俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

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活動報告にも上げましたが今回で一度完結となり、その上で番外編の形で数話を投稿する予定です。

また、こちらも続編というか番外編というか微妙なところですが、以前から書いてみたかったハイキューのSSとクロスオーバーさせた形のSSを現在プロットを組んでいる所です。こちらの方はあまり長くならないよう、春高やインハイなどではなく、イメージとしては劇場版スラムダンクの湘北VS緑風のような練習試合となります。


クロスオーバーにあたっては矛盾点、特にハイキュー側の方でなるべく起きないよう(多少は生じています)注意するつもりです。


最終話 ―そして青春はスポコンに―

―千葉某体育館―

 

11月の後半、寒さを感じる気温になり秋が終わり冬に変わろうとしている。そんな外とは打って変わって、この体育館内は熱気に包まれていた。

 

春高予選男子決勝

バレーボール関係者だけではなく普段の大会と違い地元のテレビ局も来ており、アップ中の両チームを映していた。

 

方や全国常連校の海浜高校、方や6人だけで勝ち上がってきた総武高校という両極端なチーム。

 

 

 

 

 

海浜側の応援席からは鳴り物が鳴り響き、総武高からはバラバラのメガホンと声援とういう、これまた両極端な状況。

 

 

そんなギャラリーとは違いコートでは熱気がありつつも淡々と行われていたアップが終わっていた。

 

 

 

両チームのキャプテンがサーブかレシーブかを決める為、呼ばれる。

 

 

「来たか」

 

「ええ“約束”通り」

山北の言葉に七沢が意味ありげに答えると山北は不意に八幡の方を見る。

 

 

『……お前みたいな奴は、さっさとこっち側に来い!敵とか味方とか関係ない、またバレーしよう!』

『……考えておきます』

『その言葉、今度こそ信じてる』

思い出される練習試合後のやり取り、山北は笑顔を隠すように俯き「信じて良かった」とつぶやき顔を上げ。

 

 

「決着、付けるぞ!」

 

「はい!」

二人は握手を交わしそれぞれのチームに戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「集合!」

チームに対し静が声をかける。

 

 

 

「相手の海浜については君たちの方が良くわかっているだろう。彼らは強い、この前の練習試合の敗北を糧に更に強くなっているはずだ。何度も言うが私はバレーボールについては門外漢、申し訳ないがその辺りについては力になれない、だがこれだけは言わせてもらう。」

そう口にすると一人ひとりの目を見ていき。

 

「君たちは強い」

思わず先生……と言いたくなるような言葉を発する静。

 

 

 

「技術も……気力も……体力も……、持てるものすべて……、すべてをこのコートにおいてこよう」

さらに親父ぃと言いたくなるような台詞を続ける静。

 

 

嗚呼、私も先生の体の一部をタプタプしたい。

 

 

「それでコーチからは何かあるか?」

そう言うと隣にいるコーチの方を向く。

 

 

「頑張ってね皆、期待してるよ」

新コーチはなんと雪ノ下陽乃、ちゃっかり自分もコーチに登録していたようだ。

 

 

嗚呼、私が現役時代に陽乃さんがコーチだったらワンマンの際の「ボール持ってこい」に笑顔で対応できただろうに。

 

 

 

「「はい!陽乃さん!!」」

チェリーズな二年生の二人が特に気合をいれて返事を返した。

 

 

 

 

―海浜側ベンチ―

 

海浜も総武高と同じく監督の前に集合していたが一人だけ総武高の方を向いてる奴がいる。

 

 

(……あの野郎、この前の美少女たちだけじゃなく美人教師に美人コーチだと!?こっちはおっさん二人と男マネとチームの野郎しかいねぇって言うのに!!」

美女が増えた総武高を見て思わず心の声が漏れる愛甲。

 

 

 

(山北やれ!)

 

(はい!)             

 

「いだだだだ!」

監督のアイコンタクトを受けて山北が得意のアイアンクローをかます。

 

 

 

「何やってんだよ愛甲」

相棒石田があきれ顔でヒソヒソ声をかける。

 

 

「仕方ないだろ!それにベンチだけじゃない、あっち応援席見てみろ!何だよ、あの美少女の固まり!!」

そこには雪乃や結衣、小町、いろは、沙希、三浦、海老名、相模、城廻、そして戸塚といったそうそうたるメンバーが顔を並べていた。

 

 

 

「そう言っても仕方ないだろ、応援の数はこっちが上だし……それに、ほら折本さんも来ているぞ」

石田はそういうと海浜側のギャラリーに指をさす。

 

 

「な・ん・で・す・と!?」

中学時代から密かに想いをよせていた愛甲は試合終盤、相手の速攻に反応するかのようなリアクションを見せる。

 

 

「おお!我が女神……てうん?」

 

(総武高……比企谷)

折本が見る先は総武高、視線を追ってみると明らかに八幡の方を向いている。

 

 

 

『一つ言わせてもらうと、比企谷がいたからうちは苦戦したんだ』

 

『あの時、うちに勝つには比企谷のトスワークしか方法なかったよ、バレーの事知りもしないくせに勝手なこと言うのやめてくれない?』

折本は八幡との再会した時の七沢の言葉を思い出す。

 

 

 

(あの時いまいち私は理解できてなかったけど今ならわかる)

何せアップの段階で、海浜と比べても引けを取らないレベルだったのだ、ブランクがあってのこれなら現役だったらもしかして……それは、そう思わせるには十分だった。

 

 

(私は比企谷をつまんない奴って思ってた……けど、人がつまんないのって、結構見る側が悪いのかもね)

 

 

「でもアレもはや別人だし、ウケる」

折本は笑いながらバレーボーラーモードの八幡を見た。

 

 

 

 

(ちょっと待て、何で総武高の方見てんの?何で比企谷の方見て笑ってんの?もしかして……)

その笑顔をみた愛甲は何かを連想する。

 

「おい、どうした?」

 

「石田、俺この試合に命かけるわ、それに賭けててでもアイツに勝つ!!」

比企谷許すまじ、愛甲の目に炎が宿る。

 

 

「お、おうレギュラーなれたんだし気合入れんのは悪くないけど、あんま力むなよ」

なんかめんどくさそう、そう感じた石田は適当にスルーすることにした。

 

 

 

 

 

試合開始の笛が鳴りゲームは総武高のサーブからスタート。

 

 

 

「さあ比企谷ナイサーッ!」

 

「思いっきり行け!」

 

「ナイサー一本です」

 

「おう」

ローテーション上、練習試合と同じ八幡からのスタート。仲間たちからの声援に答えるとエンドラインから数歩下がり定位置に入りルーティンに入る。

 

 

 

 

「来いや!比企谷!」

レギュラーになった愛甲が私怨のこもった雄たけびに似た物を上げる。

 

 

(練習試合のようにはやらせません)

あれじゃら更にサーブカットを強化してきたリベロの小菅も構える。

 

 

(来い比企谷、今度こそ続きだ)

練習試合と違い、最初から前衛スタートの山北も深呼吸をし集中し構える。

 

 

 

ルーティンでボールのロゴを額に持っていき目を閉じるルーティン。

 

かつて彼がイメージしていたのは壁、何度も打ち込んだイメージ。だが今の彼にはそれが無い。

 

新しくイメージされたのは、総武高の体育館、仲間の姿に声、何度も上げたトスのイメージが浮かぶ。

 

 

 

その状態でサーブ開始の笛が鳴る。

 

片手でスピンの効いた高いトスを上げ、三点助走で合わせ床からの反発を貰いジャンプ。

 

添えた左手を引き、右の引手からサーキュラー・アームでのスイング。

 

ボールにミートさせ手首のスナップからドライブと力を加えたジャンプサーブ、かつての彼から、さらに進化したサーブが放たれ得点を決める笛が鳴る。

 

 

その音は新たな総武高バレー部としてスタート、そして比企谷八幡の新たなバレーボールの道を祝福するかのように鳴り。それが歓声となって体育館に響きわたった。

 

 

 

 

 

そんな事から比企谷八幡の青春はラブコメからスポコンへと姿をかえることとなった。

 

そして、それはこれからも色々な事を経験し続いていく。大切な人たちと新しい仲間とバレーボールと共に。

 

 

 

 

 

 

 

 




俺たちの戦いは、これからだ!

そんな感じのラストではありますが今回の話で一旦完結となります。



プロットなし、展開も考えず見切り発車した作品であり自分にとっての処女作になりました、この作品。

何度もエタりかけたり書いてるうちにバレーボールの、あんな事、こんな事あったでしょうと色々思い出したり、かつてのチームメイトに「これ書いてんのお前だろ」と言われ、まさか身バレをするという事があったり色々ありました。

とはいえ、自分自身バレーボールは団体競技ということもありますが、競技者としては一番結果を残していない競技です。

他の競技では手前味噌ではありますが、県大会や関東や地方の大会で優勝や入賞をしているのですが、バレーボールでは負けてばかり。それでもバレーボールは今でも続けていて、競技に割く時間も一番多いです。

やっぱりバレーボールは楽しい。

話が逸れましたが、次回から新しく書こうと思っているハイキューのクロスは、まだプロット段階なのでもう少し時間がかかると思います。

なので今しばらくお待ちください。


この作品を最後まで見て頂きありがとうございました。


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