ってますからね。
新戦隊も始まってますからね!


てなわけで、どうぞ


「言ってませんからね」

 「なんだか目元が似てるなぁとは思ってたけど………まさか、兄妹だったとは…………」

 ルイーズは、頰を引きつらせながらつり目のスカーレットとつり目のベイカーを見比べる。

 今、二人は、隣同士に座らされていた。

 「あたしの母親が不倫して出来た子どもだから、異父兄妹ってところだな」

 「ベイカー、ついてきてるか?」

 「何とか……………」

 ベイカーは、渋い顔で頷いている。

 そんなベイカーにルイーズは、不満げな顔を向ける。

 「というか、私、君の母親がスヴェント家って知らなかったんだけど」

 「言ってませんからね」

 「どうしてそういう大事な事を言わないんだい!!」

 「嘘でしょ!?どの面下げてそんなこと言えるんですか!!」

 自分のことは棚の遙か上に放り投げて捲したてるルイーズにベイカーも負けじと言い返す。

 言い合いだったものがいつの間にか、二人して頰を引っ張り合うところまで発展した。

 「いつもこんな感じ?」

 「まあ、だいたい」

 エラリィは、なんてことなさそうに淡々という。

 エラリィの隣でクイーンは、書類を確認する。

 「えーっと、スカーレットは十六歳、ベイカーは十八歳。ということは、年の差は二つってところですか」

 「ベイカーがピーターさんのところに連れて行かれたのは五歳だから、お前が三歳の頃まで一緒にいたのか」

 「まあな」

 スカーレットは、そう言って頷く。

 そんな会話をしている横でルイーズとベイカーは、涙目になりながらまだ、両頰を引っ張り合っていた。

 「あぁ、もう、二人とも!!いつまでやってるんですか!」

 「「いだだだだだだだだだだだだだだ!!」

 クイーンは、二人にアイアンクローを決めて無理矢理止めた。

 静かになったところで、クイーンは、二人のコメカミから手を放す。

 悶絶しながら床をのたうち回る二人を見て、スカーレットの頰が引きつる。

 「いつもこんな感じ?」

 「まあ、だいたい」

 先程と同じ返しをするエラリィ。

 スカーレットは、クイーンにアイアンクローを決められ、のたうち回る二人を見る。

 (ルイーズがまともじゃないのは分かってた、ベイカー(あいつ)も変なのは何となく分かってきた………)

 改めてクイーンを見る。

 言い争いを止めるために手加減なしのアイアンクローを決めるクイーン。

 (この人も大分やべぇ…………)

 唯一、まともそうな人間、エラリィに助けを求めるように視線を移す。

 黒眼鏡に白衣。

 そして、白衣の下に見えるサンオイルスターのキャラがプリントされたTシャツ。

 「サンオイルスター……………?」

 その呟きをエラリィは、聞き逃さなかった。

 「お前、知ってるのか!?」

 突然食いついてきたエラリィにスカーレットは、若干体を反らす。

 「知ってるつーか………それ、子ども向けの番組だろ?なんで、着てんの?」

 「馬鹿野郎!!」

 「痛ぇ!!こいつ、突然書類で叩きやがったぞ!!」

 「お前が男ならグーだった」

 「謝りもしねーくせに最低な開き直りしやがった!!」

 「いいか!よく聞け!!サンオイルスターはな、子ども向けという枠にとどまらず、ありとあらゆる年代を魅了するストーリーなんだ!!それをお前は………!」

 語り出したエラリィ。

 そんな中、ベイカーはコメカミを押さえながら立ち上がる。

 「あいつ、サンオイルスターの大ファンなんだよ」

 「おう、取りあえずまともな奴がいないってことがよく分かった」

 クイーンは、直ぐに咳払いして印刷した報告書を報告書を全員に配る。

 「さて、冗談はそのへんにして、新入隊員の紹介も済んだ訳ですし、早速会議開始です!」

 報告書には、今回の経緯がまとめられている。

 「今回の切り裂きジャックは、二人。レイピアとサーベルの切り裂きジャックでした」

 「今回は誰も大したケガしなかったよね」

 「いつも大怪我するのは、ルイーズですけどね」

 「そういう君も二、三日病院通いだったよね?」

 「仕方ないでしょう?全てはエラリィが悪いんです」

 「全てじゃないだろ。盛るな。無茶な剛招来のツケが回っただけだ」

 三人がバチバチと視線をぶつけ合う中、ベイカーが包帯に巻かれた右手を挙げる。

 「因みに俺は手を痛めてます」

 「拳銃無理矢理暴発さればそうなるさ」

 「いや、拳銃暴発させたら、その程度で済むわけねーだろ」

 遂に我慢できなくなったスカーレットが口を挟んだ。

 脳裏によみがえるのは、ベイカーが落ちているルイーズの手袋をはめ、拳銃を暴発させているところ。

 「…………お前の手袋どうなってんだ?」

 「内緒。女の子は秘密があった方が素敵だからね」

 「あ、そ」

 もう、これ以上追求することを諦めたスカーレットは、テーブルの上にあるクッキーをボリボリと音を立てて食べる。

 ルイーズは、ネクタイを緩めながらスカーレットを見据える。

 「さて、スカーレット、君には聞きたいことがある」

 「聞きたいこと?」

 「切り裂きジャックの構成員さ」

 単刀直入に切り出されたスカーレットは、困ったように口を真一文字に結ぶ。

 「こちらで把握している切り裂きジャックは、全部で四人、刀の切り裂きジャック、レイピアの切り裂きジャック、サーベルの切り裂きジャック、そして、逃がしたままの斧の切り裂きジャック。なんだけども?」

 「うーん…………あたしも、弟子みたいなもんだから深くはしらねーんだよなぁ」

 スカーレットは、腕を組む。

 ルイーズは、クイーンが配ったのとは別の資料を読む。

 「君の調書によれば、切り裂きジャックは組織で動いているって話だ。せめて組織のトップぐらいは、分からないかい?」

 「結局、あたしは正式な切り裂きジャックではなかったから、他の構成員の名前とか容姿はわからねーんだよ」

 スカーレットは、あくまで切り裂きジャック見習いだった。

 ルイーズを殺害して初めて認められる、と言うところでルイーズが無理矢理助け出したのだ。

 「ただ、耳に挟んだ話によると、トップは、刀のような武器を使う切り裂きジャックらしい」

 切り裂きジャックは、多種多様な刃物を使う。

 ルイーズは、読んだ捜査資料を思い返す。

 「確か似たような切り口だけど、違う刃物で切り刻まれた死体が幾つかあったねぇ」

 ルイーズの言葉にスカーレットは、頷く。

 「まあ、いいや。それで?君はそのトップ1、2の顔は見たことあるのかい?」

 ルイーズの質問にスカーレットは、首を横に振る。

 「言ったろ?あたしだって、噂程度なんだ。正直、ここまでしか分からねーよ」

 ルイーズは、腕を組む。

 「もう一個。切り裂きジャックへの料金ってどうなってるんだい?一括組織に一旦振り込まれて、そこから切り裂きジャックに分配?それとも切り裂きジャックが依頼人から直接もらうのかい?」

 「………両方あるな。もしかしたら、他のパターンもあるかもしれねーけど、あたしは今言った両方のパターンを見ている」

 スカーレットは、眉を寄せながら考え込む。

 「でも、何でそんな違いがあったのかは、分からねーんだよなぁ」

 「まあ、普通に考えれば、組織として受注し、それに適した切り裂きジャックに割り振った場合は、組織から金が降りるんでしょう。逆に切り裂きジャックが自分で仕事を取ってきた場合は、切り裂きジャック個人に直接料金が支払われるってところでしょう」

 考え込んでしまったスカーレットに代わりにクイーンが簡単に解説する。

 「質問を変えよう。君みたいな奴って他にもいるかい?」

 君と言われたスカーレットは、首を傾げる。

 「あたしみたいにって…………」

 「切り裂きジャックに仕込まれてる奴だよ」

 スカーレットは、眉を八の字して腕を組む。

 「『多分いる』と思うとしか答えようがねーな………だって、他のレイピアの切り裂きジャックと会う事ってほぼなかったからなぁ、唯一会ったことのあるやつって、サーベルの切り裂きジャックぐらいだし」

 徹底して他の切り裂きジャックのメンバーに会っていない。

 「でも、あたしだけが特別ってことはねーだろうから、『多分いる』ってのが、限度だな」

 「……………お前、使えないね」

 ポツリと呟くベイカーの言葉が耳に入ったスカーレットの額に血管が浮き出る。

 「あ?」

 「ストップ」

 ルイーズがティースプーンで、カップを軽く叩く。

 チンという高い音とルイーズの静かな声音で二人とも押し黙る。

 「ベイカー、余計なこというんじゃあないよ。話が進まないだろう?

 スカーレット、君はいちいち食ってかかるんじゃあないよ。話が途切れるだろう」

 「うわぁ…………ルイーズが言うんですか、そういう事」

 「クイーン、うるさい」

 言いたいことは山のようにあるクイーンは、理不尽の三文字と共にぐっと飲み込んだ。

 「それより、クイーン頼んでおいた書類は?」

 「………はい、これです」

 半眼のままクイーンは、ルイーズに複数の書類を渡す。

 「何ですか、それ?」

 隣で見ていたエラリィが尋ねる。

 「レイピアの切り裂きジャックとサーベルの切り裂きジャックの経歴と後、サーベルとレイピアで殺害されたと思われる被害者の報告書」

 ルイーズは、そう答えながら書類に目を通していく。

 ルイーズの右手が耳元の髪の毛に伸びる。

 「被害者は、子ども、保護者…………ふぅん」

 髪をイジりながらルイーズの頭の中でそれぞれのキーワードが羅列されていく。

 「なるほどねぇ…………」

 「何か分かったんですか?」

 「というより、整理できた」

 「何が───」

 「教えなーい♪」

 「………は?」

 「っていうのは、冗談で……」

 四人からマジトーンの『は?』をぶつけられ、ルイーズは目をそらしながら続ける。

 「レイピアの切り裂きジャックにしろ、サーベルの切り裂きジャックにしろ、この子達の経歴に詐称はないんだよねぇ?」

 「えぇ。裏取りは出来てるです」

 「私は、この二人も私達と同じように学園に潜入してるのかと思ってた。でも、違った」

 クイーンに渡された書類をめくる。

 「彼らがこの学園に来ていたのは、5年以上前だ」

 「それって…………」

 

 

 

 「切り裂きジャックは、潜んでいる。裏社会に住み着いている訳じゃあない。表社会に息を潜めて生きている」







コロナとか色々大変な事になっていますが、取りあえず手洗いうがいで予防しております。
えぇ、ハッピーバースデーの歌を歌いながらやってます。
最初のころは、殺人鬼ごっことか言って楽しんでたんですが、最近、飽きてきました。
そもそもウィルス滅殺してんのにお誕生日おめでとうもクソもないですからね。
もう次からはアマビエ祈祷もこめてゲゲ〇の鬼太郎の歌にしようと思います。



ではまた、外伝84で( ̄∇ ̄)

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