俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

19 / 46
お久しぶりです
減量に入り少しメランコリックなnowsonです今回の話は部活後のお話ですが注意があります。



注意

・今回の話のみワンシーンでクロスします。

・物語の性質上、原作と展開変わります。

・一人キャラ崩壊の恐れあり。


以上


出会いはいつも突然に

―練習終わりの放課後―

フィジカルトレーニングの後、クールダウンのストレッチを済ませ、八幡とバレー部は会話をしながら部室で着替えをしていた。

 

 

「やっぱ6人だと練習の効率が上がっていいな」

今日の練習を振り返り、練習の手ごたえを感じた七沢が実感のこもった声を上げる。

 

「しかもセッターだからスパイク練習もかなりイイ感じで打てるのがいい。」

「だな。」

それに対し二年の二人が同意の言葉を発する。

 

 

(疲れた、腹減った、帰りたい)

バレーの練習が終わり再び腐った目モードの八幡は疲労を全身に感じ、心既に自宅にありの状態だった。

 

(だけど今帰ってもな)

普段の彼なら愛しい妹の為&さっさととくつろぎたい自分の為に一目散に帰宅するところだが今は違う。

 

(小町……)

喧嘩をしてしまい気まずいままの妹、お互いに顔を合わせずらい状態、その事があたまに浮かぶ。

 

(早く帰りたいが、もう少しほとぼりが冷めないとな……とはいえ)

 

 

「腹減った……」

八幡は某孤独のグルメな人の顔になりながら腹に手を添え呟く

 

 

「だな、皆で何か食いに行くか!」

「いいねぇ」

「自分も腹減ってたんですよ」

その言葉に周りが反応する。

 

 

 

(これはリア充特有のアレだ、「よし!みんなで飯行こうぜ」ってなって一緒に行くと「誰だよコイツ呼んだの」「でもみんなでって言ったからお前違うって言いにくいじゃん」「空気読めねえな、だからクズ谷なんだよ」ってなるパターンか)

過去のトラウマが脳裏を過りほんのりメランコリーになる八幡、ほんのりで済むのが彼のメンタルの強さなのだろう。

 

 

「6人だし適当に街行ってから決めるか」

七沢がスマホをポチポチ弄り、飲食店情報を見ながら言う。

 

「えっ!?」

自分も数に入ってるの?と驚愕した八幡が声をあげる

 

「ん?用事あったのか?」

八幡は行くものとばかり思っていた七沢が質問をし

 

「……比企谷先輩、来ないんですか?」

温水が一緒に行きましょうよと、目で訴える

 

「いや予定ないから大丈夫だ」

突然のことに戸惑い思わず参加の意を伝える八幡。

 

「なら決まりだな、行こうぜ!」

 

八幡とバレー部は着替えを終えると街へと繰り出した。

 

 

 

 

―数十分後―

街へと到着した6人は自転車を止め、店を探しながら歩く。

 

 

「何食う?」

稲村が皆に質問をする。

 

「俺、甘いもんがいいなー部活のあと何故か食いたくなる」

「だな、筋トレあとのプロテインみたいなもんだ」

「いやそれは違うだろ」

体育会系トークに男華を咲かせながら街を歩いていた。

 

 

 

その時だった

 

 

 

「よー!よー!姉ちゃん一緒にいいことしようぜ!!」

3人の不良が一人の美人に絡んでいた。

 

「ごめんね私、人を待ってるから」

女性は笑顔でそれを受け流す。

 

「大丈夫だって、ちょっとだけだからさぁ!」

 

「ええー」

女性は困った仕草をする。

 

 

「おい!美人のお姉さんが不良に絡まれてるぞ!!」

異変に気付いた飯山が指をさし声を上げる。

 

「んっ?」

八幡はその指が示す方向を見て。

 

 

(げっ!!あれは雪ノ下の姉、雪ノ下陽乃だ!!なんてモンに声かけてんだよ不良ども!)

そのナンパされてる人物を特定してしまった。

 

 

「助けよう、ここで行かねば男がすたる。(あわよくばあの美人と仲良くなりたい)」

建前と本音を使い分け、飯山が不良たちの方向へ歩みだす。

 

「お、おい!!」

八幡は制止しようと思わず声を上げてしまい。

 

 

「「「「ん?」」」」

不良と陽乃が声のする方を振り返る。

 

 

「あっ!比企谷君!!」

陽乃は、良いもん見~つけた♪とばかりに八幡の所へ駆けていき。

 

「私の待ち人来たから行くね」

八幡の腕を掴み、妹とは正反対な遺伝子の悪戯の賜物(※あえて部位を言わない作者の優しさ)を押し付けるように抱き寄せ言い放つ。

 

(近い!柔らかい!良い匂い!)

彼でなければ堕ちたであろうその甘美な匂いと体に、八幡は理性を持って必死に制する。

 

 

「比企谷先輩!!もしかしてこの人と用事があったからさっき戸惑ったんですか!?いったいどんな関係なんですか!?」

温水が八幡に詰め寄る。

 

「いや、べ……」

「将来の家族候補かな♪」

陽乃が八幡の言葉をさえぎり問題発言をぶちかます。

 

 

「「「「「な、なんだってーーー!!!!!」」」」」

某調査班のようなリアクション。

 

 

「比企谷それは本当なのか!?」

ご丁寧にお決まりの質問をする稲村。

 

 

「ち、ちが……な、何言ってるんですか!?」

八幡は混乱しながらもその言葉を否定する。

 

 

「違わないよ~、あっ!それとも雪乃ちゃんと何かあった?」

こんな面白いオモチャはそうそうない、仮面の下でテンション爆上げな陽乃はすっかりからかいモード。

 

 

「っ!?(なんでそれを?どこまで知ってるんだこの人)」

 

 

「何々?図星?だめだよ~雪乃ちゃんを悲しませちゃ!あっ!それとも私に乗り換える?私、比企谷君ならいいよ」

腕に大胸筋前の脂肪を押し付け八幡にせまる

 

 

(いかん!静まれ……煩悩退散!!観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不 異色色即是空空即是色……)

心の中で般若心経を唱え平静を取り戻そうとする八幡

 

 

「おいおいおい!俺らを無視して勝手に盛り上がってるんじゃねえよ!!」

空気化していた不良が再起動し八幡たちに詰め寄る。

 

 

「お!やるのかね?」

飯山がその巨体と筋肉を揺らしながら前に出る。

 

 

「っ!!(すげえガタイだ、けど俺たちは百戦錬磨、パンピーに負けるか!!)」

不良は飯山たちに向き名乗りを上げる。

 

 

「我ら、千葉のジャックナイフ3連星!」

3人のうちの一人、スカジャンに逆立った金髪とヘアバンドの男が前に出る。

 

 

「俺の名はエッジ!ナイフ捌きでは右に出る者のない、人呼んで千葉の流星―――――――デッドナイフ・エッジ!!」

ナイフを取り出しポーズをとる。

 

続いてパンチパーマに特攻服の男が声を上げる。

「そして俺は、バタフライナイフ二刀流で10人を捌いた人呼んで千葉の忍者―――――――バター次春!!」

 

(AV男優か?)

 

 

「そして俺は千葉最速のナイフ使いにして最強の刺客――――――――――デッドナイフ・エッジ!!」

最後にスカジャンに逆立った紫色の髪とヘアバンドの男が前に出て名乗りをあげた。

 

 

「キャラかぶってんじゃねーか」

思わず突っ込んでしまう八幡。

 

 

「ああん!?」

ツッコミにデッドナイフ・エッジが反応し八幡を睨みつける。

 

 

「っ!?」

(な、なんて目だ!まるで人を殺すことを厭わない様な腐った目、湘南で数々の修羅場をくぐった俺には分かる!!あいつは不良じゃねえ、暗殺者だ!!)ブルブル

 

 

「ど、どうした!?」

仲間の尋常じゃない様子に次春が声をかける。

 

 

「あ、あいつのあの眼、まちがいない!!アサシン……暗殺者だ!!」

「な、何!?」

その言葉に思わず八幡を見る次春。

 

 

「お、俺は帰る!命あっての何とかだ!!」

「おい!待ってくれ!!」

デッドナイフ・エッジは我先にと逃げさる。

 

 

「くっ!!」

残された次春は八幡を恨めしそうに睨みつけ。

 

 

「お、覚えてやがれ!!」

捨て台詞をはき去って行った。

 

 

 

「ひ、比企谷君……目だけで相手を撃退するなんてすごいね」プルプル

陽乃は笑いを堪えながら八幡を褒める。

 

 

(さすがに傷つくんだけど……)

何もしてない八幡はちゃっかりハートブレイクされていた。

 

 

 

尚、逃げ出した不良の後ろを黒塗りの高級車が追跡していたのはまた別のお話。

 

 

 

 

――ドーナツ屋店内――

不良から助けてくれたお礼という事で、陽乃からバレー部にドーナツが振る舞われていた。

 

 

「ところでさ、皆は比企谷君とどんな関係なの?」

いつもソロ活動主体の八幡が6人のグループで歩いていた事に疑問をもった陽乃が質問をする。

 

「ああ、実は……」

 

 

 

 

――いきさつ説明中――

 

「というわけで比企谷は今バレー部に参加してもらってるんです」

七沢がこれまでの事を簡潔に説明する。

 

「へぇ!比企谷君がバレー部の助っ人ねぇ」

何やら考える仕草をしながら八幡をニヤニヤ見る陽乃。

 

(ドーナツ旨い、けど帰りたいでござる)

極力反応しないようにドーナツにかぶりつく八幡。

 

 

「比企谷君、こんな面白そうなこと黙ってるなんて水臭いなもう!練習試合みにいくからね」

八幡に近づき肘でウリウリやる陽乃。

 

 

「や、やめてください」

イヤそうな顔をしつつ、諦めて受け入れる。

 

 

 

「あれ?比企谷?」

突如呼びかけられる八幡。

 

 

(海浜高校!?)

IH予選で対決し敗れた相手、その制服に部員達が思わず反応する。

 

 

「……折本」

かつてのクラスメイトの姿に八幡から冷汗がでる。

 

 

「やっぱり!超ナツいんだけど」

八幡の肩をバンバン叩きながら笑う折本。

 

 

(相変わらずだなこいつ……)

人見知りせずどんな相手でも気さくに接しようとし必要以上に距離を近づけようとする人間、八幡にかつてのトラウマがよみがえる。

 

 

「へー比企谷総武高だったんだ、頭良かったんだね」

折本は八幡以外のメンバーを見渡し。

 

 

「ところでこれ何の集まり?」

八幡と陽乃と男たちという何とも奇妙な集まりに思わずクエスチョンマークが頭に浮かぶ。

 

 

「彼らがバレー部で私が……」

「学校の先輩」

先ほどみたいな問題発言されてたまるか!と言わんばかりに八幡が先手を打つ、その言葉に陽乃はつまんない!というジェスチャーをする。

 

 

「バレー部?比企谷またバレーやるんだウケる!」

折本はケラケラ笑い

 

「よくまたバレーする気になれるね比企谷。」

 

 

「!!」

八幡の脳裏には自分がかつてバレー部から追放された時の事が思い出される。

 

 

「どういう事?」

初対面専用鉄仮面を貼り付けその言葉の意味を問う。

 

 

「比企谷、大事な試合で勝手な事してバレー部が負けたんだよね、優勝掛かってた試合だったのに、なのによくバレーやる気になったね」

 

 

「……」

過去の事、そして今バレー部にその事をきかれた事、それにより八幡は俯き下を向く。

 

 

「それって中2の時の地区大会決勝の事か?」

八幡を試合会場で最後に見たのはあの試合、七沢がもしかしてと口を開く。

 

 

「そうだよ、何で知ってんの?」

 

 

「そりゃ、その時決勝で戦ったのはうちだったから」

七沢の脳裏には決勝で苦戦した相手チームの姿。

 

 

「一つ言わせてもらうと、比企谷がいたからうちは苦戦したんだ」

センスによるスキルと瞬時の判断力、敵味方の状態を把握する目線を生かしたプレー、彼のプレーにより七沢達は流れを掴むことができず苦戦を強いられた。

 

 

「あの時、うちに勝つには比企谷のトスワークしか方法なかったよ、バレーの事知りもしないくせに勝手なこと言うのやめてくれない?」

折本をジッとみる。

 

 

「そうだよ、何より俺のライバルを馬鹿にするのはやめてくれないかい?」

スタイリッシュにポーズを決めた葉山が現れる、その姿は「葉山ですが」と言いたげである。

 

 

「……隼人?」

今まで見たことのない幼馴染の変わりようにあっけにとられる陽乃。

 

 

「は、葉山君!!」

折本と一緒にいた仲町が黄色い声を上げる。

 

 

「比企谷君の姿が見えたからちょっと気になってね」

 

 

「い、行こうよかおり!」

折本の服を掴み店を出るよう促す、どうやらこのままいると葉山の自分に対する心象が悪くなると判断したようだ。

 

 

「えっ?ちょっと知佳?」

仲町にズルズルと引きずられ二人は店を後にした。

 

 

 

 

―そして数十分後―

比企谷を弄繰り回しながら雑談し店を後にした陽乃は自分の携帯を取り出し。

 

 

「もしもし、少しお願いがあるんだけど……」

 

 

「……うん、うんお願いね」

通話を終了させバックに携帯をしまい。

 

「面白いことになるといいな~」

にやりと笑いながら、帰りの車を待った。




次回の更新は早くて来週、遅くて再来週を予定しています。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。