やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う   作:遊哉

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37-5 やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う

先生から受け取ったものを見る。

 

「これは……なるほど……もしものためってそういうことか。」

 

結論が出ていない俺からすれば、この道具を使うのはありだ。

しかし、本当にそれでいいんだろうか?

 

もし、俺が選ぶことができるなら、平塚先生はこんなもの渡してない。

あの人は俺に一つの選択肢をくれたんだ。

 

選ぶんじゃない。

 

答えを出すための道を

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

渡された道具はとある部屋に入るための鍵だった。

それを使い、その部屋に入る。

 

材木座は言った。

現実に大団円なんて存在しないと

 

平塚先生は言った。

青春時代に終わりが来たと

 

間違ってない。

そう、間違っていないんだ。

彼らの言い分は正しい。俺はそれを自分の中で認められていないだけ。

 

ここで選ばないのは子供のすることだ。

その通りだ。

 

最低の行為と思わないのか

あぁ、思ってる。

 

逃げるのか

それは少し、違う。

 

そもそも正解を出さなきゃいけないなんて言われてない。

 

不正解で、間違っていて

 

何が悪い!

 

みっともなくても、みじめでも、たとえ誰かを今傷つけることになっても……

 

それが俺の在り方だったじゃないか。

人間、そんな簡単に変われない、でも今はどうしてもやりたいことがある。

 

誰かのためじゃない

自分のための幸せを選ぶ。

 

きっと誰かを選んでもそれを享受することは可能だった。

 

でも、

あのバカをやっていたあの時、あの時間、あのメンバーでまだ俺は青春をしていたい。

あの時間をまだ味わいたい。

 

俺の青春はまだ終わってない。

 

 

俺は気が付くとマイクを握っていた。

 

なら、やることは一つだ。

 

電源をONにして息を吸う。

 

「俺だ……その……こんな形になって悪いがみんなに聞いてほしいことがある。」

 

放送室のマイクを伝って、全校舎に音声が響きわたる。

 

「正直言うと……俺にはこんなの選べない。俺には今その自信はない。誰に言われようとそれは変わらなかった。」

 

返ってくるわけはない。言葉をつづける

 

「ただ、お前たちの気持ちから目をそらしていたのは事実だ、すまん」

 

だからこそ、言いたい。

 

「だから、もうちょっと時間をくれないか。お前らの気持ちには正面からきっちり向き合う。その上で俺は……まだみんなと……バカやっていたい。」

 

本心を

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

電源を切り、椅子に座る。

 

「はぁ、間違ったかもなぁ……」

 

いや、自分の本心に従った結果とはいえ、あほらしい選択をしたものだ。

結局、結論の先延ばしをしただけだ。

 

まぁ、これで離れるなら……それはそれ「バン!!」……」

 

扉が一人でに開いた。

 

え?

鍵かけたんだけど……

 

「まぁ、突然に告白するように迫ったのは私たちの落ち度とはいえ……」

 

「でも、正直ヒッキーらしいちゃらしいような。」

 

「まぁ、私は時間があった方がいいんでこれはこれでありですが」

 

「それは私もかな。」

 

各々、俺の告白に意見を言っている。

あぁ、人数は足りないけど……これが俺の見たかった景色か。

 

未来なんて俺にはまだ早い。

だって今すら精一杯だ。そんなことを考えるのはあとでいい。

 

とりあえず一言いいたい。

 

「帰るか」

 

 

やはり俺の青春ラブコメはこれからも続いていき、間違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【after】

 

「おい」

 

「分かってます……もうちょい待ってください。その……」

 

「困りますよ……材木座先生……しっかり原稿あげてくださいよ」

 

「お主とお前の中じゃないか。フレンドリーに材木座でいいんだぞ」

 

「しゃべってないで、キーボード打て……」

 

「はい……」

 

現在、とある文庫の編集系に就職を決めた俺はなぜか……新人小説家としてデビューした材木座の担当になっている。

どうしてこうなった……

ちなみに材木座は締め切りが迫っているのに……なぜか白紙の原稿なのだ。

 

「1時間で3000だ。できないならここのフィギュアの命はない。」

 

「わーわーわー!!! 分かったから……その書くからそれは許して」

 

「はよ書け……原稿落としたら……罰ゲームだ」

 

「ちなみに内容は?」

 

「罰ゲームになったら考える。おそろしい罰ゲームだとは思っておけ」

 

「それ、一番質が悪い……」

 

まったく……こいつようやく才能開花させて小説家になったのになにやってるんだよ

 

「そういえば、お主」

 

「あぁ?」

 

「そろそろではなかったか?」

 

「あぁ、そっちか。まぁ安定期に入ったからな、そろそろだ。」

 

「お主も一児の父か。時は流れるな。あのときの選択は笑ったな」

 

「うるさい! とっとと書け!」

 

蹴りをくらわす

 

「痛い……痛いから…やめて!……ちょっと聞きたいんだが」

 

「なんだよ」

 

「お主、高校生活……そうだな奉仕部に入ってから大学生活の終わりまで……どうだった?」

 

「どうって言われてもな……」

 

まぁ、さんざんひどい目にあったとしか言いようがないような。

 

「よかったか?」

 

ふと、問われて考えてみる。

確かに楽しいことはたくさんあった。

でも

 

「いや、間違いだらけだよ。俺の青春は」

 

「そうか、なら待っていろ。」

 

そういうと、材木座は立ちあがり、別の部屋に入って行き、何かをもって戻ってきた。

 

「お前……これ」

 

「うむ、原稿だ。というより新作だな。今までの中で最高傑作だ。」

 

「なぜ早くこれを出さない。」

 

おかげで無駄な時間過ごしたじゃねーか!

 

「お主にはあんまり見せたくなかったのよ。まぁ、さっきの発言を聞いてもういいかと思っただけよ」

 

「はぁ、ちょっと中身見せてもらうぞ」

 

封を開け、中身を見る。

…………え、これって……

 

「おい、材木座!」

 

「まぁ、書くのに苦労したよ、なにせ10年ほど前の作文の発掘とかしたんだからな。まったく苦労させてくれる。」

 

マジか……というかこんな作文だったのか。

作文の発掘とかこいつの執念やばいな

 

「戸塚殿の提案だ。われも面白いと思ってな。書いてみたらすらすら書けて楽しかったぞ。」

 

「戸塚も関与してたのか。」

 

こんなの出していいのか?

まぁ、俺じゃない、フィクションの人物だから、いいか。

そういえば

 

「これ、タイトルは?」

 

タイトルの欄が空欄だ。未完成だったのか?

 

「あぁ、それなんだが、今決めた。この本のタイトルは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~

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