ぼっちの黒春学生Life ~青春?恋?そんなものは残像だ~   作:村六分

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二創作じゃないから見本となる原作ないでこっちのオリジナル作品のこっちの方が書くの難しいなあー


プロローグ2

「遂にこの時が来るとはな……」

 

 俺はトンカチを片手に握りしめ感慨深い瞳で小学生の頃から家事の手伝いやお年玉を少しずつ貯めていった豚の貯金箱ーートンちゃんを見つめる。

 

 こいつとは長い付き合いだった。出会いは小学生1年生の時の誕生日父さんがプレゼントに買ってくれた時だ。始めは原寸大の豚の貯金箱など愛らしい見た目に反してなんて凶悪なんだと項垂れたもんだ。というか親は一体どれだけ俺に貯金をさせたがってたんだ……。小さい頃の事だからあんまり覚えてない。まあ、どうしようもない理由だった気が……。

 

「お兄ちゃん一体何してんの。超不気味なんだけど……」

 

 っとどうでもいいことに思考を巡らせていると目の前になんとまあ可愛らしい女の子がいるではありませんか。我が愛しの妹美紀その人である。一応言っておくが連れ子にお兄ちゃんプレイを要求している訳ではないからね……。ホントだからね!

 

「まあ、色々あってトンちゃんとそろそろお別れしようかと考えていた所だ」

「えっ!お兄ちゃんがあんなに大事にしてたこれを!一体なんがあったのさね!」

「ッフ。まだお子ちゃまにはちとスパイスが効きすぎてるから辞めておくのが身の為だぜ」

 

 キメ顔で腕組みをする。

 

「あーそうゆう無駄なカッコつけどうでもいいから。さっさと話してみそー」

 

 とのことです。美紀ちゃん最近なんかお兄ちゃんに冷たいなー。お兄ちゃんなんか寂しいでござる。まあなんやかんやで話しちゃうんですが。

 

「ざっくり言うと、モテ期がきた」

 

「えっ……」

 

 俺がそう言った途端、美紀がフリーズした。なんか有り得ない物を目の前にしているかのよう。

 

「えっと……。聞き間違えかもしんないからもう一回言ってくんない?」

 

「だからモテ期が来たんだって!M・O・T・E・K・I。ほれ、ラブレターだって貰ったんだ」

 

 俺は自信気に美紀にラブレターを押し付ける。

 

「どれ……。拝見しようではないかね」

 

 美紀は桃色の手紙を顔に近づけてまじまじと鑑定をする。しばらく眺めてると「これは……」とか「いや、そんは筈は……」と唸る。

 

 ミーキティ……。一体どうしたというのだ?

 

「単刀直入に答えるとお兄ちゃん……」

 

 ゴクリ…。

 

「これ偽物だよ。おおよそお兄ちゃんのことよく思ってない人が書いたんじゃないかな?」

 

 な……なんですとおおおおお!?

 

「いいいいいいやミキティー。一体全体どしてそう考えるのでせうか?」

 

 衝撃の返答に驚きのあまり声が裏返ってしまった。落ち着けー。stay cooooooool!!

ヒッヒフー、ヒッヒフー。深呼吸、深呼吸。

これラマーズ呼吸法!おっと妊娠なんてしとらんな。俺は男やで。

 

「まずさ、宛名が無いのが怪しいのが1つ」

 

「うぐっ……。確かに、でもきっと照れて書けなかったんだよ!そうだ、そうに違いない。そうであってくれ」

 

「お兄ちゃん願望が含まれてるのは気のせいかな……。まあいっか。2つ目は極端に丸文字で書かれているのが怪しい」

 

「いやいや、女子は大抵丸文字やろう?」

 

 俺を経由して渡ってくる女子同士の文通なんかもそうだよね!あれ頻繁にくるから授業の邪魔なんだよなあ。

 

「甘い。甘すぎるぞお兄ちゃん。自称プロフェッショナルぼっちの名が聞いてあきれるぜ」

 

 何やら自信に満ちたどや顔で言う。

 

「なんだよ。丸文字=女子の字で合ってるんじゃないのか」

 

「温い……。そんなの女子に代筆させればいいだけの話でしょ。自称プロフェッショナルぼっちが聞いて呆れちゃうよもう」

 

 はあああっと盛大な溜め息をつく愛しのマイシスター。

 

「そんな……。俺は騙されてたるのか……?」

 

「うん、100%そう。前にもそんなことあったじゃんか」

 

「アレーミニオボエガアーリマセン」

 

 エセ外国人っぽく言ってみたり。

 

「覚えてないって言うなら私が懇切丁寧に思い出させてあげるよ。あれは小学4年の……ーー『ストオオップ!』」

 

 美紀が語り出すのを間髪入れずに止める。このままでは俺が危ない。(精神的に)

 

「分かった……。一応その可能性も頭の隅に入れておくよ、美紀」

 

「最初からそう返事すればよかったものをねえー。手のかかる愚兄貴ですなあー」

 

「すまんねえ……」

 

 腑に落ちないがここは話を合わせておこう。でないと何時まで経っても本題に入れない。

 

「んで、相談したいことは偽造ラブレターの黒幕達の撃退方法と万が一リアルラブレターだったときの為のおめかしってところかね?」

 

「まあ、そんなとこ」

 

 前者は要らんが。

 

「トンちゃんにどれだけお金貯まってた?」

 

「ちっと待てまだ数えてるとこ」

 

「んじゃ。まずは精算から始めますかー」

 

 やるぞーおー!っと二人で気合いを入れ実物大の子豚の貯金箱に入った金額を精算するのであった。結果としては5万と少しといったところだ。いやー小銭ばっかで使いにくそう……。

 

 金額を踏まえた上でおめかし+偽造ラブレター対策に必要な物品をリストアップして明日隣町の某ショッピングモールに買い出しに行くことにしてその日は解散した。

 

 

 

 




次話いよいよ、告白タイム。
はてさて、偽造かはたまた本物かそれとも……ーー。

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