ついでにヒロバトでURの死柄木弔のスカウトに成功しました。
うひょおおおおお!!テンションが上がることしか起きてねぇぇ!!
というわけで六話です、どうぞ。
6月18日
終盤の一部分を改定しました
「ヴィランンン!?ヒーロの学校に入り込んでくるなんてそんな馬鹿な事あんのかよ!?」
USJセントラル広場。そこに現れた途方もない悪意の塊、ヴィラン。
それを目にした生徒達は皆一様に動揺しており、緊張で顔を強張らせていた。
そんな中、教師である相澤改めイレイザーヘッドと13号、そして衝也や轟などの一部の生徒たちは冷静に状況の分析を開始していた。
「RPGの勇者だってたった四人のパーティで魔物ひしめく魔王の本拠地に乗り込んでラスボス倒しに来るだろ?あれと同じようなもんだろ、きっと」
「じゃあ何か!?あいつらはゲームやってるみたいなノリでこんな所に来たってのかよ!?まともじゃねぇぜそりゃ!!」
「いまさら何言ってんだよ、まともじゃねぇ奴らの集まりがヴィランだろうが。」
衝也の答えに、ごくりと唾を飲み込み、広場にいるヴィランに視線を向ける切島。
彼の拳は武者震いなのか、はたまた恐怖のためか、少しばかり震えていた。
見るとほかのクラスメートの中には足を震わせている者も何人かおり、初めての敵との遭遇に軽い恐怖を覚えている者もいた。
衝也はまわりのクラスメートの様子を見まわした後、一人の少年に近寄って行った。
「轟くんや、どう思うよ?あいつらの事。」
「…なんで俺に聞く?」
「現状、この中で一番状況を整理できてそうだから、かね。」
「そうかよ…」
衝也に声を掛けられた少年、轟焦凍はしばらく視線を衝也に向けた後、目の前のヴィランに視線を戻した。
「こいつらが学校全体に現れたのかどうかは知らねぇが…センサーが反応している様子が見られないのを見ると、恐らくそういうことができる個性の奴が向こうにいることになる。加えて、
「なーるほどね…。」
轟の推測に何回か頷いた衝也は軽く首を回した後、ガシガシと頭を搔いた。
「つーことは、
そう呟いてにらみつけるように広場のヴィランを見つめている衝也をチラリと横目で見た轟は、しばらく彼の事を見続けていたがすぐに視線をヴィランの方に向けた。
すると、広場にある変化があった。
広場の方に向かって行く一つの人影が現れたのだ。
その人影は広場に続く階段を飛び降りると、そのままヴィランの方へと向かって行った。
それに気づいた何人かのヴィランはその近寄ってくる人影を迎撃しようと個性を発動しようとする。が…
なぜか個性が発動せず、呆然とした一瞬の隙をついて人影は瞬時にヴィランたちを捕縛、撃退した。
そしてそのままヴィランの群れへと単身で突っ込んでいき、次々とヴィランを撃退していった。
その人影とは、1-Aの担任にして現役のプロヒーロー、イレイザーヘッドである。
「個性を消す個性っつっても所詮は個性を消すだけだ、相手を倒す決定打としてはいまいち使えない。そこをうまくカバーするためにちゃんと訓練してるって訳か…。さすが寝袋先生、個性に頼ってばかりのそこらの奴らとは技術が違う。」
「今は頭が良い方のお前なんだな。」
「轟てめぇどういう意味だこら。」
「五十嵐君に轟君!!この非常事態に何を呑気におしゃべりしてるんだ!?早く避難するんだ!!」
「止めるな飯田!!俺はこのアイスとホットのハーフ&ハーフ野郎を成層圏外までぶっ飛ばさなきゃいけねぇんだよ!!」
「やれやれ、随分と騒がしい生徒がいるものですね。相当肝が据わっているようで。」
轟を問い詰めようとしていた衝也が飯田に声を返したその時、避難をしようとしていた生徒と13号の目の前に、呆れたような声を出しながら黒いモヤ状の人間(?)が現れた。
恐らく、ヴィランがここに侵入するために使っていた黒いモヤはこの人間(?)の個性によるものだろう。
「(つまり、こいつの個性は空間と空間をつなぐような個性ってことか。つーことは…)」
「さて、何をするにしてもまずは自己紹介からというもの。雄英高校の皆さま、初めまして。我々は…」
「どぅおら!!」
モヤがしゃべっているのを遮り、いち早く衝也が黒いモヤに向かって突っ込んだ。
衝撃を使ってモヤの所まで飛んで行った衝也はそのまま掌をモヤに向けて振りぬいた。
そして勢いよく前に出された掌はモヤに当たり、その瞬間BAGOOONという轟音と共に掌からモヤ男に衝撃が放出された。
「てめぇが敵の出入り口なら、ぶっ倒しちまえばあいつらもここから出れねぇだろ!」
「衝也!?ちょっとあんた何してんの!?」
衝也の突然の行動に皆茫然とし、耳郎も思わず彼に向かって叫んだ。
しかし、衝也はそれに応じることなく、何かに気が付いたように小さく舌打ちした。
彼が舌打ちをしたすぐあと、霧散していたモヤが再び集まってきた。
「当たったような感触がなかったから、もしかしてと思ったが…やっぱり効いてねぇみてぇだな。」
「やれやれ、話の途中だというのに随分とせっかちな子がいるのですね…。人の話は最後まで聞くものだと親御様から習わなかったのですか?」
「少なくとも犯罪者の言葉を聞くように、とは習わなかったな。俺自身もてめぇらの名前になんざ興味はない。それに、社会の汚物はさっさと刑務所っていう水洗便所にでも流した方がいい。」
「ほう、相手の目的や行動に至った理由も聞かずに暴力で解決というわけですか?随分と野蛮な考えをお持ちのようで。」
モヤ男の言葉を聞いた衝也は「ハッ!」と軽く笑った後、忌々しそうに目の前のモヤ男をにらみつけた。
「不法侵入している上に、年端も行かねぇ子供を大勢で襲おうとしているてめぇらに言われたかねぇよ。それに、てめぇらの目的は…」
そこまで言って衝也は、足から衝撃を出して前へと飛び出し、再びモヤ男へと突っ込んでいった。
そしてまた先ほどのように掌を振りかぶった。
「ぶっ飛ばした後にでも聞けばいい!!」
「五十嵐君!一人で飛び出すな!危険すぎるぞ!?」
飯田が制止の声を叫ぶがすでに飛び出してしまっている衝也にはもう遅すぎる。
そのままモヤ男へとぶっ飛ばそうと飛んでいく。
(このモヤ男に空間と空間をつなぐワープゲートのような役割があるなら、あいつらの出入り口になってるのは間違いない。普通なら脱出不可能にならないためにも一番に守らなきゃいけねぇ個性の持ち主だ。なのにそんな奴がわざわざ俺たちの前に現れたのは、決して俺たち生徒をなめてるわけじゃねぇ…。恐らくは)
「俺らをバラバラに散らして各個撃破しようとしてんだろうが、そううまくはいかせねぇぞ!!てめぇは今ここで!成層圏外まで吹っ飛ばす!!」
「!ほう、頭の悪そうな人に見えていましたが…どうやらそうではないようだ。」
モヤ男が衝也の言葉を聞いてそうつぶやいた瞬間
モヤ男に向かって行った衝也の目の前に、大きな黒いモヤが広がった。
「貴方は中々に厄介になりそうだ。今ここで先に飛ばして殺しておいた方がよさそうですね。」
「!?衝也、あぶねぇ!!」
切島がそう叫ぶが、飛び出した衝也の勢いはもう止まらない。
そのまま目の前の黒いモヤの中に突っ込んでいく。
が
「あーらよっと!!」
「!?」
黒いモヤに吸い込まれそうになる寸前、衝也は振りかぶっていた掌を下に向けた。
そのまま掌から衝撃を放出した衝也の身体は上へと飛んでいき、目の前のモヤの上を通り抜けた。
そして瞬時に衝也は上空で自身の背後に衝撃を放出し、そのままモヤ男の後方に着地、すぐにくるりと体を回転させがら空きの背後へと飛んでいく。
「これで王手だ!!黒霧野郎!!」
そう叫んで衝也は掌を振りかぶり、そのまま勢いよく振りぬいた。
だが、その掌から放たれた衝撃がモヤ男の背中を
とらえることはなく、突如背中に広がった黒いモヤに吸い込まれた。
「なっ…!?」
「チェックメイトですよ。」
衝也は何とか勢いを殺そうとするが、間に合わずにそのまま黒いモヤへと吸い込まれるように入っていった。
そして、衝也の入っていったモヤは、そのまま霧散していき、完全に消えてしまった。
「五十嵐君!?五十嵐君!!!」
「嘘だろ…衝也の奴、飛ばされやがった!?」
「クソ…僕の行動が遅れたために生徒が…!」
青ざめた顔で叫ぶ緑谷と切島、そして悔しそうに歯ぎしりをしながら目の前の黒いモヤ男をにらみつけている(?)13号。
対してモヤ男は感心したように声を出した。
「実によく頭の回る少年ですね。無計画に突っ込んでいると見せかけて、その実、冷静に状況を把握し、瞬時に次に取るべき行動を考え、実行に移している。戦闘能力も申し分なし。私が前後両方にモヤを広げていなければ確実にやられていました。ここは経験の差というものでしょう。将来が末恐ろしい子だ…。願わくばここで死んでほしい物です。」
「年端も行かない子供に死んでほしいだなんて…!それでもあなたは人間ですか!?」
「ヒーローの卵となれば我々にとっては立派な敵となります。そこに大人も子供もありませんよ。我々はヴィランなのですから。」
13号の怒りの声にもどこ吹く風というように答えるモヤ男は、気を取り直すかのように大きく一度咳をした後、生徒たちに目をやりながら口を開いた。
「さて、仕切り直しに遅くなってしまった自己紹介でもさせていただきましょうか。我々はヴィラン連合。僭越ながら、ある目的のためこのたびヒーローの巣窟、雄英高校に侵入させていただきました。なに、目的と言っても大したものではございません。ただ…平和の象徴と世間で言われているオールマイトに、息絶えていただきたいのです。」
『!?』
そのモヤ男の言葉に、生徒はおろかプロヒーローでもある13号にすら驚愕する。
最早名前そのものが犯罪の抑止力となっている、圧倒的実力をもつオールマイト。
そのオールマイトをあろうことか殺害すると、そう目の前の男は言ってのけたのだ。
生徒たちがごくりと唾を飲み込んでいる中、モヤ男は不自然にそのモヤのような体を揺らめかせながら言葉を続けていく。
「本来ならばここにオールマイトがいるとカリキュラムにはあったのですが…何か変更でもあったのでしょうか?まあ、それはとりあえず置いておくとして、私の役目は…!?」
そこまで言葉をつづけたモヤ男は突然言葉を止める。
目の前に二人の生徒が現れたからだ。
その二人とは、切島と爆豪の二人である。
切島は硬化させた腕で、爆豪は右掌からの大振りによる爆撃でモヤ男に攻撃を仕掛けた。
その瞬間大きな爆音が鳴り響き、辺りに軽い砂埃が舞った。
「俺たちを散らすのが役目ってんだろ!?衝也が残した言葉を聞いてんのに、わざわざそんなことさせるとでも思ってんのか!?」
「俺はあんなバカモブが動かなくても動いてたけどな!!」
「こんな時に変な意地張ってんな爆豪!」
たった一人で動いた友を守れなかったためか、顔に若干の怒りの表情を浮かべながら叫ぶ切島とイラついているような表情をしながら衝也と張り合う爆豪。
だが、先ほどの衝也と同じように消えたと思っていたモヤが再び集結していく。
どうやら彼らの攻撃も当たってはいなかったようだ。
「!?クソっ!やっぱ効かねぇのか!?」
「危ない危ない、生徒といえど貴方達は優秀なヒーローの卵、油断は禁物だと先ほど学んだばかりだというのに…」
「だめだ!どきなさい二人とも!!」
13号が切島と爆豪にそう言った瞬間、先ほどまでのモヤが一瞬にして大きくなり、生徒達次々と飲み込んでいった。
「数を散らして…嬲り殺す!」
「みなさん!?」
モヤをブラックホールで吸い込み、何とか自分のまわりにいた生徒を守った13号がほかの生徒の安否を確認しようとする。
しかし、広場に残っていたのは何とかモヤの広がる範囲より外まで逃げた数名の生徒達だけだった。
「何名か散り漏らしがあるようですが…残ったのは13号に生徒6名。この程度であれば、私一人で対処できますね。」
「くッ…!」
不敵な笑みを浮かべてそうつぶやくモヤ男。
ヒーローの卵たちの目の前に突如現れたヴィラン。
その牙が、無情にも年端も行かない子供たちに向けられる。
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USJ 火災ゾーン
「なんだよ…これ…。何がどうなってんだ。」
柔道着のようなコスチュームと強靭なしっぽが特徴の少年、尾白猿夫は訳が分からないというように小さくつぶやいた。
彼がモヤ男により飛ばされたのは、USJ入口から最も遠い場所にある火災ゾーンである。
火災ゾーンはその名のとおり、町一つを覆いつくすような火災を再現してあり、このUSJの施設の中でも一、二を争うほどの高難易度なゾーンとなっている。
そこに飛ばされた尾白はすぐに戦闘態勢に入ったのだが、目の前に広がる風景に思わず呆然と立ち尽くしてしまった。
尾白の目の前に広がっているのは燃え盛る炎と数多くのヴィラン
ではなかったのだ。
辺り一面に広がっているはずの炎はすべて鎮火しており、先ほどまで燃えていた炎のせいで黒くなってしまっている地面まではっきりと見えている。
そしてさらに驚くべきことに
その地面には倒れ伏している多くの重症のヴィランたちがいた。
「炎もすべて鎮火されてる。ヴィランも重症…一体ここで何があったんだ?」
尾白はそう呟きながら奥へと進んでいく。
途中、倒れ伏してうめき声を上げているヴィラン達へと目をやるが、どのヴィランも血だらけで、誰がどう見ても重症というほどのダメージを負っていた。
中には腕や脚があり得ない方向に曲がっている者や、腕の前腕部のみがぺしゃんこになっている者、顔面から血をダラダラと流している者までいた。
全員、何とか生きてはいるようだが、すぐに処置をしなければ後遺症が残るかもしれないような状況である。
一体誰がこんなことを…。と尾白が考えていたその時、少し先の方から大きな叫び声が聞こえた。
「わかった!!わかったよ!!俺たちの目的は全部話す!計画の主犯格も!オールマイトを殺す算段も!それを実行する奴も!全部話すから!頼むからもうやめてくれ!!」
「!?な、なんだこの叫び声!明らかに普通じゃない!?」
辺りを警戒しつつも声のする方向へと走っていく尾白。
そのまましばらく走っていると、ある二人の人影が見えてきた。
それに気づいた尾白はその人影に声を掛けようとしたが、
「!?」
突然走るのをやめて、茫然とその場で立ち止まった。
人影のうちの一人は、恐らくヴィランであろう若い男性である。
しかし、その顔面は血とよだれと涙でグチャグチャ、両腕も関節を無理やり伸ばしたのかかなりの長さになっている。
そのうちの片方の手の指の爪もすべてはがれており、何本かは折れているようにも見受けられた。
そしてもう一人は
拳からぽたぽたと血を垂らし、死体にたかっている蠅でも見ているかのような表情でそのヴィランの胸倉をつかんでいる、五十嵐衝也だった。
そう言えば、今回の衝也君は終始頭の良いままだったような気がする…。
恐らく初めての事だと思うので少し自分で見て驚きました。