Fate/SAKURA   作:アマデス

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今回は独自設定、独自解釈のオンパレードです。

合計話数も20超えてるし、そろそろこういう解説回必要かなと。自分の中で設定キッチリさせる意味も込めて(笑)。普段より短いですが御容赦を。


さくしゃのかんがえたさいきょーのさくらちゃん。


閑話 虚数について

 魔術属性・虚。

 通称・虚数。

 

 火、地、水、風、空…数ある魔術属性の中でも更に、一際特殊な立ち位置にある架空元素、その一つ。

 数十年に一人輩出されれば多い、とさえ評される程に稀少な属性。

 

 それが、私、間桐桜がお父様とお母様から与えて貰った力。

 

 唐突ですがそんな私の力を皆さんに解説する為、少々御時間をいただきたいと思います。

 と言っても私自身、未だにこの力の全容を把握出来ているとはとても言い難いのですが。

 

 

 先ず、この虚数という属性は上記の通り非常に珍しく、その実態がまるで解明されていない為、鍛え上げるに当たってとんでもなく厄介な属性なのです。

 要するに具体的にイメージして捉えにくい、端的に云って滅茶苦茶解りにくい、もっと云うならそもそも鍛え方の手本が無い、考え様にも抽象的過ぎて解らない。

 にくいにくいのないない尽くしです。

 これは当時、お爺様が亡くなって(を殺して)しまった為、自分自身でその身を鍛え上げていかなければならなくなった私に重く伸し掛かった問題でした。

 

 兎にも角にも、合っているにしろ間違っているにしろ自分の中で『虚数』というモノの形を定義しておかなければ修行内容も研究内容も確立する事が出来ない。

 なので先ず私は間桐()の書庫を片っ端から引っ繰り返して少しでも虚数についての情報を集める事に努めました。

 他にも家の書庫だけでなく市の図書館に出向いて物理学の本を借りて読んだり。

 余談ですが10歳にも満たない子供が物理学の本を借りたり読んだりしている所を見た司書さんや利用者さんが私の方を二度見して戦慄するという事が何度もありました。

 ごめんなさい、とてもじゃないですが全部理解してた訳じゃありません、精々触りだけです、九割九分意味不明で投げました。

 

 

 そんなこんなで色々と調べて、虚数というものが『一般的に』どう認識されているかを自分なりに纏めました。

 

 先ず虚数は英語で『imaginary number(イマジナリーナンバー)』、想像上の数字と呼ばれていると分かりました。

 定義としては『2乗した時、0未満の実数になる数』、つまりは『i×i=-1(こういう方程式)』になる数字で、反義語は実数とされています。

 

 上記の公式を見ていただければ解る様に、こんな数字は現実には実在しません。

 その為長らく詭弁的、想像上の数字で実用性は無いと言われてきました。

 

 ですが現在では『複素数平面上の座標を表すのに役立つ』という利便性が発見され、負数の平方根として規定された数となっているのです。

 

 

 ここまでが『一般的な虚数』の情報、次は『魔術世界における虚数』です。

 …とは云ってもこちらに関しては具体的な記述は殆んどありませんでした、精々がそれっぽい一文が一つ二つという有り様。

 

 『有り得るが物質界に無いもの』。

 虚数世界というモノに関しては『裏側の世界。並行世界ですらない、生命のない虚数空間』といった記述が。

 

 

 

 

 

 はい。

 

 ここまで纏めて。

 

 ぶっちゃけ意味不明の一言でした。

 

 有り得るけど物質界には無い…うん…うん…?割とマジでワケワカメ、何であんな広い屋敷の書庫丸々引っ繰り返してこんなポエミーで哲学的な一文しか見付からないんですか。

 一般的な方にしても、数学上で虚数がどう認識されていようと神秘を探求する魔術師とは分野が正反対、あまり参考になるとは言い難かった。

 

 

 なのでそこからは集めた情報を自分なりに噛み砕いて理解出来るよう、自分の中でキチッと定めてストンと落とし込めるように、国語辞典や漢字辞典を用いて色んな言葉の意味、ものの考え方を調べまくりました。

 大変な作業でしたが丁度資産運用の勉強も並行して行っていたので、大変なのは今更だと開き直って頑張りました。

 途中で何回白目剥きそうになったかは覚えてません()。

 

 そうして噛み砕いて噛み砕いて噛み砕きまくって数回程ゲシュタルト崩壊に襲われたりしながらも自分の中で出した結論。

 

 

 先ずこの『有り得る』という一文。

 有り得るという事は可能性がある、つまりは理論的にはそういう事もある、という意味だと私は捉えました。

 

 次に『物質界に無いもの』という一文。

 物質界とは正しく今私達が自らの足で立ち、日々を過ごし、呼吸をして生きる、生命が存在するこの世界の事に他ならない。

 そこに無いもの…という事は生命と正反対の、死の側に属するもの…死霊や亡霊と云った霊魂達。

 また物質界に無い、つまり物質ではないもの、という事は形の無いもの…。

 

形而下(けいじか)=形を備えたもの、物質的なもの、時間空間の中で感性的に認識出来るもの

 

 …ではなく。

 

形而上(けいじじょう)=形の無いもの、通常の事物や現象のような感覚的経験を超えた超自然的・理念的なもの、時間空間の中で感性的に認識出来ないもの

 

 …こういったもの達。

 

 総合的に述べて、想像上の、概念としては存在するが、実際には物質として存在しない、実体の無い、形を持たないモノ達…そう私は捉えました。

 

 

 つまりこの二つを合わせた『有り得るが物質界に無いもの』とは、『理論的に存在する可能性はあるが実際には確認されていない概念上だけのモノ』、要するに机上の空論達という結論に達しました。

 

 さて、定義付けが完了したは良いものの、まだまだ問題は山積み。

 じゃあその定義に当て嵌まるモノとは具体的に何なんだという話です。

 概念上だけのものを具体例として示すという、それ矛盾してない?とツッコまれても反論出来ない問題。

 仮にそれ等をピックアップする事が出来たとしても実際に理論を構築して魔術として扱えるかどうかという問題、ピックアップしたものが本当に自身の属性に当て嵌まっているのかという問題、そもそも私の出した結論は正しいのかという問題etc……トライ&エラーとはよく言ったものです、神秘の探求には幾ら時間が有ってもたりない。

 でも嘆いていたって仕方がない、私は引き続き書物の内容を吟味してそれっぽいと感じたものを挙げていきました。

 

 一番に目を付けた、分かりやすいと思ったのはやっぱり『精神』や『霊魂』と云ったスピリチュアルなものでした。

 そもそも概念とは人の心から生み出されるものなのだから、大本であるこれ等は当て嵌まるでしょう。

 暗示や催眠といった精神に作用させる(まじな)いは魔術界でもポピュラーですし。

 

 そして次に『影』。

 影とは皆さんも知っての通り、光の当たらない場所に出来る黒い像の事。

 でも一口に影と云っても対となる光量の差で薄暗い所、真っ暗な所と濃淡の差があります。

 目で見て認識しやすい、分かりやすい視覚情報の一つですが結局どこまでいっても影とは『明暗の差』でしかなく、其処に何かが存在する訳ではありません。

 なのに私達はその明暗の差に影という名称を与え概念として確立させている…そこに目を付けました。

 付け加えるなら平面という特性が虚数と相性が良かったりも。

 

 あとは『未確認の物質』。

 宇宙に存在する未知の重力源物質と云われるダークマター等、理論としては在ると仮定されているのですが、未だに観測された事が無い為まだまだ机上の空論の域を出ない代物。

 それなら私の属性(元素)で生成出来るのでは?という試みです。

 

 そして『架空の物質』。

 光の速度を超えた速さで移動する超光速の粒子タキオン等の、理論が提唱されたのみで存在する根拠が何も無い、無論観測された事も無い、そんな上記の未確認物質達以上に机上の空論の存在であるそれらもひょっとしたら…?

 

 更にはそういった物質や粒子達を用いた応用で『時間』『空間』『因果律』と云った宇宙(世界)の法則自体に干渉したり、『虚数時間』や『虚数空間』と云った『虚数世界』への接続、一歩進んで創造etc…。

 

 あれ?うん、結構出てきましたね。

 それっぽいと思ったものを片っ端からメモしていったら中々にぶっ飛んだ内容になってしまいました、考えれば考える程応用も思い付いてしまいます。

 

 

 ええ、はい、言いたい事は分かりますよ。

 こじつけじゃねーか、飛躍し過ぎ、拡大解釈にも限度がある、妄想乙(笑)etc……うるさいうるさい!想像するだけならタダです、何時の時代だってそういう空想に挑む人々の努力の結晶が新たな技術になっていったんだ、やってみなければ分からない。

 

 それに、です。

 仮にこれ等を全て、本当に理論として確立し、魔術で実現出来たら……凄く、わくわくしませんか?

 

 神秘とは科学と相反するもの、未だ人類にとって未知の領域であるこれ等に届きうる可能性を秘めた属性…。

 架空元素( 虚数 )とはある意味、最も神秘というものを体現した魔術なのかもしれない。

 

 

 

 これが、私の魔術属性・虚です。

 

 有り得るが物質界に無いもの。

 概念に干渉し、操作し、具現化させる元素。

 

 例として『精神』『霊魂』『影(光と闇・明暗の差・平面の像)』『未確認の物質』『架空の物質』『時間』『空間』『因果律』『虚数時間』『虚数空間』『虚数世界』。

 

 勿論理論を確立出来たものはまだまだほんの一握りですが、探求の先には私の想像も超えた景色が広がっていると信じています。

 

 

 

 

 

 さて、何故急にこんな設定もとい私の試行錯誤を解説したのかと云うと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライダー、貴女は私の前で不用意に霊体化すべきではなかったわね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ∵∵∵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星幽・呪戒式(アストラル・バイコマンド)っ!」

 

「──────!  ? な あ    にっ!?」

 

 

 ライダーは己の身に起きた事が理解出来なかった。

 いや、理解は出来ているが信じられなかった。

 

 捕まった。

 ()()()、捕縛、拘束された。

 英霊(サーヴァント)である己が、人間の魔術師(マスター)に。

 しかも霊体化している状態でだ。

 

「サクラ…っ!」

「───逃がさないわよライダー。貴女は私の奴隷(サーヴァント)なんだから」

 

 据わった目で此方を()め付ける桜にライダーは得体の知れない怖気を感じた。

 此方に向けた(てのひら)に紫色の魔力を燐光として纏わせている。

 何時の間に施したのか、ライダーは地面と宙に描かれた魔方陣に六方向から囲まれ封印されていた。

 

「どうやって…!」

「此処に着く前、万が一に備えて魔術の申請(呪文の詠唱)は終わらせておいたの。()()()()されたんだもの、流石に警戒するわ」

「そちらではありません、対魔力を持つ私をどうやって縛っているのですか」

「あら、初日にお互いの能力は明かした筈でしょう?虚数属性使いの私の目の前で()()化したのは悪手だったわね」

 

 桜の言葉でライダーは漸く悟る。

 桜は虚数属性の魔術師、概念上・形而上の存在に対する干渉力は通常の魔術師の比ではない。

 寧ろ霊体化し、現実への干渉力を自ら下げてしまったが故に捕縛されたのだ。

 

 ついさっきまで完全に己がこの場を支配していたと云うのに、桜の登場を切っ掛けにペースを乱され続けてしまった。

 ライダーは自嘲する、どうにも自分はこのマスター(少女)に敵わないらしい。

 

「……おいたが過ぎるよ、ライダー」

「………」

 

 

 あらゆる魔術の中でも霊体に対し最強の攻撃力を持つと云われる聖堂教会の聖言、洗礼詠唱。

 それに匹敵する干渉力を持った桜の魔術に拘束されたライダーは肉体だけでなく魔力、能力の発露さえも封印された。

 宝具が解ける、鮮血神殿が消える。

 

 士郎、凛、キャスターの三人がやって来る迄、あと少し。




俺の桜ちゃんは最強なんだ!(ガッツポーズ)

という事で虚数に関する設定説明閑話でした。
すまんなライダーさん、君には桜ちゃんTUEEEEEEEE!!の犠牲になってもらった。


・有り得るが物質界に無いもの
・目に見えぬ不確定を以て対象を拘束する
・相手が幽世のモノであれば容易く彼岸に返す暗黒の渦
・自身の深層意識( イド )を剥き出しにし、最も暗い負の面を刃にする
・虚数世界。裏側の世界。並行世界ですらない、生命のない虚数空間

 ネットから拾ったこれ等の記述から始まり、虚数とは一体全体何なんやと自分の中で整理したらこんな感じになりました。
 拡大解釈しまくりの盛りまくりで桜ちゃんがえらいチート気味に(笑)。
 まあインフレの激しい型月で好きなキャラを推すにはこれくらいのテコ入れ必要でしょう!桜ちゃんを讃えろオラァッ!



虚数に関する考察、設定への批判、感想待ってます!(巧妙な催促)





というか『形而上のものを具現化させる』って第三魔法に片足突っ込んでねーかこれ?

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