教官   作:takoyaki

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外伝33です。

ロボティクスノーツ、クリアしましたー!!

どうしよう、カオスの方にも手を出していいのだろうか……大分グロいと聞くんだけど………
いや、ハガレン1期と共に幼少期を過ごした私なら大丈夫………な筈だ!!


テイルズとも本編とも一切関係ない話をしたところで、どうぞ


「ええっと、これを言っとかないとか」

「はぁ………はぁ………はぁ………」

ルイーズの息が荒く、連続して吐き出される。

「おいおいおい、さっきまでの勢いはどぉした?」

「………るさいなぁ……」

ルイーズは、吐き出されそうになる息を無理やり飲み込む。

「言われなくても見せてあげるよ!!」

そう言って踏み込む。

その瞬間、ルイーズの視界がぐにゃりと歪んだ。

「─────っ!!」

それと同時に襲ってきた吐き気にルイーズは、堪らず嘔吐した。

「…………ぇ"え」

「なるほど」

切り裂きジャックは、そう言うと踏み込んでルイーズに向かって刀を振るった。

ルイーズは、慌てて防ぐが足に力が入らず床に転ばされた。

「はぁ………はぁ………っゔ!!」

そして再び吐いた。

「………お前のその道具、お前のエネルギー、いや、カロリーを使っているな」

「………違うよ……と言っても信じないよねぇ」

「当然」

ルイーズは、息を吐き出す。

そう、リリアルオーブ使用時と同じ力を出すためには何処かからエネルギーを手に入れなければならない。

ルイーズはそれを自身のカロリーを使うことで補おうとしたが、思ったよりも消費ペースが早い。

(このままだと、五分ももたない………)

ルイーズは、霞む視界の中目を細めて立ち上がる。

(でも、ここに食器があるってことは……近くにある!!)

後ろの扉を開き、別の部屋に移動した。

「逃がすかよ!!」

切り裂きジャックがルイーズを追う。

追ってきた切り裂きジャックにルイーズの投げたフライパンが襲いかかる。

「テメー……くだらない手使ってんじゃあねーぞ!!」

「そりゃあ悪かった!!」

切り裂きジャックが突っ込んでくるのを防ぐようにルイーズは、冷蔵庫の扉を開けた。

勢いよく切り裂きジャックに向かってくる扉。

突然の行動に切り裂きジャックは、思わず防ぐ。

(待て…………ここって……)

「そう、厨房だよ」

冷蔵庫の扉がゆっくり閉まる。

「食事は、作ったら直ぐに運ばないと冷める。だから、食事をするところの近くに絶対あると思った。そして、」

扉が閉まりタレ目で睨みつけるルイーズが現れた。

「厨房があるってことは、食材(カロリー)があるってことさ」

ルイーズは、そう言って長方形のバターに噛り付いた。

見ているだけで吐き気を催す光景に切り裂きジャックは、一瞬止まる。

だが、食べている方は吐き気を催すどころではない。

実際に吐きそうになっていた。

ルイーズは、嗚咽を堪える。

そのかわり涙が流れるがそんなことは知ったことではない。

口から溢れそうになるもの達ごとバターを飲み込み拳に力を込める。

「くっ!!」

慌てて刀を振るう切り裂きジャック。

だが、それより速く距離を詰めルイーズは、拳を振るう。

「っらぁ!!」

刀が届くより前にルイーズの拳が届く。

「だぁああっら!!」

もう片方の拳が切り裂きジャックに襲い掛かった。

続けて放たれる二撃目。

かわすことなど出来るはずもなく、切り裂きジャックは、モロに食らう。

切り裂きジャックは、流しに叩きつけられた。

「この野郎………!」

刀を構える切り裂きジャック。

それより速く、ルイーズのアッパーが切り裂きジャックの顎に入る。

切り裂きジャックは、その場でたたらを踏む。

ルイーズは、更に両手を組んでそれを槌に見立てて思い切り振り下ろした。

「ぁぐっ!!」

切り裂きジャックは、今度は床に叩きつけられた。

激痛に顔を歪めた後、切り裂きジャックは、床を転がり立ち上がる。

立ち上がりを狙い、ルイーズが右足を強く踏み込む。

そして、体重を乗せて拳を放った。

 

 

 

 

 

 

 

「………なんだその気の抜けたパンチは?」

 

 

 

 

 

 

その踏み込みとはかけ離れたポスという空気の抜けるような音がルイーズの拳から聞こえた。

ルイーズの荒い息遣いだけが厨房に響き渡る。

「なるほど…………」

切り裂きジャックは、つまらなそうに鼻でわらうと刀で切りつける。

「ぐぅっ!!」

肩から血が流れ顔を歪ませるルイーズ。

そんなルイーズを切り裂きジャックは、壁まで蹴り飛ばした。

「がっ!!」

背中に衝撃が走る。息が血と共に吐き出される。

ルイーズの左手の手袋が落ちる。

「時間切れか」

今度は、切り裂きジャックが強く踏み込み体重乗せた刺突を放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

(呼吸を整えろ!!)

ベイカーは、深呼吸を一つして銃を構える。

(体力的にも時間的にもこれがラストチャンス、外すな…………)

走りながら凹凸のある地面を走るため揺れる。

「…………!!」

歯噛みをする。

これをやるには寸分の違いが大きく響くのだ。

意識を失っているエラリィ、道、体力、態勢。上手くいかない要素は全て揃っている。

(それがどうした!!ピンチに負けてる場合じゃない!!)

ベイカーは、折れそうになる心を繋ぎ止める。

手の震えは止まった。

その揺れと銃口が一致した。

(外すなじゃない!!)

ベイカーの指が引き金にかかる。

(当てろ!!)

銃口が火を噴く。

銃弾は、切り裂きジャックの足に放たれた。

【甘い!!】

切り裂きジャックは、斧で前からくる銃弾を防いだ。

【残念だったな!!これで終わりだ!!】

「全くもってその通り」

ベイカーは、GHSを操作する。

切り裂きジャックは、脚に力が入らずゆっくりと倒れた。

【何だ………?】

そう思って足を見ると血が流れていた。

ベイカーの銃弾は、切り裂きジャックの足を撃ち抜いていたのだ。

【馬鹿な!!確かに防いだはず…………】

「正面の銃弾はね?」

ベイカーはGHSをしまい、煙玉と閃光弾を放り投げる。

辺りを光と煙が埋め尽くす。

【くっ………!!】

思わず顔を覆い、それらが引くのを待つ。

光は引いたが、煙は中々引かない。

思わず咳き込む。

脚に力を入れること叶わず、切り裂きジャックは、地面に再び倒れる。

確かに正面の銃弾は防いだはずなのだ。

だが、実際はこのザマだ。

(一体何処から…………そうか!!)

【跳弾か】

切り裂きジャックは、自分の足から流れる血を睨みつける。

そう、ベイカーは正面から狙えば防がれるのはわかっていた。

だから、背後にあった看板に狙いを定め跳弾で切り裂きジャックの後ろからも足を撃ち抜くことを狙ったのだ。

ようやく薄くなってきた煙。

だが、今更追っても間に合わない。

というより、そもそもこの脚では追うことができない。

【やられた………!!】

切り裂きジャックは、悔しそうに地面を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 

「な………に?」

刀は、ルイーズの手のひらを貫き目の前で止まった。

「絶対にやると思ったよ。時間制限があれば、君は絶対にそれを利用して戦うと」

ルイーズは、そう言って刀の柄を持つ切り裂きジャックの手を握りしめる。

「だって、君にとって重要なのは好きなこと(人殺し)をして金を稼ぐこと。ヒリヒリした戦いの中で殺したいのはその次だものねぇ?」

懐から出した先ほどの機械は『0:15』で止まっていた。

切り裂きジャックはそれを見て目を丸くする。

「………お前、まさか、あの中でその頼みの綱の機械を止めたのか?あの殺し合いのなかで!?」

上手くいかなければルイーズは、そのままなぶり殺しだ。

ルイーズは、答えない代わりにニヤリと笑う。

「正気じゃない………」

「………だから、言ったろう?『私がまともじゃない』って」

いつも通りの眠そうなタレ目。

そこに灯る覚悟の炎。

切り裂きジャックは、逃げようと動くがルイーズの左手がそれを許さない。

「分かってないようだから教えてあげるよ」

スイッチを再び入れる。

 

 

 

 

 

 

 

「私と戦うとはこういうことだ」

 

 

 

 

 

 

 

握り締められた拳は、切り裂きジャックの腹部に叩き込まれた。

だが、それで終わりではない。

「だああああああああああああああああああらぁっ!!」

その右腕に、更に万力を込めてルイーズは、大きく切り裂きジャックを飛ばした。

扉は壊れ、切り裂きジャックは、大広間に投げ出される。

残り五秒。

ルイーズは、切り裂きジャックに飛びかかり、地面に押さえつけた。

そして、懐から手錠をとりだす。

「切り裂きジャック、お前を傷害致死の現行犯及び殺人の容疑で逮捕する」

そして、両手に手錠をかけた。

「えぇっと、これを言っとかないとか」

ルイーズは、そう言ってテープレコーダーの電源を入れる。

「切り裂きジャック、君には黙秘権がある。

取り調べの供述は法廷で不利な証拠として用いられる場合がある。

君には取り調べの時に弁護士の立ち会いを求める権利がある。

もし、経済的な理由で弁護士が呼べないのなら、公選弁護人をつけてもらう権利がある」

ルイーズは、そう宣告をすると床に倒れている切り裂きジャックの上に座った。

「………黙秘権以外言わなくてもいいんじゃないのか?」

「いつ何処で、どんな揚げ足取られるかわかったもんじゃないからね」

ルイーズは、そう言って電源を切った。

「もしかして、左手の手袋が取れたのは?」

「これをやるため。そうそう手袋が取れてたまるもんか」

ルイーズは、そう言って穴の開いた左手を見てため息を吐く。

彼女は、その我が身を犠牲にしても生き残り切り裂きジャックを確保したのだ。

「ま、これであの洋館での借りは返したかな」

ルイーズの言葉に切り裂きジャックはニヤリと笑う。

「オレが初の逮捕者か………しかも捕まえたのが軍の鼻摘まみ者……笑っちまうぜ」

切り裂きジャックは、そう言った後続ける。

「なあ、ルイーズ」

「なんだい?」

「これがお前の一番やりたかったことか?」

ルイーズは、その言葉を聞いた瞬間、唇を噛む。

「…………………君には関係の無い話だ」

「ま、そりゃあそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「動くな!!」

威嚇射撃が、仮面の切り裂きジャックをかすめる。

仮面の切り裂きジャックが振り返ると、そこには軍と警察がいた。

「ベイカーですね…………気が効くじゃないですか………」

クイーンは、大きくため息をつく。

【ちっ…………】

仮面の切り裂きジャックは、小さく舌打ちをすると、レイピアを構える。

【………これは、ダメだな】

仮面の切り裂きジャックは、そう言うとゆらりと立ち上がり警察に向かって突撃した。

突然の行動に戸惑う隙をついて仮面の切り裂きジャックは、そのまま姿を消した。

クイーンは、口から血を吐く。

「大丈夫ですか!?」

軍人の一人が駆け寄る。

その軍人の胸ぐらを掴みクイーンが詰め寄る。

「それより、切り裂きジャックがもう一人いるはずです………そっちは、どうなったんですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が捕まえた」

 

 

 

 

 

 

 

 

声のした方を振り向くとボロボロのルイーズがいた。

「ルイーズ…………!!」

「やれやれ、酷い様だねぇ………」

「それは、お互い様です………」

「ははは、違いない」

ルイーズは、そう言うと膝から崩れ落ちた。

左手は真っ赤に染まっている。

クイーンは、ため息をつく。

「また、無茶をしたんですね」

「それは、お互い様だ」

クイーンは、目を丸くした後ため息を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

「………違いないですね」

クイーンは、そう言って同じように倒れた。

 





一旦決着です!!
やぁ、長かった。
時間制限は、親子揃ってやってますね………蛙の子は蛙ってことです
因みにルイーズが言っていたのは、『ミランダ警告』です。
他にもミランダ・ルールとか色々呼ばれ方があるようです。
厳密に言うと逮捕時ではなく取り調べ前に言えばいいようですが……まあ、それもおいおい




では、また外伝34で


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