ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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会談

リアス・グレモリーは、状況が理解できず混乱していた。

なにせ、駒王町の管理者として、自治区を守るためにはぐれ悪魔を討伐しに来たら、

そこでには杭留められて絶命した討伐対象と、血まみれの修道女がいたのだから。

その上、可愛い可愛い下僕で眷属であるアーシアとゼノヴィアが、

その血まみれ修道女と知り合いと言うではないか。

目の前では、しきりに二人の両手を握って、上下にブンブンと動かす修道女がいる。

あまりに激しく動かすせいか、アーシアはガックンガックンと振り回されている。

 

「ああ、アーシア!やっと!やっと会えることが出来ました!

 お姉ちゃん心配だったんですよ!?ああ、そういえば髪が少し伸びましたね。

 背の方も以前よりも少し高くなった気がします。好き嫌いはどうですか?

 嫌いなものは少しは減らせました?身体はしっかり動かしてますか?

 年頃の女の子は色々と大変ですからね。お肌の方もしっかりとケアしないといけませんね。

 ああ、なんて素敵な日なんでしょう!ようやくアーシアに会えるなんて!」

 

「あ、アーリィお姉さま、す、少し落ち着いてください!」

 

「そしてゼノヴィアさん!あなたも日本に来ていたのですね!

 ああ、私、心配していたのですよ!

 緊急の指令と言って別れた後、何も連絡がありませんでしたから!

 私、心配で心配で、毎晩貴女の無事を主に祈っていたんですから!

 ですが、私から見ると無事なようで安心です!あ、もしかしてまだ任務の途中ですか!?

 良ければ私もお手伝いさせてもよろしいですか!?」

 

「あははは、アーリィ、君は少し落ち着いてくれ」

 

「お二人とも何を言っているんですか!こうして私の大切な人に、一緒に巡りあえたんです。

 これを落ち着けるわけないじゃないですか!ああ、主よ!私はあなたに感謝します!」

 

「「「「「っ」」」」」

「?」

 

あまりの喜びに、修道女が祈りを捧げたことで、リアスを含む眷属全員に頭痛が走る。

だが、アーリィはそれに首を傾げるも、別段気にした様子はない。

悪魔であるリアスたちにとっては、聖歌や祈り、聖書でさえ、身体に不調をきたすものなのだ。

 

「えっと、アーリィ・・・さん?嬉しいのは解りますが、場所を変えませんか?

 ここで騒いでしまうと、人が来そうですので」

「あ、すみません!私ったら感動のあまり舞い上がってしまいまして」

「いえ、お気になさらないでください。朱乃、後を任せるわ」

「解りましたわ、リアス」

 

リアスは、朱乃に事後処理の方を任せ、

他の眷属とおかしな修道女を、転移魔方陣で拠点であるオカルト研究部に移動した。

修道女をソファに座るよう促し、改めて礼を言う。

一誠たちは、リアスのソファの方に立った。

 

「私はこの駒王町の管理者であるリアスで、この子たちは私の優秀な部下です。

 アーリィさん・・・で良いですよね?

 はぐれ悪魔を退治し、民間人を救ってくれたことに感謝します。

 貴女のおかげで、死傷者が出なかったのですから」

「いえ、私がもう少し早ければ、あの子の両親が傷を負うことなんて・・・」

「お気持ちは解ります。私たちが遅かったばかりに・・・。

 ですが、貴女が退治してくれたおかげで、あの人たちは助かったんです。

 それに、彼らは今日のことを覚えてはいません。すべてが夢だった、ということです」

「そう・・・ですね」

 

リアスの言葉に、アーリィは顔を曇らせる。

 

「ところでアーリィさん。貴女とアーシア、ゼノヴィアとの御関係は?」

 

リアスは場の空気を変えるため、自身が知りたかった話題を切り出す。

事と次第によっては、目の前の彼女への対応も変わるからだ。

 

「はい!私とアーシアは姉妹のような関係で、ゼノヴィアさんとは戦友です。

 アーシアが赤ちゃんだった頃から、ずっと一緒だったんですよ?

 ゼノヴィアさんは、いつも怪我ばかりして、同僚からお守なんて言われまして」

「も、もう!アーリィ姉さま!皆さんの前で恥ずかしいです・・・」

「あ、アーリィ!それは昔の話じゃないか!」

「あらあら、やっぱり二人とも変わってないわね。私は嬉しいですよ」

 

「あ、あの?ちょっと・・・?」

 

目の前の修道女に良いようにされてる、アーシアとゼノヴィアを見ると、

このアーリィという修道女は、本当に不思議な人と感じる。

そしてこの女性は、アーシアとゼノヴィアにとって大切な人だとも思えた。

だったら二人の主として、リアスは彼女を少し信用しようと思った。

 

「ところで」

 

すると、今度はアーリィから会話を切りだしてきた。

彼女の顔はヴェールでよく解らないものの、真剣な雰囲気を醸しだしている。

 

「貴女たちはどういった方々ですか?先ほど、管理者と仰っていましたが。

 それに、なぜアーシアとゼノヴィアさんがここに?」

「私たちはこの駒王町を、はぐれ悪魔や危険な存在から護るため、

 人知れず活動をしている、いわば自警団です。

 私も含めて学生ばかりですけど、みんな強いんですよ?

 みんな、彼女に自己紹介を」

 

リアスがそういうと、一誠たちはアーリィに自己紹介をした。

ちょうどその時、事後処理を終わらせた朱乃も帰還し、全員の紹介を終えた。

自己紹介が終わると、アーリィは目を丸くして驚いた。

 

「まぁ、みなさん随分と強そうな力ですね!それに赤龍帝ですか!?

 話には聞きましたが、なにか・・・こう・・・底知れない力を感じます!」

「いやーそれほどでもないですよ!俺なんて、皆からしたらまだまだですから」

「でも一誠のおかげで、私もみんなも助かっているんだから、自分を卑下しないの」

「ぶ、部長がそう言うんなら・・・あはははははは!」

「一誠先輩、顔がにやけてます」

「一誠君らしいね」

「あらあら」

「イ、イッセー先輩、顔が酷いことになってますぅぅ」

 

一誠によって、場の雰囲気は一気に明るい流れになる。

そしてリアスは、アーシアとゼノヴィアの事情を話した。

 

「アーシアは、この駒王町に派遣されてきたわ。

 そして、アーシアの力を狙った堕天使たちから、私たちが保護したの。

 一誠のおかげでね」

「それは本当にありがとうございます!

 一誠さん、アーシアを守っていただき、本当に感謝しますわ」

 

アーリィの言葉に、一誠は頬をかきつつ少し口ごもる。

 

「あの時は、アーシアを助けようと必死だったんで。でも、結局はアーシアを・・・」

「そんなことはないです!一誠さんのおかげで、私は今ここにいますから」

 

アーシアが一誠を励ます姿に、アーリィは、寂しげながら微笑んだ。

 

「ゼノヴィアは、任務が終わった後、彼女から私たちに協力したいと申し出てね。

 今は立派な私たちの一員です」

「そう言われると、照れるな・・・」

 

リアスの言葉に、ゼノヴィアは顔を赤らめながらそっぽを向く。

 

そうした和やかな雰囲気の中、リアスはアーリィに尋ねた。

 

「それで、どうしてアーリィさんはアーシアを探しに来たのですか?

 どうやら、なにか事情があるようですが」

「そうですね。昔、アーシアと約束をしまして、アーシアを迎えに来たんです」

 

その瞬間、部屋の空気が凍った。

先ほどまでの和やかさが一瞬で霧散し、眷属に緊張が走り、アーリィに警戒心を抱く。

朱乃はニコニコしつつもその目は笑っておらず、

木場はいつでも剣を抜けるように右手をそっと移動させ、

小猫はいつでも彼女に飛びかかれる位置に移動する。

ギャスパーは、その雰囲気に若干涙目になる。

当のアーシアは顔を曇らせ、ゼノヴィアは首を傾げた。

 

「迎えにきた・・・ですって?」

 

リアスの眉が少し上がる。

 

「はい、私はアーシアと約束したんです。

 おそらく、あなた方はアーシアの事情を知っているでしょう。

 私はアーシアにかけられた汚名を払拭するため、そしてアーシアを守るために、

 私はずっと彼女を探していました」

「アーリィ姉さま・・・」

 

アーリィのヴェール越しから伝わる真剣な眼差しに、

リアスは少したじろぎ、アーシアは一瞬目を伏せる。

だが、それに異議を唱える存在がいた。

 

「ふざけるな!」

 

兵藤一誠は、アーリィの自分勝手な発言に許せるはずもなく、大声で叫んだ。

その目は、アーリィを不倶戴天の敵の如く、射殺すほどの力がこもっていた。

 

 


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