ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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正常

ソーナとの会談を終えたリアスは、

自身の眷属である一誠等に、先ほどの内容を伝えた。

悪魔が禍の団に襲われている、この言葉は、一誠等を驚かせるのに十分だった。

リアスからの内容に、一誠と同じように驚くもの、目を潤ませて怯えるもの、

不快と感じ眉を上げるものなど、様々な表情である。

 

「というわけで、あなた達も警戒を怠らないよう、気を引き締めるように。

 禍の団は、いつ襲ってくるか分からないからね」

「「「「「「はい!」」」」」

 

眷属たちは、主の言葉に一層気を引き締めた。

 

「それにしても、禍の団の奴等はゆるせねぇ!無関係な悪魔を殺すなんて!」

 

一誠の怒りに、他の皆も頷く。

 

「そうだね、弱いものを狙って襲うなんて許せるはずがないよ」

「その通りですわ。弱者を痛めつけるなんて愉しくもありません

 まあ、私は別段虐めるのは誰でもいいんですけど」

「あ、朱乃さんの目がおかしいですぅぅぅぅ!?」

「ギャーくん、うるさい」

 

そうした眷属同士の会話を聞き、リアスは自身の下僕らを頼もしさに、自然と笑みをこぼす。

 

「あの・・・」

 

そうした会話を聞いていると、ふと、か細い声が聞こえた。

声の方を振り向くと、顔を哀しげに曇らせたアーシアがいた。

 

「どうしたの、アーシア?」

 

リアスは、アーシアが不安で心細くなり、自分に元気づけてほしいのかと思った。

 

「リアスお姉さま、人間の方たちの被害はどうなっているのでしょうか?

 リアスお姉さまの話ですと、大変なことになっているようですし・・・」

「ああ、そのことね」

 

リアスは、悪魔だけでなく、人間の方も心配するアーシアの優しさを嬉しく感じた。

アーシアのそうした優しさが、リアスのとって誇らしい下僕の要因なのだ。

ソーナから渡された資料に目を通し、アーシアを安心させようと諭す。

 

「安心しなさい。人間たちの被害はそれほどでもないわ。

 もちろん、被害にあった方たちには三大勢力で対応してるし、

 アーシアが心配するほどのことでもないのよ」

「ああ、良かったです・・・」

 

リアスの言葉に、アーシアの曇った顔が少し晴れた。

アーシアが喜ぶ姿に、自然とリアスも笑顔になる。

 

「それにしても、どうして禍の団は悪魔たちを襲いだしたんだ?

 それでは自分たちの首も絞めることになるじゃないか」

 

ゼノヴィアの言葉に、リアスはソーナとの推論を示した。

 

「現魔王、お兄様の統治を許せない旧魔王としては、

 それに従う悪魔たちは排除すべき裏切り者だと思うの。

 もちろん、そんなことをすれば悪魔の数が減って、自分たちの首を絞めてしまう。

 でも、もしもそうした現状が続いたとしたら、いったいどうなると思うかしら?」

 

リアスの問いに、少し時間が流れたが、一誠が手を挙げた。

 

「もしかして、旧魔王たちは悪魔たちに恐怖を植え付けようとしているってことですか?

 自分たちに従わないなら殺すってことをすれば、

 悪魔たちも旧魔王派に従わざるをえないって・・・」

 

一誠の回答に、リアスは満足げに頷く。

 

「流石一誠ね。そう、誰だって殺されたくはないわ。

 だから、いつ殺されるか解らないという恐怖を植え付けることで、

 現魔王の勢力を削ごうとしているんじゃないか、と思っているの。

 または、保身による裏切りを行わせ、混乱を招くつもりかしら。」

 

リアスの考えに、一誠は怒りの声を上げた。

その顔は、勝手に殺される悪魔たちを思う、純粋な怒りに染まっていた。

 

「ふざけんじゃねぇ!旧魔王だかなんだか知らねぇが、

 自分たちに従わないから殺すなんて、自分勝手じゃないか!

 それで殺される悪魔がいるなんて、絶対に間違ってる!」

「ええ、だからこそ私たちは禍の団を倒さなきゃいけないの。

 これ以上、悪魔が殺されるなんて許せないわ」

 

リアスの言葉に、眷属たちは禍の団打倒を硬く誓ったのであった。

 

「ところでリアス、他にも何かあるのではなくて?」

 

朱乃の言葉に、リアスはソーナから渡された、はぐれ悪魔討伐のことを思い出した。

 

「ええ、和平会談などで大変だったから、ゆっくり落ち着きたいところだけどね。

 はぐれ悪魔の討伐依頼が入ったわ。名前はラライ。

 力に溺れ、主に叛逆した典型的なはぐれ悪魔ね。

 この町に来る前に、既に何人もの人間が襲われているわ。

 全く、前の町の管理者は何をしていたのかしら。こんな危険なのを逃がすなんて。

 もっとも、私の管理する場所に来たのが運のつきね。

 私の町の人間に手を出すことを、死を持って償わせなきゃね。

 みんな、行くわよ!」

「「「「「はい!」」」」」

 

 

自分の言葉に、一斉に力強く頷く眷属を頼もしく感じ、リアスは転移魔方陣を起動した。

転移先は、自分の民に手を出した愚かなはぐれ悪魔。

さてどう料理してあげようか、と心に思うリアスであった。


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