ぼっちの黒春学生Life ~青春?恋?そんなものは残像だ~ 作:村六分
……。勢いで書いてしもうた…。
世の中とは理不尽に満ちている。
私ごとうp主をモデルとした深淵の闇に眠れし孤高の騎士(ぼっち)、佐藤深海は常日頃からそう思う。
海の様に深い心の持ち主になってもらいたいという両親の嘆願の元頂いたこの名前だが、現実はそう甘くないのである。
どこから説明したら良いか分からないが、とりあえず簡単に俺の人物像を語っていこうではないか。
先程書いたように名前は、佐藤深海。ある意味3Kの持ち主だ。
お察しの方もいるかも知れないがKとは高身長、高収入、高学歴ではない。
ではなにかというとーー。
Kーー、キモい。
Kーー、クサイ。
Kーー、嫌われもの。
以上。いや、異常だ。
それ故に日々日頃から理不尽なぼっちLifeを謳歌させられている。
具体的に例を挙げるならば挨拶の様に「キモイ」や「死ね」「近寄らないで」と真剣な顔で言われたり、体育の授業の為に体操服に着替えようとすると女子更衣室があるにも関わらずに教室で着替える女子生徒に俺だけ追い出されてしまったり、文化祭の仕事を押し付けられたりなど切りがないだろう。
原因は幾つも考えられるが一番大きいのはそんなキモイ雰囲気を常時醸し出しているからか。運動音痴な上不器用で頭が固いからか。何れにしてもこんなめんどくさそうな人間と関わりたいという人はギザ十並みに希少である。
ならどうしてこんなに辛い目にあっている
のに意地でも学校に来ているのか疑問に感じるかい?進学したい学校への合格率が高いことやくそ真面目に今までめげずに登校してきた勲章である皆勤賞が惜しいということもあるけれども……ーー。
「ふふふ……」
誰もいなくなった昇降口で一人の童貞が薄気味悪く笑みを浮かべる。その手には一通のハートマークのシールが貼られた便箋が握られてた。
「はははは……」
そう。遂にやって来たのです皆さん!一生童貞を約束されたようなある意味神に選ばれた男にもやって来たのです!
「キタアアアアアアア!ラブレターアアアアアアアア!モテ期到来ってかああああ!いいね~!いいね~!さいっこーだねぇえ~!」
キョロキョロと周囲を見渡し人がいないことを確かめる。誰かに見つからないよう急いで封筒を開く。すると女子特有の可愛らしい丸文字で『4月1日中央公園の噴水前で待ってます』と書かれている。
来ましたあ!やはり天は我を見放していなかった。人は人生に2度モテ期は訪れると考えられている。所詮こんなのはスイートリア充(笑)の戯れ言だとたかをくくっていたが強ちそんなことはないようだ。ありがとう!恋の神様!
「さて、そうと決まれば準備をせねば……。今日は終業式だから4月1日までは2週間ってとこだな……」
人生一成一大……、いや二成二大のチャンスこれを逃したらいつ次が来るか分かったもんじゃない。ひょっとしたらこの機を見逃して次が来てもその次も駄目かもしれない……ーー。
そうだ。やれることは全て尽くそう。何かのためと必死に貯めた豚の貯金箱のお金を贅沢に使って美容院行って髪をセットしたり、服を新調したりとやることは山ほどだ。
思い立ったが吉日と俺は興奮した勢いに乗って全力疾走で帰路へと向かう。
「待ってろよお!マイワイフ!!!漢、佐藤深海男を磨いて参ります!!!」
顔も知らぬ将来の妻に向かって愛を叫び走る俺の姿は恐らく端から見れば異常な光景だったろう。それでも俺は走る。何故って?それは俺を呼ぶ声がするからさ!
………
……
…
「由美子ー。あんたのいった通りアイツまんまと乗せられてんの!マジウケル~」
「真由美でしょー!あの異常に嬉しそうな顔マジキモイっての。ははははは!!」
二人の小悪魔が俺が走り去ったあと一連の行動を思い出して嗤う。確かに自分達の思惑通りに事が進んだのだから面白くないはずがない。獲物が引っ掛からない釣りほどつまらないものはないように。
この時俺は人生最大にして最悪の黒歴史を新年度早々に打ち立てるとは微塵も思ってなかった。
※これはノンフィクションを元にしたフィクションです