今の内に可能な限り更新しようと思っています。
四月に入れば、また更新が遅くなりますで、今月中にもう一話くらい出せたらいいなと思っています。
では、お楽しみください。
2020/10/19:文章を修正しました。
新人戦も三日目となり、九校戦も後半戦へと突入した。
女子アイス・ピラーズ・ブレイクの三回戦は深雪、雫、英美が勝利し、決勝リーグを第一高校が独占する結果となった。
禅十郎と一部の上級生達はその結果を本部のモニターで見ていた。
「結局、こうなりまひたにぇ」
「むにゅーん」
「ええ。文句のつけようがない見事な結果です。大会委員会から決勝リーグは三人を同率優勝にしてはどうかと打診が来ているようです」
「市原先輩。それってこれひ上、面倒な作業はしぃたくないってことでしゅよね」
「びよーん」
皮肉な笑みを浮かべる禅十郎に誰もが否定できずにいた。
アイス・ピラーズ・ブレイクは氷の柱を一試合で二十四本用意する必要があり、かなり手間がかかる。もしそれが省略できるのであれば、大会委員会は楽が出来る。
この提案は明らかにそれが目的であるのは誰にでも分かることだった。
「でも、雫ちゃんはその提案を断ると思いまぶ、よ」
「ぺちぺち」
禅十郎のその一言に意外な顔をする人が多かった。
雫とそれほど長く接しているわけでは無いが、このような提案を彼女が断ると思ってもみなかったのだ。
「篝、何でそう思うんだ?」
桐原が彼らを代表して尋ねる。
「理由ですか? そうですねぇ……。敢えて言うなら、雫ちゃんが一年生の中で一番この九校戦を楽しみにしていたから、ですかね」
笑みを浮かべる禅十郎の言葉の真意を誰も理解出来なかった。
雫がどのような気持ちで九校戦に出ているのかを禅十郎は知っていたが、そこまでぺらぺらと話すことはしなかった。
「じゃ、俺は負けちまった野郎共を元気付けに行ってきます。まだうじうじしてたらぶん殴っておきますんで」
「おう、ぶっとばーす!」
「篝君、程々にしておいてくださいね」
鈴音の言葉を聞いた禅十郎は手をひらひらさせて、適当に反応した。
「了解でーす」
「みんな、ばいばーい」
そう言って禅十郎は本部を後にした。
この時、禅十郎が片手で抱えていた『子供』にツッコむ者は一人もおらず、何人かが手を振って禅十郎を見送った。
それから少しして、大会委員会から女子アイス・ピラーズ・ブレイクは英美が棄権し、深雪と雫の決勝戦を午後に行うと連絡がくるのであった。
ほのかも無事決勝に進むことが決まり、もうすぐ正午となる時間、禅十郎達は一緒にお昼を食べる為に集まることにした。
既に九校戦メンバー組は揃っており、後はエリカ達を待つだけである。
ついさっきやって来た深雪とほのかは先に待っていた禅十郎の姿を見て戸惑っていた。
理由は禅十郎が両手で抱えている『子供』にあった。
「あの、禅君?」
珍しく戸惑いが表情に出ている深雪は何故か勇気を振り絞るようにして禅十郎に話しかけた。
「ん、どうした?」
「ひーまーだーぞー」
禅十郎が抱えている『子供』は深雪が話しかけているにも拘らず、無邪気に禅十郎の耳を引っ張っていた。
「痛い痛い痛い。止めろ、耳を引っ張るな。頼むからもう少し待ってろ」
「やー」
「嫌じゃない。後で好きなもん食わせてやるから」
「ぶー」
その子はムスッと口を尖らせて不貞腐れ、ジタバタと禅十郎の腕の中で暴れ始める。
「こら。禅を困らせたらダメだよ」
「うー、やー」
「やー、じゃないの。ちゃんと言うこと聞かないと言いつけるよ?」
「……あい」
雫が窘めるとやや不満がある顔をしているが、言うことを聞いて禅十郎の腕の中で暴れることを止めた。
それはとても愛らしい光景であるが、問題はそこではない。
「あの……篝君。その子は……」
「ぺちぺち」
だが、落ち着きがないのか、その子はまた禅十郎の頬を叩いて遊び始めた。
「だから少しは大人しくしてろよ。話できないから」
「にへへー」
「笑って誤魔化すな!」
達也達の目の前には禅十郎が幼い男の子を抱きかかえていた。
ではどうして深雪とほのかが尋ねるのに戸惑っているのか。その理由はその男の子にあった。
「随分とお前に似てるんだな」
「お、お兄様!?」
「達也さん!?」
そして達也は戸惑っている二人を無視して素直にその事実を口にする。
達也の言う通り、その男の子は禅十郎と瓜二つなのである。それはもう禅十郎をそのまま小さくしたら見分けがつかないほどだ。
「あー。やっぱお前もそう思うか。皆揃って言うんだよな。餓鬼の頃の俺と瓜二つだって」
「はなはだふかいだー」
「おい、言葉の意味わかってんのか?」
「にゃははははー」
笑っている顔なんて完全に瓜二つであり、禅十郎のコピーではないかとさえ思った。
「笑って誤魔化すな。たく、誰に似たんだか……」
「禅でしょ。子供に対して悪影響の塊みたいなものなんだし」
「そうだ、そうだー」
「お前ら……」
三人のやり取りは見ていて和むものだった。そう、先程からの三人のやり取りはまるで……。
「まるで親子だな」
「「っ!?」」
達也の爆弾発言に深雪とほのかは揃って目を見開いて驚いた。
「ハハハ。まぁ、これでも叔父と甥なんだけどな」
その一言で二人ははっと気づかされ、納得するように相槌をうった。
「禅君の甥っ子だったんですね。……ええ。普通に考えれば、そうですよね」
「そっか……。うん、そうだよね。流石に篝君もそこまでは……」
二人共、後半の部分は小声で呟いており、禅十郎達は怪訝な顔をしていた。
「二人共どうかしたの?」
様子がおかしい二人に雫はキョトンと首を傾げる。どうやら二人がどのような目で自分達を見ていたのか気付いていないらしい。
「大丈夫、何でもないわ」
どんなことにも素早く対応出来るよう育てられてきた深雪は何事も無かったかのような笑みを浮かべる。
一方、ほのかは……。
「う、うん! 別にあんまりにもそっくりで篝君の子供でもおかしくないなぁなんて思ってないから! ……あっ……」
慌てて自分が口にしたことにほのかは気付き、固まってしまった。
僅かながら禅十郎達の間に静寂が訪れる。
「古典的な墓穴の掘り方だな。いやー、初めて見たわ。そっかそっかー、様子がおかしいと思ったら、そういうことかぁ。なるほどねぇ、一体こいつが何だと思ったんだろうなぁ?」
禅十郎がほのか達が考えていたことを理解し、意味ありげな相槌を打つと、あまりの恥ずかしさにほのかは顔を真っ赤にした。
「ほのか……流石にそれはないよ」
一方、禅十郎の隣ではほのかほどではないがやや頬を赤くしている雫がいた。
「おねえちゃんのかお、りんごみたいにまっかっかだねぇ」
「うっ……」
そして禅十郎の甥っ子の無邪気な一言が容赦なくほのかに止めを刺し、彼女はぐったりと項垂れた。この様子ではしばらくほのかは立ち直れそうにない。
「子供って偶に酷いこと言うよな」
「禅もそうだったと思うけど。さらっと酷い事を口にしてたって私の両親がよく言ってた」
「あー、もしかしてあの時か? 船に乗った時の」
「それ以外もあるよ。結構たくさん」
そう言われても、思い当たる節がない禅十郎は肩をすくませた。
「忘れた、そんなの」
「おじちゃん、おなかへったー。ごーはーんー!」
禅十郎の甥っ子は相変わらずマイペースに空腹を主張している。
「だから少し待ってろって言ってるだろ。小十郎」
「こじゅうろうじゃない! ぼくのなまえはそうじだ!」
「言うこと聞かねぇなら、お前は当分小十郎で充分だ」
「うがぁぁぁぁぁっ!!」
小十郎と呼ばれているが、この子の本名は篝
だが、子供ゆえに弄ると面白いので禅十郎はずっと小十郎呼びをしているのである。
それからエリカ達が合流した後、ほのか達と同じやり取りをしてから皆で昼食をとるのだった。
さて、何故禅十郎が宗仁を連れているかと言うと事の始まりは昨日の夕方。千鶴から電話が掛かってくると、彼女の末の娘である優姫が風邪をひいたことが伝えられた。
千鶴は宗仁と優姫を連れて新人戦の観戦に来ていたのであるが、突然優姫が体調を崩し病院に運ばれたのである。
しばらく娘の看病で手が離せないとのことで、今日一日だけ宗仁の面倒を見て欲しいと頼まれたのである。
だが、よくよく考えれば、こちらには千香や千景、宗士郎がいる。彼らに頼めばいいじゃないかと最初は思ったが、既に彼らに連絡を取っていたらしい。千鶴曰く、宗仁は千香に懐いておらず、千景は急用が入り、宗士郎は既に用事が入っている為、唯一暇人である禅十郎に白羽の矢が立ったのだ。
一緒にいても困ることは無い為、先輩達の許可の元、今日一日、宗仁を連れて競技場のあちこちを見て回っているのだ。
そして現在、宗仁を連れた禅十郎は女子アイス・ピラーズ・ブレイクの決勝戦を見に来ていた。
宗仁もいるのだが、特別に関係者用の観客席で真由美と摩利、達也と一緒に決勝戦が始まるのを待っているところだ。
先程まで無邪気に暴れていた宗仁はご飯を食べた後、電源が切れたかのように完全に活動を停止して爆睡している。
「やっぱりこの子、昔の禅君にそっくりよね。落ち着きがない所とかところかまわず寝ちゃう所とか」
ツンツンと宗仁の頬を突っつく真由美に対し、禅十郎は苦い顔を浮かべる。
「何時の話をしてるんですか。もうそんなことしてないんですけど」
「いや、場所を選ばず寝てはいるだろう。この間も練習の合間に木の上で眠ってたじゃないか」
「そうそう。小さい時は屋根の上とか縁側、庭にある岩の上でも当たり前のように眠ってたし、酷い時なんて小さい時に一緒に動物園に行ったらいつの間にか檻の中に入って象の上で寝てたのよ」
昔、動物園で一体何があったんだと摩利と達也はとても気になったが、絶対話が長くなると思い、禅十郎がいない時に聞くことにした。
「俺も師匠の所で何度か木の上に登って寝ては落とされる所を見たことがありますよ」
摩利、真由美、達也から立て続けに過去の話を暴露されるが、禅十郎は知ったことかと恥ずかしがる素振りすら見せていない。
「良いだろ別に。昔、敷地内の山に放り出されて野宿しまくったんだ。その後も色んな環境に放り込まれた時の対処法を叩き込まれれば、木の上だろうが何処だろうが気にせず寝れるんだよ」
随分あっさりと言うが、今までどんな生活を送ってきたんだと達也と摩利は疑問を抱いた。
「それよか達也。お前、深雪ちゃんにつかなくて良かったのか?」
「今回は仕方がない」
「つまり、本当はつきたいってことか?」
「ああ」
「いいねぇ。兄妹の仲が良いってのは」
ここでなら隣にいるお姉様方が人の悪い笑みを浮かべて茶々を入れるのだが、この男は少々違った反応をしていた。
「まだ会えてないのか?」
「そうなんだよ。あいついつまで経っても会いに来やしねぇ。こっちから行けばどっか行ってるし、電話は着拒されるし。あー、面倒な末っ子だぜ」
「本当に嫌われているんだな。お前が余計な事でも言ったんじゃないのか?」
禅十郎と妹の仲は良くないのは知っていたが、ここまで行くとなると何かがあったとしか言いようがなかった。
「知るか。俺はあいつに必要最低限の事をアドバイスしてるだけだ。それをどう捉えてんのかまで面倒見きれねぇよ。答えを知りたきゃ、自分で見つけろ。一から十まで手取り足取り教える気はさらさら無いって言っといた。間違った方へ行ったならそこまでの実力だったってだけだ」
このやり方は禅十郎が幼い時から徹底してきたし、周囲から促されていた。
体術の訓練では周りにいるのは長い年月をかけて研鑽を積んできた猛者達ばかり。彼らは基礎であれば、一から十まで徹底的に指導してくれるが、その先の応用はさわりだけならまだしも真髄まで教える者は誰一人として居ないかった。
その為、禅十郎は彼らの動きを注意深く観察し、動きや呼吸の一つ一つを身に着ける努力をしてきた。そういう過去を持っているからこそ、簡単に答えを教えてもらうやり方を禅十郎は良しとしないのである。
「体術に関しては本当に厳しいな、君は。もう少し妹さんを大事にしたらどうだ」
「妹だろうが誰だろうが手を抜く気はさらさらありませんよ。身内だからと言って道場の教育方針を無視するわけにはいかないんで。寧ろそんなことしたら俺が怒られますよ」
摩利が呆れているが、禅十郎は依然として体術に関しては身贔屓など絶対にする気はなかった。
「もう良いじゃないですか、そろそろ始まるようですし」
禅十郎の言う通り、会場の櫓に深雪と雫が姿を現し、会場は一気に静かになった。
「ふーん、二人共良い面構えじゃねえか」
深雪と雫の姿を見て禅十郎は自然と笑みを浮かべる。
二人はただ静かに試合の開始の合図を待っているのではない。純粋に魔法だけを駆使して競うこの競技に、二人は静かに闘志を燃やしているのだ。
余計なことはいらない。
自分の持てるすべてをここでぶつける。
(見せつけてやれ、雫。お前がこの時の為に用意した『とっておき達』をな)
禅十郎はニヤリと心の中で笑みを浮かべ、九校戦の練習期間での出来事を思い出していた。
九校戦開始まで約二週間となった頃。
「なんだよ、いきなり呼び出しやがって。こっちも暇じゃねぇぞ」
ここから仕上げに掛かろうと思っていた矢先に禅十郎は達也に呼び出されていた。
「分かってる。だが、今回ばかりはお前に少し手伝ってもらいたいんだ」
「お前なぁ……。前の手伝いの所為で俺がどんだけ恥ずかしい思いしてたか分かってんのか!?」
「禅が人攫いをし続けたのが悪いだろ」
「人聞き悪いこと言うんじゃねぇよ! ちゃんと休憩時間の合間に行ってただろうが」
「それで何で拉致する必要があるんだ」
「実物見せた方が早いからに決まってんだろ!」
禅十郎は色んな技術スタッフや先輩に相談する際には休憩時間の合間に行くのを徹底していたが、毎度毎度その場で相談せずに実物を見せる為に禅十郎が担いで攫って行くのである。
確かに口で言うよりも実物を見せて相談する方が良いのは分かるが、だからと言って拉致するのは如何なものかと誰もが思った。
一度注意しようと思ったのだが、彼の行動は迅速であり、大半の生徒が彼の動きに付いて来れず、達也が止めるまで完全に放置状態だったのである。
「それには同意するが……話が逸れたな。今回はそっちじゃない。ピラーズ・ブレイクの方だ」
このままでは本題に入れないと達也は話を強制的に中断した。
「はぁ? 俺の専門外じゃねえか。俺に何が出来るんだよ」
自慢ではないが、広域に干渉する魔法はそれほど得意ではない。出来ないわけでは無いが、広域魔法は使える魔法の種類の中では下から数えた方が早いくらいに苦手としている。そんな自分に何の手伝いが出来ると言うのか。
「問題ない。今までと同じようにお前の技能を教えてやってほしいだけだ」
「……へぇ」
その一言で達也が自分に何をさせようとしているのかを把握した禅十郎は軽く相槌を打った。
これまでの達也の手伝いで、新人戦の女子メンバーに跳躍を中心に身体技能について、いくつかレクチャーを行ったことがあった。しかし、ピラーズ・ブレイクにそれは必要ない。とすれば達也が期待している技能はおのずと絞られるのである。
「使えるって良く気付いたな」
第一高校に入ってからアレを使ったことは一度も無い。
「お前、腕輪型と端末型以外に拳銃形態の特化型を懐に閉まってあるだろ。それも限界ギリギリまで小型化されたショートタイプだ」
禅十郎は呆れたように溜息をついた。
「あーあ、バレない自信、結構あったんだがなぁ……。森崎にも気付かれてないんだぜ?」
禅十郎は制服の前裾を翻すと、達也の指摘した通り、そこには拳銃形態の特化型CADが隠しホルスターに収納されていた。
「相当な腕の奴じゃない限りそれには気付かないさ。大体、CADをそれだけ持っていながら使えないとすれば、それはただのバカだろ。そんなことをしても動きにくくするだけだ」
「たくっ、相変わらずよく視てるねぇ、お前」
達也の『眼』には敵わないなと心底思った。
「てか、それってお前も出来るじゃん。やっぱ俺、必要無くね? というか残り二週間で使えるようなモノでもないだろ、アレは。俺なんて形になるのに二年以上掛かったぞ。まともに実戦で使えるようになったのも今年に入ってからだぜ」
「分かってる。だが……」
「雫なら見込みありってか」
禅十郎の一言に達也は目を丸くする。
「よく分かったな」
「何となくだ。深雪ちゃんに教えるくらいなら、お前が付きっきりで教えるだろ。とすれば競技に出場する雫かエイミィになる。といっても、二人なら決勝リーグに進める実力があるのにあんな高難易度の技術が使えるようになる必要性はない。だとすれば、優勝するためっていうより誰かに勝ちたいから覚えようとしているってのが妥当だろう」
達也は興味深げに禅十郎の推察を聞いていた。
「その誰かだが、高難易度の技術を会得してまで倒したいとすれば、思いつくのは深雪ちゃんだけ。そんで二人の内、九校戦に最も熱が入った上で深雪ちゃんとの勝負に闘志を燃やすのは雫になるって考えただけさ」
「よくそこまで推察できるな」
禅十郎の洞察力には達也も脱帽した。
「ガキの頃からの付き合いだからな。そんなことより、お前の見込みではやれるんだな」
真剣な眼差しを向ける禅十郎に対し、達也は頷く。雫なら見事使いこなせるようになると達也は確信していたからこそ、はっきりと首を縦に振る。
それを見た禅十郎は少しだけ考える仕草をして黙った。
それから、何かを決めたとように頷いて、ポーズを解いた。
「……分かった。出来る限りの事はするが、俺もそろそろ仕上げに入る。教えられるとすれば練習時間外になるな」
「ああ、分かってる。俺もそのつもりだった。俺が直々に教えるには時間が足りないし、他の担当も疎かにするわけにもいかない。だからお前に学校外で教えてやって欲しい。それに雫相手なら、気兼ねなく指導できるだろうしな」
「ああ、気兼ねなくどころか容赦しねえ」
指をポキポキならせて、不敵な笑みを浮かべる禅十郎。
この顔は達也もよく知っている。碌でもないことを考えている顔であると。
「程々にな」
「善処しない」
「いや、そこはしてやれよ」
そして雫の要望通り、深雪に勝つ為の特訓を開始することとなった。
「じゃ、雫。しばらくの間、俺ん家で合宿な」
「えっ……?」
如何でしたか?
次回で新人戦四日目に入れるようにしたいです。
基本、予定通りに話が進まないので期待はしないでください。
では、今回はこれにて。