そんなことしたら、海老名さんの本が厚くなってしまいます。
駄文ですが、どうぞ。
人間誰だってミスをする。
当然だ。完璧な人間なんていないのだから……俺だってもうちょい目がこう澄んでたら……まぁ、もうちょい人生華やかだったのかもしれないじゃないか……。きっとそう、多分そう……。完璧じゃないからこそ人生というものは難しく、ゆえに苦しい。そしてコーヒーは甘い方がいい。では、問題である。
「次のエントリーはこの2人だ!」
俺はカップルコンテストの壇上の上に立っていた。しかも……
「それでは、彼女の方からお名前をどうぞ」
「え……僕……じゃないや……私は……戸塚彩加って言います……」
何故、俺は出たくなかったカップルコンテストに出ていて……かつ戸塚と出ているのだろうか……
【回想 15分前】
遂に、あの4人を説得(だます)ことに成功し、俺は自由を手に入れた。
「やったね、八幡!」
「あぁ、戸塚ありがとう。」
「我は? 我のことは?」
「お前は途中から完全に遊んでただろ……」
「そんなことは……ない。」
「その間が怪しすぎるわ……」
「しかし、我が尽力したのは事実である。何か報酬はあるんだろう?」
「はぁ、2人とも飯くらいは奢ってやるよ」
「ふむ、最近少しゲームやらDVDやらで出費がかさんでな……助かる」
「いいの? なんか申し訳ないなぁ」
「いや、気にすんな。正直、この件がどうにかなったのはお前らのおかげだからな……その分の報酬くらいは出すさ」
まぁ、戸塚はこの件について伝えてくれたし、材木座も……まぁ頑張ってくれた。ねぎらうのは当然だろうな……。
「よし! ではサイゼに出発だ!」
材木座が嬉しそうに手を挙げる。まったく、こいつの元気には、
「おっと、すごく元気よく手を挙げた人がいますね、では次の方はこちら、壇上へどうぞ!」
あきれるなぁ……へ?
「八幡」
「いや、知らん……というか勘違いだろ……訂正してこい」
材木座が震えている。すると、係員の方がこちらの方に向かってくる。仕方ない……ここで恩を売ってご飯代金をチャラにしようか…。
「あぁ、この2名ですね、ではこちらへ」
そう言って、俺と戸塚の2名を案内しようとしている。え?
「いや、違いますよ。さっきいたこいつが間違えて……」
材木座を探そうとする……あれ……いなくなってる……
「まぁまぁ、恥ずかしがらずに……行きましょう」
そう言って強引に俺と戸塚を押してくる。マズい……というか材木座……貴様~!
「どうしよう、八幡……」
「仕方ない……無難に乗り切ろう。悪いんだが……俺じゃどうあがいても……女性には見えん……お前が女性役で頼む。」
「え、僕にできるかな……僕も見た目が……」
「大丈夫だ、見た目に関しては何の心配もしなくていい……むしろ」
「むしろ?」
「いや、なんでもない……」
むしろ、その辺の女子より見た目補正が高い。加えて仕草も女性より女性っぽい。戸塚が戸籍上男性で、実際は女性でしたと言われても信じるまである。
「質問はどうするの?」
「下手な嘘は言わなくていい。普通に答えれば大丈夫だと思う。友達になった経緯を恋人になった経緯に変えよう……あとは、どんな言葉を言っても心の中で語尾に、友達として、と付け加えよう。それで多分乗り切れる。」
「分かった、頑張ろうね。」
どういう質問が飛んでくるかわからない。となれば下手な嘘はまずい、これで戸塚が男とばれたら、多分……俺が社会的に二度死んでも足りないくらいの負債を負うはめになる。それだけは避けなければなるまい。え? 見た目はどうだって? 見た目でバレることはないと確信はしてる。
【回想 終】
「戸塚さんですね、では彼氏さん自己紹介お願いしますね」
「あぁ……比企谷八幡です。」
「比企谷さんですね、では、質問をはじめましょう」
ルールは先ほどの係員に聞いた限りだと、質問が数問ほど……その後くじで引いたゲームを1個する。質問の答えやゲームの時の盛り上がりの一番良いのが優勝だそうだ。なんともまぁ……これよく運営できてるな…。
「では、まず最初の質問です。お二人が付き合い始めたはいつですか?」
まず、戸塚にマイクが行く。これはまぁ大丈夫だろう……。
「高校の頃です。」
「なるほど、ちなみにどちらから告白を?」
「私からです。私はテニスをやっているんですけど…そのときからテニスのフォームが上手だなぁってずっと思ってて、その後、ちょっとしたことがあって仲良くなったんです。その後に……えへへ……」
「おぉ、なかなかのラブ度ですね。では次の質問に行きましょう」
よし、ナイスだ……重要な部分は恥ずかしくて言えません的なオーラを出しつつ、次の質問に移った。あの、すみません、先ほどの「えへへ」は誰か録音していませんか? 目覚ましに使いたいんですけど……。
「お二人が双方の好きな部分を挙げてください。ではまず彼氏さんから」
「えーと、そうですね。優しいところとかですかね。あと、少し頑固なのも」
「ほう、だそうですか? 戸塚さん」
「嬉しいです。そんな風に思ってもらえてるなんて。」
そう言って、指をもじもじとさせている。うん、もう男性って言っても誰も信じないと思うわ。第三の性別と言われても信用するかもしれない。
「私は男らしいところとか、いつもみんなや私を助けてくれるところとかが好きです。」
「おぉ、相思相愛なんですね。いやー素晴らしいですね。」
「はい、ありがとうございます。」
「では、早速ですが、ゲームに移りましょう。ではどちらかがこのくじ箱からくじを引いてください。」
ここまでは、特に疑われることもなく、加えて質問の答えもかなりベストな答え方ができてる。しかし、ここで変なゲームなんぞを引いてしまったら、今までの努力が水の泡になりかねない。
「彩加、くじ引いてくれ、俺はくじ運ないから」
「あ、うん、わかった!」
そう言って、くじ箱の中に手を入れ、白い三角折された紙を取り出した。その紙を司会に渡す。
「おっと、これはなかなか面白いのを引きましたね、題して、愛を叫べ!彼女編 ですね。」
すでに名前からして地雷臭しかしない。
「ルールは簡単。彼女の方が告白して、彼氏さんが答えるだけのゲームです。要するにもう一度、付き合うときにした告白をしてもらいましょうというものです。」
つまりだ、俺が戸塚から告白されるということか……マジですか……マジか。
「えーと…」
戸塚は俺の方を見てくる、その顔は、どうするの? という顔だ。ふむ、でもこれ任せるしかないんじゃないだろうか? 決してやましい気持ちではない。戸塚に告白されるシチュエーションが味わえるから、手を貸さないというわけでは決してない。仕方ない。ここは任せるの顔をしよう。すると、戸塚がOKの顔をしながらウインクしてきた。やばい、かわいいな、それ。
「比企谷八幡君……いつも君を見てた。1年生の頃は同じクラスだったけど、話が出来なくて、初めて話したのは確か2年生になったときだったよね。テニスでの勝負をしてくれた時はうれしかったな。職場見学も同じ班になれたし、修学旅行も一緒に回ったよね。あんまり友達がいなかったからすごくうれしかったんだ。八幡に初めて頼られた時も嬉しかった。これからもずっと同じような気持ちになりたい。だから……その…これからも一緒にいてくれるかな?」
周囲がざわつく。俺が想像していたようなやましい告白なんかじゃない。戸塚なりの俺への今の気持ちをぶつけてくれたんだろう。このコンテストに出たのは間違いだった。しかし、俺にはここまで俺のことを友達として思ってくれてる人がいるということを分かれた。それだけはこのコンテストに出なければわからないことだったかもしれない。
「あぁ、これからもよろしくな。」
「はい、というわけでゲーム終了です。二人とも熱いですねぇ~このカップルに大きな拍手を!」
俺たちは拍手喝采に包まれた。まぁ、無難に終われてよかった。
「八幡、材木座君は?」
「知るか、あの野郎……逃げやがって…」
俺たちはその後、サイゼに来ていた。ちなみに優勝しても行く気にはなれないので適当に文化祭から出てきた。
「あ、優勝者決まったって。今年一番のカップルだってさ。」
スマホをいじりながら、戸塚が切り出した。
「どんな組だったんだ?」
「僕たちとは逆パターンのゲームで彼氏の方がプロポーズしたらしいよ。その場で。」
「もうちょい、場所選んだ方が良くなかったか?」
あの場所で公開プロポーズするとかどんな度胸だよ。すごいな。
「名前出てるよ、えーと宮水さんと瀧……」
「いいよ、別に名前とか……というか今日は本当にありがとな」
「ううん、気にしないで。久々に八幡にも会えて楽しかったから。」
そう言って戸塚は笑顔を向けてくれた。
「じゃ、また連絡するわ。」
「うん、またね。」
そろそろ良い時間なので、解散ということになった。戸塚を駅まで送って帰路につく。するとアパートの前の道路の電柱にもたれかかるように誰かが倒れている。あれは……
「材木座!」
「あぁ……八幡か……すまない。ちょっと良いか?」
見ると、材木座はなぜか疲れ果てている。見たところ暴力を喰らったような跡はない。
「やだね、お前のせいでひどい目に会ったぞ」
「まぁ、待て……お前には良い知らせと……悪い知らせ……がある。それを伝えに来た……はぁ…はぁ…」
「…ったく、なんだよ手短に話せよ。今日はもう疲れてんだ」
「まずは良い知らせだが……
まったく、戸塚と違ってこいつは本当に友人と呼べる存在なのか? はぁ、せっかく戸塚と……
…戸塚どののボイス録音しといたぞ。」
「お前は最高の友達だ。」
こいつは本当にいいやつだな。持つべきものはやっぱり友達だな。
「はぁ、それで悪い知らせなんだが……俺はもう……」
「もう?」
「リアル女性には欲情出来ないかもしれない。」
知らねーよ! 悪い知らせってこんなことかよ。俺に降りかかる災難かと思ったぞ。
「いや、知らねーよ。」
「間違えた、これは俺の事情だったな……とにかく逃げた方がいいかもしれん。」
「は?もう家の前だぞ……逃げるなら家だろ。」
「八幡、よく聞け。あの人たちは本当にまずい……俺はもう死ぬかと思ったぞ。」
「あの人たち?」
「我はお前たちがステージに上った後、悪いことをしたなと思ってせめてもの償いにボイスの録音をしようとしていたんだ……そしてボイスが撮れたとの同時に捕まった。もう思い出すだけでおぞましい。」
どうやら拷問をうけていたらしい。どうりで精神的に疲れているわけだ。
「とにかく、伝えたぞ。早く家に帰れ。じゃないと大変なことに……はぁ……はぁ……」
「分かった、お前も気を付けてな」
「気を付けるのは、お前だ八幡よ。」
意味深な発言をして、材木座は闇へと消えていった。
とりあえず、アパートの部屋の前について鍵を出す。あれ? 開いてる? 閉め忘れたっけ?まぁいいや。そう思いドアを開ける。
「「「「おかえりなさい」」」」
そこには机を真ん中にして雪ノ下、由比ヶ浜、一色、雪ノ下さんが座っていた。
「あぁ、忘れ物したわ……ちょっと取りに行って……「「「「比企谷君(先輩)(ヒッキー?)」」」」すみません」
「さて、まずは何から聞こうかしら?」
「中二に事情は全部聞いたから、嘘ついたら怒るよ。」
「先輩、覚悟できてます?」
「さてさて、比企谷君寝れるといいね?」
笑顔である。もうすごい笑顔だ。しかし、全員からどす黒いオーラが見える……。怖い、怖すぎる。なるほど、これは材木座の言う通りかもしれない。確かにリアル女性での欲情ができないわけだ。この4人からの尋問とか死にたくなるよな……。そうだよな…。まぁ、そんなことを悲観する前に……どうやって潜り抜けるか考えないとな……とりあえず……
「正座します。」
反省の色を見せよう…。
というわけで文化祭編終了です。
この後、比企谷君がどうなったかは書きません。だってグロ……おっとこれ以上はいけませんね。俺もリアル女性に欲情出来なくなるような拷問なんて受けたくないですからね。黙っておきましょう。というか皆さんオチ当てすぎw そりゃ、あんなお膳立てしたらそうなるけどw
さて、来週からはアンケートの内容も交えつつ、日常回を書いていこうと思っております。お楽しみに
さて、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました。
これからも応援よろしくお願いします。