ハイスクールD×D 和平ってなんですか?   作:SINSOU

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回想1

リアスとの話し合いを終えたアーリィは、そのままホテルへと足を運び、部屋に入った。

手荷物を床に下し、一息つくと頭を抱えた。

 

「どうしましょう!どうしましょう!どうしてこうなったのでしょうか!?」

 

アーリィは「どうしましょう」と言いながら部屋をぐるぐると歩き回る。

はっきり言って不審者である。

 

売り言葉に買い言葉というべきか、

リアスさん?からの提案に、自分はまんまと乗せられてしまったのだ。

いかんせん、アーシアに決めさせるという、自分が断れない手段を用い、

そして逃げられないという状況に陥れた上で。

私としては、アーシアを思う気持ちは誰にも負けるつもりはない。

だが、結局は決めるのはアーシアであるので、絶対はないのだ。

だが、先ほどの話し合いで自分は気付いてしまった。

 

私に対して怒った一誠?という少年に向ける、アーシアの熱い視線を。

あれは完全に一目ぼれをしている。

おそらく彼は、私と別れた後のアーシアを助けてくれたのでしょう。

確か、家族と言ってましたし、一緒に暮らしているかもしれません。

その間に、純粋なアーシアは彼に惚れてしまったのでしょうね。

お、お姉ちゃんは許さない・・・こともないんですよね、正直。

妹の恋を応援するのもお姉ちゃんの仕事ですから。

 

それに、リアス?さんの物言いからして、

他の人たちもアーシアを可愛がってくれているのでしょう。

堅物のように見えて、ゼノヴィアさんは面倒見がいいですし。

アーシアにとっては、彼女たちと一緒にいる方が幸せに見えてしまう。

それ故にアーシアはあちら選ぶ可能性が大きいでしょうね。

まぁ、こちらを選んでくれる可能性はゼロではないのですから!

 

そう気持ちを前向きに切り替えたアーリィだが、

妹的存在が、自分の手を離れていくことにショックを受けてはいるようで、

しばらくは床に手をついて蹲っていた。

 

 

「さて、今日は色々ありましたし、アーシアやゼノヴィアさんに会うことが出来ました。

 今日はゆっくりと寝ることが出来ますね」

 

そういうとアーリィは疲れを癒すため、ホテルのシャワーを浴びようとする。

シャワー室で服を脱ぎ、顔を覆っていたヴェールも取る。

鏡には、首からぶら下がる十字架と自分の姿が映し出される。

アーリィは、銀十字架のネックレスを握りしめ、顔や体に走る傷痕を撫でた。

まだ傷痕が癒えることはない。

 

シャワーを浴びてスッキリしたアーリィは、鞄に収まっている寝間着に着替え、

ホテルのふかふかのベッドに飛び込んだ。

疲れが一気に襲ったのか、アーリィはそのまま深い眠りに落ちていった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

カタカタとなる音を聞き、アーリィは「またか」という表情で目を開けた。

目を開ければ、そこは古びた映画館の一室であり、

彼女はいつもの修道服を纏い、椅子に腰かけている。

隣には映写機が動いており、眼前にはスクリーンがかけられてる。

周りは誰もおらず、彼女しかいない上映会。いつもの光景だった。

これは夢である。それも、必ず終わりが決まっている夢だ。

アーリィは気にすることもなく、スクリーンに映った光景を眺めていた。

 

 

 

「ママ!パパ!ただいま!」

「ただいま」

 

 

肩まで長い茶色の髪をした女の子が、母親であろう女性と、父親であろう男性に飛びついた。

もう一人の女の子は、それを羨ましそうに見ていた。

彼女の髪も、同じように肩までかかる茶色だった。

男女は、飛びついた女の子を受け止め、その頭を撫でた。

 

「おかえり、リーシャ。学校はどうだったかい?

 アーリィもそんなところにいないで、こっちに来なさい」

「今日も楽しかったよ!」

「別に何ともなかったよ」

 

リーシャと呼ばれた少女は、輝かんばかりの笑顔で答え、

アーリィと呼ばれた少女は、つっけんどんに答えた。

 

「アーリィ、そんな顔をしないの。可愛い笑顔が台無しよ?」

「別に私は可愛くないよ。可愛いいのはリーシャだし」

「おねえちゃん、拗ねない拗ねない」

「拗ねてません!」

 

帰ってきては毎回起こるいつもの会話、家族団欒の風景。

私が拗ね、リーシャがからかい、パパとママを含めてみんなで笑う、そんな風景だった。

 

すると、また画面が変わる。

 

 

今度は食卓であり、女の子達と両親が一緒にご飯を食べている。

料理は焼きたてのパンに、サラダ、牛乳にベーコンエッグなど、いつもの朝食。

いつも通りに、家族で笑って朝食を食べ、私とリーシャが学校へ行く。

だが、この時は違っていた。リーシャに恋人が出来たのだ。

それを知った時、ママは笑顔になり、パパは牛乳を吹いたっけか。

恋人の名は確か、クリスだった気がする。

リーシャは私に、恋人を作らないの?とニタニタ顔で聞いてきから、私は怒ったかな。

ああ、楽しかった思い出。

 

そして、燃え散った過去の話。

 

 

そして映し出された光景は、

火に包まれた家、半壊した家屋、逃げ惑う人々と、それを追いかけるを黒い翼を生やした人たち。

赤い色に染まった道で、一人佇む私だった。

 


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