遅くなりましてすいません!!
それはそうとニチアサの映画もペンギン・ハイウェイも銀魂2も全部見てきました!
よかった!!この夏は豊作だ!!
てなわけで、どうぞ
「
ルイーズの言葉などどこ吹く風と言わんばかりにフランクは、店員に注文する。
店員に注文し終えると、フランクは首をかしげる。
「え?何だって?」
ルイーズは、ピザカッターを握る手にぎゅっと力を込める。
フランクは、それに構わずスパゲッティを注文する。
「いや、しかし、元気にやっているようで安心したよ。研究所を追い出されて、辛い思いをしているんじゃないかと思っていたからな」
「どの口が言うんだい………」
ルイーズは、ギロリと睨みつける。
「全部君のせいだろ!」
ピザカッターを机に叩きつける。
「君は、自分より優秀な私が気に食わなかった。だから、火のないところに煙を立てようとした。その結果がアレだろう!」
ルイーズの言葉にピクリとフランクは、眉を動かす。
「違うな、お前が許可したんだ、そうだろ?」
ルイーズは、ぎりっと歯をくいしばる。
「君が、勝手に………!!」
「その証拠は?」
「……………」
黙ってしまったルイーズにフランクは、楽しそうに笑う。
「何だっけか、お前が初めて研究所に来た時、確かこう言ったな。『私には、叶えたい夢があります!!』って。ま、結局研究所をクビになったお前はその夢を果たすことは出来なかったわけたわけだが」
ルイーズは、手のひらに爪を食い込ませなが聞く。
唇を強く噛み血が流れる。
「そんな顔するなよ。新聞見たぜ、切り裂きジャックを捕まえたんだってな。大活躍じゃないか」
そこまで言うと顔をぐっと、近づける。
それだけで分かる。
何を言おうとするか、
何を言われるか、
聞きたくない、
聞きたくない、
聞きたくない、
「お前…………」
「どーん!!」
陽気なかけ声と共にクイーンがテーブルに飛び乗った。
「クイーン!!」
突然の登場にルイーズは、目を丸くする。
「やれやれ、早めに退院させてもらって正解でしたね」
クイーンは、肩をすくめる。
「あの、お客様、テーブルから降りていただければ………と」
困惑した店員がクイーンにそう告げる。
「ああ、ごめんなさい。すぐ降りるです。あ、そうだ。ついでと言っちゃあなんですが、テイクアウトって可能ですか?」
「え、えぇ。もちろん」
「じゃあ、そこのピザのテイクアウトお願いするです」
「分かりました。直ぐに対応します。それで、あの、出来れば直ぐにでも降りていただきたいのですが」
店員が急かすとクイーンは、机の上から降りる。
クイーンは、刀に手を乗せて笑顔でフランクの方を向く。
「お久しぶりですね、フランク」
フランクは、クイーンを白けた目で見る。
「もう少し常識的だと思っていたんだがな」
「見ての通りルイーズより常識人ですよ」
「どういう意味だい」
ルイーズの不満げな声を無視してクイーンは、そう言うと彼女の手を掴む。
「どうでもいいじゃないですか!!それより、早く帰るですよ。ベイカーも待ちくたびれているはずですから」
クイーンは、ルイーズを連れて喫茶店の出入り口へいく。
入り口で、テイクアウトするピザを貰う。
そして、出入り口のところでクイーンだけ振り返った。
「そうそう、忘れるところでした!」
クイーンは、金髪をたなびかせ、笑顔で振り返る。
「切り裂きジャックに殺害依頼をしたのは、お前でしょう?」
笑顔では、ある。
だが、先ほどから一切目が笑っていない。
フランクは、眉ひとつ動かさずにお冷に口をつける。
「証拠は?」
「ないです」
「なら、」
「お前ぐらいなんですよ。ルイーズを殺す理由があるのは」
クイーンは、刀の柄に手を置く。
「ルイーズの事が嫌いな人間は腐るほど、憎んでる人間は星の数ほどいるんです。でも」
そこで一旦言葉をきってさらに続ける。
「殺す理由があるのは、お前ぐらいです」
クイーンの言葉にフランクは、つまらなそうに肩をすくめる。
「ま、証拠を持ってきてから話を聞いてやるよ」
「えぇ。楽しみにしていてください」
クイーンは、そう言うとそれっきり振り返らなかった。
◇◇◇◇◇
「それで?本当に退院してきたのかい?」
「開口一番それですか………もっと他に言うことがあると思うんですけど」
ドヴォールについた二人はそんな会話をしながら歩いていた。
ルイーズは、肩をすくめる。
「ま、感謝はしてるよ」
「逆にしてなかったら驚きですよ」
ルイーズにそう言い返すとクイーンは、続ける。
「それで、大丈夫ですか、ルイーズ?」
「おかげさまで」
心配そうなクイーンにルイーズは、肩をすくめる。
そんなルイーズにクイーンは、不満気な視線を送る。
「何だい?」
「黙ってたですよね?」
「何を?」
「切り裂きジャックにとってルイーズは、生けどりが目的ではなかった。殺害が目的だった。だってそうですよね。奴らは、依頼を受けて人を殺す殺し屋集団。生けどりにする理由は、何処にもない」
そう、それが分かるまではルイーズは、そう推理していたが、実際は違った。
「今日、留置所に行ったそうですね」
ルイーズは、刀の切り裂きジャックに殺害依頼をしたのが誰か聞いている。
「まあね♪」
「ま、エラリィ達も気付いているでしょうね。ルイーズが言わなくても」
「だよね」
ルイーズは、そう言ってパンと手を叩く。
「さ、この話はお終い。ベイカーにいらない心配かけるわけにはいかないもの」
「……………まあ、ルイーズがそれでいいならいいですけど………」
クイーンは、不承不承といった顔で頷くと詰所に入る。
そして、談話室の扉を開けると目の前にはサンドウィッチが大皿に盛られていた。
「これは………」
「あ、教官ちょうどいい時に帰って来……って、あれ?隊長?退院は明後日って聞いていたんですけど……」
「問題なさそうなので早めに退院したんです」
「そうなんですね、おめでとうございます。ちょっと座って待っててください。食器用意しますね」
ベイカーは、そう言って厨房に戻る。
その後ろ姿を見送りながらクイーンは、席に着く。
そして、向かいにルイーズも座る。そして気付く。
クイーンが気持ちの悪いニヤニヤ笑いを浮かべていることに。
「…………なんだい?」
「ルイーズ!教え子に恵まれたですね。一人だけですけど!!退院祝いをしてくれるなんて、素敵じゃないですか!!」
「退院祝い、サンドウィッチしかないんだけど」
「そりゃあ、ルイーズがそれしか食べてないからでしょう?」
「おっかしいな……シュウマイとか食べてたような………」
ルイーズの反論に対しクイーンが先ほどテイクアウトとしたピザをテーブルに並べる。
「大事にされてるんですよ!ルイーズ!」
「だといいけどね」
そんな話をしているとベイカーが食器を持ってきた。
「あれ?ピザ?」
「テイクアウトしてきたんです。一緒に食べるですよ」
「いいですけど………」
ベイカーは、少し困ったようにそう言うと食器をそれぞれの前に並べる。
並べ終わるとクイーンとルイーズが両手を合わせる。
「「いただきます」」
「待ってください」
二人の前からベイカーは、サンドウィッチを取り上げる。
「食べる前に答えてください」
「君、食事中の犬の邪魔しちゃいけないって知ってるかい?」
ほぼ殺気に近いものを発しながら睨みつけるルイーズに若干腰が引けつつそれでもベイカーは、続ける。
「教官は、元恋人のせいでやめさせられたって本当ですか?」
空気が凍りついた。
ルイーズは、ジトっとした湿度の高い眠そうなタレ目で睨みつける。
「君、よくタイミング悪いって言われるだろう?」
「いや、タイミングなら結構合わせているような…………」
「なら、デリカシーというものをどこかの便所に流してきたのかい?」
「ルイーズ………一応食事中なので………」
困惑したクイーンにやんわりと諭されるルイーズ。
「それで、どうなんですか?」
「ナイショ。女は秘密があった方が素敵だからね?」
ルイーズは、人差し指を唇に持っていきウィンクをする。
ベイカーは、答えが帰ってこないことを悟るとサンドウィッチを机に置いて自身も食べ始めた。
「ところで、これは退院祝いですか?」
流れを変えようと無理矢理明るい声を出してクイーンが質問する。
するとベイカーは、首を傾げる。
「いや。単純に交渉材料ですけど」
クイーンの頬が引きつる。
思いの外雑に扱われていたルイーズに先ほどまで自分で言ったセリフがどこまでも見当違いであることがはっきりとわかってしまった。
そんなクイーンに構わずベイカーは、そのままサンドウィッチを食べる。
「というか、退院祝いは、全員が退院してからでしょう?」
ベイカーは、そう続ける。
その言葉にルイーズは、目を丸くする。
「退院祝いするつもりなのかい?」
「そりゃあ、するでしょう。そう言うもんでしょう?」
さも当然のように言うベイカーにルイーズは、しばらくした後楽しそうに笑う。
前の職場では一緒にご飯を食べるなどということは一切なかった。
退院祝いなどないし、休んでから自身の机に戻れば食べカスが落ちていることがいつものことだった。
理由はどうあれ、待っていてくれる人がいる。
そう考えるとやはり笑みがこぼれる。
「くくくく、そっか。それじゃあ、これより豪勢な食事を期待してるよ」
あと9時間でビルド最終回か………
ではまた、外伝40で