救える者になるために(仮題)   作:オールライト

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むう、ヒロインどうするかなぁ。
私の好きなキャラにしてしまうと年齢がなぁ…。
というわけで三話です、どうぞ




第三話 核兵器なんて物騒なものを二人だけで隠すべきではないと思う

 雄英高校では、入学前に個性の概要等を提出すると、それにあったヒーローコスチュームが用意される。

 もちろん自分でデザインを考えることもできるし、個性に関する要望を書くとそれに合う機能を付与することもできる。

 それだけではなく、今後ヒーローとして活動していく自分のトレードマークにもなりえるコスチュームである。

 皆一様に各々が望む機能やデザインを真剣に考えて提出している。

 前者の理由はもちろん、コスチュームの機能一つで戦闘が左右することも十分にあり得るからである。

 それは衝也にとっても例外では…

 

「おお、要望通りだな、すげー。」

 

 あった。

 更衣室で広げているヒーローコスチュームはどこからどう見てもその辺のユ〇クロとかで売ってそうな長袖Tシャツである。

 もう一度言う、長袖Tシャツである。

 

「まさか本当にこんな要望が通るとは、さすが雄英専属のサポート会社だな。」

 

 彼が出した要望は以下の通り。

「動きやすく、丈夫なTシャツっぽい感じの奴。簡単に破れないのがいい。後、衝撃とか吸収してくれると助かる。体の負担も減らしたい。あと家で洗濯ができるようにしたい。私服としても使いたいので派手じゃないデザインで。」である。

 コスチュームを特注の洋服か何かと勘違いしてそうである。

 これを見たサポート会社の人は目を丸くしそうである。

 特に後ろの二つ。

 

「うーむ、しかし本当にTシャツにしか見えないな、素晴らしいぜ。これなら私服でも全然使えそうだ。通気性もあるから夏でも行けるし。」

 

 実際に着て着心地を確認して満足げに頷く衝也。

 そんな彼のコスチュームを見て思わず苦笑いをするのは彼と机が近い上鳴と切島である。

 席も近く、男同士なのもあるためかすぐに打ち解けている。

 

「うわー、お前それホントにコスチュームなん?」

「ん?おう、そうだけど。」

「なんちゅーか、地味だな。私服みてぇだ。」

「お前の個性と似たようなもんだろ。」

「……」

「それに私服で使えるようにしてくれって要望に書いておいたからな。このデザインは要望通りなんだよ。」

「たぶん史上初なんじゃね?そんな要望だした奴。」

「そうか?お買い物帰りにヒーロー活動できるし俺はいいと思うんだが…。コスチュームがないから人助けできないじゃ話になんねぇし。」

「だったら遅刻はよした方がいいんじゃねぇか?」

「もうやってねぇし。1日目だけだし。しかもぎりぎり間に合ったから遅刻じゃねぇし。」

「「言い訳乙」」

「よしてめぇら40秒で表でな。」

 

 そんな馬鹿なことをしつつも、更衣室を出て授業へと向かう1-Aの生徒たち。

 彼らがやる授業はヒーロー科のみの限定科目、ヒーロー基礎学である。

 ヒーローとして必要となる戦闘力、救助訓練、教養などを鍛え、ヒーローの素地を作っていく授業である。

 担当するのは今年教師になったばかりのNO.1ヒーロー『オールマイト』等を含めたプロのヒーローたちである。

 もちろんヒーロー科の単位の中でも一番であり、必修科目となっている。

 今回はその記念すべき最初の授業である。

 もちろんオールマイトにとっても記念すべき最初の授業である。

 カンペを見ながらたどたどしく授業を進めていくオールマイトを少しほほえましく思いながら授業が進んでいく。

 授業の内容は屋内対人戦である。

 ランダムに組まされた二人ペアを作り、それぞれヒーローとヴィランに分かれて訓練を行うものである。

 ヒーロー側は制限時間内にヴィランチームを捕まえるか、屋内に設置された核をタッチすれば勝利。

 逆にヴィラン側は制限時間内にヒーローチームを捕まえるか核を守り切ることができれば勝利といった形である。

 そして、それぞれくじ引きをしてペアが決まっていった。

 その結果衝也のペアになったのは

 

「よろしく、五十嵐くん!頑張って勝とうね!」

「おう、よろしくな芦戸。」

 

 この前の体力テストで少し仲良くなった芦戸三奈である。

 衝也としてはくそまじめすぎる飯田や話したことのないクラスメートじゃなくてホッとした感じである。

 そして最初に行われた訓練のペアはヒーロー緑谷・麗日ペアとヴィラン爆豪・飯田ペアである。

(実にヴィランっぽい奴がヴィランになったな)と爆豪を見てそう思ったのは内緒である。

 実は衝也は訓練をする前からなぜか爆豪からがんを飛ばされていたのだ。

 幼馴染だという緑谷から事情を聴くと、爆豪はなんでも一番にならないと気が済まないらしく、体力テストや入試試験で自分より上だった衝也が気に入らないのかもしれないとのことだった。

 迷惑極まりない因縁のつけ方である。

 とりあえず相手が爆豪でなかったことに安堵した衝也である。

 

 そんなこんなで訓練は進み、初戦で勝利したのはヒーローチームの緑谷・麗日チームである。

 緑谷が因縁?のある爆豪を核の真下の位置に固定し続け、お互いの大技の打ち合いであえて真上に大技をぶつけることで核を守っていた飯田に隙を作り、その間に麗日が核にタッチした形である。

 しかし、勝利をしたヒーローチームの負傷は大きく、逆に負けたヴィランチームはほぼ無傷というふつう逆じゃね?という結果になってしまった。

 しかし、勝利はしたもののヒーローチームは核をも巻き込んだ大雑把な攻撃は訓練だからという甘えによってつかんだ勝利だと指摘された。

 

「うわーうわー!なんかものすごい訓練だったね!緑君よく避けたよねー!」

「だよなー!よく避けたよな緑谷!個性も終盤まで使わなかったし。」

「ホントだよね!よく避けたよね!」

「まじよく避けられたよな緑谷。」

「ねー!」

「なー」

「貴方達、一体何の会話をしてるんですの?」

「「よく避けたなって話」」

「そう、ですか…。」

「八百万、深く考えない方がいい。こいつら色々とアホだからさ。」

 

 なんとなく疲れたような顔をしてる八百万にそっと肩を置いて忠告する切島。

 それを見た芦戸が首を傾げるが、もう一人のアホ、衝也はハンソーロボにより保健室に連れてかれる緑谷に視線を向けていた。

 

「?どうかしたんですの、五十嵐さん。」

「ん、いや緑谷の個性なんだけどさ、あれどう考えてもおかしいんだよな。」

「おかしい?」

「ああ、どう考えても個性が体にかみ合ってないんだよ。普通は個性は身体機能の一部、使えば使うほど強くなってくもんだ。それに合わせて体も普通は個性に見合って成長していくもんなんだよな。増強型の身体がごつかったりするのはそれが理由でもあるんだ。もちろん本人のトレーニングも影響してるけどな。でもあいつはあの個性を何とかして使うために急ピッチで身体を作ってる感じがするんだよなぁ…。増強型にしては体のつくり方が普通とちょっと違う感じがすんだよ。普通逆なんだけど…。ん?どうしたんだよお前ら。」

 

 顎に手を当てて考えを述べていた衝也はふと視線を感じてそちらを振り向く。

 そこには目を見開いて彼を凝視している八百万と切島と芦戸がいた。

 

「衝也、お前ってさ…」

「うん?」

「頭が良いアホだったのですわね」

「うん、頭が良いアホだったんだね五十嵐君。」

「すげー、アホだけど頭が良いなんて…。」

「てめぇら全員核ごと吹き飛ばしてやろうか?」

 

 そんなことがあったりしつつも進んでいった訓練。

 生徒たち全員がしのぎを削って訓練に勤しんでいく中、ついに衝也と芦戸の出番がやってきた。

 ヒーローチームは上鳴と耳郎響香の二人、衝也と芦戸はヴィランチームとなった。

 

「うへぇ、相手衝也かよ…まじかよぉクソ。」

「何アホみたいな顔してんのアンタ。」

「だって衝也だぜ?頭の方はともかくあいつは才能マンの一人なんだぜ。轟とか爆豪とかとおんなじ才能の塊だぜ?俺みたいなやつとは格が違うんだよ格が。」

「でもアホなんでしょ?」

「うん、めっちゃアホだぜあいつ。」

「なら何とかなるでしょ。アンタと同じアホなんだし。」

「おお、そうか!俺と同じアホならまだ何とかなるかも!?ん、今俺馬鹿にされたのか?」

「されてないされてない。」

「そっか、ならいいや!よぉし、この勝負勝つぞぉ!!」

「なぁ芦戸、とりあえずあの二人をぶっ飛ばす方法を考えよう。」

「ちょっと落ち着こうよ五十嵐君。顔がテレビに映せないような感じになってるよ。」

 

 そして各々スタート地点に着き、訓練が開始された。

 ちなみに衝也達のスタート地点は屋内の最上階である。

 ここに核も置いてある。

 

「さってと、それじゃあお互いの個性を一度整理するか。俺の個性はまあ簡単に言えば手と足から衝撃を放出する能力かな。うまく使えばいろいろできるし、威力も本気出せばたぶんこれくらいの建物なら余裕でぶっ壊せる。」

「うわー、サラッととんでもないこと言うね…。私はね!酸を出すことができるんだ!めちゃくちゃ溶かせるよ!コンクリートも全然溶かせる!」

「酸か…それはどこから出せる?」

「体全身から出せるし、手から飛ばしたりもできるけど。」

「濃度は調整可能なのか?」

「んーと、弱酸にしてスケートができたりするし、結構調節できるよ。」

「ふーん、なるほどなるほど。」

「どうどう?勝てそう?勝てそうかな?」

「それはまだわかんねぇよ。ところで芦戸、お前さ、耳郎の個性どんなのか知ってるか?」

「え、響香ちゃんの?えーっとなんか耳のイヤホンで音をキャッチしたりー、逆にイヤホンのプラグを指してものすごい音を出すことができるらしいよ!すごいよねー、イヤホンいらずの生活だよ。」

「なにそれ超羨ましい…じゃなくてっと。」

 

 ある程度情報を集めた衝也はしばらく思考を繰り返していたが、いい案が出たのか軽く指を鳴らして「うっし!」と呟いた。

 

「よっしゃ、作戦はあらかたできた。後はやるだけだ!」

「よーし!それじゃあ私行ってくるねー」

「待て待て待て待てアホなのかお前は!?作戦立てた言うとるやんけ!何、聞かずに行こうとしてくれちゃってのアンタ!?怖いわーマジで…。」

「えー、でも相手を見つけないと話になんないでしょー?」

「いや、耳郎の個性が芦戸の言う通りなら俺たちが歩き回ったりしてあいつらを探すのは絶対にダメだ。」

「へ?どして?」

「ここは屋内だ。しかも狭くて音もよく響く。些細な音すらキャッチできるっつう耳郎の個性なら、恐らく俺たちの足音一つで居場所が割り出せるはずだ。もしここで不用意に動いたら、こちらの動きが向こうにバレて、会敵することなく核をタッチされちまってゲームオーバーだ。」

「な、なるほど…。でもだったらどうするの?下手に動かない方がいいってこと?」

「そ!ここは動かずにここを戦いの場所にするべきだ。」

「でも、どうやって?」

「ふふふ、まあ俺に任せておきたまえよ…。」

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

「さーて、核の場所もわかったし、このままさくっとクリアしちまおうぜ!」

「ウチの個性で見つけたんだけどね…。てか、そんな簡単にクリアできないでしょ普通。」

 

 ビルの屋内にある階段を歩きながら談笑しているヒーローチーム。

 耳郎の個性により早々に核の場所を割り出した二人は最短ルートで核のある最上階の一室に向かっていた。

 上鳴もあっさり核が見つかって気が緩んだのか笑顔で階段を駆け上っている。

 それを耳郎がたしなめている形である。

 

「へ、なんでだよ?核の場所が分かったんだから後は衝也と芦戸の奴らをぶっ飛ばして終了だろ?」

「ばか、さっきも言ったでしょ。あいつら二人ともその場から一切動いてないの。つまり、こっちが核を見つけるのは恐らく想定内だったってこと。今芦戸達、あたし達を迎撃するための準備でもしてるんじゃない?」

「ええ!?じゃあこのまま何もしないでいるのかよ!?迎撃にビビって何もしないんじゃ時間切れで負けちまうだろ?ここは多少のリスクは承知で突っ込むべきだって!」

「アンタって時々いいこと言うよね。確かにアンタの言う通りここでじっとしててもしょうがないし、このまま最短ルートであいつらんとこに向かうよ。んで正面突破で核を触る!」

「おう!わかった!そっちのほうがややこしくないからこっちもやりやすいぜ!ところで耳郎。」

「何、上鳴?言っとくけど私に戦闘は…」

「『迎撃』ってなんだ?」

「こんのアホが…」

 

 そんな会話をした後、二人はそのまま最短ルートで突っ走り、核のある最上階の一室のドアの前に立った。

 耳郎はドアの横の壁にそっと立ち、自身のプラグを壁へと突き刺した。

 

「いい上鳴、ウチが中の状況を確認するから、ウチがいいっていうまで絶対に扉を」

「おらー!来てやったぜ衝也ぁ!!覚悟しろぉぉ!」

「開けてんじゃねぇよこのあほがぁ!」

「ホゲブッ!!」

 

 忠告を思いっきり無視してドアをあけ放った上鳴を思い切りど突いた耳郎。

 そしてど突かれた上鳴は素っ頓狂な声を上げて部屋の中へ転げまわりながら入る形となった。

 

「全く、こいつがペアであったことが最大の汚点だわ…。」

「いってぇなぁ…いきなり何すんだよ耳郎ぉぉ~。」

「うるさいしねこのアホ」

「え、なんでこんな辛辣な言葉浴びせられてんの?」

 

 マジで不思議そうな顔をしてど突かれた腰をさする上鳴。

 そんな彼らを見て第一声を上げたのは他ならぬヴィランの衝也だった。

 

「は、よく来たなぁ、耳郎に上鳴!その様子だとペアに随分とふりまわされてるみてぇだなぁ!」

「まぁね、こんなアホがペアじゃなければなって思わなかった日はないよ。」

「なんか俺ものすごくディスられてる…。」

「うわぁ、なんかすごい大変そうだね、響香ちゃん。」

「うんすごい大変だよ…ってか上鳴!アンタもいつまでも腰さすってないで戦う準備しなよ!」

「誰にやられたと思ってんだよったく…。ま、今はそんなこと言ってらんないよな。」

 

 そう言って軽く肩を回した後、電気を手にまとい始める上鳴。

 それを見て耳郎も戦うための構えをとる。

 しかし、それを見た瞬間、衝也が意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「よっしそれじゃあいくぜぇ!」

「動くなぁぁぁぁ!!」

「「!?」」

「動いたらこの核爆弾に衝撃を叩きこんで爆発させるぞぉぉ!!」

「「は?」」

「ふふふ、いいのかぁ?核爆弾だぞぉ?爆発したらただじゃすまないぞぉぉ?」

「いや、それただのはりぼてじゃあ…」

「おいおいおいおい、なに甘いこと言ってんのよ耳郎ちゃぁん。さっきもオールマイトが言ってただろぉう?はりぼてだろうと何だろうと、これは『本物の核』として扱わなければならないってよぉぉ」

「「!?」」

「これを本物と想定するなら当然んんん~?壊されて爆発されたらぁ?ここら辺一帯が塵と化すことくらいぃぃ?余裕で想定できるよねぇぇ!?」

「おい耳郎…」

「何、上鳴…」

「俺たち今おんなじこと思ってると思うんだけど…」

「うん、私もそう思う。」

「どうするのぉぉ?動いたら核が爆発しちまうよぉぉ?いいのかぁぁい?上鳴くぅん、耳郎ちゃぁん?どぉぉぉするぅぅ?」

((こいつめちゃくちゃヴィランっぽい!))

 

「うーむ、そう来るかぁ。何というか、悪知恵がはたらくなぁ五十嵐少年は。」

 

 訓練場地下でそうつぶやいたのは今日のヒーロー基礎学の講師をしているオールマイトだった。

 彼は現在の訓練の様子が映されているモニターを見て、感心したような、呆れたような表情を浮かべていた。

 

「オールマイト先生。」

「ん、どうしたんだい蛙吹君!」

「五十嵐ちゃんは響香ちゃん達になんて言ってるのかしら。私たちには音声が聞こえないからわからないの。」

「あ、それ俺も知りてぇ。なんでかわかんねぇけど衝也の奴めちゃくちゃ悪いこと言ってそうな気がするんだよ。」

「ううむ、切島少年もか…。しょうがないな、簡単に説明するとだね。私は先ほどはりぼてであろうと本物の核として扱うように、と言ったよね?彼はそこを逆手にとって、『動いたらこの核を壊すぞぉ。これを本物の核として扱うなら動かない方がいいのはわかるよねぇ?』って言ってるんだ。」

「最低ね、五十嵐ちゃん。」

「でも、ヴィランとしては正しい気もしますわ…。」

「案外頭いいんだなぁ衝也の奴…。」

 

 五十嵐のヴィランそのものの行為に感心したり呆れたりしているなか、オールマイトはうーむ、と唸った後モニターに視線を向けた。

 

「これを許可したらさすがにまずいしなぁ…しょうがない。『五十嵐しょうねーん、核爆弾破壊するのは無しねー。それだとさすがに訓練にならないからさー』」

「理不尽極まりねぇ!!?俺の何がいけないというのか!?」

「なんていうか、ルールの裏搔いてる感じがする。」

「卑怯だよな。」

「ヒーローって感じじゃないね!」

「耳郎や上鳴に言われるのならまだしも仲間の芦戸にまで!?」

 

 自分の作戦を却下されて思わず大声を上げる衝也。

 そしてその隙をついてヒーローチームが動き始める。

 が、

 

「よっし、今だよ上鳴!」

「おっしゃぁ!突撃開始…」

「芦戸ぉ!プランB!!」

「りょーかい!とりゃぁぁぁ!!」

「「!?」」

 

 二人が動くよりも早く芦戸が動き始めた。

 芦戸はその場から大きくジャンプし、部屋中の床一面に酸をばらまいた。

 

「三奈の酸が床一面に!?」

「うわ、何だこの酸!?す、滑る!?っでぇ!?」

 

 芦戸が酸をばらまいたのを見て瞬間的に耳郎は動きを止めたが、上鳴はそのまま勢いを殺しきれず酸を踏んでしまい、思い切り滑って転んでしまった。

 

「滑るって…。つまりこれは濃度の低い酸ってこと?」

「そ!あんまり濃度を濃くし過ぎると床が溶けちゃって私たちや核にも被害が出ちゃうからやめろって五十嵐君が言ってたんだ。」

「へ、でも、こんな事すればお前らだって動けねぇだろ!?」

「上鳴の言う通り、そうやって時間を稼ごうったってそうはいかないよ。上鳴!アンタの個性とウチの個性使ってこの酸吹き飛ばすよ!うちは音で!アンタは電気で酸を…」

「させるかよ。」

「!」

 

 その声が聞こえた方に耳郎がバッ!と顔を向けると、そのすぐ目の前に衝也がいた。

 みると上鳴はすでに確保テープによってぐるぐる巻きにされていた。

 衝也はまず最初に核のあった部屋の中央から一番近くにいる上鳴の所まで個性の衝撃を利用をして飛んできたのである。

 そして上鳴の後ろの壁に再び足をつけて方向転換、今度は耳郎の元へと飛んできたのである。

 

「うっそ!?はや…」

「あーらよっと!」

「うむっ!?」

 

 衝也がそのまま彼女の横を通り抜けた時にはすでに耳郎は確保テープにより拘束されており、身動きが取れない状態であった。

 

「芦戸の酸で足止めすれば当然それの処理に追われるわな。なまじ対処できる個性を持ってるからなおのことだ。目の前に目的の核があるし制限時間もあるからいったん引いて体勢を立て直そう!なーんて考えも出にくい。その対処しようとする一瞬のスキがあれば、俺の個性で一瞬で間合いを詰めることができる。加えて、俺の個性は地面に足をつかなくても移動することが可能な個性。その気になれば空中も歩くように移動できる。万が一避けられたとしても芦戸の酸に滑ってる間に俺が空中を歩いて確保できる。まぁ早い話が、芦戸に酸をばらまかれてそれに対処しようとした時点で、俺等の勝ちはほぼ決まってたってぇ訳だ。」

「おぉ!なんだか超かっこいいよ五十嵐君!」

(こいつ、上鳴と同類だと思ってたけどかなり頭キレるんじゃん!普段あんななのに!)

 

『五十嵐少年、実は頭が良かったんだな。こいつは意外な一面が見れたぜ。オーマイグッネッス!』

「ちょっと待ってくださいオールマイト!意外ってそりゃどういう…」

『はーい勝者ヴィランチーム!』

「あ、話逸らしやがったあの金髪ウサギ!!」

 

 訓練後、皆に『意外に』頭が良いんだね!と言われ続けた衝也は若干涙目で蛙吹に愚痴をこぼしていたとかいないとか。

 

「みんな意外にとか言いやがって…。まるで普段から俺がアホみたいな言い方しやがって…。」

「大丈夫、全然意外じゃないわよ五十嵐ちゃん、本当よ。本当に全然意外でも何でもなかったわよ」

「……」

「……本当よ?」

「…本音は?」

「ものすごく意外だったわ。」

「うわぁぁん!青いお空のバッキャロォォォォ!!!!」

 




うーむ、やはりグダグダだな
というか戦闘シーンへたくそすぎますね私。
もっと精進しなくては…。
感想・ご意見・ご指摘お待ちしています。
あ、ただ辛口コメントはちょっと
私豆腐メンタルなもので…。
できればその、ハニーマスタードくらいの辛さのコメントでお願いいたします…。

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